2021/04/01(木) - 10:33
ベルギーのセミクラシックレース、第76回ドワーズ・ドール・フラーンデレン。残り52kmから1人飛び出したディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)がそのまま逃げ切り、勝利を挙げた。
今大会初出場のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
前大会王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) (c)CorVos
逃げを見送ったプロトンが丘陵地帯を進む (c)CorVos
ロンド・ファン・フラーンデレンを4日後に控え、フランドルを駆け抜けるレースが3月31日に無事開幕された。
ベルギー北西部フランドル地方のローセラーレからワレヘムを経由し、ベルギークラシックでお馴染みのターイェンベルグやノケルベルグといった石畳の急坂をクリアし、再びワレヘムに戻ってくる184km。
スタート地点に並んだのは、コロナウイルスの陽性者が出た影響で直前のヘント〜ウェヴェルヘムに出場できなかったボーラ・ハンスグローエとトレック・セガフレードを含む25チーム。しかし、トレックは濃厚接触者となったマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を除く6人での出走となっている。
石畳の登りで独走するディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
21℃と高い気温の中レースが動いたのは、序盤から逃げていたイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を吸収した残り53km地点だった。石畳登坂ベルグ・テン・ホーテ(距離1.1km/平均5.8%/最大21%)で先頭集団からディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が飛び出すと、そのまま加速し20秒のリードを得る。
後方のメイン集団では、同じ登りを利用して前大会王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が前に出るも、これがこのレース最後のアタックとなってしまう(1分41秒遅れの58位)。レース後のインタビューでファンデルプールは「脚に限界を感じていたので、チームメイトや監督に『今日は自分の日ではない』と伝えた」と語り、4日後のロンド・ファン・フラーンデレンについて「日曜日は違った展開と状態で臨みたい」と答えている。
この日精彩を欠いた前回王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス) (c)CorVos
アシストに徹したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
ファンバーレを追走するルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)たち (c)CorVos
20〜30秒のマージンを保つファンバーレの一方で、追走では飛び出しては吸収を繰り返す慌ただしい展開が続いた。その中から第一追走集団を形成したのが、グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)を含む以下の選手たちだった。
追走集団(8名)
フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)
ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)
しかし、前に追いつきたいダーブリッジやファンアーヴェルマートと、後方にいるチームメイトと合流したいストゥイヴェンや、最後に向け脚を溜めたいスプリンターのラポルトやオリヴェイラなど、それぞれの思惑が一致せず、協調体制を築くことができない。
この日が最後となった(4月1日から禁止)スーパータックで前を追うティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) (c)CorVos
スピードを上げられない追走を尻目にファンバーレは順調に距離を消化し、最後の石畳急坂ノケレベルグ(距離400m/平均3.6%)も危なげなくクリア。宙吊りとなった選手たちを次々と吸収し一塊となったメイン集団では、アルペシン・フェニックスやUAEチームエミレーツ、今大会初出場のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らが積極的に前を牽く。
「アグレッシブな走りをしようと試みたがファンバーレを引き戻すことはできず、プロトンに追いつかれてからはそれ以上の結果を望むことはできなかった」と語るファンアーヴェルマートたちを、メイン集団がフラムルージュ(残り1km)で吸収。その追い上げもファンバーレには届かず、187cmのオランダ人クラシックライダーが、2019年クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第8ステージ以来となる勝利をもぎ取った。
ワンデーレース初勝利を挙げたディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
プロ通算5勝目を喜ぶディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
「セミクラシックでの勝利は特別だ。昨年は色んなことがあり、とても大変な年だった。今年はクラシックへの取り組み方を少し変えたんだ。より積極的に攻めるようになった。このやり方は素晴らしい。このような結果になって満足しているよ」と、喜びを表すファンバーレ。グランツールでエースたちを支えてきた元オランダ個人TT王者にとって、嬉しいワンデーレース初勝利となった。
2位争いを制したのは吸収される直前に飛び出したラポルト、3位には集団スプリントで先着したティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が入っている。
ドワーズ・ドール・フラーンデレン2021表彰台 (c)CorVos
またレース中盤の石畳区間で激しい落車に見舞われたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)は、骨折は見つからなかったものの、肩と膝を打撲する怪我を負っている。
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ロンド・ファン・フラーンデレンを4日後に控え、フランドルを駆け抜けるレースが3月31日に無事開幕された。
