2021/11/29(月) - 18:52
石川県の能登ゴルフ倶楽部に常設されたシクロクロス専用コースでJCX公式戦「フカヤDeLaTRAILプレゼンツ弱虫ペダルカップ」が11月27・28日の2日間に渡って開催。弱虫ペダル作者の渡辺航先生も参加し、グリーンやバンカー、28%の激坂などユニークで本格的なコースでのCXレースを楽しんだ。
会場は金沢から北に60km、能登半島の中ほどの羽咋郡志賀町にある能登ゴルフ倶楽部。人気ゴルフ場の一部を利用した常設のシクロクロスコースが設置されたことが大きな話題だ。普段から走れる2.7kmの専用コースは弱虫ペダルサイクリングチームと三船雅彦氏らの監修により、UCIの規格を参考に造られた。
ゴルフ場独特の起伏に富んだ地形の芝のグリーン上にコースが設定。地形のくぼみや傾斜を利用して、バンカーやカート道を織り交ぜてのシクロクロスに適したコースが引かれた。「常設」の言葉通り、普段から一般サイクリストが誰でもここでシクロクロスを楽しむことができるのだ。
将来的にワールドカップなど国際大会の誘致も視野にあるという、競技人口拡大と普及を目指した一大プロジェクトとして誕生したばかりのCXコースでさっそくJCX公式戦が初開催。コースの生い立ちやこの先の展開については記事下部でお伝えするとして、エンデューロレースや渡辺先生と一緒に走るライド含めて盛り上がった2日間の模様をお伝えしよう。
注目はCX日本チャンピオンにして1週間前にマウンテンバイク全日本選手権を制し、MTBのXCO&XCCのタイトルホルダーとなった沢田時(チームブリヂストンサイクリング)と、ホストチームとして意気込む弱虫ペダルサイクリングチームの織田聖の、シクロクロス全日本選手権の2週間前のライバル対決。2017年のCX日本チャンピオン小坂光(宇都宮ブリッツェン)も顔を揃え、前哨戦としても要注目のレースになった。
前日の大会1日目まで雨続きだったことで芝は水を含み、走行感は重い。傾斜地のキャンバーは滑りやすく、かつエリート男子には28%の直登の激坂が用意された。
初めてのゴルフ場の芝コースに飛び出していく選手たち。文字通り「ホールショット」を決めた沢田時を先頭にバンカーを乗車のまま越えて斜面に飛び出していく。序盤から沢田と織田と関西クロスで赤丸急上昇の注目のルーキー副島達海(Limited Team 846)の3名のパックが先行し、6分台のハイペースでレースは進んだ。
4周目に副島が遅れると、以降は沢田と織田の一騎打ち状態に。お互い得意なセクションでアタックをかけあう展開が続くが大きな差は生まれず、2人のままラスト周回へ。
沢田が苦手とするシケインをバニーホップで飛び越えた織田がアタックして先行、しかしアップダウンのヘアピンコーナーで織田がスリップして落車、コーステープに絡んでしまう。復帰に手間取る隙に沢田が先行し、そのまま独走で勝利した。今シーズンのJCXシリーズ戦での沢田と織田の勝負は2勝2敗同士の引き分け状態。
沢田は言う。「トラブルは僕にも。アタックして抜け出したところでバンカーで受けた衝撃でハンドルが下がってしまった。バイク交換を迷ったけど、ピットに入れば負けると思ったのでそのまま走りました。最後まで決まらないだろうこと、スプリントに持ち込むには最終コーナーがタイトすぎるのでリスクが有るから、最終周回の位置取り勝負だろうと思っていました。聖が最後のシケインで仕掛けてくるのは分っていました。バニーホップで先行されて、追いついたタイミングで聖が転んだ。追いついたらどこかの登り返しで仕掛けようと考えていたんです。今日勝ったからって互角で、全日本がいい勝負になることが分っただけ。嬉しいし、楽しみ。2021年に欲しい勝利はあとひとつです」。
悔しさが残る織田。「差をつけようと全開で攻めていたところでスリップ。行かれてしまった。前に出て踏み倒すと決めていたし、それができていた。これで次が楽しみになりました」と、こちらも今の実力が互角であることを再確認した様子だ。
2人に離されながらも耐えて3位の副島は「やはり時さん、織田さんは圧倒的に速くて...。少ない時間でしたが、一緒に走れたことが最高に楽しかったです。もっと着いて行けるように頑張ります」と話した。
女子エリートのホールショットは中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)。しかしその後、渡部春雅(明治大学)と福田咲絵(AX cyclocross team)の2人がパックを形成。それに中島と望月美和子(ORCA CYCLING TEAM)が追う展開に。
それぞれの2人パックが争うなか、先頭争いから渡部が遅れる気配を見せると、福田がさらにペースアップして独走に持ち込み、先週のUCI琵琶湖グランプリに続いて勝利。JCX戦の連覇となった。福田は慶應義塾大学時代にインカレチャンピオンになっており、社会人になってブランクをおいての趣味としての競技復帰で調子を上げ続けている。
福田は言う。「今日はホントに楽しく走れました。パックでの競り合いもできた。渡部選手が少し離れたのが見えたので、その周は思いきり掛けてラップも30秒ほど縮めて離しました。琵琶湖グランプリのときは一定ペースで走ったけど、今日はペースの上げ下げができた。 最近はどんなコースを走っても楽しいと思えるようになってきたので、テクニックも向上しているんだと思います。2週間後の全日本もがんばります」と、全日本CX制覇も視野に入ってきた様子だ。
アタックした周に6分台に入った福田のペースは驚異的だったが、渡部は先週のMTB全日本選手権からの連戦。その疲れが溜まっているようにも見えたが、「自分ではそんなに調子を落としている感じはありません」と否定した。
中島と望月の3位争いは最後まで決着がつかず、ラスト100mのぬかるみの上での激しいスプリントで中島が先着。表彰台をゲットするも「弱虫ペダルカップだったので勝ちたかった」と話した。
数多いカテゴリーレース中もっともレベルが高く熱かったのはマスターズレースかもしれない。M1ではコース監修者であり設計者の三船雅彦(MasahikoMifune.com cycling Team)が堂々の圧勝。2位には前日のエンデューロに参加してレースバイクを壊し、東京サンエスの試乗バイクを借りて走った田崎友康(ToyoFrame)が2位に。
女子マスターズは唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が他を圧倒するスピードで制し、前週のMTBマスターズ全日本選手権に続く連覇。この2人もまた2週間後のシクロクロス全日本選手権の年代別マスターズレースに向けて順調に調子を上げていることを証明した。
2日間のレースではJCXレース以外にも初心者でも楽しめる企画やフードコート、メーカーブースも展開され、家族連れや仲間たちでも楽しめるサイクルイベントとなった。
弱虫ペダル原作者、渡辺 航先生とコースをゆっくりクルージングする「渡辺先生と走ろう!記念撮影会」は、子供や初心者と一緒に渡辺先生も走りながら交流するライド。渡辺先生は初日エンデューロ、2日はC4でレースに参加。講習会にも参加し、走りづくめ、ファンとの交流会、夜のレセプションにと休む間もなくファンサービスにつとめた2日間だった。
初日は三船雅彦さんによるジュニアスクールと、すぐに役立つ実践コース攻略スクールの2つのメニューが用意され、目から鱗のレッスンが参加者たちに大好評だった。
「フカヤDeLaTRAILプレゼンツ」の冠どおり、フカヤブースではオフロードバイク用途の新製品オイル「DeLaTRAIL(デラトレイル)の施工やデモも開催。実際に施工を受けて走った参加者は(筆者も)「軽かった」と驚きの感想を話してくれた。
大会アンバサダーをつとめた一青妙(ひとと・たえ)さんは講習会でシクロクロスの乗り方を学んで「来年はレースに出たい」と大興奮。そして砂田弓弦さんがオフィシャルフォトグラファーをつとめ、参加者たちの勇姿を撮影。その写真は無料でダウンロードできるという粋なはからいも。
そして誰よりもカテゴリーレースやエンデューロを盛り上げたのは北陸で待望のシクロクロス大会に参加した一般エントラントたち。コロナ禍でイベントができなかった期間を経て、かつシクロクロスレース自体がまだ数少ない北陸で、華やかな弱虫ペダルの冠大会が開催されたことを喜ぶ声が多く聞かれた。
石田さん「ここはもともと27ホールのゴルフ場でしたが、ゴルフ機材の進化で飛距離が伸びるなど、現代の規格にあわなくなった部分を見直して18ホールに切り替えたんです。2年前に「使わなくなった9ホールを活用する形でシクロクロスの常設コースに」という話が出たんです。
