2022/11/30(水) - 17:32
多くのカテゴリーで激戦が繰り広げられた幕張クロス2022。暖かな陽気に包まれ、過ごしやすい一日となったこの大会には多くの参加者が集まった。エリート上位や昇格を決めた方、キッズらシクロクロスレースを楽しんだ方の愛車を見せていただいた。
斎藤朋寛さん(RIDELIFE GIANT) ジャイアント TCX ADVANCED PRO
ME1の表彰台獲得にあと一歩というところまで迫った斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)さん。全日本選手権でも好成績を残す社会人レーサーの斎藤さんはジャイアント・ジャパンに勤める、いわゆる"中の人"だ。駆るのはもちろんジャイアントが誇るシクロクロスレーサーのTCX。今年で3シーズン目を迎える現行モデルの良さは、クランプ位置を下げたシートポスト周りの設計にあるという。「小柄なライダーでもシートポストをしならせることができ、レース終盤まで体力が持つようになりました」と斎藤さんはいう。
今年はジャイアントの「SLR1 36 DISC HOOKLESS」というリムハイト36mm/内幅22.4mmのカーボンホイールを早速導入していることがポイント。フックレス化したリムは愛用するIRCのチューブレスタイヤとの相性は抜群で、タイヤの性能を引き出せるとのことだ。フックレスというとパンク時のビード落ちが気になるところだが、土浦のレースでパンクに見舞われのちに半周回もパンク状態で乗り切ったが、ビードが落ちることはなかったという。
トップカテゴリーで善戦する斎藤さんのチェーンリングは42T、そしてこの日アセンブルされていたカセットスプロケットの最大歯数は28T。ホビーライダーではもっと大きなギアが欲しくなるところだが、「今日のコースならこのギア比で全然いけますよ」とトップカテゴリーの上位にランクインする選手の強さを垣間見た。
今井大悟さん(YAGI-TAI?) ワンバイエス JFF#803
デッドヒートを繰り広げたME2(C2)で見事優勝を果たした今井大悟さん。ロードレースをメインに競技に出場していたが今はシクロクロス一本に絞っている生粋のレーサーは「レースが楽しすぎるし、応援が近いのが嬉しいから好きです」とシクロクロスに魅了された理由を語ってくれた。
そんな今井さんの愛車は、ワンバイエスのJFF #803。「ロマンのあるカンチブレーキに惹かれた」というこだわりで、ディスクブレーキ全盛期にあってカンチブレーキを使用している理由を教えてくれた。「購入当時、学生だった自分の財布に優しかった」という完成車のパッケージをそのまま生かしている箇所が多いが、ウルフトゥースのチェーンリングやスラムAPEX1などドライブトレインは自分に合わせたパーツを載せている。
ホイールのイーストンEC90はロードで競技に打ち込んでいた当時のもので、アセンブルされるIRC SERAC CXはショップの方からお勧めされた物とのこと。シーズン通してSERAC CXのオールラウンドな性能を発揮させている。さりげなく赤系統の小物でアクセントをつけており、フレームの差し色に合わせたコーディネートも楽しんでいた。デッドヒートの模様はご自身のYouTubeチャンネルにアップされている。
渡井健太さん(AVENTURA CYCLING ESTRELLA) ワンバイエス JFF#807
幕張クロスの大トリを飾るキッズレース(CK3)に出場する予定ながらも、午前中のシクロクロススクールに参加した渡井健太さん。レースでは2位争いを最終盤まで繰り広げ、力強い走りで2位表彰台を見事に獲得した未来ある若手レーサーだ。元々はロードバイクとマウンテンバイクに乗っていたが、自宅近くで開催された湘南CXにそのマウンテンバイクで出場したらシクロクロスにハマったという。
愛車は「スピード感が好き」というワンバイエスのJFF #807で、パーツ系も東京サンエス系のブランドでまとめている。これらのパーツは渡井さんの身長に合わせられるサイズを展開しているブランドからチョイスしているという。また、最近はマヴィックのKSYRYUM 30を新しく導入したという。ドライブトレインはシマノ105とGRXのミックス仕様で、チェーンリングはウルフトゥースという本格的なレーシングバイクとして組み上げられている。
路面が不安定だったり、シケインが登場したりとバラエティに富むコースが楽しいという渡井さん。「これからはチームの先輩を目指して、速くなりたいです」と今後のレースに向けての目標を語ってくれた。
