2010/04/10(土) - 04:49
2010年4月9日、ブエルタ・アル・パイスバスコの第5ステージが起伏に富んだ170kmの山岳コースで行なわれ、ゴール20km手前で集団から飛び出したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が独走勝利を飾った。また、最大勾配22%の激坂を含むコースでは落車が多発した。
第5ステージ、エイバルからオリオまでの170kmに設定されたカテゴリー山岳は6つ。標高が1000mを超えるような難関山岳は登場しないが、終盤にかけて2級山岳アイア峠を2回通過する。この2級山岳アイア峠は最大勾配が22%に達する激坂だ。
最終日の個人タイムトライアルを前に、この日は序盤から活発なアタック合戦が繰り広げられた。先ず集団から15名の大きなグループが抜け出し、そこから3名が飛び出して逃げる展開。メイン集団は総合2位のクリストファー・ホーナー(アメリカ)擁するレディオシャックがコントロールした。
逃げを試みたのは、山岳賞ジャージを着るアメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)、ダヴィド・ロースリ(スイス、ランプレ)、ミハエル・アルバジーニ(スイス、チームHTC・コロンビア)の3名。
この日4つ目のカテゴリー山岳、3級山岳ベントス・デ・オリオで後続グループが先頭に追いつき、そこから人数が絞り込まれて逃げグループはチュルカ、アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)、ダニエル・ナバーロ(スペイン、アスタナ)、アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)の4名に。
やがて終盤の2級山岳アイア峠が登場すると、先頭ではチュルカが独走を開始。しかし1つ目のアイア峠通過後、チュルカは下りで落車してしまう。チュルカを追い抜いて先頭に立ったのは、アイア峠でメイン集団から抜け出したロドリゲスだった。
歩く選手が出るほど急勾配のアイア峠を力強く上り切ったロドリゲス。総合で48秒遅れのロドリゲスを40秒遅れで追ったのは、リーダージャージのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)、総合2位のホーナー、サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)の3名。
しかしロドリゲスの勢いは最後まで途切れなかった。
ロドリゲスは最終的に後続3名を振り切り、独走のままフィニッシュ。サンチェス、バルベルデ、ホーナーの3名は14秒遅れ、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)やジャンクリストフ・ペロー(フランス、オメガファーマ・ロット)を含む10名の小集団は20秒遅れでゴールした。
今年カチューシャに移籍したロドリゲスは、パリ〜ニースで総合7位に入り、プロツアーレースのボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャで総合優勝。直前に行なわれたGPミゲール・インドゥラインでも優勝し、パイスバスコの総合優勝候補に挙げられていたが、山岳での走りは影を潜め、総合下位に沈んでいた。
今シーズン3勝目を飾ったロドリゲスは総合3位にジャンプアップ。カチューシャの公式サイトの中で「昨日はもっと良い走りが出来ると思っていただけに残念な結果だった。今日は序盤から調子が良かったけど、さすがに終盤はキツかったよ。でも勝てて良かった。明日は個人タイムトライアル。上りを含むハードなコースだから、総合表彰台を守れることを願っている」とコメントしている。
この日は落車が多発。総合3位につけていたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)も終盤に落車し、1分のタイムロスを被った。ラボバンクの公式サイトによると、幸いヘーシンクに骨折は無し。しかし総合優勝圏外の8位にダウンしてしまった。
そして、優勝候補の一人にも挙げられていたダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)はレース序盤にバイクを降りた。胃腸のトラブルを抱えていたというクネゴだが、イタリアで始まったドーピング捜査にクネゴの名前が挙がっているとされる。イタリアのドーピング捜査については後ほど詳しくお伝えします。
いよいよパイスバスコは翌日の第6ステージで幕が降ろされる。最終第6ステージは22kmの個人タイムトライアル。高低差300mの厳しいコースで、バルベルデやホーナーが最後の闘いを繰り広げる。
レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2010第5ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4h07'52"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +14"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)
4位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
5位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー) +20"
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、オメガファーマ・ロット)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) 22h54'56"
2位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +01"
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +34"
4位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、オメガファーマ・ロット) +38"
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、エウスカルテル)
6位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +45"
7位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア) +54"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
9位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)
10位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +1'16"
ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)
山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)
チーム総合成績
レディオシャック
text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com