滋賀県のゴルフ場で昨年開催されたシクロクロスも参考に、弱虫ペダルサイクリングチームの佐藤成彦GM、成田さん(後述)、そして三船雅彦さんにコース監修をいただき、常設コースができあがりました。激坂区間のみ普段は危険防止の観点からクローズしていますが、その他は今回のレースコースとほぼ同じ。普段は杭にロープが張られているのを今回レースに合わせてコーステープに張り替えて使っています」。
能登ゴルフ倶楽部が舞台になったシクロクロスは昨年12月のプレ大会、そして北陸で6店舗を展開するサイクルショップ「バルバワークス」がクラブイベントとして開催したミニイベントの前例がある。
弱虫ペダルカップのオルガナイザーをつとめた成田加津利さん(Katsuri'sサイクル/石川・内灘町)は、唐見実世子選手がアテネ五輪に出場した当時のパーソナルコーチもつとめ、現在はチームユーラシアのスタッフとして活動するなど、日本の自転車競技界を支えてきた人物で、サイクリングイベント「ツール・ド・能登400」の主催スタッフでもある。そのコネクションを生かして協力者やスポンサーを集め、開催にこぎつけた。
成田さん「北陸にはまだシクロクロスの文化が根づいていないんですよ。愛好者数は増えているけど、関西や関東のCX人口に遠く及ばない。もし願いが叶うなら年間3戦、富山・石川・福井で1戦づつ受け持っての北陸シクロクロスシリーズを開催できるような流れをつくりたいという思いでやっています。ここ能登ゴルフ倶楽部はレースを開催したくなったらいつでもできる常設コースという利点がある。地元石川県だけで私物化する意識はなく、あらゆる大会の開催を歓迎したいんです」。
今回は関西、長野、東海などの各地のシクロクロス大会の関係者が応援に駆けつけ、運営に協力していた。
「シクロクロス文化が無い=レースをつくる人、スタッフが居ないということもあるので、それを学んで地元だけでもできるよう、人も育っていかなくてはいけないんです。初回は学ぶことばかりでした」と成田さん。「これからは能登ゴルフ倶楽部が経営するこの施設を継続させなきゃいけないという責任もできます。北陸にシクロクロス文化、自転車文化が育つように願うばかりです」。
会場は金沢から北に60km、能登半島の中ほどの羽咋郡志賀町にある能登ゴルフ倶楽部。人気ゴルフ場の一部を利用した常設のシクロクロスコースが設置されたことが大きな話題だ。普段から走れる2.7kmの専用コースは弱虫ペダルサイクリングチームと三船雅彦氏らの監修により、UCIの規格を参考に造られた。
ゴルフ場独特の起伏に富んだ地形の芝のグリーン上にコースが設定。地形のくぼみや傾斜を利用して、バンカーやカート道を織り交ぜてのシクロクロスに適したコースが引かれた。「常設」の言葉通り、普段から一般サイクリストが誰でもここでシクロクロスを楽しむことができるのだ。
将来的にワールドカップなど国際大会の誘致も視野にあるという、競技人口拡大と普及を目指した一大プロジェクトとして誕生したばかりのCXコースでさっそくJCX公式戦が初開催。コースの生い立ちやこの先の展開については記事下部でお伝えするとして、エンデューロレースや渡辺先生と一緒に走るライド含めて盛り上がった2日間の模様をお伝えしよう。
男子エリートは沢田時が織田聖とのマッチレースを制する
初開催の第1大会にしてJCXシリーズに組み込まれた能登シクロクロスの2日目。関西&茨城など日本各地でCXレースが開催される週末にあたってなお、C1エリート男子には42人の選手がエントリー。注目はCX日本チャンピオンにして1週間前にマウンテンバイク全日本選手権を制し、MTBのXCO&XCCのタイトルホルダーとなった沢田時(チームブリヂストンサイクリング)と、ホストチームとして意気込む弱虫ペダルサイクリングチームの織田聖の、シクロクロス全日本選手権の2週間前のライバル対決。2017年のCX日本チャンピオン小坂光(宇都宮ブリッツェン)も顔を揃え、前哨戦としても要注目のレースになった。
前日の大会1日目まで雨続きだったことで芝は水を含み、走行感は重い。傾斜地のキャンバーは滑りやすく、かつエリート男子には28%の直登の激坂が用意された。
