フィニッシュ直前で発生した大規模落車により、小集団スプリントに持ち込まれたポローニュ5日目。盤石のリードアウトを得たフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)がアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)を破って今季初勝利を挙げた。
この日はワンツトからジェシュフに向かう178.1kmで争われた photo:CorVos
大会も後半戦を迎えたツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)第5ステージ。個人タイムトライアルを翌日に控えたこの日はワンツトからジェシュフまでの178.1kmで争われた。コース後半に登場する2つの3級山岳に加え、カテゴリーのついていない丘が多数登場するこの日の獲得標高差は2,000mオーバー。しかし前日に続きこの日もスプリンターによる争いが繰り広げられた。
ワンツトでスタートが切られるとその直後から激しいアタックが勃発し、マッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・プレミアテック)ら8名がエスケープする。その中にリーダーチームのボーラ・ハンスグローエからシェーン・アーチボルド(ニュージーランド)も入ったため、チームはプロトンの牽引を免除。代わりにバーレーン・ヴィクトリアスが先頭でペースを作った。
逃げグループを形成したショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)たち photo:Tour de Pologne
リーダーチームのボーラではなく、この日はバーレーン・ヴィクトリアスが集団をコントロールした photo:CorVos
逃げ集団の中に総合22位(29秒遅れ)のショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が入ったこともあり、総合優勝とステージ勝利を狙うバーレーンに加えてイネオス・グレナディアーズもメイン集団のコントロールに参加。そのため逃げとの差が3分40秒以上拡がらない状況を打開すべく、ウルスシュミットとクインが残り45km地点から飛び出しを図った。
逃げの2人が1度目のフィニッシュライン(残り19km地点)を1分8秒差で通過すると、フィル・バウハウス(ドイツ)を擁するバーレーンとアルノー・デマール(フランス)で勝負したいグルパマ・エフデジが追走に本腰を入れる。健闘を見せた2人だったが残り2.8kmで吸収され、ひと塊になった集団がジェシュフの市街地になだれ込んだ。
「僕のKOMを奪わないで」と懇願する地元サイクリスト photo:CorVos
レース終盤でプロトン先頭に出たユンボ・ヴィスマ photo:CorVos
残り1km地点を通過して4車線の幅広なコースいっぱいに拡がった選手たちが、2車線の狭いコーナーへ突入したことにより集団前方で落車が発生する。行き場を失ったスプリンターや総合勢選が巻き込まれると、勝負は先頭でトレインを組んでいたグルパマとバーレーン、その背後で落車を回避した数名のスプリンターに絞り込まれた。
集団の先頭がジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマ・エフデジ)からジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)に代わると、残り100mの緩い左コーナーからバウハウスが発射。その背後からデマールが一拍を置いて腰を上げたものの、バウハウスの前に出ることはできなかった。後方でガッツポーズするミランに祝福されるなか、バウハウスが昨年に続く大会通算2勝目を掴み取った。
ハンドルを投げるフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)とアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) photo:CorVos
今季初勝利を挙げたフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
「この勝利はジョニー(ミラン)のスーパーなリードアウトのおかげ。ここ数日で彼はその強さを証明した。集団スプリントは必ず脚のある選手が勝つわけではない。チームや戦術、そしてタイミングが重要なんだ」とバウハウス。「初日を2位と悔しい結果に終わったものの、この勝利で自分が世界でもトップスプリンターの1人であることを示すことができた」と、シーズン後半戦での巻き返しに向けてバウハウスは意気込みを語った。
レース最終盤で発生した落車も、救済措置適用により総合上位の順位は変わらず。セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が2位のペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)に4秒差、3位クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)に6秒差と僅差のまま、翌日の11.8km個人タイムトライアルに臨む。
表彰式で勝利を喜ぶフィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
リーダージャージを着て翌日の個人TTに臨むセルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

