2019/11/23(土) - 19:27
10年目のRaphaスーパークロス野辺山は重馬場の泥コンディション。2017年にこの場所で全日本王者に輝いた今井美穂(CO2bicycle)が女子レースを圧倒し、男子ジュニアでは村上裕二郎(松山工業高校)が勝利した。
エリート女子:今井美穂(CO2bicycle)が圧勝
日本のシクロクロスブームの火付け役として、そして牽引役として盛り上げに貢献してきたRaphaスーパークロス野辺山は記念すべき10周年。今年は2日目日曜日がグラベルレース/イベントに切り替わったが、本懐たるシクロクロスレースは大きなUCIポイントや賞金額が懸けられるUCIクラス1のまま。今年も日本のトップ選手はもちろん、アメリカやオーストラリア、チェコなど5カ国から選手が集い、ハイレベルなレースが繰り広げられた。
前日からの雨によって、久々の泥コースが登場した滝沢牧場の特設コース。午前中の一般カテゴリーよりも泥の水分が飛んだものの、それによって粘度が上がり、より踏み抜く力を選手たちに要求した。特にS字コーナーが連続するピット裏の牧場区間は一つラインを間違えれば順位が大きく変わるポイントとなった。
45分間の女子エリートレースでは、スタート直後から今井美穂(CO2bicycle)や全日本王者の松本璃奈(TEAM SCOTT)、テイラー・ホワイト(アメリカ、Richard Sachs Cyclocross)らが先行。例年好勝負を繰り広げてきたスクゥイッド勢不在の中、すぐさま「大好きな野辺山のレース。もちろん優勝は狙っていましたが、気負うことなく今自分ができることをしっかり出し切ろうと思っていました」と言う今井が後続を引き離した。
昨年落車したコース奥の溝を降車でクリアし、スムーズかつパワフルな走りでリードを積み上げる今井。2017年に初の全日本タイトルを確保した野辺山を舞台に、その走りは冴え渡った。
一方苦戦を強いられたのが、今井とMTBの東京五輪出場枠を争う松本だった。2番手で1周目の泥区間で落車した後はリズムを取り戻せず失速。「去年あれだけ走れたのに、今年はうまくリズムを掴めずにいます。どこかできっかけを掴めればいいのですが」と言う松本はホワイトや赤松綾(SimWorks Racing)にもパスされ、この日を4位で終えることになる。レース後は目に溢れる涙を隠せなかった。
フィニッシュまで淡々とハイペースを刻んだ今井が、得意の野辺山で(全日本選手権を除く)初勝利を達成。従来海外勢に奪われてきた表彰台の頂点を射止めた。2位は「初めての海外遠征で、こんなにも暖かいホスピタリティで迎えてくれた最高のイベント。一度レッドゾーンに達してしまったけれど、その後は自分のペースで淡々を走りきることができた。最高の経験だった」と言うホワイト。ホワイトを追い詰めながらもパンクで後退を強いられた赤松が、自身も驚く3位表彰台を射止めた。
優勝した今井は、東京五輪(MTB)のただ一つ設定された出場枠を確定させるために、今季シクロクロスシーズンはこの野辺山で区切りをつけると言う。今後は仕事の合間を見つけながら海外遠征を重ね、UCIポイント加算を狙っていく。現在ランキング2位で、シクロクロス全日本選手権にも出場予定という松本との差は239ポイントだ。
ジュニア男子:村上裕二郎(松山工業高校)が勝利
マスターズの1分先にスタートしたUCI男子ジュニアレースでは、松本駿の息子であり、松本璃奈の弟である松本一成(TEAM SCOTT)が序盤からリードを奪うも、2周目の泥区間で、粘着質の泥に前輪を取られて前転。「あちこち激しく打ち付けてしまったので呼吸も苦しく、バイクも各部がおかしくなってしまった」と言う松本をパスしたのが村上功太郎(松山大学)の弟である村上裕二郎(松山工業高校)だった。
「テクニック的には他選手に劣ってしまうのですが、その分平坦区間では踏めるだけ踏みました」と言う村上は、ペースを取り戻した松本や、3番手を走る中島渉(TRIGON with KURE/BOUNE)を大きく引き離して勝利。目標に見据える全日本選手権に向けて弾みを付けた。
男子エリートレース、一般レースの模様は別レポートで紹介します。
エリート女子:今井美穂(CO2bicycle)が圧勝
日本のシクロクロスブームの火付け役として、そして牽引役として盛り上げに貢献してきたRaphaスーパークロス野辺山は記念すべき10周年。今年は2日目日曜日がグラベルレース/イベントに切り替わったが、本懐たるシクロクロスレースは大きなUCIポイントや賞金額が懸けられるUCIクラス1のまま。今年も日本のトップ選手はもちろん、アメリカやオーストラリア、チェコなど5カ国から選手が集い、ハイレベルなレースが繰り広げられた。
