2021/09/06(月) - 08:21
アップダウンを含むブエルタ・ア・エスパーニャ最終日の個人TTで、マイヨロホのプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が最速タイムをマーク。ダメ押しのステージ4勝目で3年連続のブエルタ総合優勝を成し遂げた。
9月5日(日)第21ステージ
パドロン〜サンティアゴ・デ・コンポステーラ 33.8km(個人TT)
第76回ブエルタ・ア・エスパーニャを締めくくるのは、マドリードでの集団スプリントではなく、巡礼の終着地サンティアゴ・デ・コンポステーラを舞台にした距離33.8kmの個人タイムトライアル。中盤には山岳ポイントがつけられてもおかしくない登りが設定されており、コース特性は東京オリンピックの個人タイムトライアルコースにも似る。
世界的なキリスト教の巡礼地、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の真ん前に位置するオブラドリオ広場にフィニッシュする「時間との戦い」。2年連続のマイヨロホまであと一歩に迫ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)や、2018年に続く総合2位、エンリク・マス(スペイン、モビスター)たちの走りを、沿道に多数詰めかけた観客が見守った。
初日に続く今大会2回目のタイムトライアル。トップバッターとしてスタートしたヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が45分18秒91で暫定首位に立っていたものの、このタイムをマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)が軽々と上回った。
今大会ステージ3勝を挙げた好調ぶりを見せつけるかのように、高速ペースを刻んだコルトのタイムはチェルニーをなんと1分2秒も上回る44分16秒03。決してTTスペシャリストとは言えないコルトだが、唯一平均スピードを45km/h台に乗せ、ホットシートに座して後続選手のフィニッシュを待つこととなる。
主催者の優勝予想タイム、50分前後を大きく上回って繰り広げられるステージ優勝争い。スペインTT王者のヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)も2分以上遅れ、やがて総合上位勢が2分間隔となってスタートしていく。好走した総合9位ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)はセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)とギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)を抜いて総合7位へのジャンプアップに成功。そのほか上位勢は大崩れすることなく、順当な走りで総合成績をキープしていった。
総合3位ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、総合2位マスがスタートし、いよいよマイヨロホのスキンスーツに身を包んだ初日TT覇者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がコースへ。東京五輪個人TT金メダリストの証、ゴールドペイントのバイクに乗ったログリッチは目を見張る走りを披露した。
集中した表情で上りをこなし、中間計測ポイントでコルトを19秒上回ったログリッチ。マスに対して総合で2分38秒のリードを得ているものの、一切手を抜くことはせず後半区間でもハイペースを刻んでいく。サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂へと駆け上がる登坂区間で2分前にスタートしたマスを捉え、TT能力の差を見せつけるように置き去りにしてフィニッシュ。コルトを14秒上回る44分02秒を叩き出すダメ押しの走りで3年連続のブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝を達成した。
全選手中唯一平均スピードを46km/h台に乗せる、圧巻の走りで今大会最多となるステージ4勝目を挙げたログリッチ。フィニッシュ地点でログリッチの到着を待ち続けていたチームメイト全員と抱擁を交わし、そのままポディウムに上がってマイヨロホカラーに塗られたバイクを披露。3週間安定した強さを貫き通し、落車リタイアに終わったツール・ド・フランスの借りを返してみせた。
息子を抱き上げ、マス、そしてグランツールで初の総合表彰台を射止めたヘイグと共に大観衆の前に立ったログリッチは、「3週間前に大聖堂をスタートして、そして再び大聖堂の前でレースを終えることができた。素晴らしい景色だよ。総合優勝することができ、これを可能にしてくれたチームメイトとスタッフ、家族に感謝を伝えたい。またここにいる皆にも感謝したい。君たちのおかげで全てのステージでの応援を楽しむことができた」と感謝の気持ちをコメント。「初日を1位、最終日でも1位でレースを終えることができた。本当にありがとう。来年また会おう」と短いスピーチで3週間の戦いを締めくくった。
なおこの日、17時31分にスタートした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は119位でフィニッシュ。連日アシストとして力を尽くし、チーム総合優勝の表彰台に上がった新城にとってはグランツール15回連続完走。「無事にジャックは表彰台を確保したし、ジノも新人賞ジャージ。大変なブエルタだったけど、最後は最高な結果で締めくくれて最高のブエルタだった!」と語っている。
そして今大会限りでの引退を表明していたファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)は49位。数年間苦しい時期を過ごしていた2015年のブエルタ覇者は、前哨戦ブエルタ・ブルゴスで総合2位に入るなど調子を上げ、このブエルタでも積極的にステージ優勝を目指した。「フィニッシュ後は家族と第2の家族であるチームの出迎えを受けて本当に嬉しかった。たくさんの思いが浮かぶけれど、応援してくれたたくさんの人たちに感謝したい」という言葉と共に10年という少し短いプロキャリアに幕を閉じた。
9月5日(日)第21ステージ
パドロン〜サンティアゴ・デ・コンポステーラ 33.8km(個人TT)
第76回ブエルタ・ア・エスパーニャを締めくくるのは、マドリードでの集団スプリントではなく、巡礼の終着地サンティアゴ・デ・コンポステーラを舞台にした距離33.8kmの個人タイムトライアル。中盤には山岳ポイントがつけられてもおかしくない登りが設定されており、コース特性は東京オリンピックの個人タイムトライアルコースにも似る。
世界的なキリスト教の巡礼地、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂の真ん前に位置するオブラドリオ広場にフィニッシュする「時間との戦い」。2年連続のマイヨロホまであと一歩に迫ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)や、2018年に続く総合2位、エンリク・マス(スペイン、モビスター)たちの走りを、沿道に多数詰めかけた観客が見守った。
初日に続く今大会2回目のタイムトライアル。トップバッターとしてスタートしたヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が45分18秒91で暫定首位に立っていたものの、このタイムをマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)が軽々と上回った。
今大会ステージ3勝を挙げた好調ぶりを見せつけるかのように、高速ペースを刻んだコルトのタイムはチェルニーをなんと1分2秒も上回る44分16秒03。決してTTスペシャリストとは言えないコルトだが、唯一平均スピードを45km/h台に乗せ、ホットシートに座して後続選手のフィニッシュを待つこととなる。
