2020/10/05(月) - 09:42
ジロ・デ・イタリア第2ステージを締めくくる4級山岳アグリジェントの登りフィニッシュで攻撃を仕掛け、スプリンターをふるい落とし、最後はペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を下したディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)がステージ通算7勝目を飾った。
当初ジロ・デ・イタリアはハンガリーで3ステージを消化後にシチリア島に移動して3ステージをこなす予定だったが、ハンガリー国内の新型コロナウイルス感染拡大に伴う非常事態宣言によって急遽シチリアに舞台を移して開幕。まずはシチリア島で4ステージをこなす。
難易度2つ星の第2ステージには、4級山岳アグリジェント(全長3.7km・5.3%平均)の登りフィニッシュが設定されている(「山頂フィニッシュ」には分類されていない)。標高243mの丘上に位置するアグリジェントの街を目指す登りは中盤にかけて6%強の勾配が続き、その最大勾配は9%。スプリンターが勝負に残るのか、それともパンチャーやクライマーが勝利を奪うのか。追い風によって高速化が予想された獲得標高差1,900mのステージが午後1時にスタートした。
4km地点でメイン集団を抜け出すことに成功したのはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)を含む5名。エーススプリンターのカレブ・ユアン(オーストラリア)が出場しておらず、比較的自由に動くことのできるデヘントが早速逃げた。
逃げグループを形成した5名
ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼール)
マッティア・バイス(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
エティエンヌ・ファンエンペル(オランダ、ヴィーニザブKTM)
タイム差が5分まで広がりを見せる中で迎えた46km地点の第1スプリントでは、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が集団先頭通過で3ポイントを獲得している。なお、ジロでは2019年に引き続き第1スプリントではポイント賞を対象にしたポイント(12、8、6、5、4、3、2、1ポイント)が、第2スプリントではボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が設定されている。この日はデヘントが4級山岳と第1スプリント、第2スプリント全てを先頭通過した。
マリアローザ擁するイネオス・グレナディアーズが集団先頭に立ち、元世界TTチャンピオンのローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)らが長時間牽引。ちょうどステージ中盤の残り75km地点でサンウェブとUAEチームエミレーツが集団牽引を開始し、マリアビアンカを着る総合3位ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)が献身的な走りを見せる。
追い風に乗って、高速道路のような直線的な幹線道路を高速巡航したメイン集団から脱落したのはアレクサンドル・ウラソフ(カザフスタン、アスタナ)だった。胃腸のトラブルを抱えながら走っていた24歳のウラソフが補給地点でバイクを降りる。大会初日に落車リタイアしたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)に続いて、ヤコブ・フルサン(デンマーク)の重要なアシストを担うと見られたマリアビアンカ有力候補が初出場のグランツールを早くも去った。
タイム差2分45秒で残り50kmを切り、タイム差2分で残り40km、タイム差1分で残り30km。ここから逃げグループはギアを上げ、タイム差1分のまま残り20kmを迎える。しかし激しい位置取りを繰り広げながらペースを上げるメイン集団によって逃げグループは残り9km地点で吸収された。
幅広い道を目一杯使って多くのチームがトレインを組み、あるチームはスプリンターを、あるチームはマリアローザ候補を4級山岳アグリジェントへとエスコートする。新城幸也(バーレーン・マクラーレン)も集団先頭に立ってペリョ・ビルバオ(スペイン)のために位置取り。ステージ中盤の80kmにわたって平均スピード50km/hオーバーで進行したメイン集団は、60km/h前後を刻みながら4級山岳に突入した。
スプリンターだけでなくマリアローザ候補もひしめく集団先頭でグルパマFDJやボーラ・ハンスグローエがペースを作る。淡々と高速で登りを進むプロトンから、残り1.5km地点で口火を切ったのはヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)だった。ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を引き連れてコンティがペースアップすると、残り1kmアーチを切ったところでルーカ・ワッケルマン(イタリア、ヴィーニザブKTM)がアタック。
ワッケルマンの飛び出しにはミケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)とウリッシがマークが入る。徐々にワッケルマンが失速した一方で、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が独力でこの先頭グループに追いついた。
勝負は勾配3%ほどの最終ストレートでのウリッシ、ホノレ、サガンの三つ巴スプリントに。登りで軽快に加速したウリッシが、悠々とサガンとホノレを下した。ステージ3位に入ったホノレはフィニッシュ手前の7分間にわたって平均457Wを出力し、平均スピード33.1km/hで4級山岳アグリジェントを駆け上がっている。メイン集団は5秒遅れでフィニッシュし、フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がマリアローザを守った。
「今日はステージ優勝を飾ることができるという自信を持ってスタートした。残り1kmで飛び出した時、仮に後方から誰かが追いついてきても、力を残せている自分が勝てると思っていた。スプリンターも勝利を狙っていたので、ハードな展開に持ち込むようにチームにお願いしたんだ。その戦略が見事にはまって、ペテル(サガン)をスプリントで下すことができた」。2011年にステージ初優勝を飾ったウリッシにとってこれがステージ通算7勝目。これは出場選手の中でヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)のステージ通算9勝に次いで2番目。なお、歴代最多勝はマリオ・チポッリーニ(イタリア)のステージ通算42勝で、現役選手の中ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のステージ通算15勝が最も多い。
「誰もがフレッシュで、誰もが勝ちたいと願っている大会2日目に勝った意味は大きい」と語るウリッシはマリアチクラミーノを獲得している。2日連続4級山岳でポイントを稼ぐ形となったサガンがマリアアッズーラを手にした。
翌日は標高1,793mの1級山岳エトナ/ピアーノプロヴェンツァーナ(全長18.8km・平均6.6%)山頂フィニッシュが登場する。ガンナが守ったマリアローザは早速持ち主を変えることになりそうだ。
当初ジロ・デ・イタリアはハンガリーで3ステージを消化後にシチリア島に移動して3ステージをこなす予定だったが、ハンガリー国内の新型コロナウイルス感染拡大に伴う非常事態宣言によって急遽シチリアに舞台を移して開幕。まずはシチリア島で4ステージをこなす。
難易度2つ星の第2ステージには、4級山岳アグリジェント(全長3.7km・5.3%平均)の登りフィニッシュが設定されている(「山頂フィニッシュ」には分類されていない)。標高243mの丘上に位置するアグリジェントの街を目指す登りは中盤にかけて6%強の勾配が続き、その最大勾配は9%。スプリンターが勝負に残るのか、それともパンチャーやクライマーが勝利を奪うのか。追い風によって高速化が予想された獲得標高差1,900mのステージが午後1時にスタートした。
4km地点でメイン集団を抜け出すことに成功したのはトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)を含む5名。エーススプリンターのカレブ・ユアン(オーストラリア)が出場しておらず、比較的自由に動くことのできるデヘントが早速逃げた。
逃げグループを形成した5名
ベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼール)
マッティア・バイス(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF)
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)
エティエンヌ・ファンエンペル(オランダ、ヴィーニザブKTM)
タイム差が5分まで広がりを見せる中で迎えた46km地点の第1スプリントでは、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が集団先頭通過で3ポイントを獲得している。なお、ジロでは2019年に引き続き第1スプリントではポイント賞を対象にしたポイント(12、8、6、5、4、3、2、1ポイント)が、第2スプリントではボーナスタイム(3秒、2秒、1秒)が設定されている。この日はデヘントが4級山岳と第1スプリント、第2スプリント全てを先頭通過した。
マリアローザ擁するイネオス・グレナディアーズが集団先頭に立ち、元世界TTチャンピオンのローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)らが長時間牽引。ちょうどステージ中盤の残り75km地点でサンウェブとUAEチームエミレーツが集団牽引を開始し、マリアビアンカを着る総合3位ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツ)が献身的な走りを見せる。
追い風に乗って、高速道路のような直線的な幹線道路を高速巡航したメイン集団から脱落したのはアレクサンドル・ウラソフ(カザフスタン、アスタナ)だった。胃腸のトラブルを抱えながら走っていた24歳のウラソフが補給地点でバイクを降りる。大会初日に落車リタイアしたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)に続いて、ヤコブ・フルサン(デンマーク)の重要なアシストを担うと見られたマリアビアンカ有力候補が初出場のグランツールを早くも去った。
タイム差2分45秒で残り50kmを切り、タイム差2分で残り40km、タイム差1分で残り30km。ここから逃げグループはギアを上げ、タイム差1分のまま残り20kmを迎える。しかし激しい位置取りを繰り広げながらペースを上げるメイン集団によって逃げグループは残り9km地点で吸収された。
幅広い道を目一杯使って多くのチームがトレインを組み、あるチームはスプリンターを、あるチームはマリアローザ候補を4級山岳アグリジェントへとエスコートする。新城幸也(バーレーン・マクラーレン)も集団先頭に立ってペリョ・ビルバオ(スペイン)のために位置取り。ステージ中盤の80kmにわたって平均スピード50km/hオーバーで進行したメイン集団は、60km/h前後を刻みながら4級山岳に突入した。
スプリンターだけでなくマリアローザ候補もひしめく集団先頭でグルパマFDJやボーラ・ハンスグローエがペースを作る。淡々と高速で登りを進むプロトンから、残り1.5km地点で口火を切ったのはヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)だった。ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を引き連れてコンティがペースアップすると、残り1kmアーチを切ったところでルーカ・ワッケルマン(イタリア、ヴィーニザブKTM)がアタック。
ワッケルマンの飛び出しにはミケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)とウリッシがマークが入る。徐々にワッケルマンが失速した一方で、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が独力でこの先頭グループに追いついた。
