2023/08/14(月) - 10:30
アタックに次ぐアタック。セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク)の加速に追従し、残り5.6kmを独走したロッタ・コペッキー(ベルギー)が自身初となる女子エリートロードレースのアルカンシエルを獲得した。U23は同じSDワークスのカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)が制している。
10日間に渡って開催されたUCI自転車世界選手権大会を締めくくるのは、U23カテゴリーと同時開催の女子エリートロードレース。71カ国206名の選手たちは距離154.1km/獲得標高差2229mのレースに臨むべく、晴れ間の見えるスコットランドの曇り空の下に集い、日本からは女子エリートに與那嶺恵理、U23に小林あか里が出場した。
出発地点となったのは前日の男子U23と同じく、グラスゴーの北西にあるローモンド湖。そこからクロウ・ロード(距離5.9km/平均4.8%/最大9.7%)を通過し、グラスゴー市街地に設定された1周14.3kmコースを6周する。各カテゴリーのロードレースで選手たちの脚を削ったモントローズ通り(距離200m/平均10.8%/最大約14.5%)はもちろん、下りやテクニカルなコーナーがサバイバルな展開を作り出した。
3日前の個人タイムトライアルで復活優勝を果たしたクロエ・ダイガート(アメリカ)やツール・ド・フランス・ファムで総合3位のカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)などが未出走となったレースは、18歳のエリシュカ・クヴァスニチコヴァー(チェコ)のアタックで幕を開ける。しかしすぐにメイン集団に引き戻され、続いて飛び出したジュリエット・ラブー(フランス)ら7名が逃げグループを形成した。
2015年の世界王者であるエリザベス・ダイグナン(イギリス)やエリーズ・シャベイ(スイス)、ベテランのアシュリー・モールマン(南アフリカ)ら強力なメンバーを揃う逃げ集団に対し、プロトンはドイツが中心となり牽引する。逃げからは早々と21歳のカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)が遅れ、メイン集団から約30秒のリードでクロウ・ロードをクリア。しかしその直後に逃げは引き戻され、途中ベルギーのエースであるロッタ・コペッキーがメカトラで遅れたものの、冷静なバイク交換によってプロトンに復帰している。
グラスゴーの市街地コースに入る手前でキム・カゾー(ニュージーランド)が単独で飛び出し、後続から40秒のリードを得ることに成功。しかしプロトンから加速したシャベイがカゾーを捉え、それに同じスイスのマーレン・ローセルやセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク)が追従。プロトンの動きが一気に激化するなか、ローセルがアタックして単独先頭に躍り出た。
後続ではサラ・ローイ(オーストラリア)やエマセシル・ノルスゴー(デンマーク)らが落車し、途中棄権を余儀なくされる。先頭のローセルにアンナ・ヘンダーソン(イギリス)が追いつき、しばらくの後にシャベイやルドヴィグも合流して7名の逃げ集団が出来上がる。そして積極的に仕掛けるシャベイが単独先頭に出るなか、大会連覇を狙うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)が残り65km地点でメカトラに見舞われ、10kmを要して集団に復帰した。
シャベイが一時1分25秒までリードを拡げたものの、オランダやベルギーを中心としたメイン集団が徐々にその差を縮めていく。残り35km地点で集団牽引にも加わっていたファンフルーテンがアタックし、それを自ら捉えたコペッキーの背後には同じSDワークスのデミ・フォレリング(オランダ)がつく。この激しいペースの上下にプロトンの人数は減っていき、その後もファンフルーテンやコペッキー、ルドヴィグが矢継ぎ早にアタックを仕掛けた。
単独で先頭を行くシャベイに対し、フォレリングら後続は7名。同じスイスのシャベイのためにローセルがローテーションを拒否しがらも順調に先頭との差は縮まっていき、ラスト2周目のモントローズ通りの登りでフォレリングが加速。その下りでシャベイを捉えた一方で、ファンフルーテンが再びメカトラでバイク交換する不運に見舞われる。ファンフルーテンは単独で追いかけたものの、勝負から脱落した。
最終周回に入りダイグナンがシッティングのまま加速し、3日前のTTで3位に入ったクリスティーナ・シュヴァインバーガー(オーストリア)が追従する。そこにローセルとコペッキーが合流して4名となった先頭に、一時は15秒差をつけられたフォレリングとルドヴィグ、シャベイの3名も残り8kmで追いついた。
