BMCレーシングチームは4月26日、EPO(エリスロポエチン)陽性が発覚し、後にドーピング違反を認めたトーマス・フライ(スイス)を解雇した。フライは2年前からドーピング違反を行い、陽性が発覚したドーピング検査の前夜に少量のEPOを摂取したことを認めている。

トーマス・フライ(スイス、BMCレーシングチーム)トーマス・フライ(スイス、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosスイスの地元新聞バーゼル紙によると、フライは4月27日に記者会見を開き、EPOを摂取していたことを認めるとともに、Bサンプルの再検査を要請しないことを発表した。

フライはアスタナに所属していた2008年にドーピングを開始。フライに近い人物はその行動を把握していたという。バーゼル紙によると、3月21日にドーピング検査が行なわれる前夜にフライはEPOを摂取。EPOの注射後に一定量の水を飲めば、尿検査でEPOが検出されないとされていたが、フライは必要量の水を飲むことを怠った。

ダウンアンダー第4ステージ 逃げグループを率いるトーマス・フライ(スイス、BMCレーシングチーム)ダウンアンダー第4ステージ 逃げグループを率いるトーマス・フライ(スイス、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsujiフライの自白を受け、所属するBMCレーシングチームはプレスリリースを出し、フライを解雇することを発表した。プレスリリースの中でチーム代表のジム・オショヴィッツ氏は「BMCレーシングチームは彼を即座に解雇する。フライは正直に過ちを認め、その過ちがチームと関係の無いことを示した。フライはチームにネガティブなイメージを与えたことに後悔している」と語っている。フライの今後は、スイスの自転車競技連盟に委ねられる。

EPOに関しては、マヌエル・バスケス(スペイン、アンダルシア・カハスール)も同じく陽性反応。UCI(国際自転車競技連合)のプレスリリースによると、3月20日に行なわれたレース外ドーピング検査で採取されたバスケスの尿サンプルからEPOの陽性反応が出た。バスケスは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで総合15位。UCIは暫定的にバスケスを出場停止にしている。

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos