2020/08/11(火) - 18:26
満を持してRaphaがリリースした高機能ビブ「Pro Team Powerweave Bib」を三船雅彦さんが徹底実走テスト。ほぼ雨の中を1500km、ウェア本来の力が試されるコンディションで見えた魅力とは?本人から届いたレポートを紹介します。
Raphaが満を持して発売したPro Team Powerweave Bib Shorts。8月8日に一般発売が開始された (c)Rapha
RaphaのPro Team Powerweave Bibを履く三船雅彦さん 本人提供フレームをはじめコンポーネント、それ以外にもヘルメットやシューズ、ウェア、周辺小物各種。現役時代からテストライドで多くのものに携わらせてもらっています。
今回もうかれこれ10年近くも使用しているラファから新しいビブショーツが発売されるので、是非使用したコメントを頂きたいということで、梅雨に入る前から使用を開始。雨が多い時期にテストを依頼されるのは、雨だろうが"ヤツは絶対に乗っている"と思われているから。テストライダーとしても評価されているのだろうとポジティブな気持ちで快諾することにしました。
良いのか悪いのか、本当にウェアのテストするには激しい雨の日々でした。
そんな中を、本当に色々な状況下でPro Team Powerweave Bib Shortsを使用しました。一般的な人からしてみれば「そんな環境下での使用は一生ありません!」というようなことも...。
しかしラファの矢野大介さんからは「とにかく使用してほしい」というリクエストだったので、私なりに「日本で一番激しい使用環境で、私の知らない事例はない」というところまで追い込んだ方が良いのだろうと勝手に解釈し、日々通勤から休日のライドまで幅広く、トータルで1500km以上使用してみました。
普段からラファのプロダクツを愛用していますが、個人的に大のお気に入りでもあるPro Team Bibが完成の域に入っていると思っていただけに、今回のPro Team Powerweave Bib Shortsはそれを越えるのか?という半信半疑な気持ちもありました。進化したという触れ込みなのに、使ってみると前のやつの方が良かったなぁ~と言うのはよくある話です。
最初に着用して思ったのは、少しタイトに感じたこと。コンプレッション効果なのか、いつもよりもスッと履けない。最初に履こうとしたとき「あ、オレちょっと太ったか?」と思ったほどです。ワンサイズまでは変わりませんが、履こうとしたとき、脱ごうとしたときにほんのりと小さく感じたのです。
脱ぎ着の際は結構タイトに感じますが、肌へのコンプレッションが均一であることに気づきます (c)Rapha
ペダルを回すとキツさが消える不思議な感覚。着用ストレスがかなり軽いのです (c)Rapha
そして足を通せば生地のコンプレッションは、身にまとっている部分全体に対して均等に感じられました。履く時にはキツかったのに、ペダルを回してみるとキツさを感じないという不思議な感覚に陥ります。冗談みたいですがが、何か他のことを考えながら走っていると、あまりにもビブショーツの圧迫感が少ないため、「え?オレ(ビブショーツを)履いてきたっけ」と、ボケたおじいちゃん状態になることも何度か...。
密着度合いも均一で、少なくとも体にパネルの縫い合わせ部分を感じることもなく(プロチームなども縫い合わせから肌を痛めることはないものの、縫い合わせの刺激は少々感じられる)着用しているというストレスが少ない、軽いという印象でした。
この少しタイトに感じられる感触は、コンプレッション効果を期待しての事なのでしょう。と言うのは、従来のビブよりも脚が下支点より上に上がろうとする時にスムーズで、引っかかるようなイメージなく上支点に到達します。このあたりはレースシーンではもちろんですが、ロングライドでもメリットが出るかと思います。
ちなみに、密着感に関して従来のものとは違う点は、サスペンダー部分の幅を途中切り替えることで肩部分のストレスを緩和していること。ただしこの"ストレス"という言葉はライディングポジションを想定してのことで、ずっと起立状態でいると逆に肩のあたりが引っ張られていることに気づくのです。
ライディングポジションを取ってやると、肩部分の圧力がぐんと下がり、胸部分と背中部分と一般的なビブショーツでは圧力を感じないところへ圧力を逃がし、肩部分の圧力を軽減しているように感じました。
ビジュアルよりも機能性を優先した作りが見て取れます (c)Rapha
「PAPHA」のロゴも縫い込んであるのか生地と一体的です。ビジュアルを優先するなら、例え生地がマットでもロゴ自体は光沢のあるラバー系素材を貼り付けてしまうのがいいと思うのですが、この辺りは見栄えよりも機能を最優先したのでしょう。見た目からでもそう解釈させられる部分です。
今後のビブショーツの進化系として定着していくのかな、と感じる出来栄えです 本人提供走っていると、ふとパッドも違うな、ということに気づきました。
