風の行方が有力選手の明暗を分けたツール第7日目。アシスト業務から一転してスプリントに参加し今大会2勝目を上げたファンアールトや、好調も敗れたボアッソンハーゲン、分断で総合タイムとマイヨブランを失ったポガチャルたちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

ステージ2勝目を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)ステージ2勝目を挙げたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:Makoto.AYANO
この勝利を、そして今日のチームの戦い方も誇りに思う。ボーラ(ハンスグローエ)が最初の登りからフルスロットルだったため非常に速いステージとなった。その後も(状況が)止まることはなく最後まで混乱が続き、横風で慌ただしくなった。誰しもが横風分断を恐れていた。プリモシュ(ログリッチ)とトム(デュムラン)にタイム差とダメージがないようステージを終えるのが計画で、それは上手くいった。今回もチームは非常に強かった。

このような混沌とした展開や戦いになるとは思っていなかったんだ。多くのスプリンターが遅れ、僕たちが先頭の小集団に残ったので再び自分のチャンスを掴みにいったんだ。他の選手たちがかなり早いタイミングでスプリントを開始したので、そのスリップストリームに入ることができた。(エドヴァルド)ボアッソンハーゲンが加速したとき、その動きにスプリントのタイミングを完璧に合わせた。かなりエネルギーが必要だったけれど、それだけの価値があった。信じられないよ。

ステージ2位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、NTTプロサイクリング)

エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、NTTプロサイクリング)を抜いて先頭に立つワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、NTTプロサイクリング)を抜いて先頭に立つワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ざっと(スプリントの映像を)見返してみたけど、あと少しだった。(ミヒャエル)ゴグルの良いリードアウトがあったのに勝てなかったのは本当に残念だ。それでも集団先頭でのチームワークには満足しているし、良い結果に感謝しなければならない。でももちろん、本当は更に上の順位が欲しかった。

勝つことが全てだし、このようなビックレースで表彰台の一番上に立ちたい。それが大事なことだ。でも2位で満足しなければいけないし、改善点も見つけることができた。いつか勝てる日がくると願っている。ここ数年何度も2位になってきたが、それについて不満に思うことはできない。今後も挑み続けていくし、より良い結果を掴みたい。

ステージ3位 ブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)

出走前のプレゼンに登壇するブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト)出走前のプレゼンに登壇するブライアン・コカール(フランス、B&Bホテルズ・ヴィタルコンセプト) photo:CorVos
残り600mでスプリントの隊列から外れてしまった。ベダルを空回りさせている自分に気がついたんだ。すぐに足元を見たらチェーンが外れていた。すぐに復帰することに成功し、大量のアドレナリンが一気に出てきた。この悲劇の後、ジュリアン・アラフィリップの後ろについて(スプリントに)復帰できたんだ。残り550mからの超ロングスプリントだった。コンディションもいいし、チームも頼りになる。ボーラ・ハンスグローエと一緒に動けたことも自信につながった。チームとしてツール・ド・フランスで勝負できることを証明できたと思う。

ステージ13位&マイヨヴェール ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨヴェールを取り返したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)マイヨヴェールを取り返したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANO
チームメイトを誇りに思っている。彼らは今日、レースをコントロールするという素晴らしい働きをしてくれた。スタートから一日中プロトンを牽引したんだ。最後の横風の中でもエマヌエル(ブッフマン)と自分が先頭グループに残ることができた。フィニッシュまでの展開もかなり良かったけれど、残念ながらチェーンが外れて不発に終わってしまった。(スプリント)ポイントをたくさん失ったが、今日は他に何ができただろうか。これがロードレースだ。

早めに仕掛けるも失速したジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Makoto.AYANO
今日のステージのスタート地点は緊張感が張り詰めていて、僕たちは一心不乱に走っていた。常に集団の先頭付近に位置できるよう絶えず気を配っていたんだ。横風では一瞬で状況が変わりうることを意識しながらね。集団が分断しても先頭集団に残ることができた。最後は自分の結果を狙ったけれど、フィニッシュラインが見えた辺りでクリートが外れてしまい、(勝利が)不可能になってしまった。この後に待っている登り(ステージ)の前に、この難しいステージで何かを得る事ができたのはよかった。

マイヨジョーヌ アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

マイヨジョーヌを守ったアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)マイヨジョーヌを守ったアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Makoto.AYANO
重要な位置取りの瞬間は数回しかなかった。風はクレイジーというほど強くはなかったものの、集団をいくつかに分断させるには十分だった。チームメイトが僕を完璧にサポートしてくれた。僕の位置をキープすることに力を尽くしてくれたおかげで最後は自分一人になっても(問題なく)走ることができた。

明日からの2日間はかなり厳しい戦いになるはずだ。皆今日は2つの大きな山岳ステージの前の楽な日になると思っていたのだろう。しかしボーラ・ハンスグローエは別の考えを持っていたので、最初から最後まで全力に近い力で走らなければならなかった。誰にとってもハードな一日だった。

エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)

追い風区間で猛烈なペースアップを行うイネオス・グレナディアーズ追い風区間で猛烈なペースアップを行うイネオス・グレナディアーズ photo:CorVos
朝に立てた作戦だった。街を抜けた後に2箇所のランナバウトがあって、その後追い風になることを最初から知っていたんだ。ランドアバウトを抜けると実際その通りになって、ハンドリングすら難しい状況だった。

僕たちは当然そこでに集団先頭にいるべきだと知っていた。チームは素晴らしい仕事をしたんだ。リチャルがパンクしたのは最終盤だったので彼を待つ、復帰させることはできなかった。彼が総合成績を少し失ってしまったことは本当に残念に思うけれど、全体的な結果は喜ぶべきものだ。

横風分断で遅れマイヨブランを失ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

横風で遅れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)横風で遅れたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos
最後の区間が難しくなると分っていたので集団前方に出ようとしたけれど、前で落車があって集団が分断した時に後ろに取り残されてしまった。差を縮めようとしたが、かなりスピードは上がっていた。チームは僕を(先頭)集団に復帰させようとその差を最小限に抑えるため全力を尽くしてくれた。(その差は)ほんの1分とちょっとだ。理想的なことではないが、心配はしていない。また明日からトライするよ。

早々にメイン集団から遅れマイヨヴェールを失ったサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)

第1集団に入ることができなかったマイヨヴェールのサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ)第1集団に入ることができなかったマイヨヴェールのサム・ベネット(アイルランド、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
チームメイトを失望させてしまったようでがっかりしている。遅れた後も走り続け、チームが懸命に牽引してメイン集団に復帰するべく集団全体を巻き込もうとしてくれた。でも素晴らしいの努力も虚しく叶わなかった。今日は勝ちたかった。脚も良かったのだが、2つ目の登りでまた遅れてしまい、そこでゲームオーバーだった。

text:Sotaro.Arakawa

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