2019/05/17(金) - 15:17
登坂距離900m/平均9%の"スプリントポイント"で絞られたメイン集団によるゴール勝負で、イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)がプロ初勝利。首位ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)は2位に対して4秒差でクイーンステージに挑むこととなった。
ツアー・オブ・カリフォルニア2019第5ステージ コースプロフィール (c)www.amgentourofcalifornia.comカリフォルニア州の長い長い海岸線を北から南へ。ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)第5ステージはピスモビーチからヴェンチュラを目指して走る219kmで、中盤から後半にかけてカテゴリー山岳が分散している。フィニッシュ前7km地点には距離900m、平均勾配9%の"スプリント"ポイントが用意されることがポイントだ。
逃げ有利のコース設定だったため、この日は序盤のアタック合戦が長く続いた。40km地点の中間スプリントまで集団一つのまま進み、前日の審判判断で総合首位浮上を逃したカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭通過。3秒を稼いだことでジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス)を逆転し、暫定総合2位浮上に成功している。
その後、風が吹き付けるコース上では12人の逃げが決まった。開幕ステージで勝利しポイント賞首位のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やレオナルド・バッソ(イタリア、チームイネオス)やレナード・ホフステッド(オランダ)、ニールソン・ポーレス(アメリカ)のユンボ・ヴィズマコンビ、スプリントで上位入賞を繰り返しているジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)、このレースで頭角を表したトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)、序盤ステージで山岳賞首位に立ち現在3位のダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)、ティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)といった超豪華メンバーが先行した。
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)のためにコントロールを行うEFエデュケーションファースト (c)www.amgentourofcalifornia.com
巡航する逃げメンバーの中ではこの日、1級山岳を含む合計5つ設けられたカテゴリー山岳を全てバッレリーニが先頭通過してみせる。一挙22ポイントを加点したバッレリーニはアレックス・ヘーン(アメリカ、アメリカナショナルチーム)を上回り狙い通りランキング首位浮上に成功している。
逃げとメイン集団の距離が詰まり始めた残り20km、逃げグループ内から飛び出したのはデクレルクだった。「追うより追われるのは良い体験だった。チームから自由に動いて良いと言われてからできるだけ力を溜めていた」と言う身長190cmの"トラクター"が独走に持ち込んだが、サガンら他メンバーを飲み込み、背後に迫っていたメイン集団を引き離すことできなかった。
ドゥクーニンク・クイックステップの攻撃は止まず、平均勾配9%の"スプリントポイント"ではゼネク・スティバル(チェコ)が仕掛けたものの、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)のライバルによるボーナスタイムを阻止するセルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト)と総合10位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)にパスされる。二人はそのまま逃げを継続したものの、フィニッシュへと続く平坦コースに入った段階で後続グループに吸収。ステージ争いは登坂で絞り込まれた25名の集団に委ねられた。
小集団スプリントを制したイバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ) (c)CorVos
ツアー・オブ・カリフォルニア2019第5ステージ トップスリー (c)CorVos
緩やかな登り勾配のメインストレートで、真っ先にスプリントを始めたのはマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。コースの右端を突き進んだアルゼンチン王者だったが、その後ろでタイミングを待ち、最終盤に追い抜いたイバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)が先着。カリフォルニア初出場のガルシアがドゥクーニンク・クイックステップの連勝記録に歯止めをかけた。
すでにブエルタ・ア・エスパーニャに2回出場し、上位入賞を繰り返していたガルシアだが、意外にも今回が初のプロキャリ初勝利。「3年間待ちに待った勝利だ。少し時間を置いた今、ようやく勝利の実感が湧いてきたよ。今日はチームメイトの素晴らしいサポートが勝利につながった。アシストが薄い他のスプリンターは僕よりも苦しんでいたように見えた」とチームに対して感謝を伝えている。
総合成績ではボーナスタイムを稼いだアスグリーンが2位に上がり、終盤のペースアップで遅れた総合6位ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーUHCサイクリング)がトップ10圏外に脱落。クイーンステージを前に首位ヴァンガーデレンとアスグリーンのタイム差は4秒に縮まった。
3日間の女子レースも開幕:初日に世界王者ファンデルブレッヘンが勝利
独走でフィニッシュにやってきたアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング) (c)CorVos
