2021/05/03(月) - 08:11
石畳の急勾配やテクニカルな下りを含むロマンディ最終日の個人TT。レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)がステージ優勝を挙げ、3位に食い込んだゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が逆転総合優勝を果たした。
ステージ優勝を挙げたレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)www.tourderomandie.ch
ツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)最終日はこのレース恒例のアップダウン個人タイムトライアル。スコットが本社を構える街フリブールのアップダウンコースで最後の総合争い、そして最後のステージ優勝争いが繰り広げられた。
街の周囲に広がる丘陵地帯を中心に、12〜13%をコンスタントに刻む石畳登坂や市街地のテクニカルな下りが組み込まれた、多くの選手が「難しい」と口を揃える16.19kmコース。TTスペシャリストはもちろんのこと、TTを得意とするオールラウンダーがステージ上位を分け合った。
ステージ2位:シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーションNIPPO) (c)www.tourderomandie.ch
プロローグで5位に入ったシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーションNIPPO)が22分ちょうどでホットシートを守っていたが、これを上回ったのが「クレルモン=フェランのTGV」ことTTフランス王者のレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。
「テクニカルな区間や急勾配を含む不得意なコースだったけれど、いい走りをして1週間を締めくくりたかった」と振り返るカヴァニャは、ビッセガーを3秒上回る21分57秒でホットシートに座る。TTスペシャリストのフィリッポ・ガンナ(イタリア、チームイネオス)やローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)や、後に出走する総合上位勢たちも、フランスチャンピオンの走りには敵わなかった。
シーズンインから積極的な走りを繰り返してきたカヴァニャが今季初勝利。「ロマンディは美しいレースであり、ここでシーズン初勝利を挙げることができて素晴らしい気分だ。今日は200%の力を尽くし、そして結果を手に入れたことはこの先の自分自身の目標に向けて自信を高めてくれることになる。でもまずはアシストとしてチームに貢献していきたい」と振り返っている。
ステージ3位:ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) (c)www.tourderomandie.ch
リーダージャージを手放すことになったマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) (c)www.tourderomandie.ch
注目の総合争いで飛ぶような走りを披露したのは、前日のゴール勝負で落車し、11秒差の総合2位に甘んじたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)だった。
トーマスは中間計測ポイントでカヴァニャを0秒32上回るタイムを叩き出していたが、カヴァニャのフィニッシュ後に降り出した雨によって安全策を取らざるを得ない状況に。それでも17秒遅れのステージ3位に入るという強さを見せでフィニッシュ。TTを得意としない最終走者マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)が1分11秒遅れに沈んだため、トーマスが逆転総合優勝を果たした。
ステージ5位で総合成績を2位に上げたリッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) (c)www.tourderomandie.ch
個人TT世界王者のフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)は不得意なコースで10位に (c)www.tourderomandie.ch
ツール・ド・ロマンディ2021総合表彰台。3位マスナダ、1位トーマス、2位ポート (c)www.tourderomandie.ch
「とてもハッピーだよ。特に昨日の理想的じゃないミスのおかげで難しいチャレンジだたけれど、とても良い感じだった。実は2018年のツール・ド・フランスを制した時の個人TTもこんな感じだったことを思い出していた。無線ではチームから安全策で行けと言われていたけれど、バカなことをするな、コーナーでクラッシュするなと言われ続けたらそれに囚われ過ぎてしまう。やりきったこと、そしてチームにとって良い一週間となったことを嬉しく思う。今年の目標はツールであり、そこに向けて全てのレースで調整していくと話していたけれど、どうやらもうちょっとでピークに持っていけるような感触がある。」と、黄色いリーダージャージを手に入れたトーマスは言う。
トーマスは2018年のツール制覇以来3年弱勝利から遠ざかっていたが、今季はボルタ・カタルーニャで総合3位(1位Aイェーツ、2位ポート)と好調ぶりを発揮している。「自転車競技の最終目標は勝利だけど、優勝翌年のツールは総合2位、ティレーノで2位、カタルーニャで3位と決して悪くない成績を刻んできた。今こうして勝利に手が届いたことはとても気分が良い」と話している。
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ツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)最終日はこのレース恒例のアップダウン個人タイムトライアル。スコットが本社を構える街フリブールのアップダウンコースで最後の総合争い、そして最後のステージ優勝争いが繰り広げられた。
街の周囲に広がる丘陵地帯を中心に、12〜13%をコンスタントに刻む石畳登坂や市街地のテクニカルな下りが組み込まれた、多くの選手が「難しい」と口を揃える16.19kmコース。TTスペシャリストはもちろんのこと、TTを得意とするオールラウンダーがステージ上位を分け合った。
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プロローグで5位に入ったシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーションNIPPO)が22分ちょうどでホットシートを守っていたが、これを上回ったのが「クレルモン=フェランのTGV」ことTTフランス王者のレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。
