2023/05/09(火) - 08:15
終盤にかけて強い雨が降りつけたジロ・デ・イタリア第3ステージ。丘でピュアスプリンターが遅れた集団スプリントでマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)がピーダスンを退け、自身8年振りのジロ区間優勝を掴んだ。
第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)の3日目は、今大会で3番目に長い210kmを走る丘陵ステージで争われた。前日ステージの続きのように沿岸線を進む前半から、コース後半は内陸部のメルフィを目指して南下。スタートから170kmは平坦路だが、残り39.3kmから連続して設定された3級山岳(距離6.3km/平均6.4%)と4級山岳(距離2.6km/平均7.6%)のピュアスプリンターを退ける。その後は14kmの下りと12kmに及ぶ平坦路を経て、フィニッシュ手前は勾配5%ある緩斜面の直線路だ。
晴天続きだったジロは今大会初の曇り空。分厚い雨雲に覆われたドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)の地元で、チーム・コラテックの24歳コンビ、アレクサンダー・コニシェフ(イタリア)とヴェリコ・ストイニッチ(セビリア)が飛び出す。しかしこのスタート直後の動きに追従する選手はおらず、残念とばかりに頭を横に振るコニシェフら2人が先頭でローテーションを回した。
僅か30kmで7分にまで達したタイム差は、前日のスプリントバトルを主導したトレック・セガフレードとジェイコ・アルウラーがコントロール下に置く。ちょうどコース中央に設定された最初の中間スプリントをコラテックの2人が通過し、3番手争いはマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が先着して6ポイントを獲得。前日勝者でマリアチクラミーノ(ポイント賞)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)は6番手通過で3ポイントを加算している。
レースが後半戦に入ると大きな雨粒が選手と路面を濡らしはじめ、同じエリトリア人のアマヌエル・ゲブレイグザビエルに集団牽引の手ほどきを受けるナトナエル・テスファツィオン(トレック・セガフレード)が逃げとの差を縮めていく。UCI(国際自転車競技連合)が「様々な国の若手選手にチャンスを与えるため」と2018年に立ち上げたUCI WCC メンズチームの一期生、ストイニッチはコニシェフと懸命に逃げ続けたものの、残り36km地点でメイン集団に飲み込まれた。
3級山岳ヴァリコ・デル・ラギ・ディ・モンティッキオ(距離6.3km/平均6.4%)でプロトンを先頭したのは、ハイペースでピュアスプリンターを退け、マイケル・マシューズ(オーストラリア)に有利な状況を作りたいジェイコ。そしてイタリア王者ジャージを着るフィリッポ・ザナの牽引によって作戦通りミランやマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)が遅れ、更に優勝候補であったマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)も脱落した。
選手の選別が終わったプロトンからは、頂上手前でティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が加速する。現役最後のジロを走るピノはサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の追走を抑え、3級山岳をトップ通過。続く4級山岳も先頭で頂上を越えたためマリアアッズーラ(山岳賞)の獲得に成功した。
濡れた路面の下りにピーテル・セリー(ベルギー、スーダル・クイックステップ)らがタイヤを滑らせ落車するシーンもありながら、4級山岳で遅れたピーダスンはチームメイトの協力もあり、先頭集団への復帰を果たしている。
残り9.7km地点の中間スプリントでは、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)との一騎打ちをレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が制し、最大-3秒のボーナスタイムを獲得。そしてフィニッシュスプリントに向け徐々に上がるペースにワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)や、総合9位のブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が遅れを喫した。
山岳が終わっても牽引を続けたザナが残り3kmで仕事を終え、ピーダスンのアシストを2人残すトレック・セガフレードが先頭でコーナーの連続する残り1kmに突入する。そしてトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)がリードアウトを終え、直後にスプリントを開始したのはピーダスンではなくマシューズだった。
フィニッシュ手前200mで先頭に立ったマシューズは、その背後から追い抜きを図るカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)やピーダスンを抑え込む。そして最後までトップスピードを維持したマシューズが、先頭でフィニッシュを通過。両手を拡げ、勝利を喜んだ。
「チーム一丸となって掴んだ勝利だ。この喜びを表す言葉が見つからない。ピーダスンが登りで遅れたと聞き、スプリントは伸びないと思い早めに仕掛けた。それが上手くいった結果だよ」とレースを振り返ったマシューズ。「今シーズンはあまり調子の上がらないため、このジロにはレースを走る喜びを見つけるために出場したんだ。そして掴んだこの勝利。今日一日素晴らしい走りをしてくれたチームメイトに捧げたい」とマシューズは2015年以来、8年振りとなるジロ区間優勝を喜んだ。
総合上位陣はログリッチは7位、エヴェネプールは15位でフィニッシュ。その一方で総合2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は終盤落車に巻き込まれたものの、チームの牽引によってトップ集団でのフィニッシュを果たしている。
第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)の3日目は、今大会で3番目に長い210kmを走る丘陵ステージで争われた。前日ステージの続きのように沿岸線を進む前半から、コース後半は内陸部のメルフィを目指して南下。スタートから170kmは平坦路だが、残り39.3kmから連続して設定された3級山岳(距離6.3km/平均6.4%)と4級山岳(距離2.6km/平均7.6%)のピュアスプリンターを退ける。その後は14kmの下りと12kmに及ぶ平坦路を経て、フィニッシュ手前は勾配5%ある緩斜面の直線路だ。
晴天続きだったジロは今大会初の曇り空。分厚い雨雲に覆われたドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、イスラエル・プレミアテック)の地元で、チーム・コラテックの24歳コンビ、アレクサンダー・コニシェフ(イタリア)とヴェリコ・ストイニッチ(セビリア)が飛び出す。しかしこのスタート直後の動きに追従する選手はおらず、残念とばかりに頭を横に振るコニシェフら2人が先頭でローテーションを回した。
僅か30kmで7分にまで達したタイム差は、前日のスプリントバトルを主導したトレック・セガフレードとジェイコ・アルウラーがコントロール下に置く。ちょうどコース中央に設定された最初の中間スプリントをコラテックの2人が通過し、3番手争いはマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が先着して6ポイントを獲得。前日勝者でマリアチクラミーノ(ポイント賞)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)は6番手通過で3ポイントを加算している。
レースが後半戦に入ると大きな雨粒が選手と路面を濡らしはじめ、同じエリトリア人のアマヌエル・ゲブレイグザビエルに集団牽引の手ほどきを受けるナトナエル・テスファツィオン(トレック・セガフレード)が逃げとの差を縮めていく。UCI(国際自転車競技連合)が「様々な国の若手選手にチャンスを与えるため」と2018年に立ち上げたUCI WCC メンズチームの一期生、ストイニッチはコニシェフと懸命に逃げ続けたものの、残り36km地点でメイン集団に飲み込まれた。