先頭が7名となった登りですかさずフォレリングが仕掛けたものの、コペッキーやシュヴァインバーガーがそれを許さない。フォレリングが終盤アタックの代償として脚の痙攣に見舞われるなか、残り7.2kmのコーナーで今度はルドヴィグがアタック。それにもコペッキーは反応し、残り5.6kmのスコット通りの丘でルドヴィグを引き離した。
UCI自転車世界選手権大会ではトラックのエリミネーションとポイントレースで金メダルを獲得し、オムニアムでは銅メダルに輝いたコペッキー。連戦の疲れを一切見せることのない力強いペダリングで、コペッキーは最後のモントローズ通りの登りも通過し、各カテゴリーで落車が多発したその下りコーナーも難なくクリア。
そして27歳のベルギー王者コペッキーが、信じられないと頭を抱えながらフィニッシュラインに到達した。
「忘れられない夏になった。トラックから良い調子のままこのロードレースに臨むことができ、たくさんの有力選手の中勝つことができた。本当にクレイジーな結果。フラストレーションの溜まるシーンもあったが、それもレースの一部。良きチームメイトかつ友人である彼女(フォレリング)の存在はとても厄介な存在だった。このアルカンシエルを着て走るこの1年を、心から楽しみたい」と、今大会3つ目のアルカンシエルに袖を通したコペッキーは語った。
2位争いはルドヴィグをフィニッシュ直前で捉えたフォレリングが先着。ルドヴィグは3位で、最後まで単独で粘ったファンフルーテンは8位で現役最後の世界選手権を終えている。
U23カテゴリーでは全体の11位(4分34秒遅れ)でフィニッシュしたヴァシュが、三つ巴のスプリントを制してアルカンシエルを獲得。2位にはシクロクロスのU23世界王者であるシリン・ファンアンローイ(オランダ)が入り、アンナ・シャクリー(イギリス)が3位で表彰台に上がっている。この結果、SDワークスとしてはエリートでワンツーフィニッシュを果たし、U23でも1位と3位という大成功のレースとなった。
日本勢としては與那嶺が42位で完走を果たし、小林はDNFだった。
10日間に渡って開催されたUCI自転車世界選手権大会を締めくくるのは、U23カテゴリーと同時開催の女子エリートロードレース。71カ国206名の選手たちは距離154.1km/獲得標高差2229mのレースに臨むべく、晴れ間の見えるスコットランドの曇り空の下に集い、日本からは女子エリートに與那嶺恵理、U23に小林あか里が出場した。
出発地点となったのは前日の男子U23と同じく、グラスゴーの北西にあるローモンド湖。そこからクロウ・ロード(距離5.9km/平均4.8%/最大9.7%)を通過し、グラスゴー市街地に設定された1周14.3kmコースを6周する。各カテゴリーのロードレースで選手たちの脚を削ったモントローズ通り(距離200m/平均10.8%/最大約14.5%)はもちろん、下りやテクニカルなコーナーがサバイバルな展開を作り出した。
3日前の個人タイムトライアルで復活優勝を果たしたクロエ・ダイガート(アメリカ)やツール・ド・フランス・ファムで総合3位のカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)などが未出走となったレースは、18歳のエリシュカ・クヴァスニチコヴァー(チェコ)のアタックで幕を開ける。しかしすぐにメイン集団に引き戻され、続いて飛び出したジュリエット・ラブー(フランス)ら7名が逃げグループを形成した。
2015年の世界王者であるエリザベス・ダイグナン(イギリス)やエリーズ・シャベイ(スイス)、ベテランのアシュリー・モールマン(南アフリカ)ら強力なメンバーを揃う逃げ集団に対し、プロトンはドイツが中心となり牽引する。逃げからは早々と21歳のカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー)が遅れ、メイン集団から約30秒のリードでクロウ・ロードをクリア。しかしその直後に逃げは引き戻され、途中ベルギーのエースであるロッタ・コペッキーがメカトラで遅れたものの、冷静なバイク交換によってプロトンに復帰している。
グラスゴーの市街地コースに入る手前でキム・カゾー(ニュージーランド)が単独で飛び出し、後続から40秒のリードを得ることに成功。しかしプロトンから加速したシャベイがカゾーを捉え、それに同じスイスのマーレン・ローセルやセシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク)が追従。プロトンの動きが一気に激化するなか、ローセルがアタックして単独先頭に躍り出た。
後続ではサラ・ローイ(オーストラリア)やエマセシル・ノルスゴー(デンマーク)らが落車し、途中棄権を余儀なくされる。先頭のローセルにアンナ・ヘンダーソン(イギリス)が追いつき、しばらくの後にシャベイやルドヴィグも合流して7名の逃げ集団が出来上がる。そして積極的に仕掛けるシャベイが単独先頭に出るなか、大会連覇を狙うアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)が残り65km地点でメカトラに見舞われ、10kmを要して集団に復帰した。
