最終登坂で選抜グループから飛び出し、ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)と共に残り350mで先行2名を捉えたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が第115回パリ〜トゥールを制覇。6月以降勝利から遠ざかっていたデマールがシーズン最後に勝利を手にした。
スタートサインを済ませたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:A.S.O.
スタートを待つクリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) photo:A.S.O.
合計22チームが秋晴れのシャルトルを出発 photo:A.S.O.
パリ〜トゥール2021 コースプロフィール photo:A.S.O.今年で115回目を迎えた伝統のパリ〜トゥール(UCI1.HC)。前日のイル・ロンバルディアと並びヨーロッパのロードシーズン最終戦と称されるワンデーレースがフランス中部の平野部で開催された。
シャルトルからトゥールを目指す212kmは一見スプリンター向きのフラットコースだが、終盤50kmには「コート」と呼ばれる登坂区間が7箇所も凝縮されている。例年最終盤のアップダウンで抜け出したアタッカーと集団の追走劇が繰り広げられる展開が常だが、2018年から組み込まれたワイン畑の中の9箇所の未舗装路もレースを動かす鍵となる。
長くワールドツアーカレンダーに組み込まれてきた大会だけに、10のUCIワールドチームを筆頭にベルギーやフランスのプロ/コンチネンタルチーム合わせて22チームが集結。パリ〜ルーベ2位となったフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)やグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)など、フランドル系アタッカーや重量級スプリンターがシーズン最後のビッグタイトルを目指して集結した。
横風区間でグルパマFDJが集団分断作戦を敢行する photo:A.S.O.
ワイン畑の間を縫う未舗装路を駆け抜ける photo:A.S.O.
この日はスタートからフィニッシュを目指すように北西からの追い風が吹き、レース平均速度が早まるとの予想を受けてスタート時間を遅らせる措置が取られた。今季限りで引退する31歳ジュリアン・デュヴァル(フランス、AG2Rシトロエン)を含む3名が一時7分差を付けて逃げ、メイン集団は中盤の追い風/横風区間でグルパマFDJが猛チャージを仕掛けたことで分断。3名を飲み込み、優勝候補がたっぷり含まれた37名が先行する形となった。
追い風に乗って、メイン集団から1分弱のリードを奪った先頭グループは平均速度45km/hオーバーで飛ばしに飛ばす。未舗装路と登坂区間が連続する後半50km区間に入ると先頭グループ、そしてメイン集団ともにアタックと吸収、パンクが頻発する慌ただしい展開になった。
37名の先頭グループから抜け出したデウルフ、フリソン、ボナムール photo:A.S.O.
メイン集団が未舗装路区間を駆け抜ける photo:A.S.O.
先頭グループからはスタン・デウルフ(ベルギー、AG2Rシトロエン)とフレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル)、そしてフランク・ボナムール(フランス、B&BホテルズKTM)が先行。安定したペースを刻んだ3名の背後では追走グループと元メイン集団が合流し、レース構図は3名vs大集団という構図に切り替わった。
残り20kmを切り、先頭3名を視界に捉えるとグルパマFDJが猛烈なペースアップを行ったことでメイン集団はバラバラに。風と未舗装路による分断で10名〜15名程度の小集団がそれぞれ追走する形となり、デマールとヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)、ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、AG2Rシトロエン)たちが第1追走グループを形成。残り11km地点にある最後の登坂「コート・ド・ロシュコルボン」に入るとデマールがアタックを試みた。
重量級スプリンターのアタックをフォローできたのはストゥイヴェンのみで、残り10kmから先頭デウルフ&ボナムール(フリソンはメカトラ脱落)対デマール&ストゥイヴェンの追走劇がスタート。デマールたちは先頭2人を視界に捉えながら追いかけたものの、「前を逃げる2人との10秒差はなかなか縮まらなかった(デマール)」。
追い上げるデマールたちから逃げ続けるスタン・デウルフ(ベルギー、AG2Rシトロエン)とフランク・ボナムール(フランス、B&BホテルズKTM) photo:A.S.O.
牽制を経てアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がスプリントを開始 photo:A.S.O.
先頭でフィニッシュラインを越えたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:A.S.O.
2グループは10〜15秒差で拮抗していたものの、最終盤に入ってデマールとストゥイヴェンがようやく追い上げに成功。フラムルージュ(残り1kmバナー)を5秒差で通過すると、2グループは互いに牽制しながら残り350mで合流を果たした。スピードが落ちきった状態から250m以上を残してデマールが加速し、食い下がるストゥイヴェンを退けて先着。今年6月以降勝利から遠ざかっていたデマールが、手に汗握るサバイバルレースで勝利した。
「全員いっぱいいっぱいだと分かっていたので、最善手はできる限り長くスプリントを続けて先頭を抑えることだった。絶対に逃せない勝利だった。残り250mの看板が見えてから全力で踏み込んだ。今日はいけると感じていたし、脚が終わることもなかった。本当に勝利が欲しかったんだ」と、集団スプリントを待つことなく、自らのアタックでレースを作り、勝利をもぎ取ったデマールは言う。
パリ〜トゥール2021表彰台:2位ボナムール、1位デマール、3位ストゥイヴェン photo:A.S.O.
「苦しいシーズン後半戦の最後に勝つことができて感情的になっているよ。最近はツキも無く、そして脚も望むコンディションにはないことが多かったけれど、決して諦めずにトレーニングに励んできた。僕を信じ続けてくれた妻に感謝したい。今日はようやく全ての流れが自分に向いたんだ。シーズン最後のレースで勝つのは純粋に嬉しいよ。これまで何度もレースで勝ってきたけれど、今日の勝利には暫く酔いしれたいと思う」とデマールは振り返っている。




