2020/01/05(日) - 18:31
4年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたキャノンデールの「SUPERSIX EVO Hi-Mod」をインプレッション。エアロ化を推し進めたチュービング、ディスクブレーキのケーブル内装に最適化されたコックピット、空力性能を向上させるトータルパッケージによって、さらなる速さを獲得した1台に仕上がる。
SUPERSIX EVOといえば、リクイガスやキャノンデール・ドラパック、EFエデュケーションファーストなど、歴代のキャノンデールサポートチームがあらゆるレースでメインバイクとして使用してきた、同社を代表する1台だ。キャノンデール初のフルカーボンバイクとして2007年にデビューした初代SUPERSIXを始まりとしており、炭素の原子番号6を意味するネーミングはご存知の通り。
2009年にはモノコックフレームとなったSUPERSIX Hi-Modに、さらに2011年には軽量性と剛性に磨きをかけ”エボリューション”の名を与えられたSUPERSIX EVOが誕生した。走りのトータルバランスを高め2015年には第2世代目へとアップデート、そしてさらに4年に歳月を経てマーケットのトレンドを詰め込んだ最新の第3世代へとフルモデルチェンジを果たした。
すべてが完全新設計となったSUPERSIX EVO Hi-Modだが、最も目につくのは前作から大きく姿を変えたエアロフォルムだろう。あらゆるコースに対応させるため奇をてらわないオーソドックスな形状が身上のSUPERSIX EVOだったが、今作では各所にエアロチュービングを採用。CFD解析に基づいて導き出した新しいD型のチューブシェイプを多用しており、重量、剛性、エアロを高次元でバランスさせる。
もはや昨今のパフォーマンスロードには標準的とも言える、コンパクトなリアトライアングルも大きなアップデートポイントだ。シートステーとシートチューブの接合位置を下げることで前方投影面積を減らし、空気抵抗の低減を叶える。加えて、シートチューブ上部の突き出し量が増えることで振動吸収性向上にも貢献している。
スムーズな空気の流れを生み出すインテグレート化も推し進められ、ダウンチューブと一体化したフォーククラウンはもちろん、ケーブルフル内装のための専用コックピットシステムは要注目だ。ハンドルバーから出てきたケーブル類がステム下のカバーと専用のコラムスペーサー内を通り、ヘッドチューブの前側からフレーム内にアクセスする方式となっている。
エアロロードSYSTEMSIXの開発で生み出された内装システムであり、フォークコラムは従来と同じ円形のままで剛性を確保し汎用ステムも使用可能に。ハンドルの高さ調整もしやすく、ケーブルルーティングがハンドリングに影響しない設計となっている。機械式変速の場合、シフトワイヤーはダウンチューブ上部から内装される。
アセンブルされる各種パーツ類は、キャノンデールオリジナルの「HollowGram KNØT」と呼ばれる製品を搭載。ケーブル内装に一役買っているコックピット部分は、アルミ製の”KNØTステム”とカーボン製の”SAVEハンドルバー”を組み合わせた2ピース構造で、一体型ハンドルのようなスマートなルックスと高いフィッティング性を両立した。
扁平させたハンドルバーは空力性能向上にも寄与するほか、上下にしなるカーボンレイアップとすることで路面から受ける振動をカットし上半身の快適性を高めてくれる。また、今作から新たにエアロ形状を取り入れた専用の”KNØT27シートポスト”も採用。細身の形状で軽量化とエアロ効果を高め、かつしなりを生み出すフレックスゾーンを設けることで振動吸収性も強化している。
新型SUPERSIX EVO Hi-Modに合わせて開発された、”HollowGram KNØT45ホイール”もエアロな走りを助長するアイテムだ。オールラウンドに使いやすい45mmハイトのディープリムとされ、ハイスピードな走りに一役買ってくれる。リム内幅は21mmのワイドな設計で、エアボリュームが増すことで優れた乗り心地も生み出している。
モノコック構造のフルカーボンフレームは、今まで同様にバリステックカーボンテクノロジーで作られており、SUPERSIX EVO特有の乗りやすさを生み出す剛性バランスに調整。56サイズでフレーム重量866g(ペイント&スモールパーツ込み)とディスクブレーキモデルとしては非常に軽量に仕上がる。
ジオメトリーも刷新されており、ピュアレーシングなSYSTEMSIXとアップライトなSYNAPSEのちょうど中間に当たるスタック&リーチに設定することで、前作でも好評だったハンドリング性能とスムーズなライドフィールを残しつつ万人が扱いやすいポジションとなるよう工夫されている。