ベルギー北西部フランドル地方のローセラーレからワレヘムを経由し、ベルギークラシックでお馴染みのターイェンベルグやノケルベルグといった石畳の急坂をクリアし、再びワレヘムに戻ってくる184km。
スタート地点に並んだのは、コロナウイルスの陽性者が出た影響で直前のヘント〜ウェヴェルヘムに出場できなかったボーラ・ハンスグローエとトレック・セガフレードを含む25チーム。しかし、トレックは濃厚接触者となったマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)を除く6人での出走となっている。
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21℃と高い気温の中レースが動いたのは、序盤から逃げていたイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)を吸収した残り53km地点だった。石畳登坂ベルグ・テン・ホーテ(距離1.1km/平均5.8%/最大21%)で先頭集団からディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ)が飛び出すと、そのまま加速し20秒のリードを得る。
後方のメイン集団では、同じ登りを利用して前大会王者マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)が前に出るも、これがこのレース最後のアタックとなってしまう(1分41秒遅れの58位)。レース後のインタビューでファンデルプールは「脚に限界を感じていたので、チームメイトや監督に『今日は自分の日ではない』と伝えた」と語り、4日後のロンド・ファン・フラーンデレンについて「日曜日は違った展開と状態で臨みたい」と答えている。
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20〜30秒のマージンを保つファンバーレの一方で、追走では飛び出しては吸収を繰り返す慌ただしい展開が続いた。その中から第一追走集団を形成したのが、グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)を含む以下の選手たちだった。
追走集団(8名)
フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)
ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、クベカ・アソス)
ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、バイクエクスチェンジ)
クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン)
ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)
しかし、前に追いつきたいダーブリッジやファンアーヴェルマートと、後方にいるチームメイトと合流したいストゥイヴェンや、最後に向け脚を溜めたいスプリンターのラポルトやオリヴェイラなど、それぞれの思惑が一致せず、協調体制を築くことができない。
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スピードを上げられない追走を尻目にファンバーレは順調に距離を消化し、最後の石畳急坂ノケレベルグ(距離400m/平均3.6%)も危なげなくクリア。宙吊りとなった選手たちを次々と吸収し一塊となったメイン集団では、アルペシン・フェニックスやUAEチームエミレーツ、今大会初出場のジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)らが積極的に前を牽く。
「アグレッシブな走りをしようと試みたがファンバーレを引き戻すことはできず、プロトンに追いつかれてからはそれ以上の結果を望むことはできなかった」と語るファンアーヴェルマートたちを、メイン集団がフラムルージュ(残り1km)で吸収。その追い上げもファンバーレには届かず、187cmのオランダ人クラシックライダーが、2019年クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第8ステージ以来となる勝利をもぎ取った。
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「セミクラシックでの勝利は特別だ。昨年は色んなことがあり、とても大変な年だった。今年はクラシックへの取り組み方を少し変えたんだ。より積極的に攻めるようになった。このやり方は素晴らしい。このような結果になって満足しているよ」と、喜びを表すファンバーレ。グランツールでエースたちを支えてきた元オランダ個人TT王者にとって、嬉しいワンデーレース初勝利となった。
2位争いを制したのは吸収される直前に飛び出したラポルト、3位には集団スプリントで先着したティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス)が入っている。
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またレース中盤の石畳区間で激しい落車に見舞われたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、コフィディス)は、骨折は見つからなかったものの、肩と膝を打撲する怪我を負っている。
ドワーズ・ドール・フラーンデレン2021結果
1位 | ディラン・ファンバーレ(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | 3:58:59 |
2位 | クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス) | 0:26 |
3位 | ティム・メルリール(ベルギー、アルペシン・フェニックス) | |
4位 | イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
5位 | トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル) | |
6位 | アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー、AG2Rシトロエン) | |
8位 | アントニー・テュルジス(フランス、トタル・ディレクトエネルジー) | |
9位 | フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
10位 | ヤスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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