休養日明けの平坦ステージは「ポケットロケット」ことカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が僅差でスプリントを制してツール初勝利を飾った。接戦を繰り広げたスプリンター達のコメントを中心に、第11ステージを振り返ります。



ステージ優勝 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)

ツール初優勝を喜ぶカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)ツール初優勝を喜ぶカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル) photo:Makoto.AYANO
信じられない気分だ。これまでの4回のスプリントではあと少しのところで勝てなかった。でもチームのみんなが僕に対する信頼を失うことはなかったし、僕がチームに対する信頼を失うこともなかった。すべての条件がそろえば最速になれることは分かっていた。残り10㎞地点でリードアウト役のジャスパー(デブイスト)が落車してしまった。僕は集団の後方にいたけれど、ロジャー(クルーゲ)が戻ってきて、最後の1㎞でディラン・フルーネウェーヘンの後ろにまで連れて行ってくれたんだ。運のいいことに差し切る力が残っていた。

これで子供時代の夢がかなった。子供の頃からずっと勝ちたいと思っていたレースなんて他にはないんだ。ツール・ド・フランスはなにか遠いもののように思っていた。遠く離れたオーストラリアから、テレビで見るようなものだった…そこで勝てるなんて夢みたいだよ!

ステージ2位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)

落胆の色を隠せないディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)落胆の色を隠せないディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
勝てる時もあるし、負ける時もある。今日は負けた。この間は最後の一瞬、僅差で勝った。今回はその差で負けた。今日は早くに仕掛けたのはそうしたかったから。理想的な位置につけたけど、マイク(テウニッセン)がこれ以上牽けそうになかったから自分でスプリントを開始。向かい風が厳しかった。あと数ミリ届かなかったのは残念だったけれど、競技はそういうものだ。スプリントを開始したのがちょっとだけ早すぎたのは分かっていたけれど、もう待ちきれなかったんだ。だって、それを待っていたら出遅れていたからね。今日はがっかり。本当に勝ちたかった。

フルーネウェーヘンをリードアウトしたマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)

メイン集団内で走るマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)メイン集団内で走るマイク・テウニッセン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) photo:Makoto.AYANO
もともと計画していたように早くから先制権を握ったんだ。ワウト(ファンアールト)とアムント(アムントグレンダール・ヤンセン)が良くがんばってくれた。他チームが牽引に協力してくれると思ったけれどそうはならなかった。結局、残り800メートルからスプリントを開始せざるを得なかった。だから向かい風の中で、ディラン(フルーネウェーヘン)がスプリントを開始するのが少し早くなってしまった。それで不運にも彼はトップを切れなかったんだ。

ステージ3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)

勝利に届かなかったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)勝利に届かなかったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Luca Bettini
また勝ちたかったけれど思うようにはいかなかった。それどころか今日まで勝ちが無かった唯一のスプリンターであるカレブが、ツール・ド・フランスでステージ優勝するにふさわしいことを見せつけた。この先は山岳ステージに入るのでスプリンターにとっては注意し続けないといけない日々が続く。この先もがんばって、(平坦ステージの)第16ステージが来るまでに次の機会を考えていきたい。

ステージ4位、ポイント賞 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨヴェールをまた一歩確実なものにしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)マイヨヴェールをまた一歩確実なものにしたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANO
最後のランドアバウトで落車せずに済んだのは本当にラッキーだった。こうして何事もなく無事にここに辿りつけたことが有難い。これからもマイヨヴェールのポイントを獲得し続けていきたい。マイケル・マシューズは、ポイント賞ジャージを獲得するのを諦めたのかな?彼がステージ勝利とか逃げに乗るとかしたら、マイヨヴェールの可能性は十分にある。彼がマイヨヴェールを獲得しようと食らいついてきたら、心穏やかではいられないし、全力で食い下がるつもりだ。

ステージ10位 ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)

残り40㎞で自分の目の前で落車が起きた。自分はかろうじて止まれたけれど、誰かがアントニー・ドゥラプラスの上に倒れかかってきて、アントニーが僕に倒れかかってきた。なるべく早く再スタートしようとしたけれど、集団が時速45km/hで走っている最中だったからどうしようもなかった。チームメイトががんばって僕を復帰させてくれたけれど、そのためにかなりエネルギーを使い、スプリントのための力は使い果たしてしまった。

