数多のレースで勝利を挙げてきたバイクブランドのピナレロが、グラベルレーシングバイクGREVILのモデルチェンジを行った。GREVIL Fとして登場した第2世代は、エアロダイナミクス向上、タイヤクリアランス拡大で超長距離レースでパフォーマンスを発揮するコンペティションバイクとなった。



ピナレロ GREVIL F(B303 CHAMPAGNE)ピナレロ GREVIL F(B303 CHAMPAGNE) (c)ピナレロ・ジャパン
数々のビッグレースで勝利を掴んでいるピナレロ。革新とパフォーマンスを追求した研究開発を軸とするブランドであり、DOGMA Fでは東京五輪の金メダル、CROSSISTA Fではシクロクロス世界選手権制覇を遂げている。ロード、シクロクロスと同じようにグラベルでも最上級のバイクを創造するべく、グラベル用のコンペティションバイク"GREVIL"を用意してきた。

GREVILは2018年のデビュー当時からグラベルレース向けに開発されたバイクであり、グラベルというジャンルにおいてもユニークな存在だった。2022年ではプロロードレーサーも参戦するなどグラベルレースも定着し、レースの展開が激しくなっているという。ピナレロはGREVILのモデルチェンジを行い、GREVIL Fという新型で今のレースに求められるバイクを実現した。

衝撃吸収性を発揮するONDAフォークが採用されている衝撃吸収性を発揮するONDAフォークが採用されている (c)ピナレロ・ジャパンFLEX STAYテクノロジーなどで衝撃吸収性を高めたリアバックFLEX STAYテクノロジーなどで衝撃吸収性を高めたリアバック (c)ピナレロ・ジャパン


アンバウンドグラベルやジェロボームのように超長距離レースで、ライダーのパフォーマンスを支えるべくGREVIL Fに与えられたものは、エアロダイナミクスと、最大50mm(700C)/2.1インチ(650B)のタイヤが装着できるクリアランス、グラベル向けのジオメトリーだった。

ピナレロらしい有機的なフレームには、DOGMA Fなどでお馴染みのCONCAVE DOWN TUBEが採用された。ウォーターボトルを装着した状態で空気抵抗を低減する形状は、超長距離かつ高速化が進むレースシーンではアドバンテージとなるだろう。

エアロダイナミクスに配慮したヘッドチューブエアロダイナミクスに配慮したヘッドチューブ (c)ピナレロ・ジャパン
トップチューブから続くようなシートステートップチューブから続くようなシートステー (c)ピナレロ・ジャパン
また、ブレーキホースを完全に内装するTiCRシステム、フォークのエアロフラップ、エアロシートポストもエアロダイナミクス向上に貢献する。わずかなアドバンテージでも数百kmにも及ぶレースではメリットとなるはずだ。

GREVIL Fはリーチは短く、スタックは高く設定されており、ライダーは腕を使って衝撃を吸収しやすいポジションを取れるという。また、アップライトな姿勢となるため、肩の力を抜いて長距離を走れるはずだ。さらにピナレロがこだわったのは、用意される6つのフレーム全てでハンドリング性能を統一すること。全てのフレームサイズでジオメトリーを調整し、トレイル値を揃えることで、どのようなライダーもGREVILの走行性能を味わえるように作られているという。

ダウンチューブ下側にもボトルケージ台座が設けられているダウンチューブ下側にもボトルケージ台座が設けられている (c)ピナレロ・ジャパン
具体的にはフォークアングルはONDAフォークの衝撃吸収性能を引き出す70.25〜72.25°にそれぞれのフレームサイズで調整された。さらに、フォークレークは55mmに拡大することで、荒れた路面でのバイクの安定性を強化していることもポイントだ。

チェーンステー長にもこだわりがあり、後輪へのパワー伝達と振動吸収性のバランスさせるために420mmに設定された。ロードバイクに近いQファクターを保ちつつチェーンステーを延長せずに、チェーンリングとホイール、フレームのバランスを整えることは、開発において大きな挑戦となったという。

ピナレロ GREVIL F(B302 RADIANT AURA)ピナレロ GREVIL F(B302 RADIANT AURA) (c)ピナレロ・ジャパン
ピナレロ GREVIL F(B301 ICELAND BLACK)ピナレロ GREVIL F(B301 ICELAND BLACK) (c)ピナレロ・ジャパン
ピナレロが導き出した答えはドライブサイドのチェーンステーのみ下方にオフセットさせる造形だ。ピナレロが持つ左右非対称フレームについてのノウハウが活かされ、FLEX STAYテクノロジーが用いられた結果、先述したように優れたバランスのチェーンステーを実現したという。また、シートステーを含むリア三角もTWIN ARMSという左右非対称テクノロジーを採用し、衝撃吸収性を向上させた。

GREVIL Fにはグラベルバイクらしいスペックが盛り込まれている。シートポストの固定はDOGMAシリーズとは異なり、臼をシートポスト前方に配置。泥や砂埃が付着しにくい場所に位置しているため、グラベルライドで不具合が発生しにくいはずだ。

レース向けのグラベルバイク、ピナレロ GREVIL Fレース向けのグラベルバイク、ピナレロ GREVIL F (c)ピナレロ・ジャパン
また、ボトルケージ台座は一般的な2つだけではなく、ダウンチューブ下にも用意された。ロングライドで必要なボトル、ツールケースを持ち運びやすくなっているだろう。フロントディレイラー台座も着脱可能な仕様が採用されているため、ライダーが自由にカスタマイズすることが可能だ。

アンバウンドグラベルが目前に迫ったタイミングで発表されたGREVIL F。初回はカンパニョーロのグラベルコンポーネントEKARで組み上げた数量限定の完成車で販売される。フレームセットやその他の完成車については後日発表予定だという。EKAR完成車の価格等は以下のスペック欄をチェックしてもらいたい。

オフロードで安定性を発揮するジオメトリーが採用されたGREVIL Fオフロードで安定性を発揮するジオメトリーが採用されたGREVIL F (c)ピナレロ・ジャパン


ピナレロ GREVIL F
フレーム素材:Carbon T700 UD finish
フレームスペック:Twin Arms、Flexstays、TiCR internal cable routing、TiCR integrated headset ( 1.5 upper and 1.5 lower)、 Italian thread BB、Flatback profiles、Down tube bottle cage
フォーク:Onda fork
シートポスト:Dedicate aero seat post with vibration dampening shape、Fork Flap
最大タイヤ幅: 700c x 50 mm、650b x 2,1”
変速機対応:1x and 2x crankset option. 2x SRAM mechanical option not available
ブレーキ:Disc Flat Mount (max Ø160 mm)
アクスル:Front Axle Ø12 x 100 mm Shimano、Rear Axle Ø12 x 142 mm Shimano
サイズ:470, 500, 530, 550, 575, 600(CC)

ピナレロ GREVIL F EKAR完成車
メインコンポーネント:カンパニョーロ EKAR
ホイール:フルクラム RAPID RED 500 (700C)
カラー:B301 ICELAND BLACK、B302 RADIANT AURA、B303 CHAMPAGNE
価格:1,045,000円(税込)

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