2019/12/02(月) - 11:58
ツール・ド・おきなわのコースを清掃するロードクリーン活動がレース翌日に実施された。シマノレーシングの選手たちと一緒にコースを走りながら、レース中に捨てられたボトルやゴミ拾いを行い、環境美化に貢献するというもの。果たして、どれだけのゴミが収集できたのか?
ロードレースの祭典ツール・ド・おきなわ。5,000人以上の選手たちがやんばる地方で熱戦を繰り広げた翌日、そのコース上に捨てられたボトルやゴミなどを拾おうという「ロードクリーン作戦」が行われた。企画したのはツール・ド・おきなわ実行委員長の森兵次さん。そしてシマノレーシングが企画に賛同、5人のレース出場選手全員と野寺秀徳監督およびスタッフが参加することに。
大会HPなどウェブで一般参加者の募集が呼びかけられたら、それに真っ先に反応して参加を表明してくれたのが内間康平選手(チーム右京)、元シマノレーシング出身選手の阿部良之さん(Abenova)ら。そして市民レースやサイクリングを走った一般参加者の皆さんも参加してくれた。大会翌日の朝9時、コース沿いの大宜味村・結の浜公園にボランティア参加者&スタッフが集まった。
余談だが、ツール・ド・おきなわは選手にとってはシーズン最後のレース。レース終了と同時にオフシーズンに入るため、レース後は打ち上げと長らく続けてきた厳しい食事制限を解く時でもある。前夜の打ち上げ宴会もほどほどに、二日酔いで寝坊したりせずに参加してくれるのはとてもありがたいことだ。
シマノレーシングは入部正太朗選手が全日本チャンピオンジャージで参加。そして過去に2度の日本チャンピオンの経験のある野寺監督がかつてのスキル・シマノ時代の全日本ジャージを着用して登場、入部選手との優勝記念撮影を行った。そこで阿部良之さんも「マペイGB時代の日本チャンプジャージを持ってくればよかった!」と後悔(笑) 。楽しげな雰囲気のなか会は始まった。
まずは森会長から挨拶。「ツール・ド・おきなわは道路を封鎖して開催されていますが、選手たちが捨てたボトル、サプリメントの空袋などが図らずも路上に捨てられている状況です。それらを毎年、シルバー人材センターに依頼して大会翌日に清掃を行っているのですが、今回は私たちが清掃する沿道は手を付けないようにしてもらいました。やんばる地方は国立公園に指定されていますが、ユネスコ世界自然遺産への登録を目指していて、それが実現すればツール・ド・おきなわは”世界遺産を走るロードレースになります。自然保護や環境保全につとめながら自転車レースをするのは、とても意義あることです」。
大宜味村の宮城村長も登場。大宜味には新しい道の駅ができ、周辺での自転車による観光も促進、サイクリストの合宿なども受け入れていきたいと考えているとのこと。ここ大宜味村の111周年にあたり、ちょうど11月11日のこの日、11時11分に式典も開催されるという。
参加者たちにはサコッシュ的な収集袋が手渡され、これを背中に走りながらゴミを集めようということに。スタート地点は塩屋湾から東海岸に移動して、東村の平良あたりから活動を開始し、東海岸沿いに慶佐次補給所の先あたりまでがエリア。ハブに気をつけながらの活動開始だ。
徐行しつつ、レースコース沿道に落ちているボトルやゴミを探しながら走る。一応のルールとして、一般的なゴミまで拾っているとキリが無くなってしまいそうなので、自転車に関する「レース中に出た補給食のゴミや投げ捨てられたボトルに限定しよう」ということになった。
さて、いったどれぐらいのボトルやゴミが捨てられているのだろう? 初めての企画なので、誰にも予測がつかない。
一列になってゆっくり走りながらゴミを探す。意外にゴミを見つけるのは難しいし、あっても先頭を行く人が拾ってしまう。そのうち反対車線側や、道の脇の草むらまで範囲に含めないと「収穫物」はたくさんは無いことに気づく。ボトルは時々見つかるが、見つけた人は「ラッキー!」という感じになってきた。それぐらい、ボトルを見つけるのは稀だ。