主催者の優勝予想タイム、50分前後を大きく上回って繰り広げられるステージ優勝争い。スペインTT王者のヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック)も2分以上遅れ、やがて総合上位勢が2分間隔となってスタートしていく。好走した総合9位ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ)はセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)とギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)を抜いて総合7位へのジャンプアップに成功。そのほか上位勢は大崩れすることなく、順当な走りで総合成績をキープしていった。
総合3位ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)、総合2位マスがスタートし、いよいよマイヨロホのスキンスーツに身を包んだ初日TT覇者プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)がコースへ。東京五輪個人TT金メダリストの証、ゴールドペイントのバイクに乗ったログリッチは目を見張る走りを披露した。
集中した表情で上りをこなし、中間計測ポイントでコルトを19秒上回ったログリッチ。マスに対して総合で2分38秒のリードを得ているものの、一切手を抜くことはせず後半区間でもハイペースを刻んでいく。サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂へと駆け上がる登坂区間で2分前にスタートしたマスを捉え、TT能力の差を見せつけるように置き去りにしてフィニッシュ。コルトを14秒上回る44分02秒を叩き出すダメ押しの走りで3年連続のブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝を達成した。
全選手中唯一平均スピードを46km/h台に乗せる、圧巻の走りで今大会最多となるステージ4勝目を挙げたログリッチ。フィニッシュ地点でログリッチの到着を待ち続けていたチームメイト全員と抱擁を交わし、そのままポディウムに上がってマイヨロホカラーに塗られたバイクを披露。3週間安定した強さを貫き通し、落車リタイアに終わったツール・ド・フランスの借りを返してみせた。
息子を抱き上げ、マス、そしてグランツールで初の総合表彰台を射止めたヘイグと共に大観衆の前に立ったログリッチは、「3週間前に大聖堂をスタートして、そして再び大聖堂の前でレースを終えることができた。素晴らしい景色だよ。総合優勝することができ、これを可能にしてくれたチームメイトとスタッフ、家族に感謝を伝えたい。またここにいる皆にも感謝したい。君たちのおかげで全てのステージでの応援を楽しむことができた」と感謝の気持ちをコメント。「初日を1位、最終日でも1位でレースを終えることができた。本当にありがとう。来年また会おう」と短いスピーチで3週間の戦いを締めくくった。
なおこの日、17時31分にスタートした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は119位でフィニッシュ。連日アシストとして力を尽くし、チーム総合優勝の表彰台に上がった新城にとってはグランツール15回連続完走。「無事にジャックは表彰台を確保したし、ジノも新人賞ジャージ。大変なブエルタだったけど、最後は最高な結果で締めくくれて最高のブエルタだった!」と語っている。
そして今大会限りでの引退を表明していたファビオ・アル(イタリア、クベカ・ネクストハッシュ)は49位。数年間苦しい時期を過ごしていた2015年のブエルタ覇者は、前哨戦ブエルタ・ブルゴスで総合2位に入るなど調子を上げ、このブエルタでも積極的にステージ優勝を目指した。「フィニッシュ後は家族と第2の家族であるチームの出迎えを受けて本当に嬉しかった。たくさんの思いが浮かぶけれど、応援してくれたたくさんの人たちに感謝したい」という言葉と共に10年という少し短いプロキャリアに幕を閉じた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2021第21ステージ結果
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 0:44:02 |
2位 | マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) | 0:14 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) | 0:52 |
4位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 1:16 |
5位 | チャド・ハガ(アメリカ、チームDSM) | 1:43 |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 1:49 |
7位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 1:52 |
8位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
9位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | 2:04 |
10位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | 2:06 |
11位 | ダビ・デラクルス(スペイン、UAEチームエミレーツ) | 2:14 |
17位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
29位 | アダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 3:18 |
31位 | ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 3:19 |
50位 | ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) | 4:16 |
81位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 5:13 |
119位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | 6:52 |
マイヨロホ 個人総合成績
マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 250pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 199pts |
3位 | マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO) | 161pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チームDSM) | 80pts |
2位 | ロマン・バルデ(フランス、チームDSM) | 61pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | 51pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞ジャージ)
1位 | ジーノ・マーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 84:07:02 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:03:54 |
3位 | フアン・ロペス(スペイン 、トレック・セガフレード) | 0:19:48 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 252:19:35 |
2位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:07:26 |
3位 | イネオス・グレナディアーズ | 0:32:18 |
text:Kei Tsuji
photo:Unipublic
photo:Unipublic
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