2010年4月29日、ツール・ド・ロマンディ(UCIプロツアー)第2ステージが2つの1級山岳を含む171.8kmのコースで行なわれ、集団スプリントでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)が優勝。シーズン序盤から低迷していたカヴェンディッシュがシーズン2勝目を飾った。

ツール・ド・ロマンディ2010第2ステージ コースプロフィールツール・ド・ロマンディ2010第2ステージ コースプロフィール image:www.tourderomandie.ch第2ステージはスイス西部のフリブール(フライブルク)をスタート&ゴールとする171.8km。101km地点と138km地点で1級山岳ロレット峠を越え、その後も細かなアップダウンを繰り返しながらゴールに向かう。ツール・ド・ロマンディの中では難易度の低いステージだ。

集団スプリントで先頭に立つマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)集団スプリントで先頭に立つマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) photo:www.highroadsports.com集団スプリントが予想される中、逃げを試みたのはミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)ら4名。メイン集団とのタイム差は最大5分まで広がった。

しかし総合で僅か30秒遅れのアラン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)が逃げに入っていたことも影響して、リクイガスが慎重にメイン集団をコントロール。ケースデパーニュがこの集団牽引に加わると、タイム差の縮小は加速した。

結局逃げグループは2回目の1級山岳ロレット峠通過後に吸収されてしまう。しかしゴールまで30kmを残しての逃げ吸収だったため、集団は再び活性化。アタックが繰り返され、マティアス・ブランドル(オーストリア、フットオン・セルヴェット)が飛び出した。

ブランドルにはスティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシングチーム)とクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)がそれぞれ単独で追いつき、ゴールまで9kmを残して集団から飛び出したアルテュール・ヴィショ(フランス、フランセーズデジュー)とヤロスラフ・マリチャ(ポーランド、サクソバンク)も先頭に合流。一時的に5名の先頭グループが形成されたが、チームHTC・コロンビアやリクイガスがコントロールするメイン集団を振り切ることは出来ず。ゴールまで3kmを残して逃げは全て吸収され、ここからスプリンターチームによる激しいポジション争いが始まった。

チームHTC・コロンビアやチームミルラム、ランプレが競り合いながらラスト1km。ラスト600mを切るとカヴェンディッシュの発射台役のマーク・レンショー(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)が強力な牽きで先頭に立ち、ラスト200mでマン島の超特急を解き放った。

後方からダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ)やロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)が追い上げたが、好位置でスプリントを開始したカヴェンディッシュは先頭を譲らない。カヴェンディッシュは最後まで先頭を守り切り、Vサインでゴールラインを駆け抜けた。

カヴェンディッシュは今シーズン2勝目。昨シーズンはこのロマンディの時点ですでに8勝を飾っていたが、今年はオフシーズンから歯の矯正の影響で調子が上がらず、低迷を続けていた。

3月のボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第2ステージ以来、1ヶ月ぶりの勝利を飾ったカヴはチーム公式サイトの中でその喜びを語る。「今日は調子が良くて、ステージ優勝を飾る自信があった。チームメイトの牽きは本当に強力だったよ。向かい風にも負けず、全開で牽き続けてくれたんだ。シーズン序盤から不調が続いていて、信頼感が薄れてもおかしくないのに、彼らは全力で僕をサポートしてくれた」。カヴは昨年ステージ4勝を飾ったジロ・デ・イタリアには出場せず、同時期にアメリカで開催されるツアー・オブ・カリフォルニアに出場。カヴに代わってアンドレ・グライペル(ドイツ)がジロのエーススプリンターを務める予定だ。

前日にステージ優勝を飾ったペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)は、この日も集団スプリントに絡んで5位。ピュアスプリンターに混ざって上位に絡む相変わらずの韋駄天ぶりを発揮し、リーダージャージを守っている。

レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。

ツール・ド・ロマンディ2010第2ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) 4h28'59"
2位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ)
3位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
4位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)
6位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)
7位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)
8位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
9位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)
10位 ダヴィド・ロースリ(スイス、ランプレ)

個人総合成績
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)          9h24'28"
2位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)      +09"
3位 ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)
4位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ)               +11"
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)  +12"
6位 クリストフ・モロー(フランス、ケースデパーニュ)         +14"
7位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)        +15"
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)
9位 ルーベン・プラサ(スペイン、ケースデパーニュ)
10位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック)

山岳賞
ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)

新人賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)

チーム総合成績
チームHTC・コロンビア

text:Kei Tsuji
photo:www.tourderomandie.ch, www.highroadsports.com

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