2019/03/04(月) - 10:58
スプリンター向けとも言われるフランドルセミクラシック第2戦、クールネ~ブリュッセル~クールネで再びドゥクーニンク・クイックステップがレースを制圧。先行グループに入り、残り16kmから独走に持ち込んだボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)が勝利を飾った。
昨年覇者のディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
ニキ・テルプストラ(オランダ、ディレクトエネルジー) (c)CorVos
無数に続く荒れたパヴェセクター (c)CorVos
ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)の独走が決まったオンループ・ヘットニュースブラッドから一夜明け、フランドル地方では矢継ぎ早にシーズン第2戦となるクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.HC)が開催された。
オウデ・クワレモントやクルイスベルグ、ノケレベルグなど手強い石畳急坂がレース中盤に詰め込まれてはいるものの、レース後半50kmは平坦であるため、スプリンターの勝利率は過去およそ半々。今年もディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)らが名を連ねたものの、今年は屈指のクラシックハンター陣を揃えるドゥクーニンク・クイックステップが展開を支配することとなる。
この日は序盤、逃げを試みる選手と、第一登坂区間フォルケゲンベルグ(距離1000m/平均勾配5%/最大勾配12%)まで集団で進みたいチームとのせめぎ合いによってアタック合戦が長期化した。最初の1時間の平均スピードは46km/hにも及び、マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)やアレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)、ローレンス・ナーセン(ベルギー、ロット・スーダル)ら7名を見送ったことでようやく沈静。7名は最大7分リードを稼ぎ出したものの、第6登坂クルイスベルグ(距離1800m/平均勾配4.8%/最大勾配9%)を越える頃にリードは半分以下に減少していた。
レース前半を逃げたマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)やアレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード) (c)CorVos
勝負に絡めなかったナセル・ブアニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) (c)CorVos
展開に乗れず、集団内での追走を強いられたディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) (c)CorVos
メイン集団で動きが生まれたのは悪名高き石畳の登坂、オウデ・クワレモント(距離2200m/平均勾配4%/最大勾配11.6%)だった。ベルギー王者イヴ・ランパールトと前日覇者スティバルを中心にドゥクーニンク・クイックステップが組織的なペースアップを敢行し、ここにイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)が加わったことで集団が一気に分裂。カスパー・アスグリーン(デンマーク)、スティバル、ランパールト(いずれもドゥクーニンク・クイックステップ)、スタナードとオウェイン・ドゥール(共にイギリス、チームスカイ)、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)、そしてシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)という屈強な8名が抜け出し、後続を合流させながらクルイスベルグ(距離1100m/平均勾配6%/最大勾配11%)をクリア。その先で元々の逃げグループを飲み込んだ。
スタナードとランパールトたちの先頭グループには次々と選手たちが合流し、その数はおよそ35名に。アンドレ・グライペル(ドイツ、アルケア・サムシック)やボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)も合流したが、フルーネウェーヘンやアッカーマンなどはこの動きを取りこぼしてしまう。
ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)やオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)が逃げる (c)CorVos
残り16km地点から独走に持ち込んだボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVosすると、人数増加を嫌ったユンゲルスが石畳セクター「バレント」でセレクションを行い、ここに序盤にも逃げたコルトニールセンとバッレリーニ(アスタナ)、オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)、セバスティアン・ラングフェルド(オランダ、EFエデュケーションファースト)が追従。フィニッシュまで60km以上を残したこの動きが、この日の勝ち逃げに繋がった。
最後のノケレベルグ(距離350m/平均勾配5.7%/最大勾配7%)を超えて平坦区間に入ると、先頭5名のリードは追走集団に対して25秒、ユンボ・ヴィズマやボーラ・ハンスグローエが必死に追走するメイン集団に対して1分10秒に増加する。追走グループはユンゲルスにエースを託したドゥクーニンク・クイックステップが抑えたことで徐々に遅れ、やがてメイン集団に飲み込まれた。
先頭5名と大集団のタイム差はおよそ1分0秒台で推移する。フィニッシュまで距離を残していたため集団有利かと思われたが、ここからフランドルクラシック特有の筋書き通りにいかない展開がスタート。ユンボ・ヴィズマの集団牽引にミッチェルトン・スコットやボーラ・ハンスグローエも協力し、残り30kmでタイム差を45秒差、残り20kmで35秒差、残り17kmで25秒差まで縮めたものの、ここから先頭5名とのペースは膠着状態となった。
力を使ったメイン集団のアシスト陣が崩壊し、好機と見たドゥクーニンク・クイックステップがローテーションを崩しに掛かったことで集団のペースが停滞する。すると15km以上を残して先頭グループからはユンゲルスがアタック。ナーセンやラングフェルドは反応できず、ルクセンブルクチャンピオンが独走を開始した。
得意パターンに持ち込んだユンゲルスは、突如コース内に入った一般車にも影響されることなく、リードを保ったままフィニッシュまでの距離を減らしていく。メイン集団はナーセンらを飲み込んだものの、ドゥクーニンク・クイックステップが先頭を固めたことでユンゲルスまでは届かない。残り1kmでもタイム差は15秒から縮まらず、ルクセンブルクチャンピオンはリードを維持したままフィニッシュへとたどり着いた。
16kmに及ぶ独走を成功させたボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
12秒遅れのメイン集団ではオウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ)が先着 (c)CorVos
フィニッシュ直後のボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
