2019/10/04(金) - 13:29
9月15日に開催されたMTB耐久レースの頂点に君臨するセルフディスカバリーアドベンチャー・イン王滝。今年は初のグラベルクラスが新設され、「グラベル元年」とも言える今年のキックオフイベントになった。過酷なオフロードに挑戦した参加者のバイクたちにフォーカスしてそのアイデアを見てゆこう。
すでにお伝えしたレポートにあるとおり、初開催のSDA王滝グラベルクラスはかなり過酷なチャレンジになった。取材班は大会前日に王滝入りし、受付にやってきたグラベルクラスの参加者のバイクを観察、そのなかで面白そうな工夫が施されたバイクを用意した方をピックアップして「あなたの自転車見せてください」風に取材させていただいた。
その前に、グラベルクラスに参加するためのバイクの車両レギュレーション(規定)は以下の通りだ。
・ドロップハンドルであること
・市販のグラベルタイヤで700Cが45mm(1.8インチ)、650bが48mm(1.9インチ)までの太さであること
・サスペンションを備えているモデルも対象となる
以上の規定内ならグラベルバイクとして認められる。前日の検車ではこの規定にあっているかどうかがチェックされた。ちなみにマウンテンバイククラスの参加者のごく標準的なバイクとして典型的なのは、クロスカントリータイプのMTBで、現況では転がり重視で29インチが多数を占める。また、路面がガレていることもありフルサスが人気があるが、FサスのみのハードテールMTBの参加者も少なくはない。
このバイク取材は大会前日に行ったが、結果から言えば100kmクラスの優勝者の岡理裕(バイシクルわたなべ浜松)と42kmの優勝者の山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)はともにキャノンデールの新型グラベルバイク「TOPSTONE(トップストーン)CARBON」に乗り、栄冠を勝ち取った(両者ともに前日の記者のアンテナに引っかかり、取材することができた)。
それでは、9人のエントラントがバイクに施した工夫とこだわりカスタムを見てゆこう。
キャノンデールSLATEを王滝仕様にモディファイ
竹田 佳行(Kei's Power じてんしゃ屋佳 )
シクロワイアードのオフロードバイク系の特集記事には度々登場していただく竹田佳行店長(Kei's Power じてんしゃ屋佳 )は優勝候補のひとりだった。週末ごとに林道ツーリングを敢行するグラベルライドのエキスパートであり、豊富なノウハウの保持者。今回はキャノンデールの快速グラベルモデルであるSLATEを、徹底的に王滝グラベル仕様にした。
ポイントは650ホイールにセットした48Cのパナレーサー・グラベルキングSKのタイヤと、MTBのギア比。とにかく軽くと、ローギアは36T×46TでMTBに近い軽いギア比を実現している。
「やはり王滝の厳しいグラベル100kmで体力をもたせるには、これぐらい軽いギアが有効です。ペダルを漕げない下りではロードポジションが厳しくなるので、ドロッパーポストも装備しています。460mm幅広ハンドルに短めステムの組み合わせで、幅広で高めのハンドル、余裕があるポジションを作り出すこと。速いかどうかは別にして、快適なバイクに仕立てました。
実はSLATEがデビューした3年前にいち早く導入して、そのままのセッティングで王滝に出場したことがあるんですけど、100kmだと登りも下りもキツかった。登りはギアが重くて漕げなくなる、下りはおっかなびっくりになる」と話す。
車両規定では650bは48Cの太さのタイヤまでOKなので、そのMAXまで太いものを。しかし後輪はフレームのクリアランスが足りずチェーンステイで干渉するため、43Cをセットする。
「後輪は細めでも良いですが、とくにFタイヤを太くしていれば余裕を持って下れます」とのこと。写真の泥除けは林道ツーリング仕様で取り付けているが、レースでは外すそうだ。「ただしレースでなければ林道は必ずウェットな箇所があって泥ハネするので、泥除けは欠かせませんね」。
「優勝を狙っています」と頼もしく話してくれた竹田店長だが、原因のわからない連続3回のパンクに見舞われてチューブが尽きてしまい、リタイアを喫してしまう。その原因は謎のままだという。
シクロクロスバイクをベースに太タイヤと幅広グラベルハンドルで「なんとかする」
100kmクラス4位 香月大道さん
「じつは息子のためにオーダーしたシクロクロスバイクなんですが、太いタイヤが入りそうなバイクなので借りてチャレンジしてみました」と話す香月さんは東海シクロクロスの常連CXerだ。