最後の登りでアンドレ(グライペル)を牽引しようとして、後についてこいと言った。ユンボ・ヴィスマの後につけていたけれど、最後のカーブで失速してしまったのがいけなかった。アンドレはいいスプリントができるはずだった。可能な限り理想的なラインを取って、危険がないように細心の注意を払っていたのに。自分自身はスプリンターたちと争うつもりはなかった。スプリンターみたいに速く走ることはできないけれど、今日はなぜかそうなってしまった。最終週に自分の脚を残しておきたいと思っている。

敢闘賞 アイメ・デヘント(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)

敢闘賞を獲得したアイメ・デヘント(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)敢闘賞を獲得したアイメ・デヘント(ベルギー、ワンティ・グループゴベール) photo:Makoto.AYANO
単独で飛び出してから残り7kmまで、ずっと下り坂。フィニッシュまでずっと平坦だと思っていて、逃げ切れるかも知れないと思ったんだ。でも空港のあたりの登りがいつまでたっても終わらなかった。足に乳酸がどんどんたまっていくのを感じたよ。ロゼットに「最後に備えて力を温存して、一人で逃げて敢闘賞を狙っているんだな?」と言われた。うーん、そういうわけではなかったんだけど。残り20㎞地点で一番力があったから、その後は全開でいったんだ。いけると思ったところがあったからアタックしたってことさ。

総合1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)

難なくマイヨジョーヌを守ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)難なくマイヨジョーヌを守ったジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) photo:Makoto.AYANO
エガン・ベルナルは、総合の有力選手たちがこの先のタイムトライアルに備えて力を温存すると言っていた。それは正しかったのかも知れない。でも自分自身、この先総合有力選手がタイムを稼ごうとしてくるときにいつでも備えられるように、気持ちの準備をしていた。もう一日長くマイヨジョーヌを着ることができて嬉しいし、もっと長い間着られるようにしていきたい。

山岳賞 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)

三楽章ジャージをキープしたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)三楽章ジャージをキープしたティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:Makoto.AYANO
今日はまったくストレスのかからない日だった。山岳ポイントをひとつも取らなくても山岳賞ジャージを失わずに済むと分かっていたからね。ただ、明日は違う。逃げに乗りたい。明日山岳賞ジャージのためにポイントを取るのは大事なことだ。そのためには逃げに乗れたらオッケーだ。うまくすれば2人で逃げに乗れて、できるだけ長くこの山岳賞ジャージをキープできるようになる。チームメイトのカレブ・ユアンの勝利は嬉しかった。そのために懸命に働いたからのでその甲斐があったよ。

ヤングライダー賞 エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)

マイヨブランを守ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)マイヨブランを守ったエガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) photo:Makoto.AYANO
明日から山岳ステージが始まる。これからどうなるのか予想がつかない。調子が続くことを願うばかりだ。最初からあまり攻撃的になるのは早すぎると思っている。だって、その後に個人タイムトライアルや山岳ステージが立て続けにやってくるから。でも、どういうことになっても、明日は誰かが攻撃してくるのだとは思っている。

ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

終盤は本当にピリピリしていた。つづら折りと狭い道のせいで落車は避けようもなかった。こういう終盤では危険を回避しようとするものだし、なんとか事故を避けてきたけれど、どうしても避けきれなかった。とはいえ、自分のコンディションは万全だし、それは大事なことだと思う。脚はうまく回っているし、何も問題はない。落車でぶつかった唯一の部位である肘にちょっと氷を当てているだけで、それも明日にはよくなっていると思う。(落車の後で)チームは素早く体勢を立て直して、(同じく遅れた)リッチー・ポートたちと力を合わせて無事にゴールした。

休養日は充実していた。家族やチームと十分な時間を過ごせて、この先のツールのつらいステージに備えることができたよ。明日は「大きな試練」になるだろう。力を発揮して、タイムを稼がないといけないステージがいくつも待ち構えている。別の戦略を取らざるを得なくなったら、ミケル(ランダ)の順位を上げたい。彼の調子はいいんだ。

肩甲骨骨折でリタイアを喫したニキ・テルプストラ(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)

チームカーで病院に向かうニキ・テルプストラ(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー)チームカーで病院に向かうニキ・テルプストラ(オランダ、トタル・ディレクトエネルジー) (c)CorVos
(いろいろと)痛いよ。ツール・ド・フランスからリタイアするのは大きな痛みを伴うものだ。明日は家に向かい、次に何が待っているのか状況をアップデートしていきたい。

※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Taiko.YAMASAKI

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