勝負は勾配3%ほどの最終ストレートでのウリッシ、ホノレ、サガンの三つ巴スプリントに。登りで軽快に加速したウリッシが、悠々とサガンとホノレを下した。ステージ3位に入ったホノレはフィニッシュ手前の7分間にわたって平均457Wを出力し、平均スピード33.1km/hで4級山岳アグリジェントを駆け上がっている。メイン集団は5秒遅れでフィニッシュし、フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がマリアローザを守った。
「今日はステージ優勝を飾ることができるという自信を持ってスタートした。残り1kmで飛び出した時、仮に後方から誰かが追いついてきても、力を残せている自分が勝てると思っていた。スプリンターも勝利を狙っていたので、ハードな展開に持ち込むようにチームにお願いしたんだ。その戦略が見事にはまって、ペテル(サガン)をスプリントで下すことができた」。2011年にステージ初優勝を飾ったウリッシにとってこれがステージ通算7勝目。これは出場選手の中でヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード)のステージ通算9勝に次いで2番目。なお、歴代最多勝はマリオ・チポッリーニ(イタリア)のステージ通算42勝で、現役選手の中ではマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のステージ通算15勝が最も多い。
「誰もがフレッシュで、誰もが勝ちたいと願っている大会2日目に勝った意味は大きい」と語るウリッシはマリアチクラミーノを獲得している。2日連続4級山岳でポイントを稼ぐ形となったサガンがマリアアッズーラを手にした。
翌日は標高1,793mの1級山岳エトナ/ピアーノプロヴェンツァーナ(全長18.8km・平均6.6%)山頂フィニッシュが登場する。ガンナが守ったマリアローザは早速持ち主を変えることになりそうだ。
ジロ・デ・イタリア2020第2ステージ結果
1位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 3:24:58 |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | ミケルフレーリク・ホノレ(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
4位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 0:00:05 |
5位 | ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ヴィーニザブKTM) | |
6位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
7位 | ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
8位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
9位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・マクラーレン) | |
10位 | ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
111位 | 新城幸也(日本、バーレーン・マクラーレン) | 0:03:56 |
DNF | アレクサンドル・ウラソフ(カザフスタン、アスタナ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 3:40:27 |
2位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:22 |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームイネオス) | 0:00:23 |
4位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:31 |
5位 | ヨセフ・チェルニー(チェコ、CCCチーム) | 0:00:36 |
6位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、NTTプロサイクリング) | 0:00:40 |
7位 | ヤン・トラトニク(スロベニア、バーレーン・マクラーレン) | 0:00:42 |
8位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:49 |
9位 | タネル・カンゲルト(エストニア、EFプロサイクリング) | |
10位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:54 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 25pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 19pts |
3位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 17pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 4pts |
2位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 3pts |
3位 | リック・ツァベル(ドイツ、イスラエル・スタートアップネイション) | 3pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 3:40:27 |
2位 | ホアン・アルメイダ(ポルトガル、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:22 |
3位 | トビアス・フォス(ノルウェー、ユンボ・ヴィスマ) | 0:00:31 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 11:02:32 |
2位 | ドゥクーニンク・クイックステップ | 0:01:03 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | 0:01:05 |
text:Kei Tsuji
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