2019/01/16(水) - 14:33
フルモデルチェンジを果たしたコンチネンタルのロードレーシングタイヤ「GRAND PRIX 5000」をインプレッション。より少ない転がり抵抗と耐パンク性能の強化、軽量化やチューブレスモデルの追加など全方位に進化を遂げた注目タイヤの乗り味とは。
コンチネンタル GRAND PRIX 5000
高性能ロードクリンチャータイヤとして、長きに渡り世界中のサイクリストたちに愛用されてきたコンチネンタルの「GRAND PRIX 4000」。欠点のないオールラウンドな走りの性能はレースからトレーニングまであらゆるシーンをカバーし、抜群の信頼性を持つ定番モデルとして10年以上に渡りロードレーシングタイヤのトップをひた走ってきた。
そんなベストセラーが昨秋、満を持してフルモデルチェンジ。新たにモデル名の数字を更新し「GRAND PRIX 5000(以下GP5000)」として登場した。より速く、より快適に、かつ耐パンク性能も強化した、全方位に性能を進化させたハイパフォーマンスロードタイヤとして誕生している。
レーザーグリップと呼ばれるトレッドパターンへとアップデート。サイドのグリップを高めてくれる
チューブレス(左)とクリンチャー(右)ともに同様のパターンを採用
タイヤ表面には摩耗具合が分かるインジケーターホールも
GP5000はタイヤを構成するコンパウンド、ケーシング、耐パンク層、トレッドパターン全てにアップデートを加えており、文字通り生まれ変わったタイヤに。あらゆる方面から改良を加えたGP5000は前作GP4000SⅡと比較して、転がり抵抗を12%改善、耐パンク性能を20%向上、更に10gの軽量化(25C比較)を実現している。
コンチネンタル独自のブラックチリコンパウンドは、その名称こそ変わらないもののGP5000用に素材の配合を変更し性能向上を追求。通常のカーボン粒子よりも細かいカーボンブラック粒子を用いたコンパウンドによって、優れたグリップと転がりを両立している。
クリンチャーとチューブレスモデルの見た目の違いはロゴ部分のみ
25mm幅でクリンチャーはMAX8.5Bar、チューブレスはMAX7.5Bar
ドイツ生産を表すMADE IN GERMANYの文字。タイヤの向きを示す矢印も配される
バイクの乗り心地を左右するとも言えるケーシングには、アクティブコンフォートテクノロジーと呼ばれる新たなアプローチを投入した。330TPIという数値は前作と変わらないが、その製法を見直すことでタイヤ全体の振動吸収性を高め、よりしなやかで快適な乗り心地を実現している。
トレッド下に挿入された耐パンクベルト、ベクトランブレーカーもその製法にアップデートを加え性能を強化させた。金属にも勝る高い引張強度を持つベクトラン繊維を高密度で織り込みしなやかなケーシングを形成。従来よりも広い範囲に渡って耐パンクベルトを配することで、サイドカットなどのリスクも軽減させている。
内幅17mmのワイドリムホイールに装着。25mmサイズは実測幅26.4mmに
こちらは従来型のナローリムに装着した場合。実測24.6mm幅だ
また新たにレーザーグリップと名付けられた新規トレッドパターンを採用。タイヤ表面にレーザーを照射し細かな溝を刻むことでサイドグリップを強化している。左右交互にパターンが配され、センター部分はスリックとすることで路面抵抗を抑えつつ、コーナリング性能を向上させた。
加えてGP5000で注目と言えば、ブランド初となるロードチューブレスモデルの登場だろう。クリンチャーモデルと同様のテクノロジーを採用した上で、タイヤ内側には気密性を高めるシール構造が追加されるとともに、ビード部分の形状も空気漏れを防ぐチューブレスモデル専用のデザインが用いられている。
価格はクリンチャーモデルが8,200円(税抜)、チューブレスモデルが9,800円(税抜)で、ブラックカラーのみの展開。650bにも対応した豊富なサイズラインアップを取り揃える。取り扱いはミズタニ自転車。
― クリンチャーモデルインプレッション
「ロードレースで活きる強烈なグリップ性能を獲得」西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
「ロードレースで活きる強烈なグリップ性能を獲得」西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
GP4000と比べて明らかに異なる乗り味に変化しましたね。真っ先に感じられるのが強烈なグリップ力です。非常にハイグリップなコンパウンドに進化しており、乗り始めはキュッキュッと路面と摩擦しているゴムの音が聞こえるほど。馴染んでくるとその音はなくなりますが、それでも絶えず路面を掴んでいるようなグリップ感が印象的ですね。
これまでのGP4000は良くも悪くもグリップ感はそこそこに、上手く転がり性能をバランスさせたイメージで万人受けするタイヤとなっていました。しかし今作はその転がり以上にグリップに性能を振ったように思える出来栄えで、もしかしたら好みが分かれるかもしれませんね。路面に対して粘つくとも言える感触で、加速が軽いという印象は受けませんでした。
