2022/04/21(木) - 08:36
「ユイの壁」決戦を制したのは、連覇がかかるアラフィリップでも、かつての王バルベルデでも、ツール覇者ポガチャルでもなくディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)。誰も寄せ付けない登坂力で自身初のクラシック制覇を遂げた。
アルデンヌクラシックの第2戦といえば、おなじみのラ・フレーシュ・ワロンヌ(UCI1.ワールドツアー)。今年はフランス大統領選の影響でパリ〜ルーベとアムステルゴールドレースの順番が入れ替わったが、「ワロン地域を貫く矢」を意味し、今年で86回目を迎えるフレーシュは例年通り水曜日開催を迎えた。
ツール・ド・フランスやリエージュと同じA.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)が主催し、最大勾配が26%に達する激坂「ユイの壁」ことミュール・ド・ユイ(1,300m/9.6%)頂上フィニッシュが名物の本レース。レース中盤からはこの「壁」とコート・デレッフ(2,100m/5%)、コート・ド・シュラーブ(1,300m/8.1%)という3つの上りを含む29km周回を3周し、3度目のユイ頂上のフィニッシュラインに飛び込む。
1チーム7名、合計25チームがリエージュ県にあるワロン地域の街ブレニーを出発。この日はエスケープがなかなか決まらず、数名が逃げては捕まり、そのカウンターでまた数名が飛び出す...という展開が暫く続いた。最終的にダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)やブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)、そしてピエール・ロラン(フランス、B&BホテルズKTM)といった10名が飛び出したことで、ようやく落ち着きを取り戻すこととなる。
イネオス・グレナディアーズやUAEチームエミレーツがコントロールするメイン集団は、逃げる10名に3分程度のリードを許して距離を消化していく。晴天のこの日は2019年大会で起きたような横風分断作戦も発生せず、平穏なまま後半の周回コースへ。すると観客が戻った1度目の「ユイの壁」でトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が脱落し、冴えない表情のままレースを棄権してしまった。
周回コースの2周目に入ると、バーレーン・ヴィクトリアスを中心に各チームが位置取りと共にペースアップを行った。慌ただしさを増すメイン集団からは抜け出しを試みる選手も徐々に現れ、「コート・ド・シュラーブ」ではサイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が抜け出した。
カーは単独で逃げグループとの差を詰め、力を使いながら2度目のユイの壁をクリアした先の平坦路で4名となっていた逃げグループをキャッチ。暫しの足休めを経てヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー)を引き連れて先行を開始したものの、その時(残り20km)メイン集団は30秒後ろまで迫っていた。
ツール・ド・フランス元王者ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がダニエル・マルティネス(コロンビア)のためにペースメイクを行い、最後の3連続登坂に突入。「コート・ド・シュラーブ」ではコフィディスが3人体制でアタックしてレミ・ロシャス(フランス、コフィディス)を発射させた。
勢いよく平均8.1%勾配を駆け上がったロシャスだったが、メイン集団から追いかけたセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)とマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)に追い抜かれて撃沈。クラーウアナスンはダウンヒルを飛ばして20秒近いリードを稼いだが、しかししっかりと人数を残し、力を貯めたメイン集団を引き剥がすには至らなかった。
そして迎えた最後の「ユイの壁」。人数を揃えたモビスターやイネオス・グレナディアーズ、クイックステップ・アルファヴィニルなどが争い入り乱れながら先頭を固め、残り1kmアーチ通過とともに激坂区間へと入っていく。クラーウアナスンとファンセヴェナントの試みはここで終了し、エンリク・マス(スペイン、モビスター)が過去5度の優勝回数を誇るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を引き連れて、最も勾配のあるS字コーナーをクリアした。