初めてのゴルフ場の芝コースに飛び出していく選手たち。文字通り「ホールショット」を決めた沢田時を先頭にバンカーを乗車のまま越えて斜面に飛び出していく。序盤から沢田と織田と関西クロスで赤丸急上昇の注目のルーキー副島達海(Limited Team 846)の3名のパックが先行し、6分台のハイペースでレースは進んだ。
4周目に副島が遅れると、以降は沢田と織田の一騎打ち状態に。お互い得意なセクションでアタックをかけあう展開が続くが大きな差は生まれず、2人のままラスト周回へ。
沢田が苦手とするシケインをバニーホップで飛び越えた織田がアタックして先行、しかしアップダウンのヘアピンコーナーで織田がスリップして落車、コーステープに絡んでしまう。復帰に手間取る隙に沢田が先行し、そのまま独走で勝利した。今シーズンのJCXシリーズ戦での沢田と織田の勝負は2勝2敗同士の引き分け状態。
沢田は言う。「トラブルは僕にも。アタックして抜け出したところでバンカーで受けた衝撃でハンドルが下がってしまった。バイク交換を迷ったけど、ピットに入れば負けると思ったのでそのまま走りました。最後まで決まらないだろうこと、スプリントに持ち込むには最終コーナーがタイトすぎるのでリスクが有るから、最終周回の位置取り勝負だろうと思っていました。聖が最後のシケインで仕掛けてくるのは分っていました。バニーホップで先行されて、追いついたタイミングで聖が転んだ。追いついたらどこかの登り返しで仕掛けようと考えていたんです。今日勝ったからって互角で、全日本がいい勝負になることが分っただけ。嬉しいし、楽しみ。2021年に欲しい勝利はあとひとつです」。
悔しさが残る織田。「差をつけようと全開で攻めていたところでスリップ。行かれてしまった。前に出て踏み倒すと決めていたし、それができていた。これで次が楽しみになりました」と、こちらも今の実力が互角であることを再確認した様子だ。
2人に離されながらも耐えて3位の副島は「やはり時さん、織田さんは圧倒的に速くて...。少ない時間でしたが、一緒に走れたことが最高に楽しかったです。もっと着いて行けるように頑張ります」と話した。
エリート女子は福田咲絵がUCI琵琶湖グランプリからの連覇
女子エリートのホールショットは中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム)。しかしその後、渡部春雅(明治大学)と福田咲絵(AX cyclocross team)の2人がパックを形成。それに中島と望月美和子(ORCA CYCLING TEAM)が追う展開に。
それぞれの2人パックが争うなか、先頭争いから渡部が遅れる気配を見せると、福田がさらにペースアップして独走に持ち込み、先週のUCI琵琶湖グランプリに続いて勝利。JCX戦の連覇となった。福田は慶應義塾大学時代にインカレチャンピオンになっており、社会人になってブランクをおいての趣味としての競技復帰で調子を上げ続けている。
福田は言う。「今日はホントに楽しく走れました。パックでの競り合いもできた。渡部選手が少し離れたのが見えたので、その周は思いきり掛けてラップも30秒ほど縮めて離しました。琵琶湖グランプリのときは一定ペースで走ったけど、今日はペースの上げ下げができた。 最近はどんなコースを走っても楽しいと思えるようになってきたので、テクニックも向上しているんだと思います。2週間後の全日本もがんばります」と、全日本CX制覇も視野に入ってきた様子だ。
アタックした周に6分台に入った福田のペースは驚異的だったが、渡部は先週のMTB全日本選手権からの連戦。その疲れが溜まっているようにも見えたが、「自分ではそんなに調子を落としている感じはありません」と否定した。
中島と望月の3位争いは最後まで決着がつかず、ラスト100mのぬかるみの上での激しいスプリントで中島が先着。表彰台をゲットするも「弱虫ペダルカップだったので勝ちたかった」と話した。
各カテゴリーレースも白熱
数多いカテゴリーレース中もっともレベルが高く熱かったのはマスターズレースかもしれない。M1ではコース監修者であり設計者の三船雅彦(MasahikoMifune.com cycling Team)が堂々の圧勝。2位には前日のエンデューロに参加してレースバイクを壊し、東京サンエスの試乗バイクを借りて走った田崎友康(ToyoFrame)が2位に。
