2010年4月16日、カテゴリー1級の頂上ゴールが設定されたブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオン第3ステージが行なわれ、上りバトルでアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)らを下したイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)が優勝。アントンは同時に総合トップに躍り出た。

1級山岳でペースを上げるイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)1級山岳でペースを上げるイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) photo:Vuelta a Castilla y Leon今大会最難関の第3ステージは、中盤に標高1640mの1級山岳フォンデバドン峠をクリアし、最後は標高1750mの1級山岳モレデロ峠を駆け上がってゴールする。

総合変動確実の難関ステージであり、この山岳バトルが総合優勝の行方を大きく左右する。最後のモレデロ峠では世界屈指のオールラウンダーたちによるバトルが繰り広げられた。

頂上ゴールが設定された1級山岳で独走に持ち込むイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)頂上ゴールが設定された1級山岳で独走に持ち込むイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) photo:Vuelta a Castilla y Leonレースは序盤からアタックが繰り返されたものの、逃げらしい逃げが決まらないまま進行。最初の1級山岳フォンデバドン峠は集団一つのまま上り切り、山岳賞ジャージを着るイバン・マヨス(スペイン、フットオン・セルヴェット)が先頭通過して山岳賞リードを広げた。

下りで飛び出したホルへ・アサンサ(スペイン、エウスカルテル)も単独で1分のリードを稼ぐのが精一杯。優勝最有力候補のコンタドール擁するアスタナがコントロールするメイン集団は、アサンサを飲み込んで最後の1級山岳モレデロ峠に突入した。

独走で頂上ゴールに飛び込むイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)独走で頂上ゴールに飛び込むイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) photo:Vuelta a Castilla y Leon最大勾配が15%に達する上りが始まるとメイン集団からアンドーニ・ブラスケス(スペイン、オルベア)とミハエル・クフャトコフスキ(ポーランド、カハ・ルラル)が飛び出し、2分ほどのリードを得てエスケープ。しかしこの2人もアスタナの包囲網から抜け出すことは出来ずに吸収された。

上りを進むメイン集団は徐々に縮小し、ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)のアタックで本格的な闘いがスタート。デニフルのアタックに反応したエセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)が先頭に立つと、すかさずコンタドール、アントンが反応し、遅れてマウリシオ・ソレール(コロンビア、ケースデパーニュ)が合流した。

リーダージャージに袖を通したイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)リーダージャージに袖を通したイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) photo:Vuelta a Castilla y Leonこの動きに乗り遅れたヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)やデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)は後退し、コンタドール、アントン、ソレール、モスケラが先行して頂上を目指す。

やがてゴールまで2kmを切って単独アタックを成功させたアントンは、コンタドールらの追撃を振り切ってゴールへ。沿道に雪が残る上りを独走で上り切ったアントンが、コンタドールらを13秒引き離してゴールした。

前日まで平坦ステージが続いていたため、この日のステージ成績がそのまま総合成績に反映される結果に。アントンが総合トップに立ち、コンタドールとモスケラが13秒差で追う展開(ソレールは前日までに大きくタイムロス)。後続が1分以上遅れたため、総合優勝の行方はアントン、コンタドール、モスケラの3人に絞られたと言っていいだろう。

ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)やティアゴ・マシャド(ポルトガル)のアシストに徹した別府史之(レディオシャック)は15分遅れの集団でゴール。総合争いは翌第4ステージの15.1km個人タイムトライアルで決着する。

レース展開はレース公式サイトより。


ブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオン2010第3ステージ結果
1位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)            4h07'09"
2位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、ケースデパーニュ)            +13"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
4位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
5位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)        +1'10"
6位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)           +1'21"
7位 ダビド・ベルナベウ(スペイン、バルボット)               +1'23"
8位 ハビエル・モレーノ(スペイン、アンダルシア・カハスール)        +1'27"
9位 ラウル・サンタマルタ(スペイン、ブルゴス2016・カスティーリャ)     +1'31"
10位 ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)     +1'34"
44位 別府史之(日本、レディオシャック)                  +15'10"

個人総合成績
1位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)            12h45'12"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)               +13"
3位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)
4位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)         +1'10"
5位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)            +1'21"
6位 ダビド・ベルナベウ(スペイン、バルボット)                +1'23"
7位 ハビエル・モレーノ(スペイン、アンダルシア・カハスール)         +1'27"
8位 ラウル・サンタマルタ(スペイン、ブルゴス2016・カスティーリャ)      +1'31"
9位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)                  +1'34"
10位 ステファン・デニフル(オーストリア、サーヴェロ・テストチーム)

ポイント賞
テオ・ボス(オランダ、サーヴェロ・テストチーム) 

山岳賞
イバン・マヨス(スペイン、フットオン・セルヴェット)

チーム総合成績
レディオシャック

text:Kei Tsuji

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