大会も後半戦を迎えたツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)第5ステージ。個人タイムトライアルを翌日に控えたこの日はワンツトからジェシュフまでの178.1kmで争われた。コース後半に登場する2つの3級山岳に加え、カテゴリーのついていない丘が多数登場するこの日の獲得標高差は2,000mオーバー。しかし前日に続きこの日もスプリンターによる争いが繰り広げられた。
ワンツトでスタートが切られるとその直後から激しいアタックが勃発し、マッズ・ウルスシュミット(デンマーク、イスラエル・プレミアテック)ら8名がエスケープする。その中にリーダーチームのボーラ・ハンスグローエからシェーン・アーチボルド(ニュージーランド)も入ったため、チームはプロトンの牽引を免除。代わりにバーレーン・ヴィクトリアスが先頭でペースを作った。


逃げ集団の中に総合22位(29秒遅れ)のショーン・クイン(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が入ったこともあり、総合優勝とステージ勝利を狙うバーレーンに加えてイネオス・グレナディアーズもメイン集団のコントロールに参加。そのため逃げとの差が3分40秒以上拡がらない状況を打開すべく、ウルスシュミットとクインが残り45km地点から飛び出しを図った。
逃げの2人が1度目のフィニッシュライン(残り19km地点)を1分8秒差で通過すると、フィル・バウハウス(ドイツ)を擁するバーレーンとアルノー・デマール(フランス)で勝負したいグルパマ・エフデジが追走に本腰を入れる。健闘を見せた2人だったが残り2.8kmで吸収され、ひと塊になった集団がジェシュフの市街地になだれ込んだ。


残り1km地点を通過して4車線の幅広なコースいっぱいに拡がった選手たちが、2車線の狭いコーナーへ突入したことにより集団前方で落車が発生する。行き場を失ったスプリンターや総合勢選が巻き込まれると、勝負は先頭でトレインを組んでいたグルパマとバーレーン、その背後で落車を回避した数名のスプリンターに絞り込まれた。
集団の先頭がジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマ・エフデジ)からジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)に代わると、残り100mの緩い左コーナーからバウハウスが発射。その背後からデマールが一拍を置いて腰を上げたものの、バウハウスの前に出ることはできなかった。後方でガッツポーズするミランに祝福されるなか、バウハウスが昨年に続く大会通算2勝目を掴み取った。


「この勝利はジョニー(ミラン)のスーパーなリードアウトのおかげ。ここ数日で彼はその強さを証明した。集団スプリントは必ず脚のある選手が勝つわけではない。チームや戦術、そしてタイミングが重要なんだ」とバウハウス。「初日を2位と悔しい結果に終わったものの、この勝利で自分が世界でもトップスプリンターの1人であることを示すことができた」と、シーズン後半戦での巻き返しに向けてバウハウスは意気込みを語った。
レース最終盤で発生した落車も、救済措置適用により総合上位の順位は変わらず。セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ)が2位のペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)に4秒差、3位クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ)に6秒差と僅差のまま、翌日の11.8km個人タイムトライアルに臨む。


ツール・ド・ポローニュ2022第5ステージ結果
1位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | 4:16:19 |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) | |
3位 | ニキアス・アルント(ドイツ、チームDSM) | |
4位 | マックス・カンター(ドイツ、モビスター) | |
5位 | エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
6位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
7位 | ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
8位 | ライアン・ミューレン(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマ・エフデジ) | |
10位 | パトリク・ストッシュ(ポーランド、ポーランドナショナルチーム) |
個人総合成績
1位 | セルヒオ・イギータ(コロンビア、ボーラ・ハンスグローエ) | 19:52:46 |
2位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:04 |
3位 | クイントン・ヘルマンス(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 0:06 |
4位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:10 |
5位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
6位 | リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | |
7位 | イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
8位 | カンタン・パシェ(フランス、グルパマ・エフデジ) | |
9位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) | |
10位 | ステフ・クラス(ベルギー、ロット・スーダル) |
その他の特別賞
山岳賞 | カミル・マウェツキー(ポーランド、ロット・スーダル) |
ポイント賞 | アルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp