今大会最初の本格的な集団スプリントに持ち込まれたティレーノ〜アドリアティコ第3ステージ。ペタッキやアイゼル、ファラーと言った有力スプリンターを力でねじ伏せ、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)が優勝。ボーナスタイムを獲得したベンナーティは総合首位に立った。

集団内で走るロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)集団内で走るロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vosトスカーナ州北部のサンミニアートを中心に行なわれた第3ステージ。途中で故フランコ・バッレリーニ監督の故郷を通過するコースは前日と同様スプリンター向きの平坦コース。終盤にかけて2つカテゴリー山岳を越える。

ゴール28km手前で標高差257mの山岳パーピ、ゴール15km手前で標高差288mの山岳サンバラントをクリア。ミラノ〜サンレモに照準を合わす選手が多数出場数だけに、コースレイアウトもミラノ〜サンレモ風だ。

ペタッキをねじ伏せたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)が先頭ペタッキをねじ伏せたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)が先頭 photo:RCS Sportレース序盤に飛び出し、最大6分のリードで逃げたのはセバスティアン・ラング(ドイツ、オメガファーマ・ロット)、アメツ・チュルーカ(スペイン、エウスカルテル)、キャメロン・ウルフ(オーストラリア、アンドローニ・ジョカトーリ)の3名。

レース後半にかけてタイム差が縮まる中、レースが動いたのはゴール28km手前に設定されたカテゴリー山岳のパーピ。この上りで有力スプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)が集団から脱落し、先頭ではウルフが独走を開始した。

ライバルたちを蹴散らしたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)ライバルたちを蹴散らしたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス) photo:Cor Vosメイン集団からはアメツ・チュルーカ(スペイン、エウスカルテル)がアタックを仕掛けて先頭のウルフを追ったが、リクイガスがコントロールするメイン集団は、ゴール15km手前の山岳サンバラントまでに全ての逃げを飲み込んだ。

そして、サンバラントの頂上手前でディフェンディングチャンピオンのミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)やフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)ら10名が飛び出した。かなり脚の揃った強力な逃げだ。

ステージ優勝を飾ったダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)ステージ優勝を飾ったダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス) photo:RCS Sportマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)も入った10名の先頭グループは、メイン集団から20秒のリードを稼ぎ出すことに成功。しかし協調体制が上手く築けず、ランプレが牽引するメイン集団にラスト2kmで吸収されてしまう。

ここからリクイガストレインが発車した。カヴェンディッシュを欠くゴールスプリントで主導権を握ったのはリクイガス。ベンナーティがチームメイト4名に牽かれてスプリントに挑んだ。

ラスト200mでベンナーティの後方からアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)がスプリントを仕掛けたが、反応したベンナーティはペタッキに先行を許さずにスプリントで猛進。ペタッキをねじ伏せたベンナーティが先頭でゴールを駆け抜けた。

ベンナーティはティレーノ初勝利。ボーナスタイムを獲得し、同時に総合首位に浮上した。

「今日はフランコ(バッレリーニ)が沿道で見てくれているような錯覚に陥った。チームメイトの素晴らしい働きにも応えたかったし、昨日失ったチャンスを今日絶対掴もうと思ったんだ。クインツィアート、オス、サバティーニのおかげで、ラスト200mで最高のポジションにいた。まだまだ残りのステージで優勝を狙うよ」。

ティレーノで初めてリーダージャージを獲得したベンナーティ。しかし翌日の第4ステージはキエーティの激坂が用意された243kmの最長ステージ。中盤には標高のある山岳も登場し、スプリンターは苦戦が予想される。オールラウンダーたちの活躍に期待だ。

レース展開と選手コメントはレース公式サイトより。

ティレーノ〜アドリアティコ2010第2ステージ結果
1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)       3h54'09"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
3位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームHTC・コロンビア)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
5位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)
6位 サーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
7位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 フランチェスコ・ジナンニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
10位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)

個人総合成績
1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)       11h44'23"
2位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)           +04"
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
4位 パブロ・ラストラス(スペイン、ケースデパーニュ)          +08"
5位 ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)
6位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
7位 アラン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)
8位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)          +10"
9位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)     +13"
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)        +14"

ポイント賞
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)

山岳賞
ディエゴ・カッチャ(イタリア、ISD・ネーリ)

新人賞
ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)

チーム総合成績
アスタナ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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