このモビスターコンビの後ろをディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)がしっかりマークし、残り300mを切って来週月曜日に42歳の誕生日を迎えるバルベルデが先行を開始。すぐさまトゥーンスがもう一段ギアを入れ替えると、大会連覇中の世界王者・ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)とタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)らが脱落を喫した。
猛烈な勢いで駆け上がるトゥーンスからはウラソフも脱落し、唯一食らいついたバルベルデはフィニッシュ直前で横に並んだものの、首を振りながら遅れていく。最後まで強力なリズムを刻み続けたトゥーンスが、かつてユイで覇権を握り続けたバルベルデを下して両手を広げた。
「信じられないよ。僕のファンや妻、家族の目の前で、ユイの壁を制するという夢を叶えることができた。とても特別なものになった。いつもクラシックレースで勝つことを目標に据えてきたが、ついにそれが現実のものになった」と、まさに矢のような速さでユイの壁決戦を制したトゥーンスは言う。これまで2度ツール・ド・フランスのステージ優勝を挙げ、2017年にはツール・ド・ポローニュでワールドツアーのステージレース総合優勝を飾ったトゥーンスだが、クラシックレースでの勝利は初めて。それがフレーシュという大舞台で実現した。
「フラムルージュ(残り1km)をくぐった時は本当に自信があった。まだ脚に力があったし、そこからもう一段加速。勝つには十分だったんだ。すごく調子が良く、それをこのクラシックで発揮できた。大きな自信と共にリエージュに向かうことができるよ」と、価値あるクラシック初優勝を遂げたトゥーンスは話している。
「激坂でプッシュし続けていたので脚ではなく腕に力が残ってなかった。最後の最後まで頑張ったけれどトゥーンスの方が強かった。けれど自分のパフォーマンスには満足しているよ」と振り返るバルベルデが現役最後のフレーシュで2位を獲得した。ちなみにバルベルデのフレーシュ表彰台は2006年から数えて9度目(優勝5回、2位3回、3位1回)。3位には前を行く2人に遅れをとったウラソフがランクインしている。
アルデンヌクラシックの第2戦といえば、おなじみのラ・フレーシュ・ワロンヌ(UCI1.ワールドツアー)。今年はフランス大統領選の影響でパリ〜ルーベとアムステルゴールドレースの順番が入れ替わったが、「ワロン地域を貫く矢」を意味し、今年で86回目を迎えるフレーシュは例年通り水曜日開催を迎えた。
ツール・ド・フランスやリエージュと同じA.S.O.(アモリー・スポルト・オルガニザシオン)が主催し、最大勾配が26%に達する激坂「ユイの壁」ことミュール・ド・ユイ(1,300m/9.6%)頂上フィニッシュが名物の本レース。レース中盤からはこの「壁」とコート・デレッフ(2,100m/5%)、コート・ド・シュラーブ(1,300m/8.1%)という3つの上りを含む29km周回を3周し、3度目のユイ頂上のフィニッシュラインに飛び込む。
1チーム7名、合計25チームがリエージュ県にあるワロン地域の街ブレニーを出発。この日はエスケープがなかなか決まらず、数名が逃げては捕まり、そのカウンターでまた数名が飛び出す...という展開が暫く続いた。最終的にダリル・インピー(南アフリカ、イスラエル・プレミアテック)やブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)、そしてピエール・ロラン(フランス、B&BホテルズKTM)といった10名が飛び出したことで、ようやく落ち着きを取り戻すこととなる。
イネオス・グレナディアーズやUAEチームエミレーツがコントロールするメイン集団は、逃げる10名に3分程度のリードを許して距離を消化していく。晴天のこの日は2019年大会で起きたような横風分断作戦も発生せず、平穏なまま後半の周回コースへ。すると観客が戻った1度目の「ユイの壁」でトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が脱落し、冴えない表情のままレースを棄権してしまった。
周回コースの2周目に入ると、バーレーン・ヴィクトリアスを中心に各チームが位置取りと共にペースアップを行った。慌ただしさを増すメイン集団からは抜け出しを試みる選手も徐々に現れ、「コート・ド・シュラーブ」ではサイモン・カー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が抜け出した。
カーは単独で逃げグループとの差を詰め、力を使いながら2度目のユイの壁をクリアした先の平坦路で4名となっていた逃げグループをキャッチ。暫しの足休めを経てヴァランタン・フェロン(フランス、トタルエネルジー)を引き連れて先行を開始したものの、その時(残り20km)メイン集団は30秒後ろまで迫っていた。
ツール・ド・フランス元王者ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がダニエル・マルティネス(コロンビア)のためにペースメイクを行い、最後の3連続登坂に突入。「コート・ド・シュラーブ」ではコフィディスが3人体制でアタックしてレミ・ロシャス(フランス、コフィディス)を発射させた。
