2010/05/01(土) - 11:01
2010年4月30日、ツール・ド・ロマンディ(UCIプロツアー)第3ステージ・個人タイムトライアルが行なわれ、サクソバンクのリッチー・ポルト(オーストラリア)が強豪選手たちを圧倒する走りで優勝。ステージ4位のマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)が総合首位に立った。
今大会2回目の個人タイムトライアルの舞台は、距離23.4km・高低差331mの周回コース。前半上りで後半は下りというコースレイアウトで、グランツールを見据える選手にとっては格好のTTテストになる。ハイレベルな闘いが予想された。
まだレース前半、総合93位につけていたリッチー・ポルトがまず30分54秒という暫定トップタイムをマーク。いずれ強豪選手たちがトップタイムを更新すると思われたが、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)らの力をもってしても最後まで更新出来ず。
ステージ2位以下の選手たちが数秒差の闘いを繰り広げる中、トップのポルトとステージ2位バルベルデのタイム差は26秒。ポルトの圧勝だった。
ポルトは今年プロツアーチームのサクソバンクに合流した選手で、オーストラリア・タスマニア生まれの25歳。
2008年のツアー・ダウンアンダーではオーストラリアナショナルチームのメンバーとして出場して総合9位。昨年ベビージロの個人TTでステージ優勝し、オーストラリア選手権の個人TTでもロジャースとキャメロン・マイヤー(ガーミン・トランジションズ)に次いで3位だった。
「チームバスで最終走者のゴールを待つまでの間に、爪を全部噛んでしまうところだった。こんなビッグレースで、しかも名立たる選手を押さえての勝利は本当に信じられない気分だ」。一番驚いているのはポルト本人のようだ。
ポルトはサクソバンクの公式サイトの中で「ブラドリー(マックギー監督)はコーナー毎にアドバイスをくれて、どこで力を貯めてどこで力を出し切るべきかをずっと指南してくれた。彼以上に良き指導者はいないよ。他にも自分のTTを指導してくたボビー・ジュリックらには本当に感謝している。チームメイトのみんなもこの勝利に大喜び。チームの雰囲気は最高だ」とコメント。また一人、オーストラリアの逸材が現れた。
総合逆転が有力視されていたマルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)は、まさかのステージ19位。リーダージャージを着て最後に出走したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)も伸びず、ステージ30位に終わった。ピノッティは総合16位、サガンは総合19位まで順位を下げている。
チームメイトのピノッティに代わってリーダージャージ獲得を果たしたのは、ステージ4位のロジャース。総合争いは、ステージ2位のバルベルデが2秒差、ステージ3位のウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)が5秒差で追う展開に。総合タイム30秒以内に8名がひしめいている。
ロジャースはチームHTC・コロンビア公式サイトの中で「強い選手たちが僅か2秒遅れで続いているんだ。リーダージャージを守り切るためには、残りの2日間、チームは全力で闘う必要がある。全ては日曜日の山岳ステージで決まると思う。ここ最近は上れているし、アダム(ハンセン)やマルコ(ピノッティ)のサポートもあるから、総合リードを守れるという自信はあるよ」と語っている。
TT能力改善に自信を見せていたイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)はステージ44位。ジロに向けて不安材料が残る結果になった。ディフェンディングチャンピオンでチームメイトのロマン・クロイツィゲル(チェコ)もステージ21位と伸びず、リクイガスは大会連覇が厳しい状況に。
残る2ステージは、いずれも1級山岳を2回以上通過する厳しい山岳コース。総合タイム差が小さな混戦状態だけに、激しい山岳バトルは必至だ。
レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ロマンディ2010第3ステージ結果
1位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) 30'54"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +26"
3位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +27"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) +29"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +31"
6位 アルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ) +32"
7位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +36"
8位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) +52"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) +55"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +59"
個人総合成績
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) 9h56'03"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +02"
3位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +05"
4位 アルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ) +07"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +09"
6位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +15"
7位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) +17"
8位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) +24"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) +35"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +39"
山岳賞
ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)
新人賞
アルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:www.tourderomandie.ch
