Jプロツアー最終戦となる「南魚沼ロードレース」が、経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップとして開催され、マトリックスパワータグから出場のフランシスコ・マンセボが優勝。ホセ・ビセンテが2位となってワン・ツーフィニッシュを達成し、昨年に続き経済産業大臣旗を獲得した。



2018年のJプロツアー全22戦の最後を締めくくるのは、2年ぶりの開催となる南魚沼ロードレース。Jプロツアーの中でも最もステータスの高い「経済産業大臣旗ロードレース」としての開催だ。

今年は第21戦までのチームランキング上位15チームに出場権が与えられ、16位以下のチームは前日に行われたプレーオフに出場している。Jプロツアーのレースで唯一団体成績も争うレースで、各チーム上位3人のポイントの合計により順位を決める。優勝チームには真紅の経済産業大臣旗、通称「輪翔旗」が与えられるほか、優勝者には「ヴィオラジャージ」が与えられ、Jプロツアーのレースで1年間着用することが許される。

スタート前、昨年急逝したJBCFオフィシャルフォトグラファーの故・高木秀彰氏に黙祷が捧げられたスタート前、昨年急逝したJBCFオフィシャルフォトグラファーの故・高木秀彰氏に黙祷が捧げられた photo:Satoru Kato昨年優勝の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)から、経済産業大臣旗が返還される昨年優勝の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)から、経済産業大臣旗が返還される photo:Satoru Kato

また、このレースは、昨年急逝したフォトジャーナリストの故・高木秀彰氏のメモリアルレースとしても開催された。高木氏はJBCFのオフィシャル・フォトグラファーとしてレースに帯同し、当シクロワイアードでもレース記事を執筆し、選手の活躍を伝えてきた。今回の優勝者には高木秀彰賞として賞金が贈られ、積極的なレースをした選手に敢闘賞が贈られる。なお、敢闘賞は来年以降の全レースで設定される。

台風は夜のうちに通過していったものの、真夏日を記録した前日とうって変わって朝から断続的に雨が降り続く1日。雨は時々強く降り、肌寒さを感じる気温とハードなコースと相まって過酷なレースとなった。

自らレースの流れを作ったマンセボが優勝 山本元喜が敢闘賞

1周目から攻めの走りを見せるフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)1周目から攻めの走りを見せるフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
レースは新潟県南魚沼市の三国川ダムの周囲を回る1周12kmのコースを10周する122km。スタート直後からの登りで山本元喜(キナンサイクリングチーム)がペースアップしていく。山頂が近づくとマンセボが飛び出し、これに増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が追従する。さらに後方から追走集団が合流し、7人の先頭集団が形成されるが、メイン集団との差は広がらずに1周目終了間際に吸収される。

2周目に形成された先頭集団を引く米谷隆志(LEOMO Bellmare Racing Team)2周目に形成された先頭集団を引く米谷隆志(LEOMO Bellmare Racing Team) photo:Satoru Katoレース中盤、シマノレーシングがメイン集団をコントロールレース中盤、シマノレーシングがメイン集団をコントロール photo:Satoru Kato

2周目、7人の逃げ集団が再構成され、集団との差を広げる。メンバーは、マンセボ、山本、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、湊諒(シマノレーシング)、米谷隆志(LEOMO Bellmare Racing Team)、雨澤毅明、岡篤志(宇都宮ブリッツェン)。

5周目、逃げ集団から米谷が遅れて6人となるものの、シマノレーシングがコントロールするメイン集団との差は2分まで開く。8周目に入ると宇都宮ブリッツェンが集団コントロールを開始し、逃げ集団との差を1分まで縮める。この動きに呼応し、逃げ集団では山本がペースアップ。マンセボ、ホセ、湊が追従する一方、岡と雨澤はメイン集団に戻る。

8周目、山本元喜(キナンサイクリングチーム)のペースアップで4人に絞られた先頭集団8周目、山本元喜(キナンサイクリングチーム)のペースアップで4人に絞られた先頭集団 photo:Satoru Katoレース終盤は宇都宮ブリッツェンが集団コントロールレース終盤は宇都宮ブリッツェンが集団コントロール photo:Satoru Kato

9周目、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ )がアタック9周目、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ )がアタック photo:Satoru Kato
4人となった逃げ集団が残り2周となる9周目に入った直後、マンセボがアタック。山本と湊が反応できないのを確認してホセが追走し、マトリックスパワータグの2人が先行する。宇都宮ブリッツェンは逃げていた岡を加えてメイン集団を牽引し追走するが、1分の差がなかなか縮まらないまま最終周回へ。入部正太朗と横山航太(シマノレーシング)、増田の3人が追走集団を形成するも、先行する2人を捉えるには至らない。

9周目に抜け出したフランシスコ・マンセボとホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)9周目に抜け出したフランシスコ・マンセボとホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
マンセボとホセは最後の登りも手を抜くことなくペースを維持。急激に濃霧が立ち込めたフィニッシュ地点に2人揃って姿を現し、ワン・ツーフィニッシュでレースを締めくくった。これによりマトリックスパワータグが団体成績でも優勝し、昨年に続き輪翔旗を獲得した。

表彰式表彰式 photo:Satoru Kato敢闘賞は山本元喜(キナンサイクリングチーム)敢闘賞は山本元喜(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru Kato

ヴィオラジャージを着て高木秀彰賞の目録を手にするフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)ヴィオラジャージを着て高木秀彰賞の目録を手にするフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato安原監督は「今年はブリッツェンにボロボロにやられてたからこのレースだけは絶対取りたかった。(輪翔旗を)本気で獲るつもりで来ていたからホンマに嬉しい。このためにマンセボを呼んだわけではないけれど、仮にマンセボがいなくても勝てたと思っている。今までで一番嬉しい」と、結果を喜ぶ。

注目のマンセボについては「最盛期の力には及ばないかもしれないけれど、レベルが全然違う。今後話し合って来年もウチの選手になってくれるかを決めることになるが、国内全体のレベルを上げることにも繋がればと思っている」と語った。

マトリックスパワータグが2年連続で経済産業大臣旗を獲得マトリックスパワータグが2年連続で経済産業大臣旗を獲得 photo:Satoru Kato宇都宮ブリッツェンが団体総合優勝宇都宮ブリッツェンが団体総合優勝 photo:Satoru Kato

南魚沼ロードレース 経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ 結果(122km)
1位 フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ ) 3時間14分20秒
2位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ ) +0秒
3位 横山航太(シマノレーシング) +1分3秒
4位 入部正太朗(シマノレーシング) +1分7秒
5位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +1分13秒
6位 木村圭佑(シマノレーシング) +1分40秒
団体成績
1位 マトリックスパワータグ 720p
2位 シマノレーシング 520p
3位 宇都宮ブリッツェン 145p
その他レース
F 全周回を逃げ切ってフィニッシュする唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)F 全周回を逃げ切ってフィニッシュする唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Satoru KatoE1 リーダージャージの石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)が優勝E