この日からUCIウィメンズワールドツアーの1つに組み込まれる女子レースも開幕。参加チームは15と少ないものの、世界王者世界王者アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)や全米王者のコリン・リヴェラ(アメリカ、サンウェブ)らが顔を揃えている。
初日はヴェンチュラを発着する100km弱のショートステージだが、終盤に控える"スプリントポイント"の登りは男子レース同様。この勝負所まで逃げていたオルガ・ザベリンスカヤ(ウズベキスタン、コゲアス・メットラープロサイクリング)が吸収されると、登りを得意とするメンバーによるアタック合戦が始まった。
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)とアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング) (c)CorVos
カシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)はメカトラで遅れ、ファンデルブレッヘンとエリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード)が抜け出す展開に。そこから世界王者の鮮烈なアタックが決まり、勝ちパターンに持ち込んだファンデルブレッヘンが、フレーシュ・ワロンヌに続く今季2勝目を収めた。
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逃げ有利のコース設定だったため、この日は序盤のアタック合戦が長く続いた。40km地点の中間スプリントまで集団一つのまま進み、前日の審判判断で総合首位浮上を逃したカスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ)が先頭通過。3秒を稼いだことでジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス)を逆転し、暫定総合2位浮上に成功している。
その後、風が吹き付けるコース上では12人の逃げが決まった。開幕ステージで勝利しポイント賞首位のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やレオナルド・バッソ(イタリア、チームイネオス)やレナード・ホフステッド(オランダ)、ニールソン・ポーレス(アメリカ)のユンボ・ヴィズマコンビ、スプリントで上位入賞を繰り返しているジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)、このレースで頭角を表したトムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)、序盤ステージで山岳賞首位に立ち現在3位のダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)、ティム・デクレルク(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)、ミヒャエル・シェアー(スイス、CCCチーム)といった超豪華メンバーが先行した。
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巡航する逃げメンバーの中ではこの日、1級山岳を含む合計5つ設けられたカテゴリー山岳を全てバッレリーニが先頭通過してみせる。一挙22ポイントを加点したバッレリーニはアレックス・ヘーン(アメリカ、アメリカナショナルチーム)を上回り狙い通りランキング首位浮上に成功している。
逃げとメイン集団の距離が詰まり始めた残り20km、逃げグループ内から飛び出したのはデクレルクだった。「追うより追われるのは良い体験だった。チームから自由に動いて良いと言われてからできるだけ力を溜めていた」と言う身長190cmの"トラクター"が独走に持ち込んだが、サガンら他メンバーを飲み込み、背後に迫っていたメイン集団を引き離すことできなかった。
ドゥクーニンク・クイックステップの攻撃は止まず、平均勾配9%の"スプリントポイント"ではゼネク・スティバル(チェコ)が仕掛けたものの、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)のライバルによるボーナスタイムを阻止するセルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト)と総合10位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ)にパスされる。二人はそのまま逃げを継続したものの、フィニッシュへと続く平坦コースに入った段階で後続グループに吸収。ステージ争いは登坂で絞り込まれた25名の集団に委ねられた。
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緩やかな登り勾配のメインストレートで、真っ先にスプリントを始めたのはマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ドゥクーニンク・クイックステップ)だった。コースの右端を突き進んだアルゼンチン王者だったが、その後ろでタイミングを待ち、最終盤に追い抜いたイバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ)が先着。カリフォルニア初出場のガルシアがドゥクーニンク・クイックステップの連勝記録に歯止めをかけた。
すでにブエルタ・ア・エスパーニャに2回出場し、上位入賞を繰り返していたガルシアだが、意外にも今回が初のプロキャリ初勝利。「3年間待ちに待った勝利だ。少し時間を置いた今、ようやく勝利の実感が湧いてきたよ。今日はチームメイトの素晴らしいサポートが勝利につながった。アシストが薄い他のスプリンターは僕よりも苦しんでいたように見えた」とチームに対して感謝を伝えている。
総合成績ではボーナスタイムを稼いだアスグリーンが2位に上がり、終盤のペースアップで遅れた総合6位ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーUHCサイクリング)がトップ10圏外に脱落。クイーンステージを前に首位ヴァンガーデレンとアスグリーンのタイム差は4秒に縮まった。
3日間の女子レースも開幕:初日に世界王者ファンデルブレッヘンが勝利