女子マスターズは唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が他を圧倒するスピードで制し、前週のMTBマスターズ全日本選手権に続く連覇。この2人もまた2週間後のシクロクロス全日本選手権の年代別マスターズレースに向けて順調に調子を上げていることを証明した。
レースにエンデューロ、弱虫ペダルライドに講習会にと盛り上がった2日間
2日間のレースではJCXレース以外にも初心者でも楽しめる企画やフードコート、メーカーブースも展開され、家族連れや仲間たちでも楽しめるサイクルイベントとなった。
弱虫ペダル原作者、渡辺 航先生とコースをゆっくりクルージングする「渡辺先生と走ろう!記念撮影会」は、子供や初心者と一緒に渡辺先生も走りながら交流するライド。渡辺先生は初日エンデューロ、2日はC4でレースに参加。講習会にも参加し、走りづくめ、ファンとの交流会、夜のレセプションにと休む間もなくファンサービスにつとめた2日間だった。
初日は三船雅彦さんによるジュニアスクールと、すぐに役立つ実践コース攻略スクールの2つのメニューが用意され、目から鱗のレッスンが参加者たちに大好評だった。
「フカヤDeLaTRAILプレゼンツ」の冠どおり、フカヤブースではオフロードバイク用途の新製品オイル「DeLaTRAIL(デラトレイル)の施工やデモも開催。実際に施工を受けて走った参加者は(筆者も)「軽かった」と驚きの感想を話してくれた。
大会アンバサダーをつとめた一青妙(ひとと・たえ)さんは講習会でシクロクロスの乗り方を学んで「来年はレースに出たい」と大興奮。そして砂田弓弦さんがオフィシャルフォトグラファーをつとめ、参加者たちの勇姿を撮影。その写真は無料でダウンロードできるという粋なはからいも。
そして誰よりもカテゴリーレースやエンデューロを盛り上げたのは北陸で待望のシクロクロス大会に参加した一般エントラントたち。コロナ禍でイベントができなかった期間を経て、かつシクロクロスレース自体がまだ数少ない北陸で、華やかな弱虫ペダルの冠大会が開催されたことを喜ぶ声が多く聞かれた。
「ゴルフ場に常設シクロクロスコースができたワケ」
今回レースで使われたコースとほぼ同じコースが、常設シクロクロスコースとして普段から一般開放されている。運営は能登ゴルフ倶楽部(ダイワロイヤルゴルフ株式会社)。使用料は1人1日2,000円で、クラブハウスでのロッカー使用料と入浴料も含まれる。コースの生い立ちを、能登ゴルフ倶楽部の副支配人・石田聡さんが説明してくれた。石田さん自身、熱心なサイクリストだ。石田さん「ここはもともと27ホールのゴルフ場でしたが、ゴルフ機材の進化で飛距離が伸びるなど、現代の規格にあわなくなった部分を見直して18ホールに切り替えたんです。2年前に「使わなくなった9ホールを活用する形でシクロクロスの常設コースに」という話が出たんです。
滋賀県のゴルフ場で昨年開催されたシクロクロスも参考に、弱虫ペダルサイクリングチームの佐藤成彦GM、成田さん(後述)、そして三船雅彦さんにコース監修をいただき、常設コースができあがりました。激坂区間のみ普段は危険防止の観点からクローズしていますが、その他は今回のレースコースとほぼ同じ。普段は杭にロープが張られているのを今回レースに合わせてコーステープに張り替えて使っています」。
能登ゴルフ倶楽部が舞台になったシクロクロスは昨年12月のプレ大会、そして北陸で6店舗を展開するサイクルショップ「バルバワークス」がクラブイベントとして開催したミニイベントの前例がある。
弱虫ペダルカップのオルガナイザーをつとめた成田加津利さん(Katsuri'sサイクル/石川・内灘町)は、唐見実世子選手がアテネ五輪に出場した当時のパーソナルコーチもつとめ、現在はチームユーラシアのスタッフとして活動するなど、日本の自転車競技界を支えてきた人物で、サイクリングイベント「ツール・ド・能登400」の主催スタッフでもある。そのコネクションを生かして協力者やスポンサーを集め、開催にこぎつけた。
