前日のプロローグから一夜明けたプロヴァンス第1ステージ。2度に渡って横風分断作戦を決行したイネオス・グレナディアーズのエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)がセップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)らをスプリントで下し勝利した。
イストルを出発点とするプロヴァンス第1ステージ photo:CorVos
フランス国内でも大規模な空軍基地があることから「航空の街」として知られるイストルをスタートし、カトリックの巡礼地サント・マリー・ド・ラ・メールの市街を3周回する151.8km。プロヴァンス第1ステージは序盤に3級山岳以降は障害物のないフラットステージだが、レース前後半で向きの変わる風がレース展開に大きく影響を及ぼした。
序盤からピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)を含む6名が飛び出して集団を形成したものの、この日”逃げとそれを追うプロトン”という構図は意味をなさなかった。スタートから40kmを過ぎ、進路を北西から南西に変えたプロトンの先頭でイネオス・グレナディアーズが動き出す。ルーク・ロウ(イギリス)の号令で前日の勝者フィリッポ・ガンナ(イタリア)が先頭に上がると、トタルエネルジーもローテーションに加わり横風分断を試みる。だがフルクの市街地に入り風が止むと、プロトンは一度落ち着きを取り戻す。
だがこの日ヴィヴィアーニを勝たせたいイネオスは諦めなかった。市街地を抜け、再び吹きさらしの道に入った先頭をガンナやTTスペシャリストのトビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、グルパマ・エフデジ)が協力してスピードを上げる。急激なペースアップに慌てた集団中央で落車が発生。これによりメイン集団は2つに分裂し、約20名の先鋭グループが生まれた。
逃げ集団を形成したピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)たち6人 photo:CorVos
風向きが変わるやいなや波状攻撃を仕掛けたイネオス・グレナディアーズ photo:CorVos
ローテーションを組み追走する第2集団のアスタナカザクスタンやチームDSM photo:CorVos
イネオスの思惑通りこの集団の残れたスプリンターはヴィヴィアーニのみ。ライバルのアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)は後方集団に取り残された。総合勢ではリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)などが入った一方、プロローグで2位のイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や前回大会覇者のイバン・ソーサ(コロンビア、モビスター)が遅れた。
ロランたちの逃げを吸収しながら進む先行集団を、グルパマ・エフデジが中心となり追走する。だがタイム差は縮まるどころか徐々に拡大し、フィニッシュ地点にたどり着く頃にその差は9分まで広がっていた。
23名による先頭集団から、残り8kmを過ぎマチェイ・ボドナル(ポーランド、トタルエネルジー)が協調体制を崩すアタック。それをリーダージャージのガンナがブリッジをかけて引き戻し、マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)のカウンターアタックもガンナが封じ込めた。終盤の急激なスピードの上下にカラパスが残り1kmで遅れ、構わず進むイネオスはロウのリードアウトからヴィヴィアーニが発射。ピュアスプリンターのスプリントに追随できるライバルはおらず、ヴィヴィアーニが古巣への復帰後初勝利を飾った。
余裕のスプリント勝利を挙げたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
チームの勝利を喜ぶルーク・ロウ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)とリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
「クラシックレースの経験豊富なルーク・ロウらのおかげで上手く横風分断させることができた。先頭集団には幸いスプリンターがおらず、それが逆にプレッシャーとなったがチームによる素晴らしい働きで僕を勝利に導いてくれた。チームに戻ってくることができて嬉しいし、シーズン序盤での勝利は重要だ」。イネオス(当時チームスカイ)に5年振りの勝利をもたらしたヴィヴィアーニは語った。
総合はこの日獅子奮迅の働きを見せたガンナがキープし、6位から2位にジャンプアップしたアラフィリップが4秒差でつける。一方で11分25秒遅れでフィニッシュしたソーサとヘイターは総合争いから脱落している。