相馬洋之さん(BMインドカレーサーラ) オルベア VECTOR
コース脇で一際目立っていた黄色のジャージで揃えたインドカレーサーラチーム。元々はズノウイーストのBMレーシングというチームから成るこのチームから、相馬洋之さんにご登場いただいた。「死にそうになりました。楽しかったです」とレースを振り返る相馬さんはこの幕張クロスが初めてのシクロクロスレース。チームメンバーに後押しされてCXデビューを果たした。
バイクはオルベアのアーバンモデルVECTORをベースとしたカスタム車。フラットマウントのディスクブレーキ規格を採用しているものの、ポストマウントのアダプターを介し、完成車パッケージではない機械式ディスクブレーキで組み上げている。タイヤもシクロクロス向けにケンダのFLINTRIDGE SPORTをアセンブルし、幕張クロスのコースに挑んだ。
このバイクを選んだ背景については、「チームメンバーからCXに誘われたこともあって、自転車の馴染みのお店に相談しようと思って、足を運んだら既に現物が待っていたんです。その瞬間に乗って帰ることが決まりましたね」と相馬さんは笑う。そんなニューバイクで初シクロクロスレースを楽しんだようだ。
阿部花梨さん(インドカレーサーラ) コナ JAKE THE SNAKE
インドカレーサーラからはもう一人、阿部花梨さんもご登場。阿部さんは普段から練習するこの幕張のコースで仲間の声援を受けてCL2+3カテゴリーでトップリザルトを獲得したのだが、この日が初めてのシクロクロスレースだったのだとか。元々ロードやトラック競技に打ち込むレーサーの阿部さんが初レースで使用したバイクはコナのJAKE THE SNAKEだ。
このバイクは、阿部さんがシクロクロスに挑戦するにあたって、練習仲間の先輩が貸してくれたものだとか。阿部さんに自転車を快く貸し出した先輩に話を伺うと「実は自分は自転車を新しくしたんですよ。そしたら置く場所がなくなっちゃって」と笑う。阿部さんは「砂利や泥のシチュエーションでも走れるので、グラベルバイクのようにしてもっと遠くまで行ってみたいです」という。
バイクにアセンブルされるパーツは、スラムAPEX1やTRPの機械/油圧式ブレーキ"HY/RD"など完成車のパッケージをそのままにしている。細かい部分ではエクスルブのチェーンオイルを使用しており、それをアピールするステッカーも。他にもエノキンカルテットというオリジナルステッカーや、サーラのチームカラーである黄色のバーテープを使うなど、チームの輪を感じさせるバイクに仕上げられていた。
小林碧さん(ProRide) フェルト F5X
沢田時や竹内遼らトップ選手を輩出してきたオフロードチームProRideに所属する小林碧さん。若き女性レーサーが愛用するバイクはだフェルトのF5X。「元々フェルトの自転車に乗っていて、この自転車は最初はサブバイクでした。その後、サブとして使っていた物と同じバイクを見つけたので、今はこの自転車をメインに乗っています」とF5Xを好んでいることが伝わってくる。
バイクのこだわりポイントはバーテープが左右色違いとしている点。片方は青、もう片方はオレンジという配色はProRideのジャージと同じ色味で、ウェアと自転車の色味を揃えるお洒落なコーディネート。ブライトンのサイクルコンピューターを守るカバーも可愛いことがこの自転車で目を引いたポイントだ。
小林さんの機材面でのこだわりはタイヤの空気圧とのことで、レース前の試走は欠かさずに行っている。タイヤはチャレンジのBABY LIMUSで、シーズン通してこのモデルを使い通すという。トップチューブの王冠ステッカーは今シーズンの勝利を表しており、どんどん積み重ねていくことに期待したい。
石川七海さん(SBC Dirt Union)
WU17カテゴリーながら、同時出走のメンズエリート3上位に肉薄する快走をみせた石川七海さん(SBC Dirt Union)。2020年のシクロクロス全日本選手権U15チャンピオンであり、MTBレースでも活躍する若きホープだ。
「細かいコーナーでキレがあって、肩に担ぎやすいトップチューブの形がお気に入りです」と話す石川さんのバイクは、キャニオンのCXマシンであるINFLITE CF SL。完成車スペックはスラムRIVAL 11+アルミホイールであるが、ホイールをASTUTE + デュガスのチューブラーに、クランクをアルテグラ+ウルフトゥースの40Tチェーンリングに換装し、戦闘力アップが施されている。
「年齢制限でしばらくはエリートレースに上がれないので、早くトップ選手の方と走ってみたいです」と語る石川さん。今シーズンも力強い走りで、女子レース界隈を盛り上げてくれるはずだ。