「明らかなコンパウンドの変化を感じられる乗り味に」
「タイヤが滑らずより安全性の高いタイヤへと進化した」と西谷さん
しかしコーナリングは圧倒的な安心感があり、これ以上は怖いなと感じるところまでバイクを倒しこんでも滑ったりグリップが抜けたりするような挙動は一切ありません。グリップ性能のポテンシャルは計り知れないと感じたほどです。高い安全性はもちろん、ロードレースであればコーナーの速さで大きなアドバンテージとなるでしょう。ウェットコンディションでも高い信頼性を発揮してくれそうです。
トレッドの感触は前作と全く違いますが、しなやかさはそこそこといったコンチネンタルらしさを感じる乗り心地は継承していますね。前作の作りを考えれば耐パンク性も高いのだろうと想像できます。これだけハイグリップなコンパウンドながら、コンチネンタルに特徴的な耐摩耗性も両立されているのであれば、驚異的な進化だと思いますよ。
「コーナリングで非常に安心感のあるハイグリップが魅力」と評価する
TTレース用タイヤは別としても、グリップを犠牲にした転がり性能は正義ではないと個人的に思っていて、その点GP5000は非常に好印象でした。ロードレースでの下りなどそのスピードは馬鹿になりませんから、安全性に直結するグリップ性能は重視されるべきですね。転がり感は薄まったようにも感じてしまいますが、単純にフィーリングの問題でしょう。コンチネンタルのハイエンドモデルとして、前作に引き続きオールラウンドな高性能レーシングタイヤという仕上がりを感じることができました。
― チューブレスモデル編集部インプレッション
今回は普段からIRCのチューブレスタイヤを愛用している編集部員・村田がテスト。ホイールとの嵌合精度を煮詰めるためチューブレスモデルのリリースを遅らせてきたと言われているコンチネンタルだが、やはり気になるのはビードの上がりやすさや空気漏れといった使い勝手の部分だろう。
イーストンのEA90 SLXホイールにてテスト。タイヤレバーを使うこともなく装着できた
テストホイールとして使用したのはロードチューブレス対応のイーストン「EA90 SLX」。チューブレスタイヤらしくややキツめのサイズ感だったが、タイヤレバーを使用することもなく装着でき一安心。イーストンホイールとの相性で考えれば特段使いにくさは感じず、一般的なクリンチャータイヤと同じように着脱が可能であった。
装着後、片輪のみ空気漏れがあったためシーラントを入れて対処。それでももう片方はシーラント無しでも全く空気漏れもなく、かつ普通のフロアポンプにてビードもきちんと上げることができるほどであった。ブランド初のロードチューブレスタイヤと考えてもその出来は上々、さすがはコンチネンタルと言ったところだ。
刷新されたトレッドとチューブレスのシステムによって、非常に滑らかで快適性の高い乗り心地を獲得した
さて漕ぎ出してみると非常にシルキーで優しい乗り味に感動する。従来のコンチネンタルと言えば硬めの乗り味で路面からコツコツと振動を感じるイメージだったが、今作はそういったフィーリングはなく滑らかな転がり感が印象的。チューブレスのシステムとやや厚みのあるトレッドが微振動を吸収しているような感触でストレスが少なく、レーシングタイヤとは思えない快適性の高さを顕著に感じられた。
改良されたコンパウンドによる高いグリップ感はクリンチャー同様。低めの空気圧でトラクションも向上しており、これ以上ないコーナリングの安定感を見せてくれた。触ってみても明らかなグリップ性を感じるやや粘着質のコンパウンドに進化しており、後はいつまでこの状態を保てるのかその寿命が気になる部分ではある。
路面に張り付くような感覚と決して軽くはない重量のためか漕ぎ出しはやや重めの印象だが、一旦スピードに乗ってしまえば速度が落ちないような転がりの良さもしっかりと両立しており、正直ロードレース用途であれば欠点の見当たらない性能と言っていいだろう。チューブレスモデルはやや値段が張るものの、それに見合った満足感が得られることは間違いない仕上がりである。(CW編集部:村田悠人)
コンチネンタル GRAND PRIX 5000
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高性能ロードクリンチャータイヤとして、長きに渡り世界中のサイクリストたちに愛用されてきたコンチネンタルの「GRAND PRIX 4000」。欠点のないオールラウンドな走りの性能はレースからトレーニングまであらゆるシーンをカバーし、抜群の信頼性を持つ定番モデルとして10年以上に渡りロードレーシングタイヤのトップをひた走ってきた。
そんなベストセラーが昨秋、満を持してフルモデルチェンジ。新たにモデル名の数字を更新し「GRAND PRIX 5000(以下GP5000)」として登場した。より速く、より快適に、かつ耐パンク性能も強化した、全方位に性能を進化させたハイパフォーマンスロードタイヤとして誕生している。