自らの加速で勝ち逃げを生み出し、集団を抑えたまま残り16kmを一人逃げ切ったユンゲルス。昨年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュと同じパターンで勝利で、コロンビアでの逃げ切りに続く今季2勝目だ。「最もキツい勝ち方だけど、本当に美しい勝ち方でもある。チームとして必勝体制で臨んできたものの自分としては予期しない勝利だったよ。もともとはアルデンヌよりもずっと緊張感の高い石畳レースの経験を積むために参加していたんだ」と、ユンゲルスは語る。
「5人になってからは向かい風も吹いていたし、メイン集団との差も近かった。でもあのグループ内では一番脚があったのも分かっていたし、何かトライして見ようと思ったんだ。ミッション・インポッシブルな可能性も感じていたけど自分のガッツを信じた。うまくいったよ」と語っている。チーム力を見せつけたドゥクーニンク・クイックステップにとっては2日間2連勝であり、パリ〜ルーベまで続くフランドルクラシックシーズンを最良の形で幕開けた。
クールネ~ブリュッセル~クールネ2019表彰台 (c)CorVos
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ゼネク・スティバル(チェコ、ドゥクーニンク・クイックステップ)の独走が決まったオンループ・ヘットニュースブラッドから一夜明け、フランドル地方では矢継ぎ早にシーズン第2戦となるクールネ~ブリュッセル~クールネ(UCI1.HC)が開催された。
オウデ・クワレモントやクルイスベルグ、ノケレベルグなど手強い石畳急坂がレース中盤に詰め込まれてはいるものの、レース後半50kmは平坦であるため、スプリンターの勝利率は過去およそ半々。今年もディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)やパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)らが名を連ねたものの、今年は屈指のクラシックハンター陣を揃えるドゥクーニンク・クイックステップが展開を支配することとなる。
この日は序盤、逃げを試みる選手と、第一登坂区間フォルケゲンベルグ(距離1000m/平均勾配5%/最大勾配12%)まで集団で進みたいチームとのせめぎ合いによってアタック合戦が長期化した。最初の1時間の平均スピードは46km/hにも及び、マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)やアレックス・キルシュ(ルクセンブルク、トレック・セガフレード)、ローレンス・ナーセン(ベルギー、ロット・スーダル)ら7名を見送ったことでようやく沈静。7名は最大7分リードを稼ぎ出したものの、第6登坂クルイスベルグ(距離1800m/平均勾配4.8%/最大勾配9%)を越える頃にリードは半分以下に減少していた。
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スタナードとランパールトたちの先頭グループには次々と選手たちが合流し、その数はおよそ35名に。アンドレ・グライペル(ドイツ、アルケア・サムシック)やボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ)も合流したが、フルーネウェーヘンやアッカーマンなどはこの動きを取りこぼしてしまう。
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最後のノケレベルグ(距離350m/平均勾配5.7%/最大勾配7%)を超えて平坦区間に入ると、先頭5名のリードは追走集団に対して25秒、ユンボ・ヴィズマやボーラ・ハンスグローエが必死に追走するメイン集団に対して1分10秒に増加する。追走グループはユンゲルスにエースを託したドゥクーニンク・クイックステップが抑えたことで徐々に遅れ、やがてメイン集団に飲み込まれた。
先頭5名と大集団のタイム差はおよそ1分0秒台で推移する。フィニッシュまで距離を残していたため集団有利かと思われたが、ここからフランドルクラシック特有の筋書き通りにいかない展開がスタート。ユンボ・ヴィズマの集団牽引にミッチェルトン・スコットやボーラ・ハンスグローエも協力し、残り30kmでタイム差を45秒差、残り20kmで35秒差、残り17kmで25秒差まで縮めたものの、ここから先頭5名とのペースは膠着状態となった。
力を使ったメイン集団のアシスト陣が崩壊し、好機と見たドゥクーニンク・クイックステップがローテーションを崩しに掛かったことで集団のペースが停滞する。すると15km以上を残して先頭グループからはユンゲルスがアタック。ナーセンやラングフェルドは反応できず、ルクセンブルクチャンピオンが独走を開始した。
得意パターンに持ち込んだユンゲルスは、突如コース内に入った一般車にも影響されることなく、リードを保ったままフィニッシュまでの距離を減らしていく。メイン集団はナーセンらを飲み込んだものの、ドゥクーニンク・クイックステップが先頭を固めたことでユンゲルスまでは届かない。残り1kmでもタイム差は15秒から縮まらず、ルクセンブルクチャンピオンはリードを維持したままフィニッシュへとたどり着いた。
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自らの加速で勝ち逃げを生み出し、集団を抑えたまま残り16kmを一人逃げ切ったユンゲルス。昨年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュと同じパターンで勝利で、コロンビアでの逃げ切りに続く今季2勝目だ。「最もキツい勝ち方だけど、本当に美しい勝ち方でもある。チームとして必勝体制で臨んできたものの自分としては予期しない勝利だったよ。もともとはアルデンヌよりもずっと緊張感の高い石畳レースの経験を積むために参加していたんだ」と、ユンゲルスは語る。
「5人になってからは向かい風も吹いていたし、メイン集団との差も近かった。でもあのグループ内では一番脚があったのも分かっていたし、何かトライして見ようと思ったんだ。ミッション・インポッシブルな可能性も感じていたけど自分のガッツを信じた。うまくいったよ」と語っている。チーム力を見せつけたドゥクーニンク・クイックステップにとっては2日間2連勝であり、パリ〜ルーベまで続くフランドルクラシックシーズンを最良の形で幕開けた。
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クールネ~ブリュッセル~クールネ2019結果
1位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 4h42’54” |
2位 | オウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ) | +12” |
3位 | ニキ・テルプストラ(オランダ、ディレクトエネルジー) | |
4位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ) | |
5位 | イヴ・ランパールト(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
6位 | フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
7位 | イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル) | |
8位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、アルケア・サムシック) | |
9位 | ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル) | |
10位 | カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター) |
text:S.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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