先日発表されたカスクの新たなミドルグレードモデル MOJITO³を試す機会を得た。普段から同社の軽量モデル Valegroを使用する編集部員がカスクの次世代を担う中核モデルをインプレッション。



カスク MOJITO³カスク MOJITO³
MOJITO³のリリース時、カタログ写真を見ての第一印象は、横幅が広くシェルも肉厚でいかにもエントリーグレードらしさが出ているな、というものだった。しかし、実際のプロダクトを箱から取り出した瞬間にそのイメージはいい意味で崩れ去った。思った以上に正面から見た時のルックスはシュッとしており、画面上で見た時に感じた野暮ったい印象は影を潜める。

ベンチレーションホールの開き方はValegro、頭頂部後半に開口部が設けられていないのはProtoneに通ずる物があり、後頭部のデザインは前作となるMOJITOのそれに近い。フチの額部分は直線的ではなく、内側に向かって切り上げられている造形となっている。コメカミ部分は額部分のラインから一段下に降りた造形とされており、しっかりと頭部を守ろうとする意識が伺える。後頭部も首の付根までシェルで覆われるため、安心感は非常に強い。

現代的な丸みを帯びたデザインだが、後頭部だけはMOJITOシリーズらしいテールデザインとされている現代的な丸みを帯びたデザインだが、後頭部だけはMOJITOシリーズらしいテールデザインとされている MOJITOらしさを表現するバックの造形MOJITOらしさを表現するバックの造形

上位グレードに当たるValegroと並べてみても野暮ったさは少ない上位グレードに当たるValegroと並べてみても野暮ったさは少ない
想像以上に洗練されたルックスであることに好印象を抱いていたが、手に持った重量感も悪くない。実測228g(Mサイズ、カタログ重量230g)という重さもUtopiaと同等であり、重量が増える要因である発泡フォームの厚さはプロテクション性能に影響を与えるため、安全性を考えると肉厚な見た目とこの重量は許容範囲内に感じる。

ひと通り外観を舐めまわすように見たところで、MOJITO³を着用してみる。筆者は普段ValegroのMサイズを愛用している頭囲58cmのアジア型頭の持ち主。他にこれまでのベストフィットはカブトとレイザーのアジアンフィット、ジロのアジアンフィットという典型的な丸型頭だ。カスクはフィットするものもあれば、そうでないものもあるため、初めて着用する時は少しドキドキする。

額部分からコメカミに向かってシェルが下方に伸びる額部分からコメカミに向かってシェルが下方に伸びる 額部分も単純な造形ではなく、内側に切れ上がる形状となっている額部分も単純な造形ではなく、内側に切れ上がる形状となっている

Octofitは上下と締り具合、ヘッドサポーターの左右位置を調整できるため、フィッティングを追い込むことができるOctofitは上下と締り具合、ヘッドサポーターの左右位置を調整できるため、フィッティングを追い込むことができる 頭と接するサポーターの左右位置を調整することができる頭と接するサポーターの左右位置を調整することができる


MOJITO³の試用品はMサイズで、ラベルに記載されているのは52-58cm。着用感としても数値通りMサイズが丁度よい大きさ。フィット感としては耳の真上、額、頭頂部全てにおいて面でフィットしてくれるため、非常に心地よいかぶり心地だ。ValegroやProtoneと比較するとかぶりが深く、コメカミまでしっかりと守られている感が強い。

フィット感はOctofit(アジャスターシステム)の影響を多大に受けるので、カスクのサイズ選びの際はアジャスターの上下、頭部を支えるサポーターの左右間隔調整を必ず行ったほうが良い。筆者の場合は帽体とハチ周りのサイズ感がジャストすぎてしまい、アジャスターのベルトが帽体と頭の間に挟まると痛みを感じた。サポーターの左右間隔も同様。調整可能箇所が多いだけに、好みとそうではないフィット感が1モデルの中にも現れてしまうのだろう。

ベンチレーションホールから後頭部までチャネルで繋がれているベンチレーションホールから後頭部までチャネルで繋がれている Blue techというインナーパッドが用いられているBlue techというインナーパッドが用いられている

Mサイズの実測重量は227gMサイズの実測重量は227g ストラップにはもちろんレザーが用いられている。これはカスクのアイデンティティだストラップにはもちろんレザーが用いられている。これはカスクのアイデンティティだ


内部のチャネル設計は上位グレードほど積極的ではないものの、各ベンチレーションホールは後方に向かう溝と接続する作りだ。実際に走ってみてもヘルメット内に風が取り込まれ、流れていく様子を感じることができる。ProtoneやUtopiaのようなエアロ系ほどダイナミックなベンチレーションではないものの、風が流れていくことでヘルメット内の熱がこもりにくくなっている。

一方でインナーパッドが額にぴったりと当たるため、走行中や信号待ちなどでの停車時に存在を感じやすい。クッション性は高く快適なのだが、猛暑のサイクリングの場合はそこにあるだけで気になってしまう。しかし、熱がこもってストレスになるかと問われれば、答えはNO。走行風がパッドに当たると冷ややかな感じさえ受けるほど。吸汗性にも優れているので、存在感のみが際立つインナーパッドという印象だ。

税抜価格で18,000円というミドルグレード帯に位置するMOJITO³。2つのパーツに分かれたアウターシェルのマルチモールディングや、エアチャネルの設計などを考慮すると納得の価格だ。メイド・イン・イタリーのミドルグレードは、レースではなくツーリングなどを含む様々な状況で、オールラウンドに使いたい方にぴったりだろう。(CW編集部・藤原)

カスク MOJITO³カスク MOJITO³
カスク MOJITO³カスク MOJITO³ Oct fitは後頭部を包み込むようなサポーターが特徴だOct fitは後頭部を包み込むようなサポーターが特徴だ

サイドビューは現代的な丸みを帯びたデザイン、テールのみMojitoらしさがあるサイドビューは現代的な丸みを帯びたデザイン、テールのみMojitoらしさがある


カスク MOJITO³(モヒート・キューブ)
テクノロジー:MIT インモールディング・テクノロジー、Octfitフィッティングシステム、エコレザー・チンストラップ、HiViz被視認性向上ステッカー、サニタイズド処理インナーパッド
カラー:BLK MATT、BLK、GREY、ORG FLUO、WHT、YEL FLUO
サイズ:S(50-56cm)、M(52-58cm)、L(59-62cm)
重量:230g(Mサイズ)
価格:18,000円(税抜)、BLK MATTのみ19,000円(税抜)

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