前日からの雨によって、久々の泥コースが登場した滝沢牧場の特設コース。午前中の一般カテゴリーよりも泥の水分が飛んだものの、それによって粘度が上がり、より踏み抜く力を選手たちに要求した。特にS字コーナーが連続するピット裏の牧場区間は一つラインを間違えれば順位が大きく変わるポイントとなった。
45分間の女子エリートレースでは、スタート直後から今井美穂(CO2bicycle)や全日本王者の松本璃奈(TEAM SCOTT)、テイラー・ホワイト(アメリカ、Richard Sachs Cyclocross)らが先行。例年好勝負を繰り広げてきたスクゥイッド勢不在の中、すぐさま「大好きな野辺山のレース。もちろん優勝は狙っていましたが、気負うことなく今自分ができることをしっかり出し切ろうと思っていました」と言う今井が後続を引き離した。
昨年落車したコース奥の溝を降車でクリアし、スムーズかつパワフルな走りでリードを積み上げる今井。2017年に初の全日本タイトルを確保した野辺山を舞台に、その走りは冴え渡った。
一方苦戦を強いられたのが、今井とMTBの東京五輪出場枠を争う松本だった。2番手で1周目の泥区間で落車した後はリズムを取り戻せず失速。「去年あれだけ走れたのに、今年はうまくリズムを掴めずにいます。どこかできっかけを掴めればいいのですが」と言う松本はホワイトや赤松綾(SimWorks Racing)にもパスされ、この日を4位で終えることになる。レース後は目に溢れる涙を隠せなかった。
フィニッシュまで淡々とハイペースを刻んだ今井が、得意の野辺山で(全日本選手権を除く)初勝利を達成。従来海外勢に奪われてきた表彰台の頂点を射止めた。2位は「初めての海外遠征で、こんなにも暖かいホスピタリティで迎えてくれた最高のイベント。一度レッドゾーンに達してしまったけれど、その後は自分のペースで淡々を走りきることができた。最高の経験だった」と言うホワイト。ホワイトを追い詰めながらもパンクで後退を強いられた赤松が、自身も驚く3位表彰台を射止めた。
優勝した今井は、東京五輪(MTB)のただ一つ設定された出場枠を確定させるために、今季シクロクロスシーズンはこの野辺山で区切りをつけると言う。今後は仕事の合間を見つけながら海外遠征を重ね、UCIポイント加算を狙っていく。現在ランキング2位で、シクロクロス全日本選手権にも出場予定という松本との差は239ポイントだ。
ジュニア男子:村上裕二郎(松山工業高校)が勝利
マスターズの1分先にスタートしたUCI男子ジュニアレースでは、松本駿の息子であり、松本璃奈の弟である松本一成(TEAM SCOTT)が序盤からリードを奪うも、2周目の泥区間で、粘着質の泥に前輪を取られて前転。「あちこち激しく打ち付けてしまったので呼吸も苦しく、バイクも各部がおかしくなってしまった」と言う松本をパスしたのが村上功太郎(松山大学)の弟である村上裕二郎(松山工業高校)だった。
「テクニック的には他選手に劣ってしまうのですが、その分平坦区間では踏めるだけ踏みました」と言う村上は、ペースを取り戻した松本や、3番手を走る中島渉(TRIGON with KURE/BOUNE)を大きく引き離して勝利。目標に見据える全日本選手権に向けて弾みを付けた。
男子エリートレース、一般レースの模様は別レポートで紹介します。
UCI女子エリート結果
1位 | 今井美穂(CO2bicycle) | 41:28 |
2位 | テイラー・ホワイト(アメリカ、Richard Sachs Cyclocross) | +1’04” |
3位 | 赤松綾(SimWorks Racing) | +1’37” |
4位 | 松本璃奈(TEAM SCOTT) | +2’20” |
5位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +2’29” |
6位 | 渡部春雅(駒澤大学高等学校) | +3’12” |
7位 | 鵜飼知春(八ヶ岳CYCLOCROSSCLUB) | +3’46” |
8位 | 西山みゆき(東洋フレーム) | +3’47” |
9位 | 平田千枝(Club La.sista Offroad Team) | +3’48” |
10位 | 望月 美和子(SAGISAKA) | +4’13” |
UCI男子ジュニア結果
1位 | 村上裕二郎(松山工業高校) | 37:35 |
2位 | 松本一成(TEAM SCOTT) | 38:54 |
3位 | 中島渉(TRIGON with KURE/BOUNE) | 39:04 |
4位 | 大谷玄真(榛生昇陽高校) | 40:20 |
5位 | 高本亮太(Lmited TEAM 846) | 42:27 |
Text:So.Isobe
Photo:Kei.Tsuji
Photo:Kei.Tsuji
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