第5ステージ、エイバルからオリオまでの170kmに設定されたカテゴリー山岳は6つ。標高が1000mを超えるような難関山岳は登場しないが、終盤にかけて2級山岳アイア峠を2回通過する。この2級山岳アイア峠は最大勾配が22%に達する激坂だ。
最終日の個人タイムトライアルを前に、この日は序盤から活発なアタック合戦が繰り広げられた。先ず集団から15名の大きなグループが抜け出し、そこから3名が飛び出して逃げる展開。メイン集団は総合2位のクリストファー・ホーナー(アメリカ)擁するレディオシャックがコントロールした。
逃げを試みたのは、山岳賞ジャージを着るアメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)、ダヴィド・ロースリ(スイス、ランプレ)、ミハエル・アルバジーニ(スイス、チームHTC・コロンビア)の3名。
この日4つ目のカテゴリー山岳、3級山岳ベントス・デ・オリオで後続グループが先頭に追いつき、そこから人数が絞り込まれて逃げグループはチュルカ、アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)、ダニエル・ナバーロ(スペイン、アスタナ)、アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、アージェードゥーゼル)の4名に。
やがて終盤の2級山岳アイア峠が登場すると、先頭ではチュルカが独走を開始。しかし1つ目のアイア峠通過後、チュルカは下りで落車してしまう。チュルカを追い抜いて先頭に立ったのは、アイア峠でメイン集団から抜け出したロドリゲスだった。
歩く選手が出るほど急勾配のアイア峠を力強く上り切ったロドリゲス。総合で48秒遅れのロドリゲスを40秒遅れで追ったのは、リーダージャージのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)、総合2位のホーナー、サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)の3名。
しかしロドリゲスの勢いは最後まで途切れなかった。
ロドリゲスは最終的に後続3名を振り切り、独走のままフィニッシュ。サンチェス、バルベルデ、ホーナーの3名は14秒遅れ、アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)やジャンクリストフ・ペロー(フランス、オメガファーマ・ロット)を含む10名の小集団は20秒遅れでゴールした。
今年カチューシャに移籍したロドリゲスは、パリ〜ニースで総合7位に入り、プロツアーレースのボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャで総合優勝。直前に行なわれたGPミゲール・インドゥラインでも優勝し、パイスバスコの総合優勝候補に挙げられていたが、山岳での走りは影を潜め、総合下位に沈んでいた。
今シーズン3勝目を飾ったロドリゲスは総合3位にジャンプアップ。カチューシャの公式サイトの中で「昨日はもっと良い走りが出来ると思っていただけに残念な結果だった。今日は序盤から調子が良かったけど、さすがに終盤はキツかったよ。でも勝てて良かった。明日は個人タイムトライアル。上りを含むハードなコースだから、総合表彰台を守れることを願っている」とコメントしている。
この日は落車が多発。総合3位につけていたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)も終盤に落車し、1分のタイムロスを被った。ラボバンクの公式サイトによると、幸いヘーシンクに骨折は無し。しかし総合優勝圏外の8位にダウンしてしまった。
そして、優勝候補の一人にも挙げられていたダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)はレース序盤にバイクを降りた。胃腸のトラブルを抱えていたというクネゴだが、イタリアで始まったドーピング捜査にクネゴの名前が挙がっているとされる。イタリアのドーピング捜査については後ほど詳しくお伝えします。
いよいよパイスバスコは翌日の第6ステージで幕が降ろされる。最終第6ステージは22kmの個人タイムトライアル。高低差300mの厳しいコースで、バルベルデやホーナーが最後の闘いを繰り広げる。
レース展開はレース公式サイト、ならびにストリーミング映像より。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2010第5ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 4h07'52"
2位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +14"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)
4位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
5位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー) +20"
6位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)
7位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
10位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、オメガファーマ・ロット)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) 22h54'56"
2位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック) +01"
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +34"
4位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、オメガファーマ・ロット) +38"
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、エウスカルテル)
6位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) +45"
7位 マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア) +54"
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
9位 サンディ・カザール(フランス、フランセーズデジュー)
10位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +1'16"
ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)
山岳賞
アメツ・チュルカ(スペイン、エウスカルテル)
チーム総合成績
レディオシャック
text:Kei Tsuji
photo:vueltapaisvasco.diariovasco.com
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