2019/10/27(日) - 23:04
今年で7回目の開催を数えるツール・ド・フランスさいたまクリテリウムがさいたま新都心周辺で開催。ラスト1周で独走を決めた新城幸也が逃げ切ってエガン・ベルナルとプリモシュ・ログリッチェを下し、日本人初となる優勝を決めた。
午後にかけて雨の心配があるなか開催されたツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2019。今年で7回目を数える大会は今年もさいたま新都心駅周辺の3.5kmの周回コースで開催された。今年もチームイネオス、アージェードゥゼール ラ・モンディアル、チーム ユンボ・ヴィスマ、ミッチェルトン・スコット、アスタナらワールドツアーチームが招聘され、ツール・ド・フランスで活躍したスター選手たちが顔を揃えた。当初予定されていた前回覇者アレハンドロ・バルベルデの出場は病気のため取り止めになり、モビスターに代わってにユンボ・ヴィスマの4人の選手が急遽来日することに。
総合優勝者エガン・ベルナル(チームイネオス)はマイヨジョーヌを着て登場。ロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)は山岳賞のマイヨアポア、そしてブエルタ・ア・エスパーニャ覇者プリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・ヴィスマ)はマイヨロホを着ての登場。そして引退したマルセル・キッテルは大会アンバサダーとして登壇。いずれもファンたちの大喝采を浴びた。
まずメインレースに先駆けて行われたチームタイムトライアルレースではシマノレーシングが優勝 。続くスプリントレースでも黒枝咲哉(シマノレーシング)が優勝し、シマノレーシングが幸先のいいスタートを切る。クリテリウムドーフィネの試走中の落車による大怪我でツール・ド・フランスを欠場しリハビリを続けていたクリス・フルーム(チームイネオス)もチームタイムトライアルを走り、大観衆の前で見事な回復ぶりを披露した。
そして心配した雨は降ることなく、強い西陽の差すなかメインイベントであるクリテリウムメインレースが14時50分にスタート。レースは3.5kmコースを17周する59.5km。フルームはまだリハビリ途上のため出走を見送った。
1周目から9人の逃げが形成される。メンバーは以下のとおり。
ロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
ヤコブ・フルサング(アスタナ)
マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
橋本英也(ブリヂストンサイクリング)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
安原大貴(マトリックスパワータグ)
畑中 勇介(チーム右京)
中村龍吉(中央大学)
集団が容認したことで9人の逃げグループは順調に差を開き、安定したタイム差をもって周回を重ねる。途中3回の山岳賞ポイントをすべて逃げグループに入ったロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)が獲得。そして途中3回のスプリントポイントはすべてマッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)が獲得している。
メイン集団はユンボ・ヴィスマとチームイネオスが先頭に出てペースをコントロール。中村龍吉が脱落した8人の逃げグループは13周目まで逃げ続けた。そしてメイン集団が逃げの8人を捕らえたところで新城幸也(バーレーン・メリダ/ツール・ド・フランスジャパンライダー)、ルカ・メスゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームイネオス)、内間康平(チーム右京)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥゼール ラ・モンディアル)の6人のカウンターアタックが決まる。
勝負が決まるアタックだとみた後方メイン集団からはエガン・ベルナルとプリモシュ・ログリッチェ、ロメン・バルデがブリッジをかけ追いつく。こうしてマイヨジョーヌ、マイヨロホ、マイヨアポア、そして新城幸也を含む豪華メンバーの逃げグループが形成される。最初から逃げていたフルサングは再びこの逃げグループに入り込んだ。
残り2周となりフルサングと新城が逃げ集団からの抜け出しに成功する。さいたま新都心駅と線路をくぐる地下通路のトンネルを抜けてホームストレートに入った2人だが、ジャンのなるスタート/フィニッシュラインを通過するその時、新城が先頭交代のタイミングでフルサングを引き離し、独走に持ち込んだ。
後方ではベルナルとログリッチェがランデブーで追走に入り、フルサングをパスして新城の背中を追う。しかし新城は大歓声の中そのまま1周を独走し、逃げ切りに成功した。トンネルを出て後方を振り返ってマイヨジョーヌとマイヨロホが届かないことを確認すると、大きく両手を広げて歓喜の表情でフィニッシュ。7回大会にして初めての日本人勝者となった。
新城幸也のコメント
「ベルナルとログリッチェの前でフィニッシュ、勝てたことは本当に嬉しい。以前日本で勝ったのはたぶん2016年(TOJ修善寺)。今年の全日本選手権も2位だったし、今日勝てたことは本当に嬉しい」「まだちょっとドキドキしています。あの大声援の中を一周逃げ切った形ですけど、皆さんの応援で、そのまま自分もドキドキしっぱなしでゴールまで駆け抜けました。7回目のさいたまクリテリウムで、日本人として初めて優勝できたことを本当に誇りに思います。何を言っていいのか分かりませんが、そんな気持ちです。とにかく、とてもうれしいです。」