今大会2回目の個人タイムトライアルの舞台は、距離23.4km・高低差331mの周回コース。前半上りで後半は下りというコースレイアウトで、グランツールを見据える選手にとっては格好のTTテストになる。ハイレベルな闘いが予想された。
まだレース前半、総合93位につけていたリッチー・ポルトがまず30分54秒という暫定トップタイムをマーク。いずれ強豪選手たちがトップタイムを更新すると思われたが、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)らの力をもってしても最後まで更新出来ず。
ステージ2位以下の選手たちが数秒差の闘いを繰り広げる中、トップのポルトとステージ2位バルベルデのタイム差は26秒。ポルトの圧勝だった。
ポルトは今年プロツアーチームのサクソバンクに合流した選手で、オーストラリア・タスマニア生まれの25歳。
2008年のツアー・ダウンアンダーではオーストラリアナショナルチームのメンバーとして出場して総合9位。昨年ベビージロの個人TTでステージ優勝し、オーストラリア選手権の個人TTでもロジャースとキャメロン・マイヤー(ガーミン・トランジションズ)に次いで3位だった。
「チームバスで最終走者のゴールを待つまでの間に、爪を全部噛んでしまうところだった。こんなビッグレースで、しかも名立たる選手を押さえての勝利は本当に信じられない気分だ」。一番驚いているのはポルト本人のようだ。
ポルトはサクソバンクの公式サイトの中で「ブラドリー(マックギー監督)はコーナー毎にアドバイスをくれて、どこで力を貯めてどこで力を出し切るべきかをずっと指南してくれた。彼以上に良き指導者はいないよ。他にも自分のTTを指導してくたボビー・ジュリックらには本当に感謝している。チームメイトのみんなもこの勝利に大喜び。チームの雰囲気は最高だ」とコメント。また一人、オーストラリアの逸材が現れた。
総合逆転が有力視されていたマルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)は、まさかのステージ19位。リーダージャージを着て最後に出走したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)も伸びず、ステージ30位に終わった。ピノッティは総合16位、サガンは総合19位まで順位を下げている。
チームメイトのピノッティに代わってリーダージャージ獲得を果たしたのは、ステージ4位のロジャース。総合争いは、ステージ2位のバルベルデが2秒差、ステージ3位のウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)が5秒差で追う展開に。総合タイム30秒以内に8名がひしめいている。
ロジャースはチームHTC・コロンビア公式サイトの中で「強い選手たちが僅か2秒遅れで続いているんだ。リーダージャージを守り切るためには、残りの2日間、チームは全力で闘う必要がある。全ては日曜日の山岳ステージで決まると思う。ここ最近は上れているし、アダム(ハンセン)やマルコ(ピノッティ)のサポートもあるから、総合リードを守れるという自信はあるよ」と語っている。
TT能力改善に自信を見せていたイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)はステージ44位。ジロに向けて不安材料が残る結果になった。ディフェンディングチャンピオンでチームメイトのロマン・クロイツィゲル(チェコ)もステージ21位と伸びず、リクイガスは大会連覇が厳しい状況に。
残る2ステージは、いずれも1級山岳を2回以上通過する厳しい山岳コース。総合タイム差が小さな混戦状態だけに、激しい山岳バトルは必至だ。
レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ツール・ド・ロマンディ2010第3ステージ結果
1位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) 30'54"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +26"
3位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +27"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) +29"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +31"
6位 アルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ) +32"
7位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +36"
8位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) +52"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) +55"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +59"
個人総合成績
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) 9h56'03"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) +02"
3位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ) +05"
4位 アルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ) +07"
5位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +09"
6位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +15"
7位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク) +17"
8位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ) +24"
9位 サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ) +35"
10位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック) +39"
山岳賞
ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)
新人賞
アルテム・オヴェチキン(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
カチューシャ
text:Kei Tsuji
photo:www.tourderomandie.ch
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