text&photo:Gakuto Fujiwara, Ryota Nakatani
斎藤朋寛さん(RIDELIFE GIANT) ジャイアント TCX ADVANCED PRO
ME1の表彰台獲得にあと一歩というところまで迫った斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)さん。全日本選手権でも好成績を残す社会人レーサーの斎藤さんはジャイアント・ジャパンに勤める、いわゆる"中の人"だ。駆るのはもちろんジャイアントが誇るシクロクロスレーサーのTCX。今年で3シーズン目を迎える現行モデルの良さは、クランプ位置を下げたシートポスト周りの設計にあるという。「小柄なライダーでもシートポストをしならせることができ、レース終盤まで体力が持つようになりました」と斎藤さんはいう。
今年はジャイアントの「SLR1 36 DISC HOOKLESS」というリムハイト36mm/内幅22.4mmのカーボンホイールを早速導入していることがポイント。フックレス化したリムは愛用するIRCのチューブレスタイヤとの相性は抜群で、タイヤの性能を引き出せるとのことだ。フックレスというとパンク時のビード落ちが気になるところだが、土浦のレースでパンクに見舞われのちに半周回もパンク状態で乗り切ったが、ビードが落ちることはなかったという。
トップカテゴリーで善戦する斎藤さんのチェーンリングは42T、そしてこの日アセンブルされていたカセットスプロケットの最大歯数は28T。ホビーライダーではもっと大きなギアが欲しくなるところだが、「今日のコースならこのギア比で全然いけますよ」とトップカテゴリーの上位にランクインする選手の強さを垣間見た。
今井大悟さん(YAGI-TAI?) ワンバイエス JFF#803
デッドヒートを繰り広げたME2(C2)で見事優勝を果たした今井大悟さん。ロードレースをメインに競技に出場していたが今はシクロクロス一本に絞っている生粋のレーサーは「レースが楽しすぎるし、応援が近いのが嬉しいから好きです」とシクロクロスに魅了された理由を語ってくれた。
そんな今井さんの愛車は、ワンバイエスのJFF #803。「ロマンのあるカンチブレーキに惹かれた」というこだわりで、ディスクブレーキ全盛期にあってカンチブレーキを使用している理由を教えてくれた。「購入当時、学生だった自分の財布に優しかった」という完成車のパッケージをそのまま生かしている箇所が多いが、ウルフトゥースのチェーンリングやスラムAPEX1などドライブトレインは自分に合わせたパーツを載せている。
ホイールのイーストンEC90はロードで競技に打ち込んでいた当時のもので、アセンブルされるIRC SERAC CXはショップの方からお勧めされた物とのこと。シーズン通してSERAC CXのオールラウンドな性能を発揮させている。さりげなく赤系統の小物でアクセントをつけており、フレームの差し色に合わせたコーディネートも楽しんでいた。デッドヒートの模様はご自身のYouTubeチャンネルにアップされている。
渡井健太さん(AVENTURA CYCLING ESTRELLA) ワンバイエス JFF#807
幕張クロスの大トリを飾るキッズレース(CK3)に出場する予定ながらも、午前中のシクロクロススクールに参加した渡井健太さん。レースでは2位争いを最終盤まで繰り広げ、力強い走りで2位表彰台を見事に獲得した未来ある若手レーサーだ。元々はロードバイクとマウンテンバイクに乗っていたが、自宅近くで開催された湘南CXにそのマウンテンバイクで出場したらシクロクロスにハマったという。
愛車は「スピード感が好き」というワンバイエスのJFF #807で、パーツ系も東京サンエス系のブランドでまとめている。これらのパーツは渡井さんの身長に合わせられるサイズを展開しているブランドからチョイスしているという。また、最近はマヴィックのKSYRYUM 30を新しく導入したという。ドライブトレインはシマノ105とGRXのミックス仕様で、チェーンリングはウルフトゥースという本格的なレーシングバイクとして組み上げられている。
路面が不安定だったり、シケインが登場したりとバラエティに富むコースが楽しいという渡井さん。「これからはチームの先輩を目指して、速くなりたいです」と今後のレースに向けての目標を語ってくれた。
相馬洋之さん(BMインドカレーサーラ) オルベア VECTOR