フランス国内でも大規模な空軍基地があることから「航空の街」として知られるイストルをスタートし、カトリックの巡礼地サント・マリー・ド・ラ・メールの市街を3周回する151.8km。プロヴァンス第1ステージは序盤に3級山岳以降は障害物のないフラットステージだが、レース前後半で向きの変わる風がレース展開に大きく影響を及ぼした。
序盤からピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)を含む6名が飛び出して集団を形成したものの、この日”逃げとそれを追うプロトン”という構図は意味をなさなかった。スタートから40kmを過ぎ、進路を北西から南西に変えたプロトンの先頭でイネオス・グレナディアーズが動き出す。ルーク・ロウ(イギリス)の号令で前日の勝者フィリッポ・ガンナ(イタリア)が先頭に上がると、トタルエネルジーもローテーションに加わり横風分断を試みる。だがフルクの市街地に入り風が止むと、プロトンは一度落ち着きを取り戻す。
だがこの日ヴィヴィアーニを勝たせたいイネオスは諦めなかった。市街地を抜け、再び吹きさらしの道に入った先頭をガンナやTTスペシャリストのトビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、グルパマ・エフデジ)が協力してスピードを上げる。急激なペースアップに慌てた集団中央で落車が発生。これによりメイン集団は2つに分裂し、約20名の先鋭グループが生まれた。



イネオスの思惑通りこの集団の残れたスプリンターはヴィヴィアーニのみ。ライバルのアルノー・デマール(フランス、グルパマ・エフデジ)は後方集団に取り残された。総合勢ではリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル)、ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)などが入った一方、プロローグで2位のイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や前回大会覇者のイバン・ソーサ(コロンビア、モビスター)が遅れた。
ロランたちの逃げを吸収しながら進む先行集団を、グルパマ・エフデジが中心となり追走する。だがタイム差は縮まるどころか徐々に拡大し、フィニッシュ地点にたどり着く頃にその差は9分まで広がっていた。
23名による先頭集団から、残り8kmを過ぎマチェイ・ボドナル(ポーランド、トタルエネルジー)が協調体制を崩すアタック。それをリーダージャージのガンナがブリッジをかけて引き戻し、マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード)のカウンターアタックもガンナが封じ込めた。終盤の急激なスピードの上下にカラパスが残り1kmで遅れ、構わず進むイネオスはロウのリードアウトからヴィヴィアーニが発射。ピュアスプリンターのスプリントに追随できるライバルはおらず、ヴィヴィアーニが古巣への復帰後初勝利を飾った。


「クラシックレースの経験豊富なルーク・ロウらのおかげで上手く横風分断させることができた。先頭集団には幸いスプリンターがおらず、それが逆にプレッシャーとなったがチームによる素晴らしい働きで僕を勝利に導いてくれた。チームに戻ってくることができて嬉しいし、シーズン序盤での勝利は重要だ」。イネオス(当時チームスカイ)に5年振りの勝利をもたらしたヴィヴィアーニは語った。
総合はこの日獅子奮迅の働きを見せたガンナがキープし、6位から2位にジャンプアップしたアラフィリップが4秒差でつける。一方で11分25秒遅れでフィニッシュしたソーサとヘイターは総合争いから脱落している。
ツール・ド・ラ・プロヴァンス2022第1ステージ結果
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 3:17:58 |
2位 | セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) | |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
4位 | マーティン・トゥスフェルト(オランダ、チームDSM) | |
5位 | サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザクスタン) | |
6位 | セドリック・ブーレンス(ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
8位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) | |
9位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) | |
10位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) |
個人総合成績
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 3:26:05 |
2位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) | 0:04 |
3位 | ピエール・ラトゥール(フランス、トタルエネルジー) | 0:10 |
4位 | サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザクスタン) | 0:12 |
5位 | イラン・ファンウィルデル(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | 0:17 |
6位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、トレック・セガフレード) | 0:21 |
7位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター) | |
8位 | ルイス・フェルファーク(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) | |
9位 | セップ・ファンマルク(ベルギー、イスラエル・プレミアテック) | 0:22 |
10位 | マキシム・ブエ(フランス、アルケア・サムシック) | 0:23 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップ・アルファヴィニル) |
山岳賞 | トム・マグノー(フランス、ゴースポー・ルーベ・リ・メトロポール) |
ヤングライダー賞 | サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナカザクスタン) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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