2つの超級山岳が登場するクリテリウム・デュ・ドーフィネ第7ステージで、残り10kmから飛び出したマーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・ヴィクトリアス)が勝利。そのきっかけを作ったステージ2位のリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)が最終日を前に総合首位に立った。
雪の残る山岳を越えるプロトン photo:CorVos
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2021第7ステージ photo:A.S.O.クリテリウム・デュ・ドーフィネ第7ステージは2つの超級山岳が登場するクイーンステージ。今年のツール・ド・フランス第9ステージに登場する超級山岳プレ峠(距離13km/平均7.7%)と2級山岳ロズラン峠(距離6km/平均6.4%)を越え、最後は超級山岳プラーニュ峠(距離17km/平均7.4%)を駆け上がる。
獲得標高差が4000mを越えるこの日は、逃げきりを狙う選手たちのアタック合戦により序盤1時間を時速51kmというハイペースで幕開けた。総合タイムを取り戻したい2分21秒遅れのケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)や2分31秒遅れのミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)、ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)など実力の確かな8名が先行すると、連日積極的な走りを見せているローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO)が雪の残る超級山岳プレ峠と2級山岳ロズラン峠を先頭で通過し、山岳賞ジャージの獲得に成功した。
2分31秒遅れでロズラン峠を通過したメイン集団は、序盤の激しい展開をコントロールしたリーダージャージのアスタナ・プレミアテックからモビスターに主導権が移る。時折イネオス・グレナディアーズも牽引に加わりながら、ホルヘ・アルカス(スペイン)を逃げに送っているモビスターが速度を上げ、標高2064mの超級山岳プラーニュ峠に突入した。
逃げを形成したケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)ら8人 photo:CorVos
レース中盤から積極的に集団を牽引するモビスター photo:CorVos
最後まで逃げたヴァルグレンをプロトンが吸収すると、先頭を引いてたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)フィニッシュまで10kmを切ったところで仕事を終える。その直後に19人まで絞られた集団から総合6位(15秒遅れ)のリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)がアタックし、この動きにエンリク・マス(スペイン、モビスター)、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)、マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・ヴィクトリアス)の3人が呼応。レースの展開は先行する4人とメイン集団の2つに分かれた。
残り8km。トップクライマーの揃う先行グループから24歳パデュンのペースアップにポートとマスが遅れ、残り5kmでクスも引き離し、最後までスピードの落ちなかったパデュンがそのまま勝利を掴んだ。ステージ2位には残り500mでクスを捉え、ロペスを突き放したポートが34秒遅れで入り、ボーナスタイム6秒を加算。総合首位に立っていたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック)がトップから1分遅れのステージ10位でフィニッシュしたため、最終日を前にポートがリーダージャージを獲得した。
ステージ3位には43秒差でロペス、ステージ4位には同タイムで追走集団から残り1.5kmで飛び出したジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が入り総合でも5位まで順位を上げている。またゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が総合3位だったウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)に5秒差で先着したことで、総合で逆転しイネオス・グレナディアーズはトップ3に2人をランクインさせている。
メイン集団から飛び出すリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
有力なクライマーたちを圧倒したマーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
前日の第6ステージはかろうじて完走するほど調子が悪かったと語るパデュン。「信じられない瞬間だ。ドーフィネの最も厳しく、速い選手も揃うステージでワールドツアー初勝利を挙げることができた。フィニッシュラインを越えた瞬間、もう夢から目覚めなければいけないと思ったんだ。しかし、これは夢なんかじゃなかった」と喜びを表現した。
2018年ツアー・オブ・アルプスのステージ優勝を上回る好成績を残したパデュンは「リッチー・ポートがアタックした時、ジャック・ヘイグのために差を詰めなければと思ったんだ。そして飛び出した4人とメイン集団の差が生まれ、このまま行けばお母さんの観ている中継に映れると思いアタックしたんだ。そしてセップ・クスが遅れた瞬間、行けると思い全力で踏んだ。僕を信じてくれたチームに感謝したい」とコメント。ウクライナ出身で24歳のパデュンは2017年にバーレーン・メリダでプロデビュー。5年目となるシーズンでキャリアハイとなる勝利を果たした。
総合6位から首位にジャンプアップしたポートは「モビスターがペースを作っていたが人数を残していなかった。ゲラントが『行って来い』と言ってくれたので、今朝立てた計画通りアタックした。なぜならGにはテイオ(ゲイガンハート)がいたからね。明日はこのジャージを持って帰れるよう全力を尽くす」と語っている。ポートは総合2位のルツェンコから17秒、総合3位のトーマスと29秒のリードで最終山岳ステージに挑む。
また38分21秒遅れでフィニッシュした中根英登 (EFエデュケーション・NIPPO)は、「昨日よりも更に速い巡航速度でアタック合戦の上に、逃げが決まるまで1時間以上も続く激しさ。そんな厳しい展開でLawsonとMichaelが逃げに入り、Lawsonが山岳ジャージを獲得。人生で一番キツくて苦しかったと思われる今日の展開とステージ。キツ過ぎてレース中の記憶が飛び飛びの状態。コレが世界トップカテゴリーのレース」と自身のインスタグラムで語っている。
キャリアハイとなるステージ優勝を飾ったマーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
最終日を前にリーダージャージを手にしたリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos


獲得標高差が4000mを越えるこの日は、逃げきりを狙う選手たちのアタック合戦により序盤1時間を時速51kmというハイペースで幕開けた。総合タイムを取り戻したい2分21秒遅れのケニー・エリッソンド(フランス、トレック・セガフレード)や2分31秒遅れのミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・NIPPO)、ピエール・ロラン(フランス、B&Bホテルズ KTM)など実力の確かな8名が先行すると、連日積極的な走りを見せているローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO)が雪の残る超級山岳プレ峠と2級山岳ロズラン峠を先頭で通過し、山岳賞ジャージの獲得に成功した。
2分31秒遅れでロズラン峠を通過したメイン集団は、序盤の激しい展開をコントロールしたリーダージャージのアスタナ・プレミアテックからモビスターに主導権が移る。時折イネオス・グレナディアーズも牽引に加わりながら、ホルヘ・アルカス(スペイン)を逃げに送っているモビスターが速度を上げ、標高2064mの超級山岳プラーニュ峠に突入した。


最後まで逃げたヴァルグレンをプロトンが吸収すると、先頭を引いてたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)フィニッシュまで10kmを切ったところで仕事を終える。その直後に19人まで絞られた集団から総合6位(15秒遅れ)のリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)がアタックし、この動きにエンリク・マス(スペイン、モビスター)、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)、マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・ヴィクトリアス)の3人が呼応。レースの展開は先行する4人とメイン集団の2つに分かれた。
残り8km。トップクライマーの揃う先行グループから24歳パデュンのペースアップにポートとマスが遅れ、残り5kmでクスも引き離し、最後までスピードの落ちなかったパデュンがそのまま勝利を掴んだ。ステージ2位には残り500mでクスを捉え、ロペスを突き放したポートが34秒遅れで入り、ボーナスタイム6秒を加算。総合首位に立っていたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック)がトップから1分遅れのステージ10位でフィニッシュしたため、最終日を前にポートがリーダージャージを獲得した。
ステージ3位には43秒差でロペス、ステージ4位には同タイムで追走集団から残り1.5kmで飛び出したジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が入り総合でも5位まで順位を上げている。またゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が総合3位だったウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)に5秒差で先着したことで、総合で逆転しイネオス・グレナディアーズはトップ3に2人をランクインさせている。


前日の第6ステージはかろうじて完走するほど調子が悪かったと語るパデュン。「信じられない瞬間だ。ドーフィネの最も厳しく、速い選手も揃うステージでワールドツアー初勝利を挙げることができた。フィニッシュラインを越えた瞬間、もう夢から目覚めなければいけないと思ったんだ。しかし、これは夢なんかじゃなかった」と喜びを表現した。
2018年ツアー・オブ・アルプスのステージ優勝を上回る好成績を残したパデュンは「リッチー・ポートがアタックした時、ジャック・ヘイグのために差を詰めなければと思ったんだ。そして飛び出した4人とメイン集団の差が生まれ、このまま行けばお母さんの観ている中継に映れると思いアタックしたんだ。そしてセップ・クスが遅れた瞬間、行けると思い全力で踏んだ。僕を信じてくれたチームに感謝したい」とコメント。ウクライナ出身で24歳のパデュンは2017年にバーレーン・メリダでプロデビュー。5年目となるシーズンでキャリアハイとなる勝利を果たした。
総合6位から首位にジャンプアップしたポートは「モビスターがペースを作っていたが人数を残していなかった。ゲラントが『行って来い』と言ってくれたので、今朝立てた計画通りアタックした。なぜならGにはテイオ(ゲイガンハート)がいたからね。明日はこのジャージを持って帰れるよう全力を尽くす」と語っている。ポートは総合2位のルツェンコから17秒、総合3位のトーマスと29秒のリードで最終山岳ステージに挑む。
また38分21秒遅れでフィニッシュした中根英登 (EFエデュケーション・NIPPO)は、「昨日よりも更に速い巡航速度でアタック合戦の上に、逃げが決まるまで1時間以上も続く激しさ。そんな厳しい展開でLawsonとMichaelが逃げに入り、Lawsonが山岳ジャージを獲得。人生で一番キツくて苦しかったと思われる今日の展開とステージ。キツ過ぎてレース中の記憶が飛び飛びの状態。コレが世界トップカテゴリーのレース」と自身のインスタグラムで語っている。


クリテリウム・デュ・ドーフィネ2021第7ステージ結果
1位 | マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・ヴィクトリアス) | 4:35:07 |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 0:34 |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) | 0:43 |
4位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
5位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | 0:47 |
6位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 0:52 |
7位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 0:56 |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
9位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:59 |
10位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 1:00 |
129位 | 中根英登 (EFエデュケーションNIPPO) | 38:21 |
個人総合成績
1位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | 25:28:06 |
2位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ・プレミアテック) | 0:17 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 0:29 |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:33 |
5位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 0:34 |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、モビスター) | 0:38 |
7位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | |
8位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | 1:00 |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | 1:12 |
10位 | オレリアン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン) | 1:17 |
その他の特別賞
山岳賞 | ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーション・NIPPO) |
ポイント賞 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) |
ヤングライダー賞 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:Sotaro Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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