コース脇で一際目立っていた黄色のジャージで揃えたインドカレーサーラチーム。元々はズノウイーストのBMレーシングというチームから成るこのチームから、相馬洋之さんにご登場いただいた。「死にそうになりました。楽しかったです」とレースを振り返る相馬さんはこの幕張クロスが初めてのシクロクロスレース。チームメンバーに後押しされてCXデビューを果たした。
バイクはオルベアのアーバンモデルVECTORをベースとしたカスタム車。フラットマウントのディスクブレーキ規格を採用しているものの、ポストマウントのアダプターを介し、完成車パッケージではない機械式ディスクブレーキで組み上げている。タイヤもシクロクロス向けにケンダのFLINTRIDGE SPORTをアセンブルし、幕張クロスのコースに挑んだ。
このバイクを選んだ背景については、「チームメンバーからCXに誘われたこともあって、自転車の馴染みのお店に相談しようと思って、足を運んだら既に現物が待っていたんです。その瞬間に乗って帰ることが決まりましたね」と相馬さんは笑う。そんなニューバイクで初シクロクロスレースを楽しんだようだ。
阿部花梨さん(インドカレーサーラ) コナ JAKE THE SNAKE
インドカレーサーラからはもう一人、阿部花梨さんもご登場。阿部さんは普段から練習するこの幕張のコースで仲間の声援を受けてCL2+3カテゴリーでトップリザルトを獲得したのだが、この日が初めてのシクロクロスレースだったのだとか。元々ロードやトラック競技に打ち込むレーサーの阿部さんが初レースで使用したバイクはコナのJAKE THE SNAKEだ。
このバイクは、阿部さんがシクロクロスに挑戦するにあたって、練習仲間の先輩が貸してくれたものだとか。阿部さんに自転車を快く貸し出した先輩に話を伺うと「実は自分は自転車を新しくしたんですよ。そしたら置く場所がなくなっちゃって」と笑う。阿部さんは「砂利や泥のシチュエーションでも走れるので、グラベルバイクのようにしてもっと遠くまで行ってみたいです」という。
バイクにアセンブルされるパーツは、スラムAPEX1やTRPの機械/油圧式ブレーキ"HY/RD"など完成車のパッケージをそのままにしている。細かい部分ではエクスルブのチェーンオイルを使用しており、それをアピールするステッカーも。他にもエノキンカルテットというオリジナルステッカーや、サーラのチームカラーである黄色のバーテープを使うなど、チームの輪を感じさせるバイクに仕上げられていた。
小林碧さん(ProRide) フェルト F5X
沢田時や竹内遼らトップ選手を輩出してきたオフロードチームProRideに所属する小林碧さん。若き女性レーサーが愛用するバイクはだフェルトのF5X。「元々フェルトの自転車に乗っていて、この自転車は最初はサブバイクでした。その後、サブとして使っていた物と同じバイクを見つけたので、今はこの自転車をメインに乗っています」とF5Xを好んでいることが伝わってくる。
バイクのこだわりポイントはバーテープが左右色違いとしている点。片方は青、もう片方はオレンジという配色はProRideのジャージと同じ色味で、ウェアと自転車の色味を揃えるお洒落なコーディネート。ブライトンのサイクルコンピューターを守るカバーも可愛いことがこの自転車で目を引いたポイントだ。
小林さんの機材面でのこだわりはタイヤの空気圧とのことで、レース前の試走は欠かさずに行っている。タイヤはチャレンジのBABY LIMUSで、シーズン通してこのモデルを使い通すという。トップチューブの王冠ステッカーは今シーズンの勝利を表しており、どんどん積み重ねていくことに期待したい。
石川七海さん(SBC Dirt Union)
WU17カテゴリーながら、同時出走のメンズエリート3上位に肉薄する快走をみせた石川七海さん(SBC Dirt Union)。2020年のシクロクロス全日本選手権U15チャンピオンであり、MTBレースでも活躍する若きホープだ。
「細かいコーナーでキレがあって、肩に担ぎやすいトップチューブの形がお気に入りです」と話す石川さんのバイクは、キャニオンのCXマシンであるINFLITE CF SL。完成車スペックはスラムRIVAL 11+アルミホイールであるが、ホイールをASTUTE + デュガスのチューブラーに、クランクをアルテグラ+ウルフトゥースの40Tチェーンリングに換装し、戦闘力アップが施されている。
「年齢制限でしばらくはエリートレースに上がれないので、早くトップ選手の方と走ってみたいです」と語る石川さん。今シーズンも力強い走りで、女子レース界隈を盛り上げてくれるはずだ。
text&photo:Gakuto Fujiwara, Ryota Nakatani
Amazon.co.jp