PBP(パリ〜ブレスト〜パリ)などの超ロングライドでもPro Team Bibのパッドが好きで愛用していますが、それと比べてもパッドの形状や硬さなどが若干違うのです。少しパッドは厚く感じますが、フワフワと落ち着かない感じではなく、むしろサドルと体の間の隙間を均等に埋めてくれるかのよう。触って感じる厚みは、実際の走行時にはほとんど感じませんでした。
先述した通りひたすら雨の中を走っていたのですが、少し厚く感じる分だけ吸水性も向上しているのか、股ずれなどの症状が出ることはありません。ビブの生地自体に撥水加工が施してあるのか生地に雨があまり浸透していなかったのかもですが、雨でも思っていた以上に不快感は少ないと言えます。
個人的にはラファのビブショーツはシャツのように洒落たイメージで語られることは少なく、ちょっと見落とし気味なのでは?と感じることもあるのですが、実際使ってみると機能的、実用的というところをしっかりとフォーカスしていて、本格的に走るサイクリストでも十分満足いくレベルだと思います。そして今回のPro Team Powerweave Bib Shortsは、今後のビブショーツの進化系として定着していくのかな、と感じる出来栄えでした。
Rapha Pro Teamパワーウィーブビブショーツ(Blue/Hi-Vis Pink) photo:So.Isobe
Rapha Pro Teamパワーウィーブビブショーツ
サイズ:XS - XL
カラー:Blue/Hi-Vis Pink、Black/Black
価格:46,000円(税込)
製品ページ: https://www.rapha.cc/jp/ja/shop/mens-pro-team-powerweave-bib-shorts/pro…
CWスタッフによる登場速報インプレッションはこちらから
Rapha Pro Team Powerweave Bib Shorts 勝つための、最高峰ビブショーツがデビュー
※なお8月11日現在、オンラインストアではXS、S、Mが売り切れているが、Raphaによれば東京と大阪にある実店舗では各種サイズ在庫があるという。再入荷は12月とやや遅れるため、この夏に使いたいユーザーは早めに店舗に足を運んだ方が良さそうだ。
インプレッションライダー:三船雅彦
1995~2002年までヨーロッパのプロチームに所属し、ロンド・ファン・フラーンデレンに日本人として初出場。帰国後はミヤタスバルやマトリックスパワータグでも活躍した元プロレーサー。現在は自転車の普及活動やコーチ、レース解説などを務め、ブルベやシクロクロスレースにも積極的に参戦。世界最高峰のブルベ「パリ~ブレスト~パリ」を過去に3度完走している。
text:Masahiko.Mifune
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今回もうかれこれ10年近くも使用しているラファから新しいビブショーツが発売されるので、是非使用したコメントを頂きたいということで、梅雨に入る前から使用を開始。雨が多い時期にテストを依頼されるのは、雨だろうが"ヤツは絶対に乗っている"と思われているから。テストライダーとしても評価されているのだろうとポジティブな気持ちで快諾することにしました。
良いのか悪いのか、本当にウェアのテストするには激しい雨の日々でした。
そんな中を、本当に色々な状況下でPro Team Powerweave Bib Shortsを使用しました。一般的な人からしてみれば「そんな環境下での使用は一生ありません!」というようなことも...。
しかしラファの矢野大介さんからは「とにかく使用してほしい」というリクエストだったので、私なりに「日本で一番激しい使用環境で、私の知らない事例はない」というところまで追い込んだ方が良いのだろうと勝手に解釈し、日々通勤から休日のライドまで幅広く、トータルで1500km以上使用してみました。
普段からラファのプロダクツを愛用していますが、個人的に大のお気に入りでもあるPro Team Bibが完成の域に入っていると思っていただけに、今回のPro Team Powerweave Bib Shortsはそれを越えるのか?という半信半疑な気持ちもありました。進化したという触れ込みなのに、使ってみると前のやつの方が良かったなぁ~と言うのはよくある話です。
最初に着用して思ったのは、少しタイトに感じたこと。コンプレッション効果なのか、いつもよりもスッと履けない。最初に履こうとしたとき「あ、オレちょっと太ったか?」と思ったほどです。ワンサイズまでは変わりませんが、履こうとしたとき、脱ごうとしたときにほんのりと小さく感じたのです。
