3名の逃げ切りが決まったパリ〜ニース第5ステージ。ヴォクレールとマルティンが互いを警戒し、牽制し合う中、ラスト7kmで飛び出したジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)がそのままゴールまで独走。25歳のロワが嬉しいプロレース初勝利を飾った。

山岳コースで3名の逃げが決まる
山岳地帯を進むメイン集団山岳地帯を進むメイン集団 photo:Cor Vos今大会最長&7つの山岳ポイントが登場した第5ステージ。アノネイからヴァロン・ポン・ダルまでの204kmの間には、カテゴリー1級から3級まで計7つの山岳ポイントが登場する。

山岳ポイントを連取すれば山岳賞ジャージに手が届くとあって、レースは最初の2級山岳ジュヴネ峠から動きを見せる。飛び出したのはジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)、トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)、トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)の3名だ。

序盤から逃げ続けるトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)、ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)、トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)序盤から逃げ続けるトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)、ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)、トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア) ここからTTスペシャリストとして知られる大柄なマルティンの山岳ポイント獲得劇が始まった。7つの山岳ポイントは、すべてマルティン、ヴォクレール、ロワの順で通過。一日で43ポイントを荒稼ぎしたマルティンは山岳賞ランキングトップに躍り出た。

逃げグループの中で総合トップはヴォクレール(総合44位・3分59秒遅れ)。総合成績において危険度が低いとしてクイックステップは静観し、タイム差はラスト100km地点で最大6分40秒に。

劇的な勝利を飾ったジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)劇的な勝利を飾ったジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー) photo:Cor Vosやがてメイン集団ではゴールスプリントを狙うサーヴェロ、ランプレ、ミルラムがローテーションに加わったが、タイム差は思うように縮まらない。ラスト80kmで6分30秒、ラスト50kmで6分、ラスト30kmで5分、ラスト20kmで4分30秒。サーヴェロが逃げ吸収を諦めて集団内に戻ると、タイム差の縮小は更に鈍化。先頭3名の逃げ切りが決まった。

先頭3名の中で、ステージ優勝を狙って真っ先に動いたのはヴォクレール。ラスト13kmでのヴォクレールのアタックは失敗し、続いてマルティンが攻撃を仕掛けるが決まらない。

ヴォクレールとマルティンが互いに警戒し合う中、それまで防戦一方だったロワがロワがラスト7kmでアタック。牽制し合う2人を置き去りにして、ロワが独走を開始した。

追走のヴォクレールとマルティンは協調体勢が築けず、そのままロワが先頭でゴール。最後は何度もガッツポーズを見せ、喜びを爆発させた。ヴォクレールはタイム差無しの2位に入り、総合成績で15位に浮上。マルティンはステージ優勝を逃したが、本来の目的である赤玉カラーの山岳賞ジャージを表彰台で受け取った。

25歳のロワは学業にも従事
プロ初勝利を飾ったジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)が表彰台に上がるプロ初勝利を飾ったジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)が表彰台に上がる photo:Cor Vosロワと言えば昨年のツール・ド・フランス第19ステージでシルヴァン・シャヴァネル(フランス、当時コフィディス)と逃げ、一騎打ちに敗れて2位に入った25歳。「昨年のツールでは本当に僅差でステージ優勝を逃したから、この勝利は本当に嬉しい。パリ〜ニースは世界を代表するステージレースだから、喜びも一入(ひとしお)だ」と、プロ初勝利の喜びを語っている。

前日の第4ステージを最下位でゴールしたロワが、この日は最上位でゴール。勝負ポイントについては「昨日のステージは調子が良くなくて、今日のためにエネルギーをセーブしながら最下位でゴールした。今日は調子が良くなっていたからトライしてみたんだ。最初の山岳では脱落しかけたけど、徐々に調子が上がっていった。最終局面で彼ら(マルティンとヴォクレール)は互いをアタックしていて、僕はそのバトルを利用しただけ。あとは全力で突っ走った。夢が叶ったよ」とコメントしている。

プロロードレーサーの肩書きを持つロワだが、実はまだ学生でもある。「プロ最初の3年間は特別なプログラムが組まれていて、学業にも従事しているんだ。だからレースに出場するのは週末だけ。僕は偉大なチャンピオンじゃなくて、一介のプロ選手に過ぎない。だからロードレースと学業の両立はそれほど難しいことじゃないよ」。

翌第6ステージは1級の頂上ゴールが登場
イエロージャージを守ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)イエロージャージを守ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) photo:Cor Vosこの日は総合成績に大きな変動が見られず、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)が、フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)から6秒、アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)から36秒リードしてイエロージャージをキープしている。

そしていよいよパリ〜ニースは正念場を迎える。第6ステージは1級山岳ラ・モンターニュ・ド・リュール(距離13.8km・平均6.6%)の頂上ゴールが登場し、そのあとも山岳ステージが連続。イエロージャージ争いは熱を帯びる。

パリ〜ニース2009第5ステージ結果
1位 ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)4h58'47"
2位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)
3位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)+03"
4位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)+2'33"
5位 ムリロ・フィッシャー(ブラジル、リクイガス)
6位 ロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)
7位 シリル・ルモワンヌ(フランス、スキル・シマノ)
8位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、サイレンス・ロット)
9位 ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)
10位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)

個人総合成績
1位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)18h32'56"
2位 フアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)+06"
3位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ラボバンク)+36"
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
5位 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)+37"
6位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+45"
7位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン)+50"
8位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)+55"
9位 ウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)+57"
10位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)+1'03"

ポイント賞
ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)

山岳賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)

新人賞
ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)

チーム総合成績

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