2020/11/02(月) - 12:34
11月1日、幕張海浜公園にてJCXナショナルシリーズ第2戦の幕張クロスが開催。MenEliteは織田聖と前田公平の弱虫ペダルペアが先週の第1戦・茨城シクロクロスに続いてワン・ツー勝利。Women Eliteは駒沢大学高校3年生のジュニア選手・渡部春雅がエリートクラスの選手を抑えて優勝を飾った。
コロナ禍でサイクルモードが開催されない2020年だが、幕張クロスだけは感染症対策を万全にしたうえで単独開催にこぎつけた。先週末に開催された茨城シクロクロス第2戦取手ステージに続くJCXナショナルシリーズの第2戦だ。
開催されるレース数の限られる今シーズン。11月28・29日に開催される全日本選手権&年代別選手権に向けて重要なレースとなるが、この同じ週末に関西クロスやマウンテンバイクのCJシリーズ湯船も開催されるとあって有力選手がすべて揃うわけではない。それでも華のある大会だけに全国から強豪選手が多く顔を揃えた。
11月と思えない暖かな陽気となった午後、最高峰MenEliteが85人の選手を揃えてスタート。マリンスタジアムや幕張新都心のビル群を背景にした芝生の広場を走り出していく。同会場ながら例年と大きく異るコースに変更されたが、深い芝に土のキャンバー、林間のスラロームに「忍者返し」との異名を取る激坂登りなど、パワーとテクニックが要求される面は何ら変わらない。
1周を終えて抜け出したのは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)。ほどなくして前田公平が追いつき、2周めには早くも弱虫ペダルCTのランデブー走行に入る。前後を入れ替え、協調しながら後続を引き離していく。3位に続くのは小坂光(宇都宮ブリッツェン)で、そのフォーメーションは先週の茨城CXと同じ構図だ。
他の選手がバイクを降りてクリアするシケインでも降車することなくバニーホップで飛び越える2人。テクニックもスピードもパワーも他を寄せ付けず、ときに走りながら2人で言葉を交わしつつ、完全にレースを掌握した。
しかし後続の争いもホット。終盤に3位につける小坂がパンクに見舞われて斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)に差を詰められるも、再び盛り返す小坂。テクニックの光る走りで独走する齋藤の後方にはロード競技をメインに活動する川野碧己(慶應義塾大学自転車競技部)がその脚力を生かして続く。その後方では島田真琴(ペダル)、中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)、積田連(SNELシクロクロスチーム)、合田正之(AX cyclocross team)、加藤健悟(臼杵レーシング)らが小集団パックで追走。終盤には中島がアタックして抜け出す。
後続に大きな差をもって余裕の走りで周回を重ねた織田と前田の2人。最終周回に向けてどちらが勝つのかに注目が集まる。最終のスプリント争いで決着が着くだろうと固唾を呑んで見守る観客たちの前に現れたのは、少しの差を持って先行した織田。スプリントはあったが競り合う接戦ではなく、そのままの差で織田が勝利した。2人によれば最終盤に向けてまず織田がミス、続いてシケインで前田がミスをして、そこで着いた差のままフィニッシュになだれ込んだのだという。
「最後の最後で2人ともミスを立て続けにしてしまい、グダグダな勝利だったというのが今日のオチです(笑)」(織田)。「それまで2人とも順調に走っていたのに、最後の最後で2人ともとっ散らかってしまうという、なんともな結末でした。笑っちゃいましたね。でもお互いの得意なところでスピードを上げて、いいペースを作れましたね。」(前田)と2人はコメント。
弱虫ペダルの2人が他の選手には余裕を持って頭一つ抜けていることを改めて示したが、11月末の全日本王者決定戦に向けては慎重だ。「全日本はまたメンツが違うのでぜんぜん違うレースになりますよ」(織田)。「スピードコースだった茨城や幕張と、全日本の開催される長野・飯山ではコースもぜんぜん違うし、展開もペースもまったく違うものになります。別のレースとして考えて準備をしたいですね」(前田)。