勢いよく平均8.1%勾配を駆け上がったロシャスだったが、メイン集団から追いかけたセーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)とマウリ・ファンセヴェナント(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)に追い抜かれて撃沈。クラーウアナスンはダウンヒルを飛ばして20秒近いリードを稼いだが、しかししっかりと人数を残し、力を貯めたメイン集団を引き剥がすには至らなかった。
そして迎えた最後の「ユイの壁」。人数を揃えたモビスターやイネオス・グレナディアーズ、クイックステップ・アルファヴィニルなどが争い入り乱れながら先頭を固め、残り1kmアーチ通過とともに激坂区間へと入っていく。クラーウアナスンとファンセヴェナントの試みはここで終了し、エンリク・マス(スペイン、モビスター)が過去5度の優勝回数を誇るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)を引き連れて、最も勾配のあるS字コーナーをクリアした。
このモビスターコンビの後ろをディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)がしっかりマークし、残り300mを切って来週月曜日に42歳の誕生日を迎えるバルベルデが先行を開始。すぐさまトゥーンスがもう一段ギアを入れ替えると、大会連覇中の世界王者・ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)とタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)らが脱落を喫した。
猛烈な勢いで駆け上がるトゥーンスからはウラソフも脱落し、唯一食らいついたバルベルデはフィニッシュ直前で横に並んだものの、首を振りながら遅れていく。最後まで強力なリズムを刻み続けたトゥーンスが、かつてユイで覇権を握り続けたバルベルデを下して両手を広げた。
「信じられないよ。僕のファンや妻、家族の目の前で、ユイの壁を制するという夢を叶えることができた。とても特別なものになった。いつもクラシックレースで勝つことを目標に据えてきたが、ついにそれが現実のものになった」と、まさに矢のような速さでユイの壁決戦を制したトゥーンスは言う。これまで2度ツール・ド・フランスのステージ優勝を挙げ、2017年にはツール・ド・ポローニュでワールドツアーのステージレース総合優勝を飾ったトゥーンスだが、クラシックレースでの勝利は初めて。それがフレーシュという大舞台で実現した。
「フラムルージュ(残り1km)をくぐった時は本当に自信があった。まだ脚に力があったし、そこからもう一段加速。勝つには十分だったんだ。すごく調子が良く、それをこのクラシックで発揮できた。大きな自信と共にリエージュに向かうことができるよ」と、価値あるクラシック初優勝を遂げたトゥーンスは話している。
「激坂でプッシュし続けていたので脚ではなく腕に力が残ってなかった。最後の最後まで頑張ったけれどトゥーンスの方が強かった。けれど自分のパフォーマンスには満足しているよ」と振り返るバルベルデが現役最後のフレーシュで2位を獲得した。ちなみにバルベルデのフレーシュ表彰台は2006年から数えて9度目(優勝5回、2位3回、3位1回)。3位には前を行く2人に遅れをとったウラソフがランクインしている。
ラ・フレーシュ・ワロンヌ2022結果
1位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) | 4:42:12 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | +0:02 |
3位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) | +0:05 |
5位 | ダニエル・マルティネス(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:07 |
6位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | |
7位 | ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
8位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | |
9位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | |
10位 | アレクシ・ヴィエルモ(フランス、トタルエネルジー) |
text:So Isobe
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