2019/05/16(木) - 12:26
ツアー・オブ・カリフォルニア第4ステージの集団スプリントでファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が勝利。終盤の単独落車で遅れ、度重なる足止めで集団復帰できなかったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト)は審判団の特別救済措置により総合首位を守ることとなった。
これまで2日間続いた山岳ステージも一休み。ラグナ・セカからモロ・ベイを目指すアムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)第4ステージのコースは、太平洋に面した小刻みなアップダウンを含む212.5kmだ。序盤に2級山岳、中盤に3級山岳が2箇所用意されているが、スプリンターをふるい落すものではない。
ドーピング嫌疑が浮上したクリスティアン・デュラセク(クロアチア、UAEチームエミレーツ)を除く132名が、世界に名を轟かす名サーキット「ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ」をスタート。西海岸の風光明媚な景観で知られる州道1号線に入ると、全米王者のジョニー・ブラウン(アメリカ、ハーゲンスバーマン・アクセオン)や昨年ジャパンカップに出場したヨナス・ヘンッタラ(フィンランド、ノボ ノルディスク)を含む5名が逃げを打った。
アレックス・ヘーン(アメリカ、アメリカナショナルチーム)ら山岳賞上位陣は逃げに加わらなかったものの、この日はヘーンのポイントを守るべく普段からチームメイトとして走るマイケル・ヘルナンデス(アメリカ、アメリカナショナルチーム)が全ての山岳ポイントを先行してアシスト。38km地点と163km地点の中間スプリントポイントはいずれもヘンッタラが先頭通過している。
メイン集団では、総合首位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)擁するEFエデュケーションファーストではなく、ボーラ・ハンスグローエやドゥクーニンク・クイックステップ、トレック・セガフレードといったスプリンターチームがコントロール。終盤に入るとユンボ・ヴィズマらも牽引に加わり、最後まで粘り続ける逃げメンバーをラスト10kmを切って飲み込んだ。
すると時を同じくして、集団内ではポジション争いの余波を受けたヴァンガーデレンが単独落車。「誰かのバイクとハスり、ブレーキが掛かって落車した」と言う総合リーダーに幸い大きな怪我はなく、チームカーを待たずにラクラン・モートン(オーストラリア)のバイクに乗り換え、アシストの力を借りながら集団復帰を目指していく。
チームカーの隊列を使いつつ集団の背後に迫ったヴァンガーデレンだったが、モートンのバイクは前後ブレーキの操作が左右逆のセッティングだったため、コーナー進入時のブレーキングでタイヤをロックさせオーバーラン。再び集団復帰を目指したものの、スプリンターチームが集団のペースを上げたこと、更に集団中ほどで発生した大落車に阻まれたことも重なり、完全に復帰への道が途絶えてしまう。この落車には6秒遅れの総合2位ジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス)も巻き込まれるなど、このステージは最終盤に入って混乱を極めた。
そんな状況を尻目に集団先頭を突き進んだのは、屈強なリードアウトトレインを整えたドゥクーニンク・クイックステップだった。並びかける他チームを振り払い、ゼネク・スティバル(チェコ)が、次いでマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)が僅かに登り勾配が付いた最終ストレートでリードアウト。ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)とペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がスプリントを開始したが、そのスリップストリームを利用したファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が伸びた。
急加速でサガンをパスし、フィニッシュライン直前でフィリプセンを交わしたヤコブセンが、自信に満ち溢れる表情と共に今大会初勝利。ドゥクーニンク・クイックステップに第2ステージのカスパー・アスグリーン(デンマーク)、第3ステージのレミ・カヴァニャ(フランス)に続く怒涛のステージ3連勝をもたらした。
「今日は力強いスプリントができた。でもそれは最強リードアウトトレインのおかげだ。風除けとなり、カオスな最終盤でも僕を完璧な位置まで送り届けてくれた。登り勾配だったので力を使ったけれど、自信があったし然るべきタイミングまで待ち続けた」と語る22歳のヤコブセン。アルガルヴェ、シュヘルデプライス、ツアー・オブ・ターキーに続く今季4勝目で、第1ステージ最終盤に起こした中切れのリベンジを達成した。
一方、追走を試みていたヴァンガーデレンやはヤコブセンの勝利から52秒、モスコンは更にその後方でフィニッシュ。これによってアスグリーンが総合首位に立ったはずだったが、審判団はレース終了後に終盤の落車に巻き込まれた選手、それによって影響を受けた全ての選手を同タイム扱いにすると発表。これによって総合成績は前日から動かず、ヴァンガーデレンが首位、モスコンが2位に留まることとなった。残り3km手前で起きた集団落車に救済措置が適用されるのは異例だ。
