2019/10/01(火) - 15:44
WTBの新作グラベルタイヤ「Venture」の700x40c版を雨の100kmグラベルライドでテストした。特殊なトレッドパターンによる軽い走りとしなやかなグリップ、そして乗り心地の良さ。必然的に舗装路が入る日本のグラベルライド事情に最適な1本を試した。
発祥地アメリカでは今や年間300以上のイベントが開催されるに至り、人気イベントは即日チケット完売という盛況ぶりを見せ、今やヨーロッパも、そしてグラインデューロ初開催など日本にも本格上陸の様相を呈しているグラベルロードムーブメント。
ダーティーカンザを頂点とするシリアスレーサーから、バイクパックを装備したツーリング派まで、様々な趣向のライダーを悩ませ、そして楽しませる共通の話題がタイヤ選びだろう。
グラベルロードの進化はグラベルタイヤの進化と言っても過言ではなく、今や最も太いもので650bx2.2インチなど、まだロードバイクに太めのタイヤをセットしただけの黎明期、—例えば2012年に開催され、日本に"グラベルロード"という概念をもたらしたRapha Gentleman's Race以降—には想像できなかったようなドロップハンドルバイク用タイヤが生まれているのだ。
数あるグラベルタイヤブランドの中でイニシアチブを握るのがWTBだ。「Wilderness Trail Bikes」という正式名称からも分かる通り、MTBパーツを専門的にプロデュースするブランドで、中でもタイヤはその主力製品の筆頭。グラベルムーブメントの一翼を担うカリフォルニア州に本社を置くこともあり、早期から市場のニーズをいち早く掴んで製品に落とし込んできた。今やそのラインナップはCX用も含めて8種類ものバリエーションを誇り、それらはキャノンデールをはじめ多くのバイクブランドの完成車に採用されている。「初めてのグラベルタイヤはWTB」というユーザーも少なくないだろう。
中でもVenture(べンチャー)は、一般的なブロックタイヤとは一風変わった設計が特徴だ。サイドを除いてタイヤの大部分はスリックタイヤに近いかまぼこ断面で、センターとサイドの中間部分は目の詰まった無数のエッジが設けられている。このエッジは指で強くなぞると倒れこむほど柔らかく、これがルーズな路面でグリップを生むという仕組み。従来は650bx47のみだったが、今年夏に700x40cと700x50c版が追加されることに。筆者はシクロクロスバイクにセットすべく、最もスタンダードな700x40c版を選び購入した。
40cに1.8気圧を充填し、ライドに出る。これまでRIDDLERやBYWAYなどいくつかのWTBグラベルタイヤを試してきたが、そのどれにも共通していたのは舗装路での転がりの軽さだ。しかしこのVentureは、目の詰まったセンターパターンとノブの露出しない丸い断面形状によって、その軽さが更に上がっていることがまず驚いた点。普通に走っているだけならオフロードタイヤと思えないほど走りがスムーズで、サイド以外にノブが無いので倒し込んだ時の動きも滑らかだ。いくらグラベルライドと言えど、舗装路を走る割合が高くなる日本の道路事情において、これだけでもVentureを選ぶ理由はある。
ロードバイクであれば速さと重さの観点から太くとも28cが相場だが、サスペンション機能の無い(もしくはあったとしてもMTBより効力の小さい)グラベルロードでは、舗装路での漕ぎが重くならない限りタイヤは太ければ太いほど良い。筆者の所有するキャノンデールのSUPERXは幸い大きなクリアランスを持つゆえ、DT460リムに40cを取り付けてもまだまだ余裕があった。惜しむらくはリムとタイヤの相性が悪くチューブレス化を諦めたことだけだ。
スリックに近いトレッドパターンであるため、濡れた粘土質の土や岩肌が露出した場面、あるいはテクニカルなシングルトラックは正直得意じゃない。しかし、砂や、砂に近い細かい砂利敷きのような路面では、路面を掻き出すことなく、しっとりとグリップするので非常にスムーズな走りを楽しめた。柔らかいトレッドのためか、他のグラベルタイヤと比べて乗り心地も(チューブレス化していないのに)かなりマイルドだ。
テストではCWのオフィスからほど近い湖の外周路(走行写真の撮影場所だ)を雨中100km走ってみた(かなりタフだった...)が、凹凸が激しい場所を選んで走っても終始パンクせず、トレッドパターンとエアボリュームのおかげで終始スムーズに走りきれた。トレッドの目が詰まっているため、そもそも泥詰まりが起こらないのも良い発見だった。これがブロックタイヤであれば安心感と引き換えにもう少し脚を使っていただろうし、泥を抱えることでの重量増もあったはず。それ以降合計で300km程度は走っているはずだが、いまだにノブが欠けたり、段減りしたりということもない。
独特なトレッドパターンが生む軽い走り心地としなやかなグリップ、そして乗り心地の良さ。よほど荒れた路面やシングルトラックの割合が多ければ別の選択肢があるが、Ventureは舗装路と比較的整った未舗装林道を繋いで走る、日本のグラベルライドにはうってつけのタイヤだ。
WTB Venture TCS
サイズ:650B×47、700×40c、700×50c
重量:555g(650B×47)、472g(700×40c)
ビード:Road Plus TCS
価格:7,800円円(税抜)
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
発祥地アメリカでは今や年間300以上のイベントが開催されるに至り、人気イベントは即日チケット完売という盛況ぶりを見せ、今やヨーロッパも、そしてグラインデューロ初開催など日本にも本格上陸の様相を呈しているグラベルロードムーブメント。
ダーティーカンザを頂点とするシリアスレーサーから、バイクパックを装備したツーリング派まで、様々な趣向のライダーを悩ませ、そして楽しませる共通の話題がタイヤ選びだろう。
グラベルロードの進化はグラベルタイヤの進化と言っても過言ではなく、今や最も太いもので650bx2.2インチなど、まだロードバイクに太めのタイヤをセットしただけの黎明期、—例えば2012年に開催され、日本に"グラベルロード"という概念をもたらしたRapha Gentleman's Race以降—には想像できなかったようなドロップハンドルバイク用タイヤが生まれているのだ。
数あるグラベルタイヤブランドの中でイニシアチブを握るのがWTBだ。「Wilderness Trail Bikes」という正式名称からも分かる通り、MTBパーツを専門的にプロデュースするブランドで、中でもタイヤはその主力製品の筆頭。グラベルムーブメントの一翼を担うカリフォルニア州に本社を置くこともあり、早期から市場のニーズをいち早く掴んで製品に落とし込んできた。今やそのラインナップはCX用も含めて8種類ものバリエーションを誇り、それらはキャノンデールをはじめ多くのバイクブランドの完成車に採用されている。「初めてのグラベルタイヤはWTB」というユーザーも少なくないだろう。
中でもVenture(べンチャー)は、一般的なブロックタイヤとは一風変わった設計が特徴だ。サイドを除いてタイヤの大部分はスリックタイヤに近いかまぼこ断面で、センターとサイドの中間部分は目の詰まった無数のエッジが設けられている。このエッジは指で強くなぞると倒れこむほど柔らかく、これがルーズな路面でグリップを生むという仕組み。従来は650bx47のみだったが、今年夏に700x40cと700x50c版が追加されることに。筆者はシクロクロスバイクにセットすべく、最もスタンダードな700x40c版を選び購入した。
40cに1.8気圧を充填し、ライドに出る。これまでRIDDLERやBYWAYなどいくつかのWTBグラベルタイヤを試してきたが、そのどれにも共通していたのは舗装路での転がりの軽さだ。しかしこのVentureは、目の詰まったセンターパターンとノブの露出しない丸い断面形状によって、その軽さが更に上がっていることがまず驚いた点。普通に走っているだけならオフロードタイヤと思えないほど走りがスムーズで、サイド以外にノブが無いので倒し込んだ時の動きも滑らかだ。いくらグラベルライドと言えど、舗装路を走る割合が高くなる日本の道路事情において、これだけでもVentureを選ぶ理由はある。
ロードバイクであれば速さと重さの観点から太くとも28cが相場だが、サスペンション機能の無い(もしくはあったとしてもMTBより効力の小さい)グラベルロードでは、舗装路での漕ぎが重くならない限りタイヤは太ければ太いほど良い。筆者の所有するキャノンデールのSUPERXは幸い大きなクリアランスを持つゆえ、DT460リムに40cを取り付けてもまだまだ余裕があった。惜しむらくはリムとタイヤの相性が悪くチューブレス化を諦めたことだけだ。
スリックに近いトレッドパターンであるため、濡れた粘土質の土や岩肌が露出した場面、あるいはテクニカルなシングルトラックは正直得意じゃない。しかし、砂や、砂に近い細かい砂利敷きのような路面では、路面を掻き出すことなく、しっとりとグリップするので非常にスムーズな走りを楽しめた。柔らかいトレッドのためか、他のグラベルタイヤと比べて乗り心地も(チューブレス化していないのに)かなりマイルドだ。
テストではCWのオフィスからほど近い湖の外周路(走行写真の撮影場所だ)を雨中100km走ってみた(かなりタフだった...)が、凹凸が激しい場所を選んで走っても終始パンクせず、トレッドパターンとエアボリュームのおかげで終始スムーズに走りきれた。トレッドの目が詰まっているため、そもそも泥詰まりが起こらないのも良い発見だった。これがブロックタイヤであれば安心感と引き換えにもう少し脚を使っていただろうし、泥を抱えることでの重量増もあったはず。それ以降合計で300km程度は走っているはずだが、いまだにノブが欠けたり、段減りしたりということもない。
独特なトレッドパターンが生む軽い走り心地としなやかなグリップ、そして乗り心地の良さ。よほど荒れた路面やシングルトラックの割合が多ければ別の選択肢があるが、Ventureは舗装路と比較的整った未舗装林道を繋いで走る、日本のグラベルライドにはうってつけのタイヤだ。
WTB Venture TCS
サイズ:650B×47、700×40c、700×50c
重量:555g(650B×47)、472g(700×40c)
ビード:Road Plus TCS
価格:7,800円円(税抜)
text:So.Isobe
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