残り1周での単独の逃げ出しは勇気が必要だったと思うが?という質問に対しては「フグルサングと飛び出して、彼が登りを引いてくれて、後ろをみたときに、二人(ベルナルとログリッチェ)が飛んできているのが見えました。先導を交代するタイミングで出たので、行こうと決めたというよりは、身体が勝手にそのまま前に行かなきゃという感覚的なものでした。後悔したのはその後ですね。『ああ、(フィニッシュまでは)遠かった...』という」。
「いつも日本で走るレースは特別で、普段はヨーロッパのレースを走っていますが、いつも日本の皆さんはテレビで応援してくれていて、目の前でも本当に応援してくれるので、すべての大会で頑張りたいんです」。
ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2019 主要リザルト
チームタイムトライアルレース
優勝 シマノレーシング
スプリントレース
優勝 黒枝 咲哉(シマノレーシング)
クリテリウムメインレース
1位 新城 幸也(ツール・ド・フランスジャパンライダー)
2位 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
3位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、チーム ユンボ・ヴィスマ)
4位 ルカ・メスゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)
5位 内間康平(チーム右京)
6位 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
7位 ロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
9位 オリバー・ナーセン(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
10位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームイネオス)
ポイント賞 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
山岳賞 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
敢闘賞 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
新人賞 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
チーム賞 ミッチェルトン・スコット
日本人チーム賞 チーム右京
text:Makoto AYANO
photo:Makoto AYANO,Kei.Tsuji,Satoru.Kato
午後にかけて雨の心配があるなか開催されたツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2019。今年で7回目を数える大会は今年もさいたま新都心駅周辺の3.5kmの周回コースで開催された。今年もチームイネオス、アージェードゥゼール ラ・モンディアル、チーム ユンボ・ヴィスマ、ミッチェルトン・スコット、アスタナらワールドツアーチームが招聘され、ツール・ド・フランスで活躍したスター選手たちが顔を揃えた。当初予定されていた前回覇者アレハンドロ・バルベルデの出場は病気のため取り止めになり、モビスターに代わってにユンボ・ヴィスマの4人の選手が急遽来日することに。
総合優勝者エガン・ベルナル(チームイネオス)はマイヨジョーヌを着て登場。ロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)は山岳賞のマイヨアポア、そしてブエルタ・ア・エスパーニャ覇者プリモシュ・ログリッチェ(ユンボ・ヴィスマ)はマイヨロホを着ての登場。そして引退したマルセル・キッテルは大会アンバサダーとして登壇。いずれもファンたちの大喝采を浴びた。
まずメインレースに先駆けて行われたチームタイムトライアルレースではシマノレーシングが優勝 。続くスプリントレースでも黒枝咲哉(シマノレーシング)が優勝し、シマノレーシングが幸先のいいスタートを切る。クリテリウムドーフィネの試走中の落車による大怪我でツール・ド・フランスを欠場しリハビリを続けていたクリス・フルーム(チームイネオス)もチームタイムトライアルを走り、大観衆の前で見事な回復ぶりを披露した。
そして心配した雨は降ることなく、強い西陽の差すなかメインイベントであるクリテリウムメインレースが14時50分にスタート。レースは3.5kmコースを17周する59.5km。フルームはまだリハビリ途上のため出走を見送った。
1周目から9人の逃げが形成される。メンバーは以下のとおり。
ロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
ヤコブ・フルサング(アスタナ)
マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)
橋本英也(ブリヂストンサイクリング)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
安原大貴(マトリックスパワータグ)
畑中 勇介(チーム右京)
中村龍吉(中央大学)