「"総合リーダーのまま"と聞かされて驚いた。もし落車に阻まれていなければ合流できたという判断になったんだろう」とはヴァンガーデレン。「最初の落車は集団の緊張感が高まる中で起きたので誰が悪いとは言えない。コーナーではリアブレーキを掛けたつもりがフロントホイールがロックしたのでパニックになってしまった。"そんなの僅かな違いだろう"と思われるかもしれないけど、実際に曲がりきれなかった。幸い怪我も大したことなく、小さな擦過傷と打ち身、それから肩が痛むくらい」と、フィニッシュから時間をおいたインタビューで語っている。
これまで2日間続いた山岳ステージも一休み。ラグナ・セカからモロ・ベイを目指すアムジェン・ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)第4ステージのコースは、太平洋に面した小刻みなアップダウンを含む212.5kmだ。序盤に2級山岳、中盤に3級山岳が2箇所用意されているが、スプリンターをふるい落すものではない。
ドーピング嫌疑が浮上したクリスティアン・デュラセク(クロアチア、UAEチームエミレーツ)を除く132名が、世界に名を轟かす名サーキット「ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ」をスタート。西海岸の風光明媚な景観で知られる州道1号線に入ると、全米王者のジョニー・ブラウン(アメリカ、ハーゲンスバーマン・アクセオン)や昨年ジャパンカップに出場したヨナス・ヘンッタラ(フィンランド、ノボ ノルディスク)を含む5名が逃げを打った。
アレックス・ヘーン(アメリカ、アメリカナショナルチーム)ら山岳賞上位陣は逃げに加わらなかったものの、この日はヘーンのポイントを守るべく普段からチームメイトとして走るマイケル・ヘルナンデス(アメリカ、アメリカナショナルチーム)が全ての山岳ポイントを先行してアシスト。38km地点と163km地点の中間スプリントポイントはいずれもヘンッタラが先頭通過している。
メイン集団では、総合首位のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)擁するEFエデュケーションファーストではなく、ボーラ・ハンスグローエやドゥクーニンク・クイックステップ、トレック・セガフレードといったスプリンターチームがコントロール。終盤に入るとユンボ・ヴィズマらも牽引に加わり、最後まで粘り続ける逃げメンバーをラスト10kmを切って飲み込んだ。
すると時を同じくして、集団内ではポジション争いの余波を受けたヴァンガーデレンが単独落車。「誰かのバイクとハスり、ブレーキが掛かって落車した」と言う総合リーダーに幸い大きな怪我はなく、チームカーを待たずにラクラン・モートン(オーストラリア)のバイクに乗り換え、アシストの力を借りながら集団復帰を目指していく。
チームカーの隊列を使いつつ集団の背後に迫ったヴァンガーデレンだったが、モートンのバイクは前後ブレーキの操作が左右逆のセッティングだったため、コーナー進入時のブレーキングでタイヤをロックさせオーバーラン。再び集団復帰を目指したものの、スプリンターチームが集団のペースを上げたこと、更に集団中ほどで発生した大落車に阻まれたことも重なり、完全に復帰への道が途絶えてしまう。この落車には6秒遅れの総合2位ジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス)も巻き込まれるなど、このステージは最終盤に入って混乱を極めた。
そんな状況を尻目に集団先頭を突き進んだのは、屈強なリードアウトトレインを整えたドゥクーニンク・クイックステップだった。並びかける他チームを振り払い、ゼネク・スティバル(チェコ)が、次いでマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)が僅かに登り勾配が付いた最終ストレートでリードアウト。ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ)とペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がスプリントを開始したが、そのスリップストリームを利用したファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ)が伸びた。
急加速でサガンをパスし、フィニッシュライン直前でフィリプセンを交わしたヤコブセンが、自信に満ち溢れる表情と共に今大会初勝利。ドゥクーニンク・クイックステップに第2ステージのカスパー・アスグリーン(デンマーク)、第3ステージのレミ・カヴァニャ(フランス)に続く怒涛のステージ3連勝をもたらした。
「今日は力強いスプリントができた。でもそれは最強リードアウトトレインのおかげだ。風除けとなり、カオスな最終盤でも僕を完璧な位置まで送り届けてくれた。登り勾配だったので力を使ったけれど、自信があったし然るべきタイミングまで待ち続けた」と語る22歳のヤコブセン。アルガルヴェ、シュヘルデプライス、ツアー・オブ・ターキーに続く今季4勝目で、第1ステージ最終盤に起こした中切れのリベンジを達成した。
一方、追走を試みていたヴァンガーデレンやはヤコブセンの勝利から52秒、モスコンは更にその後方でフィニッシュ。これによってアスグリーンが総合首位に立ったはずだったが、審判団はレース終了後に終盤の落車に巻き込まれた選手、それによって影響を受けた全ての選手を同タイム扱いにすると発表。これによって総合成績は前日から動かず、ヴァンガーデレンが首位、モスコンが2位に留まることとなった。残り3km手前で起きた集団落車に救済措置が適用されるのは異例だ。