シャベイが一時1分25秒までリードを拡げたものの、オランダやベルギーを中心としたメイン集団が徐々にその差を縮めていく。残り35km地点で集団牽引にも加わっていたファンフルーテンがアタックし、それを自ら捉えたコペッキーの背後には同じSDワークスのデミ・フォレリング(オランダ)がつく。この激しいペースの上下にプロトンの人数は減っていき、その後もファンフルーテンやコペッキー、ルドヴィグが矢継ぎ早にアタックを仕掛けた。
単独で先頭を行くシャベイに対し、フォレリングら後続は7名。同じスイスのシャベイのためにローセルがローテーションを拒否しがらも順調に先頭との差は縮まっていき、ラスト2周目のモントローズ通りの登りでフォレリングが加速。その下りでシャベイを捉えた一方で、ファンフルーテンが再びメカトラでバイク交換する不運に見舞われる。ファンフルーテンは単独で追いかけたものの、勝負から脱落した。
最終周回に入りダイグナンがシッティングのまま加速し、3日前のTTで3位に入ったクリスティーナ・シュヴァインバーガー(オーストリア)が追従する。そこにローセルとコペッキーが合流して4名となった先頭に、一時は15秒差をつけられたフォレリングとルドヴィグ、シャベイの3名も残り8kmで追いついた。
先頭が7名となった登りですかさずフォレリングが仕掛けたものの、コペッキーやシュヴァインバーガーがそれを許さない。フォレリングが終盤アタックの代償として脚の痙攣に見舞われるなか、残り7.2kmのコーナーで今度はルドヴィグがアタック。それにもコペッキーは反応し、残り5.6kmのスコット通りの丘でルドヴィグを引き離した。
UCI自転車世界選手権大会ではトラックのエリミネーションとポイントレースで金メダルを獲得し、オムニアムでは銅メダルに輝いたコペッキー。連戦の疲れを一切見せることのない力強いペダリングで、コペッキーは最後のモントローズ通りの登りも通過し、各カテゴリーで落車が多発したその下りコーナーも難なくクリア。
そして27歳のベルギー王者コペッキーが、信じられないと頭を抱えながらフィニッシュラインに到達した。
「忘れられない夏になった。トラックから良い調子のままこのロードレースに臨むことができ、たくさんの有力選手の中勝つことができた。本当にクレイジーな結果。フラストレーションの溜まるシーンもあったが、それもレースの一部。良きチームメイトかつ友人である彼女(フォレリング)の存在はとても厄介な存在だった。このアルカンシエルを着て走るこの1年を、心から楽しみたい」と、今大会3つ目のアルカンシエルに袖を通したコペッキーは語った。
2位争いはルドヴィグをフィニッシュ直前で捉えたフォレリングが先着。ルドヴィグは3位で、最後まで単独で粘ったファンフルーテンは8位で現役最後の世界選手権を終えている。
U23カテゴリーでは全体の11位(4分34秒遅れ)でフィニッシュしたヴァシュが、三つ巴のスプリントを制してアルカンシエルを獲得。2位にはシクロクロスのU23世界王者であるシリン・ファンアンローイ(オランダ)が入り、アンナ・シャクリー(イギリス)が3位で表彰台に上がっている。この結果、SDワークスとしてはエリートでワンツーフィニッシュを果たし、U23でも1位と3位という大成功のレースとなった。
日本勢としては與那嶺が42位で完走を果たし、小林はDNFだった。
ロード世界選手権2023女子エリートロードレース結果
1位 | ロッタ・コペッキー(ベルギー) | 4:02:12 |
2位 | デミ・フォレリング(オランダ) | 0:07 |
3位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク) | |
4位 | マーレン・ローセル(スイス) | 0:12 |
5位 | クリスティーナ・シュヴァインバーガー(オーストリア) | 0:34 |
6位 | エリザベス・ダイグナン(イギリス) | |
7位 | エリーズ・シャベイ(スイス) | 1:24 |
8位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ) | 2:48 |
9位 | リーアンヌ・マルクス(オランダ) | 3:51 |
10位 | マビ・ガルシア(スペイン) | 4:05 |
ロード世界選手権2023女子U23ロードレース結果
1位 | カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー) | 4:06:46 |
2位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ) | |
3位 | アンナ・シャクリー(イギリス) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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