2010/07/06(火) - 16:35
数年前まで、ツール・ド・フランスの優勝候補筆頭に必ず名前の上がったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)。今年は大本命という立場ではなく「第3の男」としてツールに臨む。ツールの栄光へあと一歩まで迫った男は、ここまでのツールに何を思うのか。
ジロではバッソの後塵を拝したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiチームのサポートが乏しく、苦戦の予想されるエヴァンス
ジロ・デ・イタリアでグランツールでの初優勝を逃したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は、ツール・ド・フランスでも3週間、苦しい戦いを強いられるだろう。
ジロ・デ・イタリア中盤で4人ものチームメイトを失ったエヴァンス。残されたステージレースのサポート役はマウロ・サンタンブロジオ(イタリア)のみ。そのサンタンブロジオもラクイラでのずぶぬれのレース後に棄権してしまった。
発熱に苦しみながらラクイラにゴールしたカデル・エヴァンス(BMCレーシング) (c)CorVosエヴァンスはラクイラ(ジロ第11ステージ)の前夜に発熱を起こし、苦難の山岳地帯での勝負となった。イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)と彼をサポートする8人の精密機械のようなチームメイト達に対して勝算はまったくなかった。あきらめの境地のエヴァンスはパッソ・トナーレで最後の、ー率直に言えば自暴自棄のー、アタックをかけた。3週間にわたるジロの結果はバッソ(イタリア、リクイガス)に遅れること3分27秒。
早くもチームメイトを失ったエヴァンス
プロローグ23位・39秒遅れのカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiツール・ド・フランスもジロ・デ・イタリアの同じ轍を踏む危険性に満ちている。
土曜日のプロローグ、ロッテルダムで行われたタイム・トライアルで、マティアス・フランク(スイス、BMCレーシング)が親指の骨折と唇を切る怪我のため棄権を余儀なくされた。エヴァンスのチームメイトの中では経験豊富な選手でこそなかったが、24歳という若さにしてすでに2008年のヴエルタ・ア・エスパーニャを経験済みの選手だった。
「これもゲームのうち。カデルにとって大事なアシストだったけれど、チームの中でどうやってこれを補って行くか決めるのが僕らの務めだ。」とジョン・ルランゲ監督は語る。
『レースはこういうものさ。ジロ・デ・イタリアでもマルティン・コーラー(スイス)を最初の日曜日に失った。そういうレースなんだ。今年はチームタイムトライアルがないからよかったよ。』
好調のシーズンと、不安材料のチーム力
フレーシュ・ワロンヌを制したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosエヴァンスは5シーズンを過ごしたサイレンスロットから今期BMCレーシングに移籍。9月には世界選手権のタイトルを手に入れたエヴァンスは、新しいチームで充電し、今までどおりのアタックスタイルを磨いている。
この春にはフレーシュ・ワロンヌで優勝し、ジロ・デ・イタリアでは泥だらけのモンタルチーノ(第7ステージ)で勝利を収めている。
ジロ2010モンタルチーノステージを制したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) (c)CorVos毎日チームバスを出るときからステージ・フィニッシュまで誰かが一緒にいることを希望しているエヴァンス。BMCレーシングは彼のサポートに全力を尽くしているが、このチームはエヴァンスがグランツールでの勝利を手に入れるための深みを欠く。
ツール・ド・フランスにおけるエヴァンスのチームメイトたちは殆どみな、平地もしくは小規模な山岳向けライダーだ。アレッサンドロ・バッラン(イタリア)、マークス・ブルグハート(ドイツ)、ジョージ・ヒンカピー(アメリカ)、みな火曜日の第3ステージ、アランベールへのステージをエヴァンスが制覇する助けにはなろうが難関山岳地帯では苦しむに違いない。
『スティーブ・モラビート(スイス)はツール・ド・スイスで実力を見せてくれたから問題はない。それにカルステン・クローン(オランダ)やヒンカピーもなかなかやると思うよ。』とルランゲ監督は付け加える。
エヴァンス勝利の鍵を握るBMCレーシングチーム photo:Makoto Ayano
『山頂ゴールのステージとなれば1対1の戦いになるはず。もし、その後に急な下りが待っているような場合はモラビート、ヒンカピー、クローン、サンタンブロジオといった選手たちがカデルをサポートするために控えているよ。』
しかし、カデル・エヴァンスはジロ・デ・イタリアや2007年、2008年のツール・ド・フランスに続き苦戦しつつ、惜しいところで勝利を逃すのではないかと思われている。
本人はそんな風潮にどこ吹く風、勝利を収めるための準備は万端と意気込む。土曜日には語ったところでは、『大体のところ、勝てると思う。』
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos, Makoto.AYANO
translation: Yuko.Yamawaki

ジロ・デ・イタリアでグランツールでの初優勝を逃したカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は、ツール・ド・フランスでも3週間、苦しい戦いを強いられるだろう。
ジロ・デ・イタリア中盤で4人ものチームメイトを失ったエヴァンス。残されたステージレースのサポート役はマウロ・サンタンブロジオ(イタリア)のみ。そのサンタンブロジオもラクイラでのずぶぬれのレース後に棄権してしまった。

早くもチームメイトを失ったエヴァンス

土曜日のプロローグ、ロッテルダムで行われたタイム・トライアルで、マティアス・フランク(スイス、BMCレーシング)が親指の骨折と唇を切る怪我のため棄権を余儀なくされた。エヴァンスのチームメイトの中では経験豊富な選手でこそなかったが、24歳という若さにしてすでに2008年のヴエルタ・ア・エスパーニャを経験済みの選手だった。
「これもゲームのうち。カデルにとって大事なアシストだったけれど、チームの中でどうやってこれを補って行くか決めるのが僕らの務めだ。」とジョン・ルランゲ監督は語る。
『レースはこういうものさ。ジロ・デ・イタリアでもマルティン・コーラー(スイス)を最初の日曜日に失った。そういうレースなんだ。今年はチームタイムトライアルがないからよかったよ。』
好調のシーズンと、不安材料のチーム力

この春にはフレーシュ・ワロンヌで優勝し、ジロ・デ・イタリアでは泥だらけのモンタルチーノ(第7ステージ)で勝利を収めている。

ツール・ド・フランスにおけるエヴァンスのチームメイトたちは殆どみな、平地もしくは小規模な山岳向けライダーだ。アレッサンドロ・バッラン(イタリア)、マークス・ブルグハート(ドイツ)、ジョージ・ヒンカピー(アメリカ)、みな火曜日の第3ステージ、アランベールへのステージをエヴァンスが制覇する助けにはなろうが難関山岳地帯では苦しむに違いない。
『スティーブ・モラビート(スイス)はツール・ド・スイスで実力を見せてくれたから問題はない。それにカルステン・クローン(オランダ)やヒンカピーもなかなかやると思うよ。』とルランゲ監督は付け加える。
『山頂ゴールのステージとなれば1対1の戦いになるはず。もし、その後に急な下りが待っているような場合はモラビート、ヒンカピー、クローン、サンタンブロジオといった選手たちがカデルをサポートするために控えているよ。』
しかし、カデル・エヴァンスはジロ・デ・イタリアや2007年、2008年のツール・ド・フランスに続き苦戦しつつ、惜しいところで勝利を逃すのではないかと思われている。
本人はそんな風潮にどこ吹く風、勝利を収めるための準備は万端と意気込む。土曜日には語ったところでは、『大体のところ、勝てると思う。』
text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos, Makoto.AYANO
translation: Yuko.Yamawaki
Amazon.co.jp
ツール・ド・フランス2009 スペシャルBOX [DVD]
ジェイ・スポーツ