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この日からUCIウィメンズワールドツアーの1つに組み込まれる女子レースも開幕。参加チームは15と少ないものの、世界王者世界王者アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング)や全米王者のコリン・リヴェラ(アメリカ、サンウェブ)らが顔を揃えている。
初日はヴェンチュラを発着する100km弱のショートステージだが、終盤に控える"スプリントポイント"の登りは男子レース同様。この勝負所まで逃げていたオルガ・ザベリンスカヤ(ウズベキスタン、コゲアス・メットラープロサイクリング)が吸収されると、登りを得意とするメンバーによるアタック合戦が始まった。
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カシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)はメカトラで遅れ、ファンデルブレッヘンとエリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード)が抜け出す展開に。そこから世界王者の鮮烈なアタックが決まり、勝ちパターンに持ち込んだファンデルブレッヘンが、フレーシュ・ワロンヌに続く今季2勝目を収めた。
ツアー・オブ・カリフォルニア2019第5ステージ結果
1位 | イバン・ガルシア(スペイン、バーレーン・メリダ) | 4h56'11" |
2位 | マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
3位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | |
4位 | ヨリス・ニューエンハイス(オランダ、サンウェブ) | |
5位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
7位 | パウェル・ベルナス(ポーランド、CCCチーム) | |
8位 | ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) | |
9位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | ユーゴ・ウル(カナダ、アスタナ) |
個人総合成績
1位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) | 26h13'01" |
2位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | +04" |
3位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス) | +06" |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +16" |
5位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +22" |
6位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | +28" |
7位 | ヨナス・グレゴー(デンマーク、アスタナ) | +33" |
8位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | +34" |
9位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +35" |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | +36" |
ポイント賞
1位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 32pts |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 24pts |
3位 | レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 21pts |
山岳賞
1位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ) | 51pts |
2位 | アレックス・ヘーン(アメリカ、アメリカナショナルチーム) | 35pts |
3位 | レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 30pts |
ヤングライダー賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 26h13'17" |
2位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | +12" |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ハーゲンスバーマン・アクセオン) | +8'25" |
チーム総合成績
1位 | EFエデュケーションファースト | 78h40'23" |
2位 | コフィディス・ソルシオンクレディ | +40" |
3位 | アスタナ | +1'48" |
ツアー・オブ・カリフォルニア2019女子レース 第1ステージ結果
1位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、ブールスドルマンスサイクリング) | 2h36'17" |
2位 | エリザ・ヴァルサモ(イタリア、ヴァルカー・サイランス) | +18" |
3位 | アーレニス・シエラ(キューバ、アスタナ) | |
4位 | リア・キルヒマン(カナダ、サンウェブ) | |
5位 | アシュレー・ムールマン(南アフリカ、CCC・リブ) | |
6位 | カシア・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
7位 | エマ・ホワイト(アメリカ、ラリー・UHCサイクリング) | |
8位 | エリザベス・ダイグナン(イギリス、トレック・セガフレード) | |
9位 | ブロディ・チャップマン(オーストラリア、ティブコ・SVB) | +20" |
10位 | マルタ・カヴァッリ(イタリア、ヴァルカー・サイランス) |
text:So.Isobe
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