2週連続で3位の小坂光は「疲れているのか今日は全然調子が上がらなかったですね。パンクもしたし、いいレースができなかった。2人が強いのは確かですが、しっかり準備して全日本を迎えたいですね。何が起こるかわからないのがシクロクロスですから」とコメントした。
Women Eliteは激戦区のC2との混走のレースになった。スタートをうまく処理した渡部春雅(駒沢大学高校)、赤松綾(SimWorks Racing)、中島瞳(Limited Team 846/KURE)の3人が抜け出し、手こずった唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム)が後方から追い上げる展開。中盤から独走態勢を築いた渡部は追い上げる唐見を寄せ付けず、31秒の大差をもって優勝した。
高校3年生の渡部は本来ならジュニアの選手だが、エリートクラスのトップ選手全員を退けてしまった。渡部は昨年愛媛で開催されたシクロクロス全日本選手権ジュニア女子の覇者であり、ロードレースにも参戦する。駒澤大学高等学校の「ひとり自転車部」として活動し、学校に練習環境がないため授業の後は兼部する陸上競技部でランニングで練習しているという。来年はジュニア世界選手権自転車競技大会への出場が目標。そして2024年パリ五輪への出場を目指している。2週間前にはインカレ代替大会を高校生ながら制し、話題となった。
「C2との混走でしたが皆さん声をかけたら避けてくれるので走りやすかったです。幕張CXは昨年しか走ったことがなく、滑って大変だったのですが今年は乗っていけるところも増えてうまく走れました。エリートの選手に勝てたのは嬉しいです」とコメント。全日本選手権については「昨年もエリートとは一緒に走れなかったし、またジュニアで出場することになると思うのですが、他に出場選手が多くないのでどうなるかはわからないです」と話す。飛び級参加でエリートと一緒に走れれば面白くなりそうだが、果たして競技連盟の柔軟な対応はあるだろうか?
名古屋からの参戦で3位の赤松綾(SimWorks Racing)は「スピードが速くて辛かったです。このコースはロードレースをやっていないと無理だと思いました。飯山は苦手ですが全日本は頑張ります。キャンバーが難しいので、空気圧やタイヤの設定をうまくして攻略することを考えたい。今は良いとは言えない体調を整えていきたいです」とコメントした。
コロナ禍でサイクルモードが開催されない2020年だが、幕張クロスだけは感染症対策を万全にしたうえで単独開催にこぎつけた。先週末に開催された茨城シクロクロス第2戦取手ステージに続くJCXナショナルシリーズの第2戦だ。
開催されるレース数の限られる今シーズン。11月28・29日に開催される全日本選手権&年代別選手権に向けて重要なレースとなるが、この同じ週末に関西クロスやマウンテンバイクのCJシリーズ湯船も開催されるとあって有力選手がすべて揃うわけではない。それでも華のある大会だけに全国から強豪選手が多く顔を揃えた。
11月と思えない暖かな陽気となった午後、最高峰MenEliteが85人の選手を揃えてスタート。マリンスタジアムや幕張新都心のビル群を背景にした芝生の広場を走り出していく。同会場ながら例年と大きく異るコースに変更されたが、深い芝に土のキャンバー、林間のスラロームに「忍者返し」との異名を取る激坂登りなど、パワーとテクニックが要求される面は何ら変わらない。
1周を終えて抜け出したのは織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)。ほどなくして前田公平が追いつき、2周めには早くも弱虫ペダルCTのランデブー走行に入る。前後を入れ替え、協調しながら後続を引き離していく。3位に続くのは小坂光(宇都宮ブリッツェン)で、そのフォーメーションは先週の茨城CXと同じ構図だ。
他の選手がバイクを降りてクリアするシケインでも降車することなくバニーホップで飛び越える2人。テクニックもスピードもパワーも他を寄せ付けず、ときに走りながら2人で言葉を交わしつつ、完全にレースを掌握した。
しかし後続の争いもホット。終盤に3位につける小坂がパンクに見舞われて斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)に差を詰められるも、再び盛り返す小坂。テクニックの光る走りで独走する齋藤の後方にはロード競技をメインに活動する川野碧己(慶應義塾大学自転車競技部)がその脚力を生かして続く。その後方では島田真琴(ペダル)、中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)、積田連(SNELシクロクロスチーム)、合田正之(AX cyclocross team)、加藤健悟(臼杵レーシング)らが小集団パックで追走。終盤には中島がアタックして抜け出す。
