2019/07/07(日) - 02:14
7月6日(土)Jプロツアー第10戦となる「東広島サイクルロードレース」が開催された。逃げと吸収が最後まで繰り返されたエキサイティングなレースは、最終周回の最後の登りで作戦通りのアタックを仕掛けた岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が単独で飛び出し、独走で優勝した。
Jプロツアー第10戦は初開催となる東広島サイクルロードレース。東広島市に位置する広島大学・東広島キャンパスの周辺道路をもちいて開催された。この東広島キャンパスは全国でも有数の敷地面積を誇っており、キャンパス単位では全国第3位の広さとも言われている。
この広大な東広島キャンパスの約1/3を周回するコースは一周5.5km。スタートしてから前半の約3kmは少し下り基調の平坦区間。交差点の90°コーナーや緩やかなカーブで構成されている。後半は残り3km地点を過ぎたあたりから1km程の登り区間に入る。斜度が15%の部分もあり、KOMポイントに向けて斜度がきつくなるため、勝負所の一つになることは間違いない。KOMポイントを過ぎると、急な下りが続き、残り1km地点からの平坦区間を経てフィニッシュラインに至る。下り区間にはカーブやクランク状のコーナーが配置されており、テクニカルな側面も持つコースレイアウトとなっている。
6月の栃木ラウンド、群馬ラウンド、そして先週末に開催された全日本選手権も加えると3週間連続で雨が続いている国内ロードレース・シーン。今回の広島ラウンドも雨と思われていたが、数日前から天気予報も好転。青空が広がる会場にはなったが、同時に気温もぐんぐんと上昇し、蒸し暑い中でのレースとなった。
作戦通りのアタックで岡篤志が今季2勝目
13時にスタートしたJプロツアーは17周回93.5km。レースは1周目のリアルスタート直後からアタックの応酬となり、登り区間で中井唯晶(シマノレーシング)と阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が飛び出す。直後の下り区間で佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、平塚吉光(チームブリヂストンサイクリング)、内間康平(チーム右京)が合流、さらに⽊村圭佑(シマノレーシング)が追走しながら2周目に入っていった。
2周目に入ってもレースは落ち着かない。チームブリヂストンサイクリングがコントロールしようとするメイン集団から次々と選手が抜け出し、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、吉岡直哉(チーム右京)、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング)、西尾勇人(那須ブラーゼン)、地元広島の白川幸希(ヴィクトワール広島)、さらに先週の全日本選手権を制した入部正太朗(シマノレーシング)まで先頭集団に合流したことで先頭は13名となる。
ここでメイン集団はチームブリヂストンサイクリングがコントロール。逃げ集団との差を1分前後に押さえながら周回を重ねて行く。一方、逃げ集団は4周目の登り区間で一度分裂し、5周目のフィニッシュラインを超えるところで、先行する吉岡、小野寺、平塚、佐野4名と追走の9名に別れた。なお、5周回終了時のスプリント・ポイントはホセ・ビセンテ・トリビオと争った小野寺が獲得している。
先行4名と追走集団は6周目で再度合流。しかし、この一連の動きで阿部と白川が脱落し、逃げ集団は11名となった。ここから再びレースは安定し始め、逃げと集団の差は6周回終了時で1分差、9周目に入る時には1分20秒差まで広がる。
9周目の登り区間に入ると、今度はメイン集団側で動きが出始める。チームブリヂストンサイクリングが先頭を固めていたメイン集団から、畑中勇介(チーム右京)を先頭に10名程度が抜け出す。黒枝士揮(チームブリヂストンサイクリング)でのスプリント勝負を狙っていると思われるチームブリヂストンサイクリングは、この動きを許さず猛追し、10周目に入るフィニッシュラインで畑中らを捉えた。この動きで逃げ集団との差も35秒まで縮まる。また、このペースアップで集団後方もバラバラになり、多くの選手がメイン集団から脱落していく。