シャルトルからトゥールを目指す212kmは一見スプリンター向きのフラットコースだが、終盤50kmには「コート」と呼ばれる登坂区間が7箇所も凝縮されている。例年最終盤のアップダウンで抜け出したアタッカーと集団の追走劇が繰り広げられる展開が常だが、2018年から組み込まれたワイン畑の中の9箇所の未舗装路もレースを動かす鍵となる。
長くワールドツアーカレンダーに組み込まれてきた大会だけに、10のUCIワールドチームを筆頭にベルギーやフランスのプロ/コンチネンタルチーム合わせて22チームが集結。パリ〜ルーベ2位となったフロリアン・フェルメルシュ(ベルギー、ロット・スーダル)やグレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)など、フランドル系アタッカーや重量級スプリンターがシーズン最後のビッグタイトルを目指して集結した。


この日はスタートからフィニッシュを目指すように北西からの追い風が吹き、レース平均速度が早まるとの予想を受けてスタート時間を遅らせる措置が取られた。今季限りで引退する31歳ジュリアン・デュヴァル(フランス、AG2Rシトロエン)を含む3名が一時7分差を付けて逃げ、メイン集団は中盤の追い風/横風区間でグルパマFDJが猛チャージを仕掛けたことで分断。3名を飲み込み、優勝候補がたっぷり含まれた37名が先行する形となった。
追い風に乗って、メイン集団から1分弱のリードを奪った先頭グループは平均速度45km/hオーバーで飛ばしに飛ばす。未舗装路と登坂区間が連続する後半50km区間に入ると先頭グループ、そしてメイン集団ともにアタックと吸収、パンクが頻発する慌ただしい展開になった。


先頭グループからはスタン・デウルフ(ベルギー、AG2Rシトロエン)とフレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル)、そしてフランク・ボナムール(フランス、B&BホテルズKTM)が先行。安定したペースを刻んだ3名の背後では追走グループと元メイン集団が合流し、レース構図は3名vs大集団という構図に切り替わった。
残り20kmを切り、先頭3名を視界に捉えるとグルパマFDJが猛烈なペースアップを行ったことでメイン集団はバラバラに。風と未舗装路による分断で10名〜15名程度の小集団がそれぞれ追走する形となり、デマールとヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)、ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、AG2Rシトロエン)たちが第1追走グループを形成。残り11km地点にある最後の登坂「コート・ド・ロシュコルボン」に入るとデマールがアタックを試みた。
重量級スプリンターのアタックをフォローできたのはストゥイヴェンのみで、残り10kmから先頭デウルフ&ボナムール(フリソンはメカトラ脱落)対デマール&ストゥイヴェンの追走劇がスタート。デマールたちは先頭2人を視界に捉えながら追いかけたものの、「前を逃げる2人との10秒差はなかなか縮まらなかった(デマール)」。



2グループは10〜15秒差で拮抗していたものの、最終盤に入ってデマールとストゥイヴェンがようやく追い上げに成功。フラムルージュ(残り1kmバナー)を5秒差で通過すると、2グループは互いに牽制しながら残り350mで合流を果たした。スピードが落ちきった状態から250m以上を残してデマールが加速し、食い下がるストゥイヴェンを退けて先着。今年6月以降勝利から遠ざかっていたデマールが、手に汗握るサバイバルレースで勝利した。
「全員いっぱいいっぱいだと分かっていたので、最善手はできる限り長くスプリントを続けて先頭を抑えることだった。絶対に逃せない勝利だった。残り250mの看板が見えてから全力で踏み込んだ。今日はいけると感じていたし、脚が終わることもなかった。本当に勝利が欲しかったんだ」と、集団スプリントを待つことなく、自らのアタックでレースを作り、勝利をもぎ取ったデマールは言う。

「苦しいシーズン後半戦の最後に勝つことができて感情的になっているよ。最近はツキも無く、そして脚も望むコンディションにはないことが多かったけれど、決して諦めずにトレーニングに励んできた。僕を信じ続けてくれた妻に感謝したい。今日はようやく全ての流れが自分に向いたんだ。シーズン最後のレースで勝つのは純粋に嬉しいよ。これまで何度もレースで勝ってきたけれど、今日の勝利には暫く酔いしれたいと思う」とデマールは振り返っている。
パリ〜トゥール2021結果
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 4:33:07 |
2位 | フランク・ボナムール(フランス、B&BホテルズKTM) | |
3位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) | |
4位 | スタン・デウルフ(ベルギー、AG2Rシトロエン) | 0:03 |
5位 | ダニー・ファンポッペル(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | 0:40 |
6位 | ブライアン・コカール(フランス、B&BホテルズKTM) | |
7位 | アルネ・マリット(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
8位 | アンドレア・パスクァロン(イタリア、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ) | |
9位 | ジュリアン・トラリウー(フランス、デルコ) | |
10位 | アモリ・カピオ(ベルギー、アルケア・サムシック) |
text:So Isobe
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