ディスクブレーキはフラットマウントで、標準的な12mmスルーアクスルながら完全に引き抜かなくともホイールを着脱できる「スピードリリース」機構を採用している。タイヤクリアランスは最大30mm幅まで対応。Hi-Modグレード完成車にはPower2Max製のパワーメーターも標準装備される(使用には要課金)。
カーボングレードの異なる「SUPERSIX EVO Hi-Mod」と「SUPERSIX EVO Carbon」の2種類がラインアップ。Hi-Modグレードはディスクブレーキオンリーで、Carbonグレードにのみリムブレーキモデルも用意される。今回のテストバイクはHi-ModグレードのシマノDURA-ACE DI2完成車だ。
― インプレッション
「バランスの取れたオールラウンドのド真ん中をいく1台」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
いやー、やっぱりいいですよねEVOは。走りが抜群に軽い。登りもスイスイだし、軽く回しているだけでどんどんスピードも出るし、乗り心地も良いし、本当にバランスの取れた1台ですよね。EVOの持ち味でもある癖のないニュートラルな感じもバッチリ引き継がれています。個人的にあらゆるバイクの基準となるようなモデルと考えていて、まさにド真ん中をいく乗り味だと思います。
Hi-Modですから多分剛性は相当高いと思うんです。コーナリングにしても狙ったところにビシッと決まりますし。でも乗ってみると不思議と硬さは感じない。速い切り返しや反応性の高さはピカイチですが、その動きに対してライダー側が負けてしまうような扱いにくさがないんです。そこがバランスの良さと感じる部分なんでしょうね。
エアロ形状になったおかげか、スピード維持のしやすさやトップスピードの速さはさらに磨きがかかっています。エアロロードほど明確なエアロ感はないのですが、明らかにスピードの伸びが前作とは段違いで、結果的に「これがエアロの恩恵か」と気付かされますね。EVOらしい登りの軽さはそのままに、プラスでエアロなんですよ、改めて考えるとこれってすごくないですか。
軽くヒラヒラ走ってくれるけど、踏んでいけば次から次へとペダリングが繋がってくれる感覚で、スピードの乗せやすさは抜群に良いです。多分フレームのしなりが上手く効いているんだと思うのですが、乗っている限りあんまりしなり感は受けないんですよね。足への反発も少ない印象で踏みやすく、剛性バランスを上手く作っているなと感心させられます。
乗り心地も明らかに良くなっていて、ドロップドシートステーや新しいシートポストが確実に効いていますね。前作は扁平させたチューブ形状で振動吸収性を高めていましたが、今作はシートチューブをしならせる考え方で、トラクションも良くなるし理にかなっているなと思います。
ホイールも標準装備の45mmハイトくらいが一番オールラウンド感を出してくれるので、EVOとも相性は良くマッチしていると思います。スペックだけ見ればもっと軽いホイールもありますが、エアロや乗り心地のバランスも良くあえて替える必要はないかと。
ケーブルフル内装のコックピットシステムはどうしても頻繁なメンテナンスがしにくいとあって、お店ではバイク購入時にフィッティングを受けることを推奨しています。そうすることでハンドルの高さやステムの長さをバッチリ決めて、そのポジションに合わせてケーブルの長さやコラムの高さをきっちり揃えて美しい状態でお渡しできるんです。専用ステムも各サイズ用意していますし、オフセットゼロのシートポストに交換することも可能です。もちろん、ご要望があればプロ選手のように汎用ステムとハンドルでも組み上げられますよ。
「次なるスタンダードとして君臨する名車」錦織大祐(フォーチュンバイク)
シンプルに良いバイクですよね。軽量でありながら空力性能も捨てず、さらには振動吸収性も良い。昨年ごろから各社のトップグレードはそういったバランスの良いオールラウンダーを目指して開発を進めてきましたが、このバイクもそういった系譜のバランスに優れた一台です。
ただ質量的に軽いわけじゃなく、全ての挙動に羽が生えたかのような軽さがあります。その軽さによって生まれた余力を様々な方向に振り分けることで、全方位に高性能なオールラウンダーに仕上がっていると感じました。
フレームを構成する部材やアセンブルされるパーツ、走行時の様々なシチュエーションにおける反応、どの要素をとっても非の打ち所がない完成度の高さには驚かされました。キャノンデールってこんなにも正統派で剛速球のストレートのようなレーシングバイクを作ることが出来るんだ、と。どこかで独創的なギミックを仕込みたがる変化球が好きなブランドというイメージがありましたからね(笑)
専用ハンドルとステムのクランプ部の独特な設計にはキャノンデールらしさを感じましたが、実際に乗ってみると違和感は微塵もなかったです。ヘッド回りを含めて弱さは全然感じませんでした。コーナーだって思い通りのラインを描けますし、ハードブレーキングにもびくともしません。