東村の海岸沿いから(レースの勝負どころの)アップダウンへ。そのうち「厳しい坂が始まるポイントにはボトルが落ちている」という法則に気づくようになる。つまり坂を登る前に軽量化のためにボトルを捨てたくなるというのが人情だ。そんなポイント周辺で草むらに分け入ってみれば、数年前のデザインの大会ボトル(補給所で渡してもらえる公式ボトル)が落ちていることも。
そして、ジェルなどの補給食のパッケージの殻はときどき見つかる。本体こそ少ないが、目を凝らせばパッケージの切れ端はよく目にする。ジェルを食べようとしてちぎって空けた際のパッケージの切れ端を、つい落としてしまうのだろう。
この日は15km、2時間ほど活動して集めたゴミを収集し、皆で成果を吟味する。自転車のボトルは合計で16本。過去の大会のボトルも含むから、個人的な感想になるが、予想よりも少なく、ひいてはレース参加者のマナーの良さを反映した結果になったと思う。一方、一般ごみやドリンクの空き缶はビニール袋で数個分となり、全体としてはコース沿道の清掃にも一役買ったと思う。
思ったより拾えたボトルが少なかったとしても、やはりレース参加者の中に捨てている人が居るのは事実。昨今はツール・ド・フランスなど世界のトップレースでもボトルやゴミの投げ捨ては禁止となっていて、指定場所以外で捨てた場合はペナルティ対象にもなる。今回のこの運動が、レース参加者たちの意識の啓蒙やマナー向上の一助になればいいと思う。
近いうちの世界自然遺産登録を目指しているやんばる地域は、その在り方を問われており、ひいてはやんばる一帯を舞台にしたツール・ド・おきなわ自体がその在り方を問われているとも言える。参加する皆が、レースを走る際にそのことを頭の片隅に思い出してもらえればと思う。
いいことをした後は気分もいい。活動を終えた東海岸から西海岸へと戻り、国道58号線(レースコース)沿いの「やんばる横丁」で皆でランチバイキングをいただきつつ、楽しいひと時を過ごした。ツール・ド・おきなわ協会からは、後日ボランティア活動証明書&感謝状が届いた。この活動は来年以降も継続開催したいとのことだ。
photo&text:Makoto.AYANO
ロードレースの祭典ツール・ド・おきなわ。5,000人以上の選手たちがやんばる地方で熱戦を繰り広げた翌日、そのコース上に捨てられたボトルやゴミなどを拾おうという「ロードクリーン作戦」が行われた。企画したのはツール・ド・おきなわ実行委員長の森兵次さん。そしてシマノレーシングが企画に賛同、5人のレース出場選手全員と野寺秀徳監督およびスタッフが参加することに。
大会HPなどウェブで一般参加者の募集が呼びかけられたら、それに真っ先に反応して参加を表明してくれたのが内間康平選手(チーム右京)、元シマノレーシング出身選手の阿部良之さん(Abenova)ら。そして市民レースやサイクリングを走った一般参加者の皆さんも参加してくれた。大会翌日の朝9時、コース沿いの大宜味村・結の浜公園にボランティア参加者&スタッフが集まった。
余談だが、ツール・ド・おきなわは選手にとってはシーズン最後のレース。レース終了と同時にオフシーズンに入るため、レース後は打ち上げと長らく続けてきた厳しい食事制限を解く時でもある。前夜の打ち上げ宴会もほどほどに、二日酔いで寝坊したりせずに参加してくれるのはとてもありがたいことだ。
シマノレーシングは入部正太朗選手が全日本チャンピオンジャージで参加。そして過去に2度の日本チャンピオンの経験のある野寺監督がかつてのスキル・シマノ時代の全日本ジャージを着用して登場、入部選手との優勝記念撮影を行った。そこで阿部良之さんも「マペイGB時代の日本チャンプジャージを持ってくればよかった!」と後悔(笑) 。楽しげな雰囲気のなか会は始まった。