クロモリフレームのCX車、「SHIN」は東海地方では有名なハンドメイド工房製。F:36T×R:36Tで1対1のレシオを実現し、太めのタイヤに換装したバイクは『シクロクロスバイクでなんとかしよう派』だ。前後ともにWTB RESOLUTEの42Cの太さのタイヤに交換し、当然チューブレスで使用する。ホイールはHEDのBelgiumという、外幅25mmの定番的グラベルホイール。
「フレームにクリアランスがあったので、ブレーキ周りのケーブルが少しスレスレですが問題なく使えています。ただ、ミニVタイプのリムブレーキが心配なので、新品のブレーキシューに替えてきましたが、念のためスペアシューも4つ持って、パンクが怖いのでチューブも3本持って走ります。シクロクロスでの33Cに比べて42Cはボリュームがあるように感じますが、MTBよりもずっと細いのでエアを下げすぎるとリム打ちします。圧の設定はシビアですね」。
ハンドルは幅広で510mmある超幅広ハンドルを使用する。「幅の広いハンドルはマストですね。下りグラベルではとても安定します。両端はフレア形状ではなくストレートに落ちるタイプで、SimWorksがGSC(Golden Saddle Cycle)とコラボして作ったクールなハンドルです(笑)」。
独自機構のFサスに惚れ込んでオーダーした日本に3台の希少モデル LAUF True Grit
42kmクラス 24位 武田誠剛さん(バイシクルわたなべ)
カーボン系樹脂製の板バネを積層で組み合わせたようなリーフスプリングによるユニークな構造のLAUFサスペンションフォークを用いたバイクに乗る武田誠剛さんは、静岡のショップ「バイシクルわたなべ」のメカニックさん。フォークと統一感があるフレームもLAUF製のTrue Gritというモデルで、こちらは発表されたばかり。
「このサスペンション付きフォークは前から気になっていたんですが、ユーロバイクショーでカッコいい専用フレームが発表されたので迷わずオーダーしました。やはりサスとの相性が間違いないですからね。このモデルが完成バイクになったのは日本初だと思います。日本での取り扱いも始まりますよ(ミズタニ自転車扱い)。レアな車体ですが試乗したフィーリングが良かったんです。そしてまだマイナーな存在なので他人と被ることが無い(笑)。適度にサスペンションが効いて、乗り心地も良く、もうロードには乗らなくなりました。軽量で速く走れますが、ツーリングなどオールマイティーに使える感じだと思います」。
ギア比はフロント40×リア42T。タイヤにグラベルキングSK 43C を使用。メーカー推奨では45までOKとのこと。「もっと太いのでもイケそうです」。
「内蔵ケーブルの仕様を見ると、スラムで組む前提で設計された様なフレームです。Fディレイラー台座が『栓抜き』になっている遊び心もニクイです。フレーム&フォークセットで40数万円程度だったので、高価すぎないです。欲しい人はお問い合わせください!」とちゃっかりセールストークもいただきました。
ほぼノーマルのキャノンデールTOPSTONE CARBON を駆って逃げ切り優勝
42kmクラス優勝 山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)さん
42kmクラス優勝の山本朋貴さん(ストラーダバイシクルズ)が駆るのはキャノンデールTOPSTONE CARBON。スラムFORCE ETAP AXS仕様の最高峰モデルだ。マスターズのMTBクロスカントリーチャンピオンの称号をもつ山本さんだが、「MTBクロカンレースは多く経験してきていますがSDA王滝は初めてなんです。手首をバンデージで固定して走ります。42kmならアソビ感覚。100kmは尊敬します」。
「グラベルライドはちょっとしたオフロードでも冒険になるのが楽しいですね。王滝グラベルクラスに出ようと決めて、最適バイクを考えたらこのバイクになりました。ほぼノーマルであることがポリシーです」と、キャノンデールに強いストラーダバイシクルズの店長さんらしいお答え。自身で得たフィーリングを、同バイク購入希望者に伝える使命を持っての参戦だ。
「リアサスがついているのですが、それほど動いているわけでないのに、後ろから蹴り出されるような推進力を生み出してくれるんです。ペダリングパワーをロスしている感じは無いですね。かつてリアにソフトテールサスが備わったキャノンデールのMTB、SCALPELに乗っていたのですが、乗車感覚としては似た印象を受ける面白いバイクです。サスペンションはフレームサイズによってスプリングレートを替えているらしいですよ」。