「テクニカルな区間や急勾配を含む不得意なコースだったけれど、いい走りをして1週間を締めくくりたかった」と振り返るカヴァニャは、ビッセガーを3秒上回る21分57秒でホットシートに座る。TTスペシャリストのフィリッポ・ガンナ(イタリア、チームイネオス)やローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)や、後に出走する総合上位勢たちも、フランスチャンピオンの走りには敵わなかった。
シーズンインから積極的な走りを繰り返してきたカヴァニャが今季初勝利。「ロマンディは美しいレースであり、ここでシーズン初勝利を挙げることができて素晴らしい気分だ。今日は200%の力を尽くし、そして結果を手に入れたことはこの先の自分自身の目標に向けて自信を高めてくれることになる。でもまずはアシストとしてチームに貢献していきたい」と振り返っている。
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注目の総合争いで飛ぶような走りを披露したのは、前日のゴール勝負で落車し、11秒差の総合2位に甘んじたゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)だった。
トーマスは中間計測ポイントでカヴァニャを0秒32上回るタイムを叩き出していたが、カヴァニャのフィニッシュ後に降り出した雨によって安全策を取らざるを得ない状況に。それでも17秒遅れのステージ3位に入るという強さを見せでフィニッシュ。TTを得意としない最終走者マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション)が1分11秒遅れに沈んだため、トーマスが逆転総合優勝を果たした。
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「とてもハッピーだよ。特に昨日の理想的じゃないミスのおかげで難しいチャレンジだたけれど、とても良い感じだった。実は2018年のツール・ド・フランスを制した時の個人TTもこんな感じだったことを思い出していた。無線ではチームから安全策で行けと言われていたけれど、バカなことをするな、コーナーでクラッシュするなと言われ続けたらそれに囚われ過ぎてしまう。やりきったこと、そしてチームにとって良い一週間となったことを嬉しく思う。今年の目標はツールであり、そこに向けて全てのレースで調整していくと話していたけれど、どうやらもうちょっとでピークに持っていけるような感触がある。」と、黄色いリーダージャージを手に入れたトーマスは言う。
トーマスは2018年のツール制覇以来3年弱勝利から遠ざかっていたが、今季はボルタ・カタルーニャで総合3位(1位Aイェーツ、2位ポート)と好調ぶりを発揮している。「自転車競技の最終目標は勝利だけど、優勝翌年のツールは総合2位、ティレーノで2位、カタルーニャで3位と決して悪くない成績を刻んできた。今こうして勝利に手が届いたことはとても気分が良い」と話している。
ツール・ド・ロマンディ2021第5ステージ結果
1位 | レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 21:54 |
2位 | シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーションNIPPO) | +0:06 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:17 |
4位 | イラン・ファンワイルダー(ベルギー、チームDSM) | +0:18 |
5位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:20 |
6位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | +0:21 |
7位 | マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | +0:29 |
8位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | +0:34 |
9位 | ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:35 |
10位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:37 |
個人総合成績
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 17:59:57 |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:28 |
3位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) | +0:38 |
4位 | マルク・ソレル(スペイン、モビスター) | +0:39 |
5位 | マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・スタートアップネイション) | +0:43 |
6位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | +0:45 |
7位 | ヨン・イサギレ(スペイン、アスタナ・プレミアテック) | +1:08 |
8位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、バイクエクスチェンジ) | +1:22 |
9位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:30 |
10位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:20 |
その他の特別賞
ポイント賞 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) |
山岳賞 | コービー・ホーセンス(ベルギー、ロット・スーダル) |
ヤングライダー賞 | テイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM) |
チーム総合成績 | イネオス・グレナディアーズ |
text:So Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos