2019/09/16(月) - 08:59
Jプロツアー第17戦の「南魚沼ロードレース」が新潟県南魚沼市で開催され、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)がスタート直後から独走で逃げ切って優勝。昨年に続き南魚沼ロードレースを連覇した。女子チャンピオンシップは植竹海貴(Y's Road)が優勝した。
真夏のような青空と暑さの中のレースとなった南魚沼ロードレース photo:Satoru Kato
スキーのジャンプ台のような三国川ダムの放水路を背にダウンヒルしていく集団 photo:Satoru Kato
日本有数の米どころ南魚沼市 早くも今年の新米が並ぶ photo:Satoru Kato
Jプロツアー唯一の日本海側での開催となる「新潟ラウンド」。昨年は10月にシリーズ最終戦として開催された南魚沼ロードレースは、今年は約1ヶ月早い9月半ばの開催となった。コースは三国(さぐり)川ダムをぐるっと回る湖畔道路を使用した1周12km。今回は逆回りとなり、スタート/フィニッシュ地点も改められた。登り区間は斜度が緩やかになった分距離が長くなる一方、ダム湖畔特有のカーブと細かなアップダウンが連続する区間は変わらず。集団は長く引き伸ばされるため、後方に位置取ると消耗させられるコースだ。
スタート前、年間総合優勝争いをする2人が握手 photo:Satoru Katoシーズン終盤となり、年間総合優勝を見据えた争いが活発になってきた。第16戦までを終えて総合首位は岡篤志(宇都宮ブリッツェン)。2位は、来期プロコンチネンタルチームのチーム・カハルーラル-RGAへの移籍が発表されたばかりのオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)。ツール・ド・北海道をパスし、群馬CSC交流戦に出場したアウラールは、岡との差を422ポイントまで詰め寄る。勝者予想もさることながら、このレースでさらに差を詰められるのかも注目された。
9月半ばの3連休、南魚沼市は朝から青空が広がる。朝晩は20℃を下回り寒さを感じるほどになるものの、日中は30℃を超える真夏のような暑さ。それでも、飛び回る赤とんぼやススキの穂が秋を感じさせる。
フランシスコ・マンセボが圧巻の120km逃げ切り勝ち
リーダージャージの岡篤志(宇都宮ブリッツェン)を先頭にスタート photo:Satoru Kato
2周目に独走態勢を築いたフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
宇都宮ブリッツェンがメイン集団をコントロール photo:Satoru Kato
11周132kmのレースは、事実上2周目に決まった。フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、石橋学(チームブリヂストンサイクリング)、サム・クローム(チーム右京)の3名が先行。そこからマンセボが独走態勢を築いて3周目に入る。メイン集団は宇都宮ブリッツェンがコントロールを開始。遅れたクロームを吸収して前を追うも、差は2分、3分と開いていく。
レース中盤、先行するマンセボとメイン集団の間で走っていた石橋がメイン集団に戻ると宇都宮ブリッツェンのコントロールに加勢。7周目以降、5分30秒まで開いた差が徐々に縮まり始める。
残り3周、メイン集団から飛び出すオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
残り2周、オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)の飛び出しを捕まえてペースダウンした集団 photo:Satoru Kato
残り2周、メイン集団からベンジャミ・プラデス(チーム右京)が飛び出す photo:Satoru Kato
残り3周となる9周目、マンセボとの差が2分まで縮まったところでメイン集団からアウラールが飛び出す。「年間総合優勝争いを見据え、ここで飛び出して岡より先着するように指示を出した」と言う安原監督の指示を受けての動きだったが、宇都宮ブリッツェンが中心となって追走し、ほどなく吸収する。しかしこの動きでメイン集団のマンセボ追走の足が止まる。ペースダウンした集団から木村圭佑(シマノレーシング)、ベンジャミ・プラデス(チーム右京)らが単独で飛び出すものの、追走の足並みが揃わず。最終周回には1分30秒差まで縮まったが、ゼロになることは無かった。
声援をうけて独走を続けるフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
120kmを逃げ切って南魚沼ロードレース2連覇を決めたフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
個人タイムトライアルを走るかのように淡々を周回を重ねたマンセボは、その背中を3周目以降集団に見せることなく最後まで逃げ切った。残り50mに1人で姿を現すと、両手を大きく広げて天を仰ぎ、フィニッシュラインを越えた。
約120kmを独走したマンセボは、「勝つことはもちろんだが、年間総合優勝争いの上でも重要なレースだった。僕は調子が良かったし、チームもよく働いてくれたので最後まで逃げ切ることが出来た。アウラールは岡に先着を許してしまったけれど、有効なポイントは獲得できたと思う」とコメントした。
3位でフィニッシュラインに飛び込んでくる入部正太朗(シマノレーシング) photo:Satoru Kato一方、3位に入った入部正太朗(シマノレーシング)は、病み上がりからの復帰戦だった。シマノ鈴鹿ロードとツール・ド・北海道をパスし、次戦の広島を復帰の予定としていたが、「体がうずいてレースに出たくなった」と言う。
「チームは人数が少ない4人出走で、中盤以降は木村(圭佑)と2人になってしまったが、年間総合優勝争いなど各チームの思惑が交錯する中で木村(圭佑)が良いタイミングで飛び出したり、自分も終盤に抜け出すなど連携は取れていたと思う。久しぶりのレースでどのくらい走れるか不安はあったが、走ってみると思ったより体が動いて良い感触だった。来週の広島に向けて、またジャパンカップやツール・ド・おきなわに向けて頑張りたい」と、復帰戦の手ごたえを語った。
年間総合優勝争いは、岡がアウラールの前でフィニッシュし、ほんの少しだけ差が開いた。とは言え、岡とアウラールの差は452ポイント。まだ今年のチャンピオンの行方はわからない。
表彰式 photo:Satoru Kato
プロリーダージャージは岡篤志(宇都宮ブリッツェン) photo:Satoru Kato
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Jプロツアー唯一の日本海側での開催となる「新潟ラウンド」。昨年は10月にシリーズ最終戦として開催された南魚沼ロードレースは、今年は約1ヶ月早い9月半ばの開催となった。コースは三国(さぐり)川ダムをぐるっと回る湖畔道路を使用した1周12km。今回は逆回りとなり、スタート/フィニッシュ地点も改められた。登り区間は斜度が緩やかになった分距離が長くなる一方、ダム湖畔特有のカーブと細かなアップダウンが連続する区間は変わらず。集団は長く引き伸ばされるため、後方に位置取ると消耗させられるコースだ。
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9月半ばの3連休、南魚沼市は朝から青空が広がる。朝晩は20℃を下回り寒さを感じるほどになるものの、日中は30℃を超える真夏のような暑さ。それでも、飛び回る赤とんぼやススキの穂が秋を感じさせる。
フランシスコ・マンセボが圧巻の120km逃げ切り勝ち
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11周132kmのレースは、事実上2周目に決まった。フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、石橋学(チームブリヂストンサイクリング)、サム・クローム(チーム右京)の3名が先行。そこからマンセボが独走態勢を築いて3周目に入る。メイン集団は宇都宮ブリッツェンがコントロールを開始。遅れたクロームを吸収して前を追うも、差は2分、3分と開いていく。
レース中盤、先行するマンセボとメイン集団の間で走っていた石橋がメイン集団に戻ると宇都宮ブリッツェンのコントロールに加勢。7周目以降、5分30秒まで開いた差が徐々に縮まり始める。
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残り3周となる9周目、マンセボとの差が2分まで縮まったところでメイン集団からアウラールが飛び出す。「年間総合優勝争いを見据え、ここで飛び出して岡より先着するように指示を出した」と言う安原監督の指示を受けての動きだったが、宇都宮ブリッツェンが中心となって追走し、ほどなく吸収する。しかしこの動きでメイン集団のマンセボ追走の足が止まる。ペースダウンした集団から木村圭佑(シマノレーシング)、ベンジャミ・プラデス(チーム右京)らが単独で飛び出すものの、追走の足並みが揃わず。最終周回には1分30秒差まで縮まったが、ゼロになることは無かった。
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約120kmを独走したマンセボは、「勝つことはもちろんだが、年間総合優勝争いの上でも重要なレースだった。僕は調子が良かったし、チームもよく働いてくれたので最後まで逃げ切ることが出来た。アウラールは岡に先着を許してしまったけれど、有効なポイントは獲得できたと思う」とコメントした。
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「チームは人数が少ない4人出走で、中盤以降は木村(圭佑)と2人になってしまったが、年間総合優勝争いなど各チームの思惑が交錯する中で木村(圭佑)が良いタイミングで飛び出したり、自分も終盤に抜け出すなど連携は取れていたと思う。久しぶりのレースでどのくらい走れるか不安はあったが、走ってみると思ったより体が動いて良い感触だった。来週の広島に向けて、またジャパンカップやツール・ド・おきなわに向けて頑張りたい」と、復帰戦の手ごたえを語った。
年間総合優勝争いは、岡がアウラールの前でフィニッシュし、ほんの少しだけ差が開いた。とは言え、岡とアウラールの差は452ポイント。まだ今年のチャンピオンの行方はわからない。
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Jプロツアー第17戦 南魚沼ロードレース 結果(132km)
1位 | フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) | 3時間26分4秒 |
2位 | ロビー・ハッカー(チーム右京) | +1分24秒 |
3位 | 入部正太朗(シマノレーシング) | +1分38秒 |
4位 | 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) | |
5位 | オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ) | +1分39秒 |
6位 | 孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング) | +1分40秒 |