タイヤはリアは純正のWTB Riddler40C、フロントをマキシスRAMBLER 40Cに交換。「タイヤを太くしたい場合、クリアランス的には45Cぐらいまでいけそうですね。空気圧はフロント1.7bar、リアは1.8barで使用。トラクションもバッチリです」。
EVOなどハイエンドグレードについているフレックス性をもつハンドルは、しなるので振動吸収性がとても良いという。バーテープは同僚に勧められた、クッション性に優れたリザードスキンズのDSP 3.2を巻く。PROFILE製のダイレクトマウントのストレージBOXを補給食入れとして使用しているのが、さすがトライアスロンも得意ジャンルとするストラーダバイシクルズだ。
レースを終え、優勝した喜びのコメントは「TOPSTONEのおかげで勝てました。FORCE ETAPのフロント43/33T、リア10-33Tという、どうにか「ロー1対1」のギア比は足りないのではないかと少し心配だったんですが、結果的にはベストでした。それにしてもガレが醜かったのでフロントにサスペンションが欲しくなりましたね。まぁ、それはこの王滝の厳しさということで」。
ピナレロのグラベルモデル「GREVIL」を購入して挑戦
42kmクラス 21位 鈴木啓介さん
話題のピナレロのグラベルモデル「GREVIL」を投入したのは42kmクラスでグラベルに初挑戦する鈴木啓介さん。フレーム購入で組み上げたという真新しいGREVILは「まだ納車されて1ヶ月あまりで、まだ林道もそれほど走れていないので不安です」とのこと。「キャンプツーリングにも使用するためにフレームサイズを1つ小さめにして取り回しを良くしましたが、SDA王滝に興味があり、出場することも考えて購入しました」。
グラベルを試走した感想は「ロードに比べて乗りやすい。太めのタイヤで安定感があって、少し車重があるものの好きな道に入っていけるのでグラベルライドの楽しさに目覚めました」。
ホイールは650bサイズで太さ47CのWTB VENTURE47 を前後にセット。もちろんチューブレスで。「乗り味は抜群」と話す。ギア比はFが50×34T、リアのローギアが34Tで、1対1レシオを実現。バイクパッキングバッグのBlackBurnのフレームバッグを使用し、補給食などは十分に入れることができる反面、ボトルケージが使えなくなるためハンドル脇のポーチに挿すことでボトルを1本用意する。
続編ではグラベル100kmクラス優勝者のバイクや、凝りに凝ったカスタムバイクを紹介します。
text&photo:Makoto.AYANO
すでにお伝えしたレポートにあるとおり、初開催のSDA王滝グラベルクラスはかなり過酷なチャレンジになった。取材班は大会前日に王滝入りし、受付にやってきたグラベルクラスの参加者のバイクを観察、そのなかで面白そうな工夫が施されたバイクを用意した方をピックアップして「あなたの自転車見せてください」風に取材させていただいた。
その前に、グラベルクラスに参加するためのバイクの車両レギュレーション(規定)は以下の通りだ。
・ドロップハンドルであること
・市販のグラベルタイヤで700Cが45mm(1.8インチ)、650bが48mm(1.9インチ)までの太さであること
・サスペンションを備えているモデルも対象となる
以上の規定内ならグラベルバイクとして認められる。前日の検車ではこの規定にあっているかどうかがチェックされた。ちなみにマウンテンバイククラスの参加者のごく標準的なバイクとして典型的なのは、クロスカントリータイプのMTBで、現況では転がり重視で29インチが多数を占める。また、路面がガレていることもありフルサスが人気があるが、FサスのみのハードテールMTBの参加者も少なくはない。
このバイク取材は大会前日に行ったが、結果から言えば100kmクラスの優勝者の岡理裕(バイシクルわたなべ浜松)と42kmの優勝者の山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)はともにキャノンデールの新型グラベルバイク「TOPSTONE(トップストーン)CARBON」に乗り、栄冠を勝ち取った(両者ともに前日の記者のアンテナに引っかかり、取材することができた)。
それでは、9人のエントラントがバイクに施した工夫とこだわりカスタムを見てゆこう。
キャノンデールSLATEを王滝仕様にモディファイ
竹田 佳行(Kei's Power じてんしゃ屋佳 )
シクロワイアードのオフロードバイク系の特集記事には度々登場していただく竹田佳行店長(Kei's Power じてんしゃ屋佳 )は優勝候補のひとりだった。週末ごとに林道ツーリングを敢行するグラベルライドのエキスパートであり、豊富なノウハウの保持者。今回はキャノンデールの快速グラベルモデルであるSLATEを、徹底的に王滝グラベル仕様にした。
