北極圏を巡るアークティックレース・オブ・ノルウェーが開幕。前年の総合優勝者アンドレアス・レックネスンが未出走となった初日で、チームメイトのアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ)がスプリント勝利を飾った。



第10回目を迎えたアークティックレース・オブ・ノルウェー photo:A.S.O.

年々プロトンでその勢力を強める北欧諸国。その一角をなすノルウェーを舞台にしたのが「北極に最も近いレース」として知られるアークティックレース・オブ・ノルウェー(UCI.Pro)だ。8月17日〜20日までの4日間で争われる本大会は、長い登りが登場しないためスプリンターやパンチャーが活躍するレースとなっている。

大会初日のスタート地点であるカウトケイノに集ったのは6つのワールドチームにプロチームとノルウェーナショナルチームを合わせた全18チーム。昨年大会の総合優勝者であるアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、DSM・フィルメニッヒ)が体調不良で未出走となるなか、106名がスタートを切った。

序盤から6名が逃げを打った photo:A.S.O.

プロトンはウノエックス・プロサイクリングチームやDSM・フィルメニッヒが中心に牽引した photo:A.S.O.

171kmの平坦コースで飛び出したのは、今年5月のツアー・オブ・ジャパンにも出場したファーガス・ブラウニング(オーストラリア、トリニティ・レーシング)ら6名。しかしアルベルト・ダイネーゼ(イタリア)で勝負したいDSM・フィルメニッヒがメイン集団の先頭でペースを作ったため、大きなタイム差とはならなかった。

途中の中間スプリントや低難易度のカテゴリー山岳をルイス・ボーワー(ニュージーランド、エキップコンチネンタル・グルパマFDJ)が連続で獲得する。そして3周15kmコースに突入し、残り16kmで逃げが吸収。終盤に入りダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)が飛び出して先頭に立ったものの、スプリントの位置取りでペースアップしたプロトンに引き戻された。

各チームがトレインの形成に苦心したため、単騎となったスプリンターによる集団スプリントが幕を開ける。そしてフィニッシュ手前150mで先頭に立った19歳ノア・ボッブス(イギリス、エキップコンチネンタル・グルパマFDJ)を、集団中程から一気に番手を上げたダイネーゼが差し切った。

ワールドツアーの意地を見せたアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ) photo:A.S.O.

白夜の太陽を意味するリーダージャージを獲得したアルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ) photo:CorVos

今年5月のジロ・デ・イタリア第17ステージ以来となる勝利を手にしたダイネーゼ。「ジロの後に休息を取り、その後もトレーニングに励んでいた。出場するワールドチームの中で僕が唯一のスプリンターだった。そのプレッシャーの中で勝利することができ、本当に嬉しい。残り300mまでは15番手ぐらいにいたが、隙間を見つけて先頭に上がることができたよ」とダイネーゼは喜んだ。

アークティックレース・オブ・ノルウェー2023第1ステージ結果
1位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ) 4:06:07
2位 ノア・ホッブス(イギリス、エキップコンチネンタル・グルパマFDJ)
3位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケア・サムシック)
4位 マルク・ブルステンガ(スペイン、リドル・トレック)
5位 アントニオ・アングロ(スペイン、ブルゴスBH)
個人総合成績
1位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ) 4:05:57
2位 ノア・ホッブス(イギリス、エキップコンチネンタル・グルパマFDJ) +0:04
3位 クレモン・シャンプッサン(フランス、アルケア・サムシック)
4位 マルク・ブルステンガ(スペイン、リドル・トレック) +0:06
5位 アントニオ・アングロ(スペイン、ブルゴスBH) +0:07
その他の特別賞
ポイント賞 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ)
山岳賞 ヴィンセント・ファンヘーメレン(ベルギー、フランダース・バロワーズ)
ヤングライダー賞 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ)
チーム総合成績 アルケア・サムシック
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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