2022/12/12(月) - 16:12
ジャパンサイクルリーグ(JCL)の2022年シーズン表彰式「JCL AWARDS」が、12月11日に東京都内で開催された。個人ランキング首位の小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)をはじめ各賞受賞選手が出席。今年で引退する中島康晴(キナンレーシングチーム)の引退セレモニーや、来年発足するJCLチーム右京の紹介なども行われた。
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)の個人総合優勝で2年目のシーズンを終えたジャパンサイクルリーグ(以下JCL)。その年間表彰式が、東京駅丸の内口の目の前にある丸ビル内のホールで催された。式典にはスプリント賞、U23賞を獲得した選手や、JCLの片山右京チェアマン、加藤康則代表らが登壇。山岳賞のネイサン・アールは療養中のためビデオメッセージで出席。チーム総合優勝のチーム右京相模原からは、小石祐馬が代表で出席した。
式典冒頭で片山チェアマンが挨拶に立ち、関係各所や選手、ファンに対して謝意を述べると共に、世界を目指し、自転車を文化として広める意気込みを語った(片山チェアマンの発言要旨は記事最下部に掲載)。
各賞受賞者は以下の通り。
イエロージャージ(個人ランキング首位) 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
ブルージャージ(スプリント賞) 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
レッドジャージ(山岳賞) ネイサン・アール(チーム右京相模原)
ホワイトジャージ(U23賞) 渡邊諒馬(VC福岡)
チーム総合優勝 チーム右京相模原
小野寺玲「オールマイティに活躍したいという志はずっと持っていた」
今までの(スプリンターという)印象からすると、各方面から今年の僕の走りは驚かれることが多かったけれど、僕自身はスプリンターだと思ったことは一度もなく、ロードレースで勝ちたいとずっと思っていました。宇都宮ブリッツェンに来てからスプリントに強いからとクリテリウムでエースを任されることが多かったのですが、オールマイティに活躍したいという志はずっと持っていました。
昨年あたりからチーム内でも増田(成幸)さんに次ぐサブエースとしての役割を与えられることもあり、増田さん自身も僕をロードレースで勝てる選手にしたいと考えて一緒にトレーニングしてくれたりしました。それが今シーズン結果として現れたことで、皆さんに強く印象に残せたので良かったと思っています。次からはスプリント以外でもより期待度が高くなると思いますので、それに応えられることが勝負になるとも思っています。
来年はチームの絶対的エースだった増田さんが抜けることに不安はありますが、自分でチームを作って引っぱって行く立場になることを自覚して臨んでいきたいと思っています。
表彰式後には、2022年シーズンで引退を表明していた中島康晴(キナンレーシングチーム)の引退セレモニーが行われ、ファン代表から花束が贈られた。
「1年前に引退すると発表するのは迷いがあったが、幸せな1年間を過ごすことが出来ました。キナンレーシングチームでの6年間はアジアや国内のレース、JCLという素晴らしいリーグで走ることが出来ました。今後も自転車の楽しさを広げていく活動をしていきたいので、応援よろしくお願いします」と、コメントした。
また、ジャパンカップの際に発表された新チーム「JCLチーム右京」が改めて紹介された。「多くの人が不可能だと思うかもしれないが、いつか日本人がマイヨジョーヌを着てスタートする日を信じて、ペダルを踏む選手を後押ししていきたい」と、ツール・ド・フランス出場にかける想いをチーム代表でもある片山チェアマン自ら語った。
チームメンバーとなる小石祐馬は「今までのチームとは違い、このメンバーでやっていくことがとても楽しみ」と話す。登壇予定のなかった清水裕輔監督も呼ばれ「可能性を信じてチャレンジしていけば、結果は自ずとついてくると思う。すぐには結果は出ないと思うが、出来るだけ早くチームを軌道に乗せてみんなの夢を叶えていきたい」と、意気込みを語った。
新チームの開幕戦は、レース名の明言は避けながらも「中東でワールドチームが10チームも出るようなレースでスタート」と片山チェアマンが明かした。
片山右京チェアマン「サッカーは7年かかったが、僕たちは5年で達成したい」
2022年、2シーズン目が終わりました。昨年リーグを立ち上げてまずレースをしなければいけないというプラットフォームを作り、今年それをどうやって広げていくかということで、高速道路を止めたりと新しいチャレンジもできました。その中で、レースのレベルがどんどん上がってきていると感じます。