ポイントは650ホイールにセットした48Cのパナレーサー・グラベルキングSKのタイヤと、MTBのギア比。とにかく軽くと、ローギアは36T×46TでMTBに近い軽いギア比を実現している。
「やはり王滝の厳しいグラベル100kmで体力をもたせるには、これぐらい軽いギアが有効です。ペダルを漕げない下りではロードポジションが厳しくなるので、ドロッパーポストも装備しています。460mm幅広ハンドルに短めステムの組み合わせで、幅広で高めのハンドル、余裕があるポジションを作り出すこと。速いかどうかは別にして、快適なバイクに仕立てました。
実はSLATEがデビューした3年前にいち早く導入して、そのままのセッティングで王滝に出場したことがあるんですけど、100kmだと登りも下りもキツかった。登りはギアが重くて漕げなくなる、下りはおっかなびっくりになる」と話す。
車両規定では650bは48Cの太さのタイヤまでOKなので、そのMAXまで太いものを。しかし後輪はフレームのクリアランスが足りずチェーンステイで干渉するため、43Cをセットする。
「後輪は細めでも良いですが、とくにFタイヤを太くしていれば余裕を持って下れます」とのこと。写真の泥除けは林道ツーリング仕様で取り付けているが、レースでは外すそうだ。「ただしレースでなければ林道は必ずウェットな箇所があって泥ハネするので、泥除けは欠かせませんね」。
「優勝を狙っています」と頼もしく話してくれた竹田店長だが、原因のわからない連続3回のパンクに見舞われてチューブが尽きてしまい、リタイアを喫してしまう。その原因は謎のままだという。
シクロクロスバイクをベースに太タイヤと幅広グラベルハンドルで「なんとかする」
100kmクラス4位 香月大道さん
「じつは息子のためにオーダーしたシクロクロスバイクなんですが、太いタイヤが入りそうなバイクなので借りてチャレンジしてみました」と話す香月さんは東海シクロクロスの常連CXerだ。
クロモリフレームのCX車、「SHIN」は東海地方では有名なハンドメイド工房製。F:36T×R:36Tで1対1のレシオを実現し、太めのタイヤに換装したバイクは『シクロクロスバイクでなんとかしよう派』だ。前後ともにWTB RESOLUTEの42Cの太さのタイヤに交換し、当然チューブレスで使用する。ホイールはHEDのBelgiumという、外幅25mmの定番的グラベルホイール。
「フレームにクリアランスがあったので、ブレーキ周りのケーブルが少しスレスレですが問題なく使えています。ただ、ミニVタイプのリムブレーキが心配なので、新品のブレーキシューに替えてきましたが、念のためスペアシューも4つ持って、パンクが怖いのでチューブも3本持って走ります。シクロクロスでの33Cに比べて42Cはボリュームがあるように感じますが、MTBよりもずっと細いのでエアを下げすぎるとリム打ちします。圧の設定はシビアですね」。
ハンドルは幅広で510mmある超幅広ハンドルを使用する。「幅の広いハンドルはマストですね。下りグラベルではとても安定します。両端はフレア形状ではなくストレートに落ちるタイプで、SimWorksがGSC(Golden Saddle Cycle)とコラボして作ったクールなハンドルです(笑)」。
独自機構のFサスに惚れ込んでオーダーした日本に3台の希少モデル LAUF True Grit
42kmクラス 24位 武田誠剛さん(バイシクルわたなべ)
カーボン系樹脂製の板バネを積層で組み合わせたようなリーフスプリングによるユニークな構造のLAUFサスペンションフォークを用いたバイクに乗る武田誠剛さんは、静岡のショップ「バイシクルわたなべ」のメカニックさん。フォークと統一感があるフレームもLAUF製のTrue Gritというモデルで、こちらは発表されたばかり。
「このサスペンション付きフォークは前から気になっていたんですが、ユーロバイクショーでカッコいい専用フレームが発表されたので迷わずオーダーしました。やはりサスとの相性が間違いないですからね。このモデルが完成バイクになったのは日本初だと思います。日本での取り扱いも始まりますよ(ミズタニ自転車扱い)。レアな車体ですが試乗したフィーリングが良かったんです。そしてまだマイナーな存在なので他人と被ることが無い(笑)。適度にサスペンションが効いて、乗り心地も良く、もうロードには乗らなくなりました。軽量で速く走れますが、ツーリングなどオールマイティーに使える感じだと思います」。
ギア比はフロント40×リア42T。タイヤにグラベルキングSK 43C を使用。メーカー推奨では45までOKとのこと。「もっと太いのでもイケそうです」。