10周完了時のスプリント・ポイントを佐野が先頭で通過した逃げ集団は、11周目に入ると再び分裂する。中井、木村、小野寺、西尾、孫崎、吉岡の6名が先行して12周目に入ると、登り区間で孫崎が脱落。さらに13周目の登り区間で背後にメイン集団が見え隠れし始めたところで、逃げ集団から小野寺が単独で先行し始める。
14周目の下りで佐野が小野寺にジョインすると、続いて湊諒(シマノレーシング)と横塚浩平(チーム右京)も合流。この4名が先行して15周目に入ったが、その直後にメイン集団に吸収され、残り2周と半分を残したタイミングで振り出しに戻る。
ここから再びアタック合戦となり、狩野智也(マトリックスパワータグ)のアタックに湊、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)、大町健斗(JCF強化指定選手チーム)が合流して16周目に。これが吸収されると、今度は米谷隆志(LEOMO Bellmare Racing Team)や中村魁斗(那須ブラーゼン)がアタック。最終周回となる17周目には入部や橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が相次いで飛び出す。
アタックと吸収が幾度となく繰り返されたこの日のレース。勝負を決める最後のアタックは、最終周回の最後の登り区間で炸裂した。入部と橋本の背後に赤いジャージが迫ると、岡が強烈な登坂スピードで一瞬にして2人を抜き去る。黒枝士揮が追いすがるも、これを振り切った岡が単独でKOMを通過。そのまま最後の下り区間を走り抜け、東広島サイクルロードレースの初代王者となった。
今季2勝目をあげた岡。「優勝できて嬉しい。前半からチームが積極的に動いていて、小野寺選手も最後まで粘ってくれていたので、これは優勝しないといけないなと思っていた。最終周回の最後の登りは狙っていた。頂上を1人で超えることができれば、ゴールまでの距離も短いので、必ず勝てると考えていた。アタックするタイミングは最初から決めていた」と作戦通りの勝利だった。個人総合は、今回不出場だったオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)のポイントを岡が逆転してトップに立っている。
E1クラスタは金田聡士がスプリントを制す
男子エリートのE1クラスタは7周38.5kmのレース。序盤からハイペースで進む集団は、このコースの勝負所である残り2.5km地点からの登り区間で人数を減らしながら周回を重ねる。残り2周からになるとさらに集団のペースが上がり、最終周回の最後の登り区間で6名が勝ち逃げ集団が形成される。最後はこの6名でのスプリントとなり、金田聡士(AVENTURA AIKOH TOYO VICTORIA)が制した。中間スプリント・ポイントは3周回終了時、5周回終了時ともに3位に入った皿谷宏人(エキップ ティラン)が獲得。Jエリートツアーリーダーは塚本隼(ZERO)が逆転で首位に立った。
優勝した金田は、「平坦の方が得意だが、今日の登りは短かったし、自分の調子も良かった。最後の登りを4番手くらいで入って、頂上直前でアタックすると後ろが離れた。スプリントになれば絶対勝てると思っていた。後半戦も勝ちたいし、メインはトラック競技なのでそちらも頑張りたい。」と抱負を述べた。
Jプロツアー第10戦は初開催となる東広島サイクルロードレース。東広島市に位置する広島大学・東広島キャンパスの周辺道路をもちいて開催された。この東広島キャンパスは全国でも有数の敷地面積を誇っており、キャンパス単位では全国第3位の広さとも言われている。
この広大な東広島キャンパスの約1/3を周回するコースは一周5.5km。スタートしてから前半の約3kmは少し下り基調の平坦区間。交差点の90°コーナーや緩やかなカーブで構成されている。後半は残り3km地点を過ぎたあたりから1km程の登り区間に入る。斜度が15%の部分もあり、KOMポイントに向けて斜度がきつくなるため、勝負所の一つになることは間違いない。KOMポイントを過ぎると、急な下りが続き、残り1km地点からの平坦区間を経てフィニッシュラインに至る。下り区間にはカーブやクランク状のコーナーが配置されており、テクニカルな側面も持つコースレイアウトとなっている。
6月の栃木ラウンド、群馬ラウンド、そして先週末に開催された全日本選手権も加えると3週間連続で雨が続いている国内ロードレース・シーン。今回の広島ラウンドも雨と思われていたが、数日前から天気予報も好転。青空が広がる会場にはなったが、同時に気温もぐんぐんと上昇し、蒸し暑い中でのレースとなった。
作戦通りのアタックで岡篤志が今季2勝目
