平均47km/h超の最後にディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)が区間2勝目。マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)がキャリア初の総合優勝を掴んだ。



出走サインを済ませたマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)出走サインを済ませたマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:CorVosスタートを待つディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)スタートを待つディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos

アルウラ郊外の岩山地帯を進むアルウラ郊外の岩山地帯を進む photo:CorVos
5日間に渡り続いたサウジツアー(UCI2.1)もいよいよ最終日。大会最後の舞台は観光誘致政策を推し進めるサウジアラビアにとって重要なアルウラ旧市街遺跡を発着する138.9kmで、風が弱まったこの日のフィニッシュ予想は100%集団スプリント。

1勝づつ挙げているディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)やカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)、そしてリーダージャージを着るマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)たちが砂漠を駆ける平坦コースに駆け出した。

逃げるマルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)たち逃げるマルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)たち photo:A.S.O.
メイン集団をコントロールするトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)メイン集団をコントロールするトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) photo:A.S.O.
この日はクイックステップ・アルファヴィニルが逃げにヤニック・シュタイムレ(ドイツ)を送り込み、敢闘賞ランキング首位を確定させるべくマルティン・ウーリエンスタッド(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)もジョイン。合計4名が先行し、対するメイン集団はトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)や、スプリンターチームのアシスト勢がコントロール。最終的に138.9kmの平均スピードが47.307km/hに達するスピーディーな展開の中、残り20kmを切るとシュタイムレが独走に持ち込んだ。

シュタイムレは暫く45秒リードを維持していたが「ステージ優勝を目指して全力を尽くしたけれど、フィニッシュまでもたずに脚が売り切れてしまった」と残り10km地点のボーナススプリント地点で飲み込まれる。クイックステップは続いてティム・デクレルク(ベルギー)を発進させたものの、バーレーン・ヴィクトリアスの牽引によって時間を要さず引き戻されている。

スプリンターチームがハイスピード牽引を続ける中、ステージ2勝目を狙っていたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)は不運なパンクで脱落。各エーススプリンターがアシスト1人ずつを残すイコールコンディションの中、ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)が真っ先に加速した。

区間2勝目を挙げたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)区間2勝目を挙げたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) photo:CorVos
キャリア最大の勝利を射止めたマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)キャリア最大の勝利を射止めたマキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:A.S.O.
しかしファンポッペルの後ろでタイミングを待ち、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)を加速させない絶妙なライン取りでフルーネウェーヘンが発進。登り勾配の最終区間を踏み抜いたダッチスプリンターが、アルウラ旧市街遺跡前で今年チームのスポンサーに就いたアルウラ観光協会に報いるステージ2勝目を挙げた。

スプリント3戦中2勝し、ポイント賞ランキングでも逆転。「初日こそ良くなかったけれど、僕たちはすぐに修正できたし、これからのレースが楽しみでならない。チームメイト、そしてチーム全体に大きな感謝を贈りたい」と、新天地加入以降すぐさま結果を出したフルーネウェーヘンは加えている。

サウジツアー総合表彰台:2位ブイトラゴ、1位ファンヒルス、3位コスタサウジツアー総合表彰台:2位ブイトラゴ、1位ファンヒルス、3位コスタ photo:A.S.O.
また、集団内で危なげなくフィニッシュしたファンヒルスが、プロ転校後自身初となるステージレース総合優勝を達成した。「昨日プロ初勝利を挙げ、今日はリーダージャージを確定させた。すごく特別な気分だ。かなり力を使う高速レースでデヘントは素晴らしい働きで逃げとの差をコントロール。チームメイトなしでは不可能な勝利だった。これから休養して次のレースに向かいたい」と話すファンヒルス。横風対応能力と登坂力、独走力を見せつけた22歳は今後スペインに向かい、クラシカ・フアン・パライソとルタ・デルソルを連戦する予定だ。

サウジツアー2022第5ステージ結果
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 2:56:10
2位 ダニエル・マクレー(イギリス、アルケア・サムシック)
3位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)
4位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
5位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、トタルエネルジー)
7位 ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル)
8位 ジェレミー・ルクロック(フランス、B&Bホテルズ・KTM)
9位 アーランド・ブリクラ(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
10位 アルベルト・ダイネーゼ(イタリア、チームDSM)
個人総合成績
1位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル) 20:05:48
2位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:36
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:48
4位 ティム・デクレルク(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) +0:52
5位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) +0:57
6位 ダニエル・オス(イタリア、トタルエネルジー) +0:57
7位 アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム) +1:29
8位 アレクサンドル・ジェニエス(フランス、トタルエネルジー) +1:36
9位 ベンジャミン・デクレルク(ベルギー、アルケア・サムシック) +1:45
10位 アレクシ・ルナール(フランス、コフィディス) +1:45
その他特別賞
ポイント賞 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
ヤングライダー賞 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)
チーム総合成績 クイックステップ・アルファヴィニル
text:So Isobe
photo:CorVos