2年目を終えられたのは、支えてくださる株主の方、スポンサーの方、審判、警察など関係者あってのことだと思います。それ以上にもっと僕らが支えられて上を目指す時に讃えたいのは、1年一生懸命ペダルを踏んでくれる選手達、僻地にまで来てるれるファンの皆さん、家族ではないけれど一心同体のようなコミュニティが出来てることに、改めて感謝申し上げます。
オリンピック以降、僕たちはレガシーとして自転車の文化を創造していこう、競技力を高めてツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを着せようとスタートしましたが、世間から聞こえてくるのは「自転車が売れない」とか、「コロナで不況」とか、円安とか、不安な声ばかりです。一方で世界は、SDGsやパリオリンピックに向けて動き、2030年の大都市交通流入規制に向けてのマイクロモビリティなどモーダルシフトや代替エネルギー問題などで、自転車が中心となってきています。
今朝、多摩地区でオリンピックのボランティアをやってくれた皆さんと道路清掃に行ってきました。そこで思ったのは、路上競技として地域の人達が理解してくれて、選手や関係者を評価してくれる。でも自分達がどうやって成長していくかと考えた時、一番は強い選手が出てきてくれるのが大きな効果になります。そのためにやらなければいけないことは、僕たちが3年目、5年目と続けていく中で、どのレースとかは関係なく、選手にはとにかく死に物狂いで強くなってもらうことです。
一人一人の選手やチームがプロ意識を持ってもらい、欲を言えば支えてくれるファンの方が、僕たちが社会に役に立つこと必要とされることををやっていきますので、声を大にして、自転車がいかにすばらしいかを広めてもらうために声を発してもらいたい。
川淵名誉顧問は、サッカーはチームが出来てからワールドカップに行くまで7年かかったと言います。ドーハの悲劇からあれだけの時間がかかって今の熱狂が作られていますが、僕らはそれを5年でやりたいと思います。
日本を代表するチームとかリーグを作っていくにはみんなで出来ることを必死で考え、力を合わせて行けたらと思います。これからもJCLは進化して強くなっていきます。過激な言い方ですが、僕たちはサッカーに負けません。道路も掃除するし、選手には勝ってもらうし、アカデミーをつくって子供たちを育てていきます。バレリーナのように背伸びをし続けます。
text&photo:Satoru Kato
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)の個人総合優勝で2年目のシーズンを終えたジャパンサイクルリーグ(以下JCL)。その年間表彰式が、東京駅丸の内口の目の前にある丸ビル内のホールで催された。式典にはスプリント賞、U23賞を獲得した選手や、JCLの片山右京チェアマン、加藤康則代表らが登壇。山岳賞のネイサン・アールは療養中のためビデオメッセージで出席。チーム総合優勝のチーム右京相模原からは、小石祐馬が代表で出席した。
式典冒頭で片山チェアマンが挨拶に立ち、関係各所や選手、ファンに対して謝意を述べると共に、世界を目指し、自転車を文化として広める意気込みを語った(片山チェアマンの発言要旨は記事最下部に掲載)。
各賞受賞者は以下の通り。
イエロージャージ(個人ランキング首位) 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
ブルージャージ(スプリント賞) 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
レッドジャージ(山岳賞) ネイサン・アール(チーム右京相模原)
ホワイトジャージ(U23賞) 渡邊諒馬(VC福岡)
チーム総合優勝 チーム右京相模原
小野寺玲「オールマイティに活躍したいという志はずっと持っていた」
今までの(スプリンターという)印象からすると、各方面から今年の僕の走りは驚かれることが多かったけれど、僕自身はスプリンターだと思ったことは一度もなく、ロードレースで勝ちたいとずっと思っていました。宇都宮ブリッツェンに来てからスプリントに強いからとクリテリウムでエースを任されることが多かったのですが、オールマイティに活躍したいという志はずっと持っていました。
昨年あたりからチーム内でも増田(成幸)さんに次ぐサブエースとしての役割を与えられることもあり、増田さん自身も僕をロードレースで勝てる選手にしたいと考えて一緒にトレーニングしてくれたりしました。それが今シーズン結果として現れたことで、皆さんに強く印象に残せたので良かったと思っています。次からはスプリント以外でもより期待度が高くなると思いますので、それに応えられることが勝負になるとも思っています。