13時にスタートしたJプロツアーは17周回93.5km。レースは1周目のリアルスタート直後からアタックの応酬となり、登り区間で中井唯晶(シマノレーシング)と阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が飛び出す。直後の下り区間で佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、平塚吉光(チームブリヂストンサイクリング)、内間康平(チーム右京)が合流、さらに⽊村圭佑(シマノレーシング)が追走しながら2周目に入っていった。
2周目に入ってもレースは落ち着かない。チームブリヂストンサイクリングがコントロールしようとするメイン集団から次々と選手が抜け出し、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、吉岡直哉(チーム右京)、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング)、西尾勇人(那須ブラーゼン)、地元広島の白川幸希(ヴィクトワール広島)、さらに先週の全日本選手権を制した入部正太朗(シマノレーシング)まで先頭集団に合流したことで先頭は13名となる。
ここでメイン集団はチームブリヂストンサイクリングがコントロール。逃げ集団との差を1分前後に押さえながら周回を重ねて行く。一方、逃げ集団は4周目の登り区間で一度分裂し、5周目のフィニッシュラインを超えるところで、先行する吉岡、小野寺、平塚、佐野4名と追走の9名に別れた。なお、5周回終了時のスプリント・ポイントはホセ・ビセンテ・トリビオと争った小野寺が獲得している。
先行4名と追走集団は6周目で再度合流。しかし、この一連の動きで阿部と白川が脱落し、逃げ集団は11名となった。ここから再びレースは安定し始め、逃げと集団の差は6周回終了時で1分差、9周目に入る時には1分20秒差まで広がる。
9周目の登り区間に入ると、今度はメイン集団側で動きが出始める。チームブリヂストンサイクリングが先頭を固めていたメイン集団から、畑中勇介(チーム右京)を先頭に10名程度が抜け出す。黒枝士揮(チームブリヂストンサイクリング)でのスプリント勝負を狙っていると思われるチームブリヂストンサイクリングは、この動きを許さず猛追し、10周目に入るフィニッシュラインで畑中らを捉えた。この動きで逃げ集団との差も35秒まで縮まる。また、このペースアップで集団後方もバラバラになり、多くの選手がメイン集団から脱落していく。
10周完了時のスプリント・ポイントを佐野が先頭で通過した逃げ集団は、11周目に入ると再び分裂する。中井、木村、小野寺、西尾、孫崎、吉岡の6名が先行して12周目に入ると、登り区間で孫崎が脱落。さらに13周目の登り区間で背後にメイン集団が見え隠れし始めたところで、逃げ集団から小野寺が単独で先行し始める。
14周目の下りで佐野が小野寺にジョインすると、続いて湊諒(シマノレーシング)と横塚浩平(チーム右京)も合流。この4名が先行して15周目に入ったが、その直後にメイン集団に吸収され、残り2周と半分を残したタイミングで振り出しに戻る。
ここから再びアタック合戦となり、狩野智也(マトリックスパワータグ)のアタックに湊、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)、大町健斗(JCF強化指定選手チーム)が合流して16周目に。これが吸収されると、今度は米谷隆志(LEOMO Bellmare Racing Team)や中村魁斗(那須ブラーゼン)がアタック。最終周回となる17周目には入部や橋本英也(チームブリヂストンサイクリング)が相次いで飛び出す。
アタックと吸収が幾度となく繰り返されたこの日のレース。勝負を決める最後のアタックは、最終周回の最後の登り区間で炸裂した。入部と橋本の背後に赤いジャージが迫ると、岡が強烈な登坂スピードで一瞬にして2人を抜き去る。黒枝士揮が追いすがるも、これを振り切った岡が単独でKOMを通過。そのまま最後の下り区間を走り抜け、東広島サイクルロードレースの初代王者となった。
今季2勝目をあげた岡。「優勝できて嬉しい。前半からチームが積極的に動いていて、小野寺選手も最後まで粘ってくれていたので、これは優勝しないといけないなと思っていた。最終周回の最後の登りは狙っていた。頂上を1人で超えることができれば、ゴールまでの距離も短いので、必ず勝てると考えていた。アタックするタイミングは最初から決めていた」と作戦通りの勝利だった。個人総合は、今回不出場だったオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)のポイントを岡が逆転してトップに立っている。