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GP5000はタイヤを構成するコンパウンド、ケーシング、耐パンク層、トレッドパターン全てにアップデートを加えており、文字通り生まれ変わったタイヤに。あらゆる方面から改良を加えたGP5000は前作GP4000SⅡと比較して、転がり抵抗を12%改善、耐パンク性能を20%向上、更に10gの軽量化(25C比較)を実現している。
コンチネンタル独自のブラックチリコンパウンドは、その名称こそ変わらないもののGP5000用に素材の配合を変更し性能向上を追求。通常のカーボン粒子よりも細かいカーボンブラック粒子を用いたコンパウンドによって、優れたグリップと転がりを両立している。
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バイクの乗り心地を左右するとも言えるケーシングには、アクティブコンフォートテクノロジーと呼ばれる新たなアプローチを投入した。330TPIという数値は前作と変わらないが、その製法を見直すことでタイヤ全体の振動吸収性を高め、よりしなやかで快適な乗り心地を実現している。
トレッド下に挿入された耐パンクベルト、ベクトランブレーカーもその製法にアップデートを加え性能を強化させた。金属にも勝る高い引張強度を持つベクトラン繊維を高密度で織り込みしなやかなケーシングを形成。従来よりも広い範囲に渡って耐パンクベルトを配することで、サイドカットなどのリスクも軽減させている。
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また新たにレーザーグリップと名付けられた新規トレッドパターンを採用。タイヤ表面にレーザーを照射し細かな溝を刻むことでサイドグリップを強化している。左右交互にパターンが配され、センター部分はスリックとすることで路面抵抗を抑えつつ、コーナリング性能を向上させた。
加えてGP5000で注目と言えば、ブランド初となるロードチューブレスモデルの登場だろう。クリンチャーモデルと同様のテクノロジーを採用した上で、タイヤ内側には気密性を高めるシール構造が追加されるとともに、ビード部分の形状も空気漏れを防ぐチューブレスモデル専用のデザインが用いられている。
価格はクリンチャーモデルが8,200円(税抜)、チューブレスモデルが9,800円(税抜)で、ブラックカラーのみの展開。650bにも対応した豊富なサイズラインアップを取り揃える。取り扱いはミズタニ自転車。
― クリンチャーモデルインプレッション
「ロードレースで活きる強烈なグリップ性能を獲得」西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
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これまでのGP4000は良くも悪くもグリップ感はそこそこに、上手く転がり性能をバランスさせたイメージで万人受けするタイヤとなっていました。しかし今作はその転がり以上にグリップに性能を振ったように思える出来栄えで、もしかしたら好みが分かれるかもしれませんね。路面に対して粘つくとも言える感触で、加速が軽いという印象は受けませんでした。
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トレッドの感触は前作と全く違いますが、しなやかさはそこそこといったコンチネンタルらしさを感じる乗り心地は継承していますね。前作の作りを考えれば耐パンク性も高いのだろうと想像できます。これだけハイグリップなコンパウンドながら、コンチネンタルに特徴的な耐摩耗性も両立されているのであれば、驚異的な進化だと思いますよ。
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TTレース用タイヤは別としても、グリップを犠牲にした転がり性能は正義ではないと個人的に思っていて、その点GP5000は非常に好印象でした。ロードレースでの下りなどそのスピードは馬鹿になりませんから、安全性に直結するグリップ性能は重視されるべきですね。転がり感は薄まったようにも感じてしまいますが、単純にフィーリングの問題でしょう。コンチネンタルのハイエンドモデルとして、前作に引き続きオールラウンドな高性能レーシングタイヤという仕上がりを感じることができました。
― チューブレスモデル編集部インプレッション
今回は普段からIRCのチューブレスタイヤを愛用している編集部員・村田がテスト。ホイールとの嵌合精度を煮詰めるためチューブレスモデルのリリースを遅らせてきたと言われているコンチネンタルだが、やはり気になるのはビードの上がりやすさや空気漏れといった使い勝手の部分だろう。