「"総合リーダーのまま"と聞かされて驚いた。もし落車に阻まれていなければ合流できたという判断になったんだろう」とはヴァンガーデレン。「最初の落車は集団の緊張感が高まる中で起きたので誰が悪いとは言えない。コーナーではリアブレーキを掛けたつもりがフロントホイールがロックしたのでパニックになってしまった。"そんなの僅かな違いだろう"と思われるかもしれないけど、実際に曲がりきれなかった。幸い怪我も大したことなく、小さな擦過傷と打ち身、それから肩が痛むくらい」と、フィニッシュから時間をおいたインタビューで語っている。
ツアー・オブ・カリフォルニア2019第4ステージ結果
1位 | ファビオ・ヤコブセン(オランダ、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 5h53'22" |
2位 | ジャスパー・フィリプセン(ベルギー、UAEチームエミレーツ) | |
3位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
4位 | ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) | |
5位 | レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
6位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ) | |
7位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・メリダ) | |
8位 | クリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー、チームイネオス) | |
9位 | ダニー・ファンポッペル(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
10位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) |
個人総合成績
1位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、EFエデュケーションファースト) | 21h16'50" |
2位 | ジャンニ・モスコン(イタリア、チームイネオス) | +06" |
3位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | +07" |
4位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +16" |
5位 | マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +22" |
6位 | ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーUHCサイクリング) | +33" |
7位 | ヨナス・グレゴー(デンマーク、アスタナ) | |
8位 | ダヴィ・デラクルス(スペイン、チームイネオス) | +34" |
9位 | フェリックス・グロスチャートナー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +35" |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ユンボ・ヴィズマ) | +36" |
ポイント賞
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 24pts |
2位 | カスパー・アスグリーン(デンマーク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 23pts |
3位 | レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 21pts |
山岳賞
1位 | アレックス・ヘーン(アメリカ、アメリカナショナルチーム) | 31pts |
2位 | レミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 30pts |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ) | 29pts |
ヤングライダー賞
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 15h23'44" |
2位 | セルジオ・イギータ(コロンビア、EFエデュケーションファースト) | +20" |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、ハーゲンスバーマン・アクセオン) | +7'57" |
チーム総合成績
1位 | EFエデュケーションファースト | 46h11'44" |
2位 | コフィディス・ソルシオンクレディ | +40" |
3位 | ラリーUHCサイクリング | +1'07" |
text:So.Isobe
Amazon.co.jp
Hotel California (2013 Remaster)
Rhino/Elektra