登りはもちろん、下りも平坦も有無を言わさない速さで、レース機材として見るならば間違いのない選択となるでしょう。高い剛性を感じさせない味付けで、長距離のライドでも脚へのダメージは最小限で済みそうです。あえて重箱の隅をつつくならば、軽さに起因する部分なのでしょうが、重心が高めでロードインフォメーションを掴みづらい印象がありました。なので、タイヤの空気圧は細かく試してみたほうが良いと思います。
フレーム自体の引き出しが多く、どんな方向性の走り方にも対応してしまうポテンシャルを秘めています。よりディープなホイールを組み合わせて高速レースに出るもよし、超軽量ホイールを履かせてヒルクライム性能に磨きをかけるもよし。ディスクブレーキが定着した新しい世代のロードバイク界における次なるスタンダードとして、長く愛される名車になりそうです。
キャノンデール SUPERSIX EVO Hi-Mod
フレーム:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, 142x12 Speed Release thru-axle, SAVE, PF30a
フォーク:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, SAVE, 12x100mm Speed Release thru-axle
シートポスト:All-New HollowGram 27 SL KNOT, carbon, 2 bolt clamp
ハンドルバー:HollowGram SystemBar SAVE, Carbon, 8 deg. pitch adjust
ステム:All-New HollowGram KNOT, alloy w/ cable cover, -6°
サイズ:48, 51, 54, 56, 58
価格:
シマノDURA-ACE DI2完成車 1,050,000円(税抜)
シマノULTEGRA DI2完成車 795,000円(税抜)
シマノDURA-ACE完成車 720,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 HP
錦織大祐(フォーチュンバイク)
幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際に海外の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードへ20年以上に渡り連続出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
SUPERSIX EVOといえば、リクイガスやキャノンデール・ドラパック、EFエデュケーションファーストなど、歴代のキャノンデールサポートチームがあらゆるレースでメインバイクとして使用してきた、同社を代表する1台だ。キャノンデール初のフルカーボンバイクとして2007年にデビューした初代SUPERSIXを始まりとしており、炭素の原子番号6を意味するネーミングはご存知の通り。
2009年にはモノコックフレームとなったSUPERSIX Hi-Modに、さらに2011年には軽量性と剛性に磨きをかけ”エボリューション”の名を与えられたSUPERSIX EVOが誕生した。走りのトータルバランスを高め2015年には第2世代目へとアップデート、そしてさらに4年に歳月を経てマーケットのトレンドを詰め込んだ最新の第3世代へとフルモデルチェンジを果たした。
すべてが完全新設計となったSUPERSIX EVO Hi-Modだが、最も目につくのは前作から大きく姿を変えたエアロフォルムだろう。あらゆるコースに対応させるため奇をてらわないオーソドックスな形状が身上のSUPERSIX EVOだったが、今作では各所にエアロチュービングを採用。CFD解析に基づいて導き出した新しいD型のチューブシェイプを多用しており、重量、剛性、エアロを高次元でバランスさせる。
もはや昨今のパフォーマンスロードには標準的とも言える、コンパクトなリアトライアングルも大きなアップデートポイントだ。シートステーとシートチューブの接合位置を下げることで前方投影面積を減らし、空気抵抗の低減を叶える。加えて、シートチューブ上部の突き出し量が増えることで振動吸収性向上にも貢献している。
スムーズな空気の流れを生み出すインテグレート化も推し進められ、ダウンチューブと一体化したフォーククラウンはもちろん、ケーブルフル内装のための専用コックピットシステムは要注目だ。ハンドルバーから出てきたケーブル類がステム下のカバーと専用のコラムスペーサー内を通り、ヘッドチューブの前側からフレーム内にアクセスする方式となっている。