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テストホイールとして使用したのはロードチューブレス対応のイーストン「EA90 SLX」。チューブレスタイヤらしくややキツめのサイズ感だったが、タイヤレバーを使用することもなく装着でき一安心。イーストンホイールとの相性で考えれば特段使いにくさは感じず、一般的なクリンチャータイヤと同じように着脱が可能であった。
装着後、片輪のみ空気漏れがあったためシーラントを入れて対処。それでももう片方はシーラント無しでも全く空気漏れもなく、かつ普通のフロアポンプにてビードもきちんと上げることができるほどであった。ブランド初のロードチューブレスタイヤと考えてもその出来は上々、さすがはコンチネンタルと言ったところだ。
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さて漕ぎ出してみると非常にシルキーで優しい乗り味に感動する。従来のコンチネンタルと言えば硬めの乗り味で路面からコツコツと振動を感じるイメージだったが、今作はそういったフィーリングはなく滑らかな転がり感が印象的。チューブレスのシステムとやや厚みのあるトレッドが微振動を吸収しているような感触でストレスが少なく、レーシングタイヤとは思えない快適性の高さを顕著に感じられた。
改良されたコンパウンドによる高いグリップ感はクリンチャー同様。低めの空気圧でトラクションも向上しており、これ以上ないコーナリングの安定感を見せてくれた。触ってみても明らかなグリップ性を感じるやや粘着質のコンパウンドに進化しており、後はいつまでこの状態を保てるのかその寿命が気になる部分ではある。
路面に張り付くような感覚と決して軽くはない重量のためか漕ぎ出しはやや重めの印象だが、一旦スピードに乗ってしまえば速度が落ちないような転がりの良さもしっかりと両立しており、正直ロードレース用途であれば欠点の見当たらない性能と言っていいだろう。チューブレスモデルはやや値段が張るものの、それに見合った満足感が得られることは間違いない仕上がりである。(CW編集部:村田悠人)
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コンチネンタル GRAND PRIX 5000(クリンチャー)
サイズ | ETRTO | TPI | 重量(g) |
---|---|---|---|
650x25B | 25-584 | 330 | 205 |
650x28B | 28-584 | 330 | 230 |
700x23C | 23-622 | 330 | 200 |
700x25C | 25-622 | 330 | 215 |
700x28C | 28-622 | 330 | 235 |
700x32C | 32-622 | 330 | 290 |
コンチネンタル GRAND PRIX 5000TL(チューブレス)
サイズ | ETRTO | TPI | 重量(g) |
---|---|---|---|
650x28B | 28-584 | 180 | 330 |
700x25C | 25-622 | 180 | 300 |
700x28C | 28-622 | 180 | 345 |
700x32C | 32-622 | 180 | 370 |
価格:GRAND PRIX 5000 8,200円(税抜)
GRAND PRIX 5000TL 9,800円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
西谷雅史(サイクルポイント オーベスト) 西谷雅史(サイクルポイント オーベスト)
東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。過去にはツール・ド・おきなわ市民200kmや、ジャパンカップオープンレースなどの国内ビックレースにて優勝を経験。2016年にはニセコクラシック年代別優勝も果たし、今なお衰えを知らない”最速店長”の一人である。
サイクルポイント オーベストFacebook
GRAND PRIX 5000TL 9,800円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
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東京都調布市にある「サイクルポイント オーベスト」店長。チームオーベストを率い、自らも積極的にレースに参戦。過去にはツール・ド・おきなわ市民200kmや、ジャパンカップオープンレースなどの国内ビックレースにて優勝を経験。2016年にはニセコクラシック年代別優勝も果たし、今なお衰えを知らない”最速店長”の一人である。
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