古城への激坂バトル　ロペスを退け22歳ヘイターが総合首位浮上

最大勾配20%オーバーの石畳登坂フィニッシュ。力強い登坂を披露したイーサン・ヘイター（イギリス、イネオス・グレナディアーズ）がアンダルシア2日目に勝利した。

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山岳賞ジャージのルイ・オリヴェイラ（ポルトガル、UAEチームエミレーツ）たちが逃げる photo:CorVos
ブエルタ・ア・アンダルシア2021第2ステージ　コースプロフィール (c)vueltaandalucia.esアンダルシア地方内陸部のイスナハルからアルカラ・ラ・レアルを結ぶブエルタ・ア・アンダルシア（UCI2. Pro）第2ステージは、高低差の大きなアップダウンの連続。特に最後は距離8kmオーバーの2級山岳を越え、最後は高台にそびえる13世紀建造の城「フォルタレッサ・デ・ラ・モタ」を目指す荒れた石畳の激坂を駆け上がる。

山岳賞ジャージを着て2日連続の逃げを決めたルイ・オリヴェイラ（ポルトガル、UAEチームエミレーツ）や、ティモ・ローセン（オランダ、ユンボ・ヴィズマ）ら6名が逃げ、その2分〜3分後方を総合首位ゴンサロ・セラーノ（スペイン）擁するモビスターやトレック・セガフレードといったチームがコントロール。「ルタ・デル・ソル（太陽のレース）」という愛称にふさわしい照りつける暑さと過酷なアップダウンの中、逃げグループは残り40km以上を残して僅か2名となってしまった。

総合首位ゴンサロ・セラーノ（スペイン、モビスター）は2級山岳で遅れを喫した photo:CorVos
マーク・カヴェンディッシュ（イギリス、ドゥクーニンク・クイックステップ）たちを振り落とした集団が残り17kmで逃げを捉え、平均5.6%の2級山岳に入るとライアン・ギボンズ（南アフリカ、UAEチームエミレーツ）たちがペースアップ。首位セラーノが苦しんでいる姿を見て、1日早く自らの総合成績狙いに切り替えたミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア、モビスター）が加速した。

コロナ禍によるコロンビア国内での足止めと怪我療養のため、まだ今季9日間しかレースを走っていないロペスに続いたのはトムス・スクインシュ（ラトビア、トレック・セガフレード）やアントワン・トールク（オランダ、ユンボ・ヴィズマ）、イルヌール・ザカリン（ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ）といった9名。頂上手前で飛び出したスクインシュがダウンヒルを飛ばし、市街地走行を経て残り1kmから始まる最後の登坂区間へと入った。

2級山岳で仕掛けるミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア、モビスター） photo:CorVos
力強いダンシングで駆け上がったスクインシュだったが、徐々に勾配を増す登坂区間で徐々にスピードを失ってい、先導バイクがまっすぐ走ることもままならない荒れた石畳の激坂区間で撃沈。ロペスグループを捉えたメイン集団から飛び立ったイーサン・ヘイター（イギリス、イネオス・グレナディアーズ）が軽やかな走りで先頭を奪った。

前輪が浮き上がらないための前荷重シッティングで突き進むヘイターは、ミゲルアンヘル・ロペス（コロンビア、モビスター）や元U23世界王者スヴェンエリック・ビストラム（ノルウェー、UAEチームエミレーツ）らの追撃を退けて先着。イネオス2年目の22歳が、コッピバルタリ第3ステージ、ヴォルタ・アン・アルガルヴェ第2ステージに続く今季3勝目を勝ち取った。

激坂バトルを制したイーサン・ヘイター（イギリス、イネオス・グレナディアーズ） photo:CorVos
「別にアタックしたわけじゃない。誰もがただ全力で登っていただけなんだ。石畳区間は本当に厳しい登りだったよ」と、ロペスに対して11秒差の総合首位に立ったヘイターは言う。「周りの選手たちは全員脚が終わっていたし、僕も脚が終わっていた。でもリードを得ていることに気づいて耐え抜いてやろうというモチベーションが湧いたんだ。今日は多分最も難しいフィニッシュだったけれど、明日はもっと登る日だ。総合成績がどうなるか状況をよく観察していきたい」と加えている。

チームメイトに祝福されるイーサン・ヘイター（イギリス、イネオス・グレナディアーズ） photo:CorVos
翌日は獲得標高が4,000mオーバーのクイーンステージ。前レースのアルガルヴェ最終日に遅れ（前日の個人TTでの落車の影響）、総合逆転負けを喫したヘイターが経験豊富なロペスたちどう渡り合うかに注目が集まる。