エアロロードSYSTEMSIXの開発で生み出された内装システムであり、フォークコラムは従来と同じ円形のままで剛性を確保し汎用ステムも使用可能に。ハンドルの高さ調整もしやすく、ケーブルルーティングがハンドリングに影響しない設計となっている。機械式変速の場合、シフトワイヤーはダウンチューブ上部から内装される。
アセンブルされる各種パーツ類は、キャノンデールオリジナルの「HollowGram KNØT」と呼ばれる製品を搭載。ケーブル内装に一役買っているコックピット部分は、アルミ製の”KNØTステム”とカーボン製の”SAVEハンドルバー”を組み合わせた2ピース構造で、一体型ハンドルのようなスマートなルックスと高いフィッティング性を両立した。
扁平させたハンドルバーは空力性能向上にも寄与するほか、上下にしなるカーボンレイアップとすることで路面から受ける振動をカットし上半身の快適性を高めてくれる。また、今作から新たにエアロ形状を取り入れた専用の”KNØT27シートポスト”も採用。細身の形状で軽量化とエアロ効果を高め、かつしなりを生み出すフレックスゾーンを設けることで振動吸収性も強化している。
新型SUPERSIX EVO Hi-Modに合わせて開発された、”HollowGram KNØT45ホイール”もエアロな走りを助長するアイテムだ。オールラウンドに使いやすい45mmハイトのディープリムとされ、ハイスピードな走りに一役買ってくれる。リム内幅は21mmのワイドな設計で、エアボリュームが増すことで優れた乗り心地も生み出している。
モノコック構造のフルカーボンフレームは、今まで同様にバリステックカーボンテクノロジーで作られており、SUPERSIX EVO特有の乗りやすさを生み出す剛性バランスに調整。56サイズでフレーム重量866g(ペイント&スモールパーツ込み)とディスクブレーキモデルとしては非常に軽量に仕上がる。
ジオメトリーも刷新されており、ピュアレーシングなSYSTEMSIXとアップライトなSYNAPSEのちょうど中間に当たるスタック&リーチに設定することで、前作でも好評だったハンドリング性能とスムーズなライドフィールを残しつつ万人が扱いやすいポジションとなるよう工夫されている。
ディスクブレーキはフラットマウントで、標準的な12mmスルーアクスルながら完全に引き抜かなくともホイールを着脱できる「スピードリリース」機構を採用している。タイヤクリアランスは最大30mm幅まで対応。Hi-Modグレード完成車にはPower2Max製のパワーメーターも標準装備される(使用には要課金)。
カーボングレードの異なる「SUPERSIX EVO Hi-Mod」と「SUPERSIX EVO Carbon」の2種類がラインアップ。Hi-Modグレードはディスクブレーキオンリーで、Carbonグレードにのみリムブレーキモデルも用意される。今回のテストバイクはHi-ModグレードのシマノDURA-ACE DI2完成車だ。
― インプレッション
「バランスの取れたオールラウンドのド真ん中をいく1台」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
いやー、やっぱりいいですよねEVOは。走りが抜群に軽い。登りもスイスイだし、軽く回しているだけでどんどんスピードも出るし、乗り心地も良いし、本当にバランスの取れた1台ですよね。EVOの持ち味でもある癖のないニュートラルな感じもバッチリ引き継がれています。個人的にあらゆるバイクの基準となるようなモデルと考えていて、まさにド真ん中をいく乗り味だと思います。
Hi-Modですから多分剛性は相当高いと思うんです。コーナリングにしても狙ったところにビシッと決まりますし。でも乗ってみると不思議と硬さは感じない。速い切り返しや反応性の高さはピカイチですが、その動きに対してライダー側が負けてしまうような扱いにくさがないんです。そこがバランスの良さと感じる部分なんでしょうね。
エアロ形状になったおかげか、スピード維持のしやすさやトップスピードの速さはさらに磨きがかかっています。エアロロードほど明確なエアロ感はないのですが、明らかにスピードの伸びが前作とは段違いで、結果的に「これがエアロの恩恵か」と気付かされますね。EVOらしい登りの軽さはそのままに、プラスでエアロなんですよ、改めて考えるとこれってすごくないですか。
軽くヒラヒラ走ってくれるけど、踏んでいけば次から次へとペダリングが繋がってくれる感覚で、スピードの乗せやすさは抜群に良いです。多分フレームのしなりが上手く効いているんだと思うのですが、乗っている限りあんまりしなり感は受けないんですよね。足への反発も少ない印象で踏みやすく、剛性バランスを上手く作っているなと感心させられます。
乗り心地も明らかに良くなっていて、ドロップドシートステーや新しいシートポストが確実に効いていますね。前作は扁平させたチューブ形状で振動吸収性を高めていましたが、今作はシートチューブをしならせる考え方で、トラクションも良くなるし理にかなっているなと思います。
