最終盤の10%超勾配で飛び出したサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が、アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)を下しサウジ2日目に勝利。果敢な攻撃でキャリア初勝利を掴み取った。



前日落車の傷が目立つアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)前日落車の傷が目立つアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) photo:CorVos和やかにスタートを待つ選手たち和やかにスタートを待つ選手たち photo:CorVos


サウジツアー2022第2ステージ コースプロフィールサウジツアー2022第2ステージ コースプロフィール (c)A.S.O.温暖なシーズンインレースを求めるトップ選手が集結したサウジツアー(UCI2.1)は2日目。2003年に設立されたタイバ大学からアブーラカを目指す163.9kmコースは山間をほぼ一直線に進み、穏やかに標高を上げ続けるレイアウト。レース後半から標高1,000m超えの高地を走り、最後は1.6kmにわたって7.7%勾配が続くパンチャー向けコースだ。

今後観光客の受け入れを目指すサウジアラビアにとって、古くからアラビア半島の交通の要衝として栄えたエリアをPRする重要な一日。総合成績にも関わるこの第2ステージは、昨日と全く同じ3チーム(ウノエックス、トレンガヌ、クウェート)が1人ずつ乗せた逃げグループが先行した。

荒涼とした砂岩地帯を駆け抜ける荒涼とした砂岩地帯を駆け抜ける photo:CorVos
ステージ2連勝を目指すリーダージャージのカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)ステージ2連勝を目指すリーダージャージのカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:CorVos
点在するオアシスを繋ぎながら荒涼とした岩山地帯を駆け巡る。4分前後で推移していた先頭3人のリードは総合リーダーのカレブ・ユアン(オーストラリア)擁するロット・スーダルらペースメイクによって残り15kmを切ってゼロになった。クイックステップ・アルファヴィニルやウノエックスといったチームが幹線道路の横幅いっぱいに広がって主導権争いを繰り広げた。

お隣UAEツアー名物のハッタダムにも似たコースレイアウトであり、その激坂スプリントを過去2度制しているユアンや、総合成績を狙う軽量パンチャー/オールラウンダー勢も積極的に隊列前方を維持していく。残り1.5kmを切って勾配が10%を超えると、先陣を切ってサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)が勢いよくアタックした。

「スプリントでは分が悪いので先に仕掛ける必要があった」と言うブイトラゴを、ペテル・サガン(スロバキア)と共にフランスチームに移籍したダニエル・オス(イタリア、トタルエネルジー)がフォローするも、やがて失速。ユアンのために押さえ目ペースで登坂をよじ登る集団からはアンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル)が一人抜け出してブイトラゴに追いついた。

イタリアとコロンビアの次代を担う、共に1999年生まれの2人が先行する。ユアンは他スプリンターが軒並み脱落する中我慢の走りで急勾配区間を耐え抜いたものの、逃げる二人はリーダージャージのずっと先で勝負を始める。残り300mを切ってからロングスプリントを開始したブイトラゴが、前日の落車ダメージを残すバジオーリを寄せ付けずフィニッシュラインに飛び込んだ。

登坂後のスプリントでバジオーリを下したサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)登坂後のスプリントでバジオーリを下したサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
キャリア初勝利を喜ぶサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)キャリア初勝利を喜ぶサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
イタリアのアマチュアチーム在籍時の2019年、登竜門レースと知られるヴァッレ・ダオスタで総合6位に(優勝はマウリ・ファンセヴェナント)入り、2020年にバーレーン加入したブイトラゴにとって、今回が記念すべきプロ初勝利。過酷な山岳ステージでの強さを年々増している22歳がその才能を勝利に結びつけた。

「本当に今日勝つことができて嬉しいよ。僕にとっての初勝利がチームの今季初勝利になった。僕のことを信じてくれたチームに感謝したい。これがもちろん最後の勝利というわけじゃない。今後も選手として成長していきたい」と、7秒遅れたユアンに代わり、総合リーダーの座についたブイトラゴは話している。

サウジツアー2022第2ステージ結果
1位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) 3:43:51
2位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、クイックステップ・アルファヴィニル) +0:01
3位 アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム) +0:07
4位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル)
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
6位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
7位 アクセル・ザングル(フランス、コフィディス) +0:11
8位 ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
9位 シリル・バルト(フランス、B&Bホテルズ・KTM)
10位 ベンジャミン・デクレルク(ベルギー、アルケア・サムシック)
個人総合成績
1位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) 8:25:33
2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) +0:07
3位 アントン・チャーマ(デンマーク、ウノエックス・プロサイクリングチーム) +0:13
4位 マキシム・ファンヒルス(ベルギー、ロット・スーダル) +0:17
5位 ティム・デクレルク(ベルギー、クイックステップ・アルファヴィニル) +0:20
6位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) +0:21
7位 シリル・バルト(フランス、B&Bホテルズ・KTM)
8位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、コフィディス)
10位 ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
その他特別賞
ポイント賞 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
ヤングライダー賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
チーム総合成績 コフィディス
text:So Isobe
photo:CorVos