後続に大きな差をもって余裕の走りで周回を重ねた織田と前田の2人。最終周回に向けてどちらが勝つのかに注目が集まる。最終のスプリント争いで決着が着くだろうと固唾を呑んで見守る観客たちの前に現れたのは、少しの差を持って先行した織田。スプリントはあったが競り合う接戦ではなく、そのままの差で織田が勝利した。2人によれば最終盤に向けてまず織田がミス、続いてシケインで前田がミスをして、そこで着いた差のままフィニッシュになだれ込んだのだという。
「最後の最後で2人ともミスを立て続けにしてしまい、グダグダな勝利だったというのが今日のオチです(笑)」(織田)。「それまで2人とも順調に走っていたのに、最後の最後で2人ともとっ散らかってしまうという、なんともな結末でした。笑っちゃいましたね。でもお互いの得意なところでスピードを上げて、いいペースを作れましたね。」(前田)と2人はコメント。
弱虫ペダルの2人が他の選手には余裕を持って頭一つ抜けていることを改めて示したが、11月末の全日本王者決定戦に向けては慎重だ。「全日本はまたメンツが違うのでぜんぜん違うレースになりますよ」(織田)。「スピードコースだった茨城や幕張と、全日本の開催される長野・飯山ではコースもぜんぜん違うし、展開もペースもまったく違うものになります。別のレースとして考えて準備をしたいですね」(前田)。
2週連続で3位の小坂光は「疲れているのか今日は全然調子が上がらなかったですね。パンクもしたし、いいレースができなかった。2人が強いのは確かですが、しっかり準備して全日本を迎えたいですね。何が起こるかわからないのがシクロクロスですから」とコメントした。
Women Eliteはジュニアの高校3年生・渡部春雅が圧勝
Women Eliteは激戦区のC2との混走のレースになった。スタートをうまく処理した渡部春雅(駒沢大学高校)、赤松綾(SimWorks Racing)、中島瞳(Limited Team 846/KURE)の3人が抜け出し、手こずった唐見実世子(弱虫ペダル サイクリングチーム)が後方から追い上げる展開。中盤から独走態勢を築いた渡部は追い上げる唐見を寄せ付けず、31秒の大差をもって優勝した。
高校3年生の渡部は本来ならジュニアの選手だが、エリートクラスのトップ選手全員を退けてしまった。渡部は昨年愛媛で開催されたシクロクロス全日本選手権ジュニア女子の覇者であり、ロードレースにも参戦する。駒澤大学高等学校の「ひとり自転車部」として活動し、学校に練習環境がないため授業の後は兼部する陸上競技部でランニングで練習しているという。来年はジュニア世界選手権自転車競技大会への出場が目標。そして2024年パリ五輪への出場を目指している。2週間前にはインカレ代替大会を高校生ながら制し、話題となった。
「C2との混走でしたが皆さん声をかけたら避けてくれるので走りやすかったです。幕張CXは昨年しか走ったことがなく、滑って大変だったのですが今年は乗っていけるところも増えてうまく走れました。エリートの選手に勝てたのは嬉しいです」とコメント。全日本選手権については「昨年もエリートとは一緒に走れなかったし、またジュニアで出場することになると思うのですが、他に出場選手が多くないのでどうなるかはわからないです」と話す。飛び級参加でエリートと一緒に走れれば面白くなりそうだが、果たして競技連盟の柔軟な対応はあるだろうか?
名古屋からの参戦で3位の赤松綾(SimWorks Racing)は「スピードが速くて辛かったです。このコースはロードレースをやっていないと無理だと思いました。飯山は苦手ですが全日本は頑張ります。キャンバーが難しいので、空気圧やタイヤの設定をうまくして攻略することを考えたい。今は良いとは言えない体調を整えていきたいです」とコメントした。
各クラスの熱戦の模様
幕張クロス2020リザルト
photo&text:Makoto.AYANO
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