まずは森会長から挨拶。「ツール・ド・おきなわは道路を封鎖して開催されていますが、選手たちが捨てたボトル、サプリメントの空袋などが図らずも路上に捨てられている状況です。それらを毎年、シルバー人材センターに依頼して大会翌日に清掃を行っているのですが、今回は私たちが清掃する沿道は手を付けないようにしてもらいました。やんばる地方は国立公園に指定されていますが、ユネスコ世界自然遺産への登録を目指していて、それが実現すればツール・ド・おきなわは”世界遺産を走るロードレースになります。自然保護や環境保全につとめながら自転車レースをするのは、とても意義あることです」。
大宜味村の宮城村長も登場。大宜味には新しい道の駅ができ、周辺での自転車による観光も促進、サイクリストの合宿なども受け入れていきたいと考えているとのこと。ここ大宜味村の111周年にあたり、ちょうど11月11日のこの日、11時11分に式典も開催されるという。
参加者たちにはサコッシュ的な収集袋が手渡され、これを背中に走りながらゴミを集めようということに。スタート地点は塩屋湾から東海岸に移動して、東村の平良あたりから活動を開始し、東海岸沿いに慶佐次補給所の先あたりまでがエリア。ハブに気をつけながらの活動開始だ。
徐行しつつ、レースコース沿道に落ちているボトルやゴミを探しながら走る。一応のルールとして、一般的なゴミまで拾っているとキリが無くなってしまいそうなので、自転車に関する「レース中に出た補給食のゴミや投げ捨てられたボトルに限定しよう」ということになった。
さて、いったどれぐらいのボトルやゴミが捨てられているのだろう? 初めての企画なので、誰にも予測がつかない。
一列になってゆっくり走りながらゴミを探す。意外にゴミを見つけるのは難しいし、あっても先頭を行く人が拾ってしまう。そのうち反対車線側や、道の脇の草むらまで範囲に含めないと「収穫物」はたくさんは無いことに気づく。ボトルは時々見つかるが、見つけた人は「ラッキー!」という感じになってきた。それぐらい、ボトルを見つけるのは稀だ。
東村の海岸沿いから(レースの勝負どころの)アップダウンへ。そのうち「厳しい坂が始まるポイントにはボトルが落ちている」という法則に気づくようになる。つまり坂を登る前に軽量化のためにボトルを捨てたくなるというのが人情だ。そんなポイント周辺で草むらに分け入ってみれば、数年前のデザインの大会ボトル(補給所で渡してもらえる公式ボトル)が落ちていることも。
そして、ジェルなどの補給食のパッケージの殻はときどき見つかる。本体こそ少ないが、目を凝らせばパッケージの切れ端はよく目にする。ジェルを食べようとしてちぎって空けた際のパッケージの切れ端を、つい落としてしまうのだろう。
この日は15km、2時間ほど活動して集めたゴミを収集し、皆で成果を吟味する。自転車のボトルは合計で16本。過去の大会のボトルも含むから、個人的な感想になるが、予想よりも少なく、ひいてはレース参加者のマナーの良さを反映した結果になったと思う。一方、一般ごみやドリンクの空き缶はビニール袋で数個分となり、全体としてはコース沿道の清掃にも一役買ったと思う。
思ったより拾えたボトルが少なかったとしても、やはりレース参加者の中に捨てている人が居るのは事実。昨今はツール・ド・フランスなど世界のトップレースでもボトルやゴミの投げ捨ては禁止となっていて、指定場所以外で捨てた場合はペナルティ対象にもなる。今回のこの運動が、レース参加者たちの意識の啓蒙やマナー向上の一助になればいいと思う。
近いうちの世界自然遺産登録を目指しているやんばる地域は、その在り方を問われており、ひいてはやんばる一帯を舞台にしたツール・ド・おきなわ自体がその在り方を問われているとも言える。参加する皆が、レースを走る際にそのことを頭の片隅に思い出してもらえればと思う。
いいことをした後は気分もいい。活動を終えた東海岸から西海岸へと戻り、国道58号線(レースコース)沿いの「やんばる横丁」で皆でランチバイキングをいただきつつ、楽しいひと時を過ごした。ツール・ド・おきなわ協会からは、後日ボランティア活動証明書&感謝状が届いた。この活動は来年以降も継続開催したいとのことだ。
photo&text:Makoto.AYANO
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