「内蔵ケーブルの仕様を見ると、スラムで組む前提で設計された様なフレームです。Fディレイラー台座が『栓抜き』になっている遊び心もニクイです。フレーム&フォークセットで40数万円程度だったので、高価すぎないです。欲しい人はお問い合わせください!」とちゃっかりセールストークもいただきました。
ほぼノーマルのキャノンデールTOPSTONE CARBON を駆って逃げ切り優勝
42kmクラス優勝 山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)さん
42kmクラス優勝の山本朋貴さん(ストラーダバイシクルズ)が駆るのはキャノンデールTOPSTONE CARBON。スラムFORCE ETAP AXS仕様の最高峰モデルだ。マスターズのMTBクロスカントリーチャンピオンの称号をもつ山本さんだが、「MTBクロカンレースは多く経験してきていますがSDA王滝は初めてなんです。手首をバンデージで固定して走ります。42kmならアソビ感覚。100kmは尊敬します」。
「グラベルライドはちょっとしたオフロードでも冒険になるのが楽しいですね。王滝グラベルクラスに出ようと決めて、最適バイクを考えたらこのバイクになりました。ほぼノーマルであることがポリシーです」と、キャノンデールに強いストラーダバイシクルズの店長さんらしいお答え。自身で得たフィーリングを、同バイク購入希望者に伝える使命を持っての参戦だ。
「リアサスがついているのですが、それほど動いているわけでないのに、後ろから蹴り出されるような推進力を生み出してくれるんです。ペダリングパワーをロスしている感じは無いですね。かつてリアにソフトテールサスが備わったキャノンデールのMTB、SCALPELに乗っていたのですが、乗車感覚としては似た印象を受ける面白いバイクです。サスペンションはフレームサイズによってスプリングレートを替えているらしいですよ」。
タイヤはリアは純正のWTB Riddler40C、フロントをマキシスRAMBLER 40Cに交換。「タイヤを太くしたい場合、クリアランス的には45Cぐらいまでいけそうですね。空気圧はフロント1.7bar、リアは1.8barで使用。トラクションもバッチリです」。
EVOなどハイエンドグレードについているフレックス性をもつハンドルは、しなるので振動吸収性がとても良いという。バーテープは同僚に勧められた、クッション性に優れたリザードスキンズのDSP 3.2を巻く。PROFILE製のダイレクトマウントのストレージBOXを補給食入れとして使用しているのが、さすがトライアスロンも得意ジャンルとするストラーダバイシクルズだ。
レースを終え、優勝した喜びのコメントは「TOPSTONEのおかげで勝てました。FORCE ETAPのフロント43/33T、リア10-33Tという、どうにか「ロー1対1」のギア比は足りないのではないかと少し心配だったんですが、結果的にはベストでした。それにしてもガレが醜かったのでフロントにサスペンションが欲しくなりましたね。まぁ、それはこの王滝の厳しさということで」。
ピナレロのグラベルモデル「GREVIL」を購入して挑戦
42kmクラス 21位 鈴木啓介さん
話題のピナレロのグラベルモデル「GREVIL」を投入したのは42kmクラスでグラベルに初挑戦する鈴木啓介さん。フレーム購入で組み上げたという真新しいGREVILは「まだ納車されて1ヶ月あまりで、まだ林道もそれほど走れていないので不安です」とのこと。「キャンプツーリングにも使用するためにフレームサイズを1つ小さめにして取り回しを良くしましたが、SDA王滝に興味があり、出場することも考えて購入しました」。
グラベルを試走した感想は「ロードに比べて乗りやすい。太めのタイヤで安定感があって、少し車重があるものの好きな道に入っていけるのでグラベルライドの楽しさに目覚めました」。
ホイールは650bサイズで太さ47CのWTB VENTURE47 を前後にセット。もちろんチューブレスで。「乗り味は抜群」と話す。ギア比はFが50×34T、リアのローギアが34Tで、1対1レシオを実現。バイクパッキングバッグのBlackBurnのフレームバッグを使用し、補給食などは十分に入れることができる反面、ボトルケージが使えなくなるためハンドル脇のポーチに挿すことでボトルを1本用意する。
続編ではグラベル100kmクラス優勝者のバイクや、凝りに凝ったカスタムバイクを紹介します。
text&photo:Makoto.AYANO
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