成田さん「北陸にはまだシクロクロスの文化が根づいていないんですよ。愛好者数は増えているけど、関西や関東のCX人口に遠く及ばない。もし願いが叶うなら年間3戦、富山・石川・福井で1戦づつ受け持っての北陸シクロクロスシリーズを開催できるような流れをつくりたいという思いでやっています。ここ能登ゴルフ倶楽部はレースを開催したくなったらいつでもできる常設コースという利点がある。地元石川県だけで私物化する意識はなく、あらゆる大会の開催を歓迎したいんです」。
今回は関西、長野、東海などの各地のシクロクロス大会の関係者が応援に駆けつけ、運営に協力していた。
「シクロクロス文化が無い=レースをつくる人、スタッフが居ないということもあるので、それを学んで地元だけでもできるよう、人も育っていかなくてはいけないんです。初回は学ぶことばかりでした」と成田さん。「これからは能登ゴルフ倶楽部が経営するこの施設を継続させなきゃいけないという責任もできます。北陸にシクロクロス文化、自転車文化が育つように願うばかりです」。
弱虫ペダルカップ 2日目JCXレースリザルト
男子エリート | ||
1位 | 沢田時(チームブリヂストンサイクリング) | 1:02:55.7 |
2位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +0:13 |
3位 | 副島達海(Limited Team 846) | +1:50 |
4位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェン) | +2:26 |
5位 | 加藤 健悟(臼杵レーシング) | +2:32 |
6位 | 香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +3:28 |
女子エリート | ||
1位 | 福田咲絵(AX cyclocross team) | 42:11.4 |
2位 | 渡部春雅(明治大学) | +2:07 |
3位 | 中島瞳(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +2:48 |
C2 | ||
1位 | 中澤賢太朗(SWAMP RACING) | |
2位 | 山澤 浩之(TEAM SOLDOUT RACING) | |
3位 | 大来 英之(毒キノコ連合) | |
C3 | ||
1位 | 井上和郎(バルバクラブハクサン) | |
2位 | 藤山龍太(TTGミトロング-V) | |
3位 | 柳神二郎(バルバクラブフクイ) | |
C4 | ||
1位 | 高橋海成(バルバクラブフクイ) | |
2位 | 岩澤 智幸(バルバクラブカナザワ) | |
3位 | 小原千明 | |
CL2+3 | ||
1位 | 松崎光優(Touch me CXチーム) | |
2位 | 齋藤美里(内房レーシングクラブ) | |
3位 | 室崎友紀(バルバクラブタカオカ) | |
M1 | ||
1位 | 三船雅彦(MasahikoMifune.com cycling Team) | |
2位 | 田崎友康(ToyoFrame) | |
3位 | 荒川大介(TEAM GRM) | |
CM2 | ||
1位 | 中出大(バルバクラブカナザワ) | |
2位 | 前瀬和顕(北陸ドロタボウ) | |
3位 | 石角充弘(team motopink) | |
CM3 | ||
1位 | 小牧宏成(トンデモクラブ CSKAGA) | |
2位 | 吉田篤史 | |
3位 | 水谷 和正(バルバクラブトヤマ) | |
WM | ||
1位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | |
2位 | 青木寿美恵(AX cyclocross team) | |
3位 | 藤原里絵子 | |
CJ | ||
1位 | 加藤快介(F(t)麒麟山Racing) | |
U15 | ||
1位 | 水谷悠平(MZT) | |
CK3 | ||
1位 | 渡邉慶悟(COG COG) | |
CK2 | ||
1位 | 河村皇誠 | |
CK1 | ||
1位 | 川渕慎平(しちはた村) |
text&photo:Makoto.AYANO
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