敢闘賞 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)
中間スプリント賞 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)3,6,9周回終了時
プロリーダー 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
ネクストリーダー(U23) 今村駿介(チームチームブリヂストンサイクリング)
女子 植竹海貴が優勝
女子 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)を先頭に行く序盤 photo:Satoru Kato
女子 後続に2分差をつけて先行する植竹海貴(Y's Road)と唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoru Kato
女子 植竹海貴(Y's Road)が優勝 photo:Satoru Kato
女子チャンピオンシップとして行われたFクラスタは5周60kmで行われた。2周目、リーダージャージを着る唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が下りで先行し、植竹海貴(Y's Road)が追従。2人の先頭集団が形成され、後続に2分以上の差をつける。終盤には唐見が下りで植竹を振り切りにかかるが離れず、残り50mへ、最後は植竹がスプリントで唐見を下して優勝した。
女子 表彰式 photo:Satoru Kato
女子 フェミニンリーダージャージは唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が維持 photo:Satoru Kato
中間スプリント賞 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)3,6,9周回終了時
プロリーダー 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
ネクストリーダー(U23) 今村駿介(チームチームブリヂストンサイクリング)
女子 植竹海貴が優勝
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女子チャンピオンシップとして行われたFクラスタは5周60kmで行われた。2周目、リーダージャージを着る唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が下りで先行し、植竹海貴(Y's Road)が追従。2人の先頭集団が形成され、後続に2分以上の差をつける。終盤には唐見が下りで植竹を振り切りにかかるが離れず、残り50mへ、最後は植竹がスプリントで唐見を下して優勝した。
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女子(Fクラスタ) 結果(60km)
1位 | 植竹海貴(Y's Road) | 1時間51分49秒 |
2位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | +16秒 |
3位 | 西加南子(LUMINARIA) | +2分21秒 |
E1 結果(96km)
1位 | 持留叶汰郎(Team SHIDO) | 2時間37分18秒 |
2位 | 福田圭晃(Yamanakako Cyclisme Formation) | +0秒 |
3位 | 中里 仁(Rapha Cycling Club) | |
4位 | 原田将人(ALL OUT reric) | +1秒 |
5位 | 床井亮太(作新学院大学) | |
6位 | 雑賀大輔(湾岸サイクリング・ユナイテッド) | +3秒 |
E2 結果(60km)
1位 | 田崎友康(F(t)麒麟山 Racing) | 1時間34分53秒 |
2位 | 物井 邑(夏草サイクリングチーム) | +0秒 |
3位 | 棈木関二(Champion System Japan Test Team) | +3秒 |
4位 | 相原良一(オッティモ・JMSDF下総) | +18秒 |
5位 | 渡辺耶斗(Team FITTE) | +21秒 |
6位 | 池田和貴(チームフィンズ) | +25秒 |
E3 結果(48km)
Day-1(14日) | Day-2(15日) | |||
---|---|---|---|---|
1位 | 磯部武蔵(YOKOSUKA UNO RACING) | 1時間18分59秒 | 和泉達也(Peach MAX) | 1時間19分27秒 |
2位 | 和泉達也(Peach MAX) | +12秒 | 宮本博之(彩北ツブラーゼ) | +1秒 |
3位 | 藤野英志(横浜高校自転車競技部) | +15秒 | 島川大輝(Peach MAX) | |
4位 | 島川大輝(Peach MAX) | +16秒 | 石田真大(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) | +2秒 |
5位 | 沢野大地(作新学院大学) | 箭内秀平(日本ろう自転車競技協会) | +3秒 | |
6位 | 相原晴一朗(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) | 金森 透(バルバレーシングクラブ) |
text&photo:Satoru Kato
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