3級山岳ヴァリコ・デル・ラギ・ディ・モンティッキオ(距離6.3km/平均6.4%)でプロトンを先頭したのは、ハイペースでピュアスプリンターを退け、マイケル・マシューズ(オーストラリア)に有利な状況を作りたいジェイコ。そしてイタリア王者ジャージを着るフィリッポ・ザナの牽引によって作戦通りミランやマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)が遅れ、更に優勝候補であったマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)も脱落した。
選手の選別が終わったプロトンからは、頂上手前でティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が加速する。現役最後のジロを走るピノはサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)の追走を抑え、3級山岳をトップ通過。続く4級山岳も先頭で頂上を越えたためマリアアッズーラ(山岳賞)の獲得に成功した。
濡れた路面の下りにピーテル・セリー(ベルギー、スーダル・クイックステップ)らがタイヤを滑らせ落車するシーンもありながら、4級山岳で遅れたピーダスンはチームメイトの協力もあり、先頭集団への復帰を果たしている。
残り9.7km地点の中間スプリントでは、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)との一騎打ちをレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が制し、最大-3秒のボーナスタイムを獲得。そしてフィニッシュスプリントに向け徐々に上がるペースにワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)や、総合9位のブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が遅れを喫した。
山岳が終わっても牽引を続けたザナが残り3kmで仕事を終え、ピーダスンのアシストを2人残すトレック・セガフレードが先頭でコーナーの連続する残り1kmに突入する。そしてトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)がリードアウトを終え、直後にスプリントを開始したのはピーダスンではなくマシューズだった。
フィニッシュ手前200mで先頭に立ったマシューズは、その背後から追い抜きを図るカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)やピーダスンを抑え込む。そして最後までトップスピードを維持したマシューズが、先頭でフィニッシュを通過。両手を拡げ、勝利を喜んだ。
「チーム一丸となって掴んだ勝利だ。この喜びを表す言葉が見つからない。ピーダスンが登りで遅れたと聞き、スプリントは伸びないと思い早めに仕掛けた。それが上手くいった結果だよ」とレースを振り返ったマシューズ。「今シーズンはあまり調子の上がらないため、このジロにはレースを走る喜びを見つけるために出場したんだ。そして掴んだこの勝利。今日一日素晴らしい走りをしてくれたチームメイトに捧げたい」とマシューズは2015年以来、8年振りとなるジロ区間優勝を喜んだ。
総合上位陣はログリッチは7位、エヴェネプールは15位でフィニッシュ。その一方で総合2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)は終盤落車に巻き込まれたものの、チームの牽引によってトップ集団でのフィニッシュを果たしている。
ジロ・デ・イタリア2023第3ステージ結果
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | 5:01:41 |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
4位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ) | |
5位 | ステファノ・オルダーニ(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
6位 | スヴェンエリック・ビーストルム(ノルウェー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
7位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
8位 | シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) | |
9位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | |
10位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | |
163位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +15:11 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 10:18:07 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:32 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:44 |
4位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +0:46 |
5位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:58 |
6位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:02 |
8位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
9位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | +1:08 |
10位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | +1:18 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 53pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 39pts |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | 38pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 12pts |
2位 | ポール・ラペラ(フランス、AG2Rシトロエン) | 6pts |
3位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 4pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 10:18:07 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:32 |
3位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:34 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 30:56:33 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +0:13 |
3位 | スーダル・クイックステップ | +0:32 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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