ホイールも標準装備の45mmハイトくらいが一番オールラウンド感を出してくれるので、EVOとも相性は良くマッチしていると思います。スペックだけ見ればもっと軽いホイールもありますが、エアロや乗り心地のバランスも良くあえて替える必要はないかと。
ケーブルフル内装のコックピットシステムはどうしても頻繁なメンテナンスがしにくいとあって、お店ではバイク購入時にフィッティングを受けることを推奨しています。そうすることでハンドルの高さやステムの長さをバッチリ決めて、そのポジションに合わせてケーブルの長さやコラムの高さをきっちり揃えて美しい状態でお渡しできるんです。専用ステムも各サイズ用意していますし、オフセットゼロのシートポストに交換することも可能です。もちろん、ご要望があればプロ選手のように汎用ステムとハンドルでも組み上げられますよ。
「次なるスタンダードとして君臨する名車」錦織大祐(フォーチュンバイク)
シンプルに良いバイクですよね。軽量でありながら空力性能も捨てず、さらには振動吸収性も良い。昨年ごろから各社のトップグレードはそういったバランスの良いオールラウンダーを目指して開発を進めてきましたが、このバイクもそういった系譜のバランスに優れた一台です。
ただ質量的に軽いわけじゃなく、全ての挙動に羽が生えたかのような軽さがあります。その軽さによって生まれた余力を様々な方向に振り分けることで、全方位に高性能なオールラウンダーに仕上がっていると感じました。
フレームを構成する部材やアセンブルされるパーツ、走行時の様々なシチュエーションにおける反応、どの要素をとっても非の打ち所がない完成度の高さには驚かされました。キャノンデールってこんなにも正統派で剛速球のストレートのようなレーシングバイクを作ることが出来るんだ、と。どこかで独創的なギミックを仕込みたがる変化球が好きなブランドというイメージがありましたからね(笑)
専用ハンドルとステムのクランプ部の独特な設計にはキャノンデールらしさを感じましたが、実際に乗ってみると違和感は微塵もなかったです。ヘッド回りを含めて弱さは全然感じませんでした。コーナーだって思い通りのラインを描けますし、ハードブレーキングにもびくともしません。
登りはもちろん、下りも平坦も有無を言わさない速さで、レース機材として見るならば間違いのない選択となるでしょう。高い剛性を感じさせない味付けで、長距離のライドでも脚へのダメージは最小限で済みそうです。あえて重箱の隅をつつくならば、軽さに起因する部分なのでしょうが、重心が高めでロードインフォメーションを掴みづらい印象がありました。なので、タイヤの空気圧は細かく試してみたほうが良いと思います。
フレーム自体の引き出しが多く、どんな方向性の走り方にも対応してしまうポテンシャルを秘めています。よりディープなホイールを組み合わせて高速レースに出るもよし、超軽量ホイールを履かせてヒルクライム性能に磨きをかけるもよし。ディスクブレーキが定着した新しい世代のロードバイク界における次なるスタンダードとして、長く愛される名車になりそうです。
キャノンデール SUPERSIX EVO Hi-Mod
フレーム:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, 142x12 Speed Release thru-axle, SAVE, PF30a
フォーク:All-New, BallisTec Hi-MOD Carbon, SAVE, 12x100mm Speed Release thru-axle
シートポスト:All-New HollowGram 27 SL KNOT, carbon, 2 bolt clamp
ハンドルバー:HollowGram SystemBar SAVE, Carbon, 8 deg. pitch adjust
ステム:All-New HollowGram KNOT, alloy w/ cable cover, -6°
サイズ:48, 51, 54, 56, 58
価格:
シマノDURA-ACE DI2完成車 1,050,000円(税抜)
シマノULTEGRA DI2完成車 795,000円(税抜)
シマノDURA-ACE完成車 720,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 HP
錦織大祐(フォーチュンバイク)
幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際に海外の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードへ20年以上に渡り連続出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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