E1クラスタは金田聡士がスプリントを制す
男子エリートのE1クラスタは7周38.5kmのレース。序盤からハイペースで進む集団は、このコースの勝負所である残り2.5km地点からの登り区間で人数を減らしながら周回を重ねる。残り2周からになるとさらに集団のペースが上がり、最終周回の最後の登り区間で6名が勝ち逃げ集団が形成される。最後はこの6名でのスプリントとなり、金田聡士(AVENTURA AIKOH TOYO VICTORIA)が制した。中間スプリント・ポイントは3周回終了時、5周回終了時ともに3位に入った皿谷宏人(エキップ ティラン)が獲得。Jエリートツアーリーダーは塚本隼(ZERO)が逆転で首位に立った。
優勝した金田は、「平坦の方が得意だが、今日の登りは短かったし、自分の調子も良かった。最後の登りを4番手くらいで入って、頂上直前でアタックすると後ろが離れた。スプリントになれば絶対勝てると思っていた。後半戦も勝ちたいし、メインはトラック競技なのでそちらも頑張りたい。」と抱負を述べた。
Jプロツアー第10戦 東広島サイクルロードレース結果
1位 | 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) | 2時間21分42秒 |
2位 | 黒枝士揮(チームブリヂストンサイクリング) | +11秒 |
3位 | 湊 諒(シマノレーシング) | +13秒 |
4位 | 谷 順成(ヴィクトワール広島) | +15秒 |
5位 | 橋本英也(チームブリヂストンサイクリング) | +17秒 |
6位 | ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) | +20秒 |
敢闘賞 | 小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン) |
中間スプリントポイント賞 | |
5周回完了時 | 小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン) |
10周回完了時 | 佐野淳哉(マトリックスパワータグ) |
15周回完了時 | 大町健斗(JCF強化指定選手チーム) |
Jプロツアーリーダー | 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) |
ネクストリーダー(U23) | 今村駿介(チームチームブリヂストンサイクリング) |
E1 結果(38.5km)
1位 | 金田聡士(AVENTURA AIKOH TOYO VICTORIA) | 59分4秒 |
2位 | 塚本 隼(ZERO) | +0秒 |
3位 | 皿谷宏人(エキップ ティラン) | +0秒 |
4位 | 海藤稜馬(パナソニックレーシング) | +1秒 |
5位 | 西村 基(VENTOS FRECCIA) | +1秒 |
6位 | 梅澤幹太(エキップuレーシング) | +2秒 |
E2 結果(27.5km)
1位 | 池田渓人(VC福岡(エリート) ) | 43分11秒 |
2位 | 永塩幸之介(群馬グリフィンエリート ) | +0秒 |
3位 | 久賀壮大(徳島県立小松島西高等学校) | +3秒 |
4位 | 中島雅人(VC福岡(エリート) ) | +3秒 |
5位 | 中治綱太(イナーメ信濃山形-EFT) | +7秒 |
6位 | 武久弘太(eNShare Cycling Team) | +7秒 |
E3 結果(22km)
1位 | 新村拓也(パナソニックレーシング) | 34分0秒 |
2位 | 大森健史(備北おはようございます) | +0秒 |
3位 | 井上尚也(Aki Rising Bicycle team) | +0秒 |
4位 | 森井浩明(Team Grandi Petit ) | +0秒 |
5位 | 高橋亘平(グランデパール播磨 ) | +0秒 |
6位 | 中村一登(Team Grandi Petit) | +0秒 |
text&photo:Kensaku.Sakai
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