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そして足を通せば生地のコンプレッションは、身にまとっている部分全体に対して均等に感じられました。履く時にはキツかったのに、ペダルを回してみるとキツさを感じないという不思議な感覚に陥ります。冗談みたいですがが、何か他のことを考えながら走っていると、あまりにもビブショーツの圧迫感が少ないため、「え?オレ(ビブショーツを)履いてきたっけ」と、ボケたおじいちゃん状態になることも何度か...。
密着度合いも均一で、少なくとも体にパネルの縫い合わせ部分を感じることもなく(プロチームなども縫い合わせから肌を痛めることはないものの、縫い合わせの刺激は少々感じられる)着用しているというストレスが少ない、軽いという印象でした。
この少しタイトに感じられる感触は、コンプレッション効果を期待しての事なのでしょう。と言うのは、従来のビブよりも脚が下支点より上に上がろうとする時にスムーズで、引っかかるようなイメージなく上支点に到達します。このあたりはレースシーンではもちろんですが、ロングライドでもメリットが出るかと思います。
ちなみに、密着感に関して従来のものとは違う点は、サスペンダー部分の幅を途中切り替えることで肩部分のストレスを緩和していること。ただしこの"ストレス"という言葉はライディングポジションを想定してのことで、ずっと起立状態でいると逆に肩のあたりが引っ張られていることに気づくのです。
ライディングポジションを取ってやると、肩部分の圧力がぐんと下がり、胸部分と背中部分と一般的なビブショーツでは圧力を感じないところへ圧力を逃がし、肩部分の圧力を軽減しているように感じました。
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「PAPHA」のロゴも縫い込んであるのか生地と一体的です。ビジュアルを優先するなら、例え生地がマットでもロゴ自体は光沢のあるラバー系素材を貼り付けてしまうのがいいと思うのですが、この辺りは見栄えよりも機能を最優先したのでしょう。見た目からでもそう解釈させられる部分です。
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PBP(パリ〜ブレスト〜パリ)などの超ロングライドでもPro Team Bibのパッドが好きで愛用していますが、それと比べてもパッドの形状や硬さなどが若干違うのです。少しパッドは厚く感じますが、フワフワと落ち着かない感じではなく、むしろサドルと体の間の隙間を均等に埋めてくれるかのよう。触って感じる厚みは、実際の走行時にはほとんど感じませんでした。
先述した通りひたすら雨の中を走っていたのですが、少し厚く感じる分だけ吸水性も向上しているのか、股ずれなどの症状が出ることはありません。ビブの生地自体に撥水加工が施してあるのか生地に雨があまり浸透していなかったのかもですが、雨でも思っていた以上に不快感は少ないと言えます。
個人的にはラファのビブショーツはシャツのように洒落たイメージで語られることは少なく、ちょっと見落とし気味なのでは?と感じることもあるのですが、実際使ってみると機能的、実用的というところをしっかりとフォーカスしていて、本格的に走るサイクリストでも十分満足いくレベルだと思います。そして今回のPro Team Powerweave Bib Shortsは、今後のビブショーツの進化系として定着していくのかな、と感じる出来栄えでした。
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Rapha Pro Teamパワーウィーブビブショーツ
サイズ:XS - XL
カラー:Blue/Hi-Vis Pink、Black/Black
価格:46,000円(税込)
製品ページ: https://www.rapha.cc/jp/ja/shop/mens-pro-team-powerweave-bib-shorts/pro…
CWスタッフによる登場速報インプレッションはこちらから
Rapha Pro Team Powerweave Bib Shorts 勝つための、最高峰ビブショーツがデビュー
※なお8月11日現在、オンラインストアではXS、S、Mが売り切れているが、Raphaによれば東京と大阪にある実店舗では各種サイズ在庫があるという。再入荷は12月とやや遅れるため、この夏に使いたいユーザーは早めに店舗に足を運んだ方が良さそうだ。
インプレッションライダー:三船雅彦
1995~2002年までヨーロッパのプロチームに所属し、ロンド・ファン・フラーンデレンに日本人として初出場。帰国後はミヤタスバルやマトリックスパワータグでも活躍した元プロレーサー。現在は自転車の普及活動やコーチ、レース解説などを務め、ブルベやシクロクロスレースにも積極的に参戦。世界最高峰のブルベ「パリ~ブレスト~パリ」を過去に3度完走している。
text:Masahiko.Mifune
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