猛暑の中でのレースとなったJプロツアー第12戦「石川サイクルロードレース」は、レースを終始主導したキナンレーシングチームが数的優位を最後まで維持し、1位から3位までを独占。津田悠義がJプロツアー初勝利を挙げた。総合首位は中井唯晶(シマノレーシング)に移った。



炎天下のスタート photo:Satoru Kato

Jプロツアー前半戦の締めくくりとなる第12戦「石川サイクルロードレース」。梅雨明けが意識される7月半ばの開催となることから、高温・高湿度の中でのレースとなることが多い。加えて、5kmに及ぶ長い登りのある1周13.6kmのコースはJプロツアーの中でも屈指のハードコース。必然的に完走率の低いサバイバルレースとなる。

序盤から先行した22名の先頭集団 photo:Satoru Kato

雨混じりの天気だった前日から一転、朝から陽射しが照りつけて気温が上昇した正午すぎ、9周122.4kmのレースがスタート。序盤から22名の大きな集団が先行し、2周目を終えるまでに後方集団に約1分の差をつける。その後も後方集団はペースが上がらず、差が開いていく。先頭集団のメンバー構成はキナンレーシングチーム(以下キナン)とシマノレーシング(以下シマノ)でおよそ半数を占め、この2チームを軸にレースが進行していく。

3周目、河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が単独先行 photo:Satoru Kato

4周目、河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)が単独先行。ほどなくして吸収されて5周目に入ると、トマ・ルバ(キナン)が集団先頭に出て徐々にペースを上げていく。

6周目、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)がペースを上げる photo:Satoru Kato
6周目、新城雄大(キナンレーシングチーム)が登り区間でペースを上げる photo:Satoru Kato


7周目、先頭集団に残った6名 photo:Satoru Kato

6周目に入ると登り区間でキナン勢が攻撃を開始。ルバ、新城雄大、山本元喜らが次々と集団の先頭に出てペースを上げ、人数を絞っていく。7周目までに残ったのは、ルバ、新城、山本、津田悠義のキナン4名と、石原悠希、風間翔眞のシマノ2名。数的優位なキナン勢がシマノの2名を揺さぶり、7周目終盤に風間を切り離す。

8周目、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)の揺さぶりに石原悠希(シマノレーシング)が反応 photo:Satoru Kato

石原悠希(シマノレーシング)が遅れる photo:Satoru Kato

最終周回 キナンレーシングチームの3名でフィニッシュを目指す photo:Satoru Kato

攻撃の手を緩めないキナンに喰らいついていた石原も8周目に力尽き、ルバと新城が先行。石原に追走する力が無いことを確認した津田が最終周回に追いつき、キナン3名が揃ってフィニッシュを目指す。

最後は津田を先頭にフィニッシュラインを越え、キナンが1-2-3フィニッシュで他を圧倒した。

津田悠義を先頭にキナンレーシングチーム3名が揃ってフィニッシュ photo:Satoru Kato

津田悠義コメント
「2周目に自分を含め4名で抜け出し、そこにチームメイトらが追いついてきてどんどん人数が増えて集団が分裂するような状態になった。その中で、キナンが数的優位を作っていこうと前夜のミーティングで決めた通りの動きが出来た。

終盤も人数が減った中でも4対2というかなり有利な展開をつくることが出来て、(山本)元喜さん、(新城)雄大さん、トマ(・ルバ)さんが力強く動いてくれた。最後まで残った石原選手が思った以上に反応してくるので、一度チームメイトと落ち着いて話し合ったことで切り離すことが出来た。石原選手は「これ以上やめてくれ」って感じだったけれど、そこはレースなので積極的に攻めた。

キナンレーシングチームが表彰台を独占 photo:Satoru Kato
プロリーダージャージの中井唯晶(シマノレーシング)と、ネクストリーダージャージの岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング) photo:Satoru Kato


個人的には最後に待ってもらって合流したので、雄大さんかトマさんのどちらかに勝ってほしかったけれど、総合順位争いの関係で勝ちを譲ってもらった。個人としての勝利は久々なので、(元乃木坂46の)生駒ちゃんポーズを決められて嬉しい。

自分のレーススケジュールはこれで一旦区切りになるが、しっかりリフレッシュして後半戦で爆発出来るようにしたい」
Jプロツアー2023 第12戦石川サイクルロードレース 結果(122.4km)
1位 津田悠義(キナンレーシングチーム) 3時間9分8秒 
2位 新城雄大(キナンレーシングチーム) +0秒
3位 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム) +0秒
4位 中井唯晶(シマノレーシング) +2分28秒
5位 風間翔眞(シマノレーシング) +2分29秒
6位 内田宇海(弱虫ペダルサイクリングチーム) +2分57秒
中間スプリント賞 1回目・2回目 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)

Jプロツアーリーダー 中井唯晶(シマノレーシング)
U23リーダー 岡本勝哉(チームブリヂストンサイクリング)



女子 小林あか里が4勝目を上げて総合首位

女子 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)が4勝目 photo:Satoru Kato

女子 表彰式 photo:Satoru Kato
フェミニンリーダージャージを獲得した小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoru Kato


5周68kmで行われた女子のレースは、全日本選手権U23を連覇した小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)と大堀博美(MOPS)が序盤からペースを上げて人数を絞り、小林、大堀、石井嘉子(アーティファクトレーシングチーム)の3名が残る。残り2周からは小林が独走。後続との差を広げてフィニッシュし、今季Jフェミニンツアー4勝目を挙げた。小林は個人総合順位で首位となり、フェミニンリーダージャージを獲得した。
女子 結果(68km)
1位 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム) 2時間6分35秒
2位 大堀博美(MOPS) +1分46秒
3位 石井嘉子(アーティファクトレーシングチーム) +2分52秒

中間スプリント賞 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)

Jフェミニンツアーリーダー 小林あか里(弱虫ペダルサイクリングチーム)



E1 高岡亮寛(Roppongi Express)が独走でフィニッシュ photo:Satoru Kato

Y1(ユース) 大澤礼寛(盛岡農業高校 ・オ ープン参加、写真右)が先着 photo:Satoru Kato
ジュニア 島崎将男(北海道帯広南商業高等学校、写真右)が僅差のスプリントを制する photo:Satoru Kato




text&photo:Satoru Kato
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