集団が容認したことで9人の逃げグループは順調に差を開き、安定したタイム差をもって周回を重ねる。途中3回の山岳賞ポイントをすべて逃げグループに入ったロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)が獲得。そして途中3回のスプリントポイントはすべてマッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット)が獲得している。
メイン集団はユンボ・ヴィスマとチームイネオスが先頭に出てペースをコントロール。中村龍吉が脱落した8人の逃げグループは13周目まで逃げ続けた。そしてメイン集団が逃げの8人を捕らえたところで新城幸也(バーレーン・メリダ/ツール・ド・フランスジャパンライダー)、ルカ・メスゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームイネオス)、内間康平(チーム右京)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥゼール ラ・モンディアル)の6人のカウンターアタックが決まる。
勝負が決まるアタックだとみた後方メイン集団からはエガン・ベルナルとプリモシュ・ログリッチェ、ロメン・バルデがブリッジをかけ追いつく。こうしてマイヨジョーヌ、マイヨロホ、マイヨアポア、そして新城幸也を含む豪華メンバーの逃げグループが形成される。最初から逃げていたフルサングは再びこの逃げグループに入り込んだ。
残り2周となりフルサングと新城が逃げ集団からの抜け出しに成功する。さいたま新都心駅と線路をくぐる地下通路のトンネルを抜けてホームストレートに入った2人だが、ジャンのなるスタート/フィニッシュラインを通過するその時、新城が先頭交代のタイミングでフルサングを引き離し、独走に持ち込んだ。
後方ではベルナルとログリッチェがランデブーで追走に入り、フルサングをパスして新城の背中を追う。しかし新城は大歓声の中そのまま1周を独走し、逃げ切りに成功した。トンネルを出て後方を振り返ってマイヨジョーヌとマイヨロホが届かないことを確認すると、大きく両手を広げて歓喜の表情でフィニッシュ。7回大会にして初めての日本人勝者となった。
新城幸也のコメント
「ベルナルとログリッチェの前でフィニッシュ、勝てたことは本当に嬉しい。以前日本で勝ったのはたぶん2016年(TOJ修善寺)。今年の全日本選手権も2位だったし、今日勝てたことは本当に嬉しい」「まだちょっとドキドキしています。あの大声援の中を一周逃げ切った形ですけど、皆さんの応援で、そのまま自分もドキドキしっぱなしでゴールまで駆け抜けました。7回目のさいたまクリテリウムで、日本人として初めて優勝できたことを本当に誇りに思います。何を言っていいのか分かりませんが、そんな気持ちです。とにかく、とてもうれしいです。」
残り1周での単独の逃げ出しは勇気が必要だったと思うが?という質問に対しては「フグルサングと飛び出して、彼が登りを引いてくれて、後ろをみたときに、二人(ベルナルとログリッチェ)が飛んできているのが見えました。先導を交代するタイミングで出たので、行こうと決めたというよりは、身体が勝手にそのまま前に行かなきゃという感覚的なものでした。後悔したのはその後ですね。『ああ、(フィニッシュまでは)遠かった...』という」。
「いつも日本で走るレースは特別で、普段はヨーロッパのレースを走っていますが、いつも日本の皆さんはテレビで応援してくれていて、目の前でも本当に応援してくれるので、すべての大会で頑張りたいんです」。
ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム2019 主要リザルト
チームタイムトライアルレース
優勝 シマノレーシング
スプリントレース
優勝 黒枝 咲哉(シマノレーシング)
クリテリウムメインレース
1位 新城 幸也(ツール・ド・フランスジャパンライダー)
2位 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
3位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、チーム ユンボ・ヴィスマ)
4位 ルカ・メスゲッツ(スロベニア、ミッチェルトン・スコット)
5位 内間康平(チーム右京)
6位 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
7位 ロメン・バルデ(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
9位 オリバー・ナーセン(アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
10位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームイネオス)
ポイント賞 マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)
山岳賞 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥゼール ラ・モンディアル)
敢闘賞 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)
新人賞 エガン・ベルナル(コロンビア、チーム イネオス)
チーム賞 ミッチェルトン・スコット
日本人チーム賞 チーム右京
text:Makoto AYANO
photo:Makoto AYANO,Kei.Tsuji,Satoru.Kato
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