来年はチームの絶対的エースだった増田さんが抜けることに不安はありますが、自分でチームを作って引っぱって行く立場になることを自覚して臨んでいきたいと思っています。
表彰式後には、2022年シーズンで引退を表明していた中島康晴(キナンレーシングチーム)の引退セレモニーが行われ、ファン代表から花束が贈られた。
「1年前に引退すると発表するのは迷いがあったが、幸せな1年間を過ごすことが出来ました。キナンレーシングチームでの6年間はアジアや国内のレース、JCLという素晴らしいリーグで走ることが出来ました。今後も自転車の楽しさを広げていく活動をしていきたいので、応援よろしくお願いします」と、コメントした。
また、ジャパンカップの際に発表された新チーム「JCLチーム右京」が改めて紹介された。「多くの人が不可能だと思うかもしれないが、いつか日本人がマイヨジョーヌを着てスタートする日を信じて、ペダルを踏む選手を後押ししていきたい」と、ツール・ド・フランス出場にかける想いをチーム代表でもある片山チェアマン自ら語った。
チームメンバーとなる小石祐馬は「今までのチームとは違い、このメンバーでやっていくことがとても楽しみ」と話す。登壇予定のなかった清水裕輔監督も呼ばれ「可能性を信じてチャレンジしていけば、結果は自ずとついてくると思う。すぐには結果は出ないと思うが、出来るだけ早くチームを軌道に乗せてみんなの夢を叶えていきたい」と、意気込みを語った。
新チームの開幕戦は、レース名の明言は避けながらも「中東でワールドチームが10チームも出るようなレースでスタート」と片山チェアマンが明かした。
片山右京チェアマン「サッカーは7年かかったが、僕たちは5年で達成したい」
2022年、2シーズン目が終わりました。昨年リーグを立ち上げてまずレースをしなければいけないというプラットフォームを作り、今年それをどうやって広げていくかということで、高速道路を止めたりと新しいチャレンジもできました。その中で、レースのレベルがどんどん上がってきていると感じます。
2年目を終えられたのは、支えてくださる株主の方、スポンサーの方、審判、警察など関係者あってのことだと思います。それ以上にもっと僕らが支えられて上を目指す時に讃えたいのは、1年一生懸命ペダルを踏んでくれる選手達、僻地にまで来てるれるファンの皆さん、家族ではないけれど一心同体のようなコミュニティが出来てることに、改めて感謝申し上げます。
オリンピック以降、僕たちはレガシーとして自転車の文化を創造していこう、競技力を高めてツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを着せようとスタートしましたが、世間から聞こえてくるのは「自転車が売れない」とか、「コロナで不況」とか、円安とか、不安な声ばかりです。一方で世界は、SDGsやパリオリンピックに向けて動き、2030年の大都市交通流入規制に向けてのマイクロモビリティなどモーダルシフトや代替エネルギー問題などで、自転車が中心となってきています。
今朝、多摩地区でオリンピックのボランティアをやってくれた皆さんと道路清掃に行ってきました。そこで思ったのは、路上競技として地域の人達が理解してくれて、選手や関係者を評価してくれる。でも自分達がどうやって成長していくかと考えた時、一番は強い選手が出てきてくれるのが大きな効果になります。そのためにやらなければいけないことは、僕たちが3年目、5年目と続けていく中で、どのレースとかは関係なく、選手にはとにかく死に物狂いで強くなってもらうことです。
一人一人の選手やチームがプロ意識を持ってもらい、欲を言えば支えてくれるファンの方が、僕たちが社会に役に立つこと必要とされることををやっていきますので、声を大にして、自転車がいかにすばらしいかを広めてもらうために声を発してもらいたい。
川淵名誉顧問は、サッカーはチームが出来てからワールドカップに行くまで7年かかったと言います。ドーハの悲劇からあれだけの時間がかかって今の熱狂が作られていますが、僕らはそれを5年でやりたいと思います。
日本を代表するチームとかリーグを作っていくにはみんなで出来ることを必死で考え、力を合わせて行けたらと思います。これからもJCLは進化して強くなっていきます。過激な言い方ですが、僕たちはサッカーに負けません。道路も掃除するし、選手には勝ってもらうし、アカデミーをつくって子供たちを育てていきます。バレリーナのように背伸びをし続けます。
text&photo:Satoru Kato
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