2022/03/12(土) - 13:07
154kmと距離の短い丘陵ステージでワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)が逃げ切り勝利。タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は終盤でコースを間違えるアクシデントを乗り越え、首位キープに成功している。
アペニン山脈の雪道を抜け、アドリア海を目指すティレーノ〜アドリアティコ5日目 photo:CorVos
ティレーノ〜アドリアティコ2022第5ステージ photo:RCS Sport雪が残るアペニン山脈のセフロからアドリア海沿岸に出て、丘の上の街フェルモにフィニッシュするティレーノ〜アドリアティコ5日目。155kmと短い距離ながらも獲得標高差2,400mに及ぶアップダウンを越え、終盤に急勾配の短い登坂が連続するイタリアらしい丘陵ステージだ。
前日勝者で総合首位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)と9秒差で追うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)の直接対決に注目集まった第5ステージは、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の胃腸炎による棄権と、逃げ切りを狙う選手たちによるアタック合戦で幕開けた。
アタックと吸収を繰り返した末に、逃げ集団を形成したのはネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)やバルギルなど実力者を含む12名。ここに首位と1分8秒遅れので総合11位のバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)が入ったことで、リーダージャージのUAEチームエミレーツがプロトンのコントロールを担った。
メイン集団はUAEチームエミレーツが牽引を担った photo:CorVos
アペニン山脈に別れを告げ、フェルモの街に入ってもローテーションを組む12名は快調に逃げ続ける。すると残り20km地点の最大勾配21%の登坂区間で、クレモン・ルッソ(フランス、アルケア・サムシック)のアシストからバルギルが勢いよく飛び出した。
この動きをトマがブリッジをかけ引き戻すと、メイン集団とのタイム差が1分と逃げ切りがほぼ確定した残り5kmで、再びバルギルがアタック。フェルモの狭く荒れた舗装路の登坂をダンシングでこなしたバルギルが、そのままステージ優勝に輝いた。
フェルモの狭く急勾配の登坂を先頭で登るワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) photo:CorVos
独走でステージ優勝を飾った,ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) photo:CorVos
ワールドツアーでは2017年のツール・ド・フランス第13ステージ以来5年ぶりとなる勝利を掴んだバルギル。「信じられない勝利だ。僕に向いているフィニッシュに続く登りだと思い、計画通り逃げに入った。脚の調子はよく、集団でアタックのタイミングを見計らっていた。今日はまるでワンデーレースかのように全力で踏んだ。このレベルのレースで勝てて本当に嬉しいよ」と、昨年10月で30歳を迎えたバルギルは喜びを表現した。
残り8kmからアタックしたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:Quick-Step Alpha Vinyl
メイン集団ではレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が残り8km地点で仕掛け、リーダージャージを着るポガチャルと総合4位につけるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が反応する。途中、3人がコースを間違うトラブルに見舞われながらも無事に集団復帰を果たし、ポガチャルはバルギルから26秒遅れ、ヴィンゲゴーとエヴェネプールは28秒遅れでフィニッシュした。
レース後にポガチャルは「こういうミスは起こるものだが、そのおかげで先頭を追うことが不可能となった。もしコースを間違えなければ異なる結果になっていたかもしれない。でも明日のクィーンステージをリーダージャージで臨むことができる。その点では良い日だったと言える」とコメント。一方のエヴェネプールは「コースの誘導がおらず、脚の調子が良かっただけに少し残念だよ」と悔しさを口にした。
翌日は故マルコ・パンターニが練習コースとして使っていたカルペーニャ峠は距離6.2km/平均勾配9.6%(最大勾配14%)を2度越えるクィーンステージ。山頂を下ってフィニッシュするレイアウトながら、獲得標高差が3,817mに及ぶコースで山岳決戦が繰り広げられる。
ワールドツアーで5年振りの勝利を挙げたワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) photo:CorVos
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前日勝者で総合首位のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)と9秒差で追うレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)の直接対決に注目集まった第5ステージは、リチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)の胃腸炎による棄権と、逃げ切りを狙う選手たちによるアタック合戦で幕開けた。
アタックと吸収を繰り返した末に、逃げ集団を形成したのはネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)やバルギルなど実力者を含む12名。ここに首位と1分8秒遅れので総合11位のバンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)が入ったことで、リーダージャージのUAEチームエミレーツがプロトンのコントロールを担った。
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アペニン山脈に別れを告げ、フェルモの街に入ってもローテーションを組む12名は快調に逃げ続ける。すると残り20km地点の最大勾配21%の登坂区間で、クレモン・ルッソ(フランス、アルケア・サムシック)のアシストからバルギルが勢いよく飛び出した。
この動きをトマがブリッジをかけ引き戻すと、メイン集団とのタイム差が1分と逃げ切りがほぼ確定した残り5kmで、再びバルギルがアタック。フェルモの狭く荒れた舗装路の登坂をダンシングでこなしたバルギルが、そのままステージ優勝に輝いた。
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ワールドツアーでは2017年のツール・ド・フランス第13ステージ以来5年ぶりとなる勝利を掴んだバルギル。「信じられない勝利だ。僕に向いているフィニッシュに続く登りだと思い、計画通り逃げに入った。脚の調子はよく、集団でアタックのタイミングを見計らっていた。今日はまるでワンデーレースかのように全力で踏んだ。このレベルのレースで勝てて本当に嬉しいよ」と、昨年10月で30歳を迎えたバルギルは喜びを表現した。
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メイン集団ではレムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル)が残り8km地点で仕掛け、リーダージャージを着るポガチャルと総合4位につけるヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)が反応する。途中、3人がコースを間違うトラブルに見舞われながらも無事に集団復帰を果たし、ポガチャルはバルギルから26秒遅れ、ヴィンゲゴーとエヴェネプールは28秒遅れでフィニッシュした。
レース後にポガチャルは「こういうミスは起こるものだが、そのおかげで先頭を追うことが不可能となった。もしコースを間違えなければ異なる結果になっていたかもしれない。でも明日のクィーンステージをリーダージャージで臨むことができる。その点では良い日だったと言える」とコメント。一方のエヴェネプールは「コースの誘導がおらず、脚の調子が良かっただけに少し残念だよ」と悔しさを口にした。
翌日は故マルコ・パンターニが練習コースとして使っていたカルペーニャ峠は距離6.2km/平均勾配9.6%(最大勾配14%)を2度越えるクィーンステージ。山頂を下ってフィニッシュするレイアウトながら、獲得標高差が3,817mに及ぶコースで山岳決戦が繰り広げられる。
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ティレーノ〜アドリアティコ2022第5ステージ結果
1位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | 3:39:53 |
2位 | クサンドロ・ムーリッセ(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | 0:10 |
3位 | シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナカザフスタン) | 0:14 |
4位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) | 0:15 |
5位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:26 |
6位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:28 |
7位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
9位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
10位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) |
個人総合成績
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 18:17:08 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 0:09 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) | 0:43 |
4位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 0:45 |
5位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナカザフスタン) | 1:00 |
6位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | |
7位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 1:02 |
8位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:06 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 1:11 |
10位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:14 |
その他の特別賞
ポイント賞 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
山岳賞 | クイン・シモンズ(アメリカ、トレック・セガフレード) |
ヤングライダー賞 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) |
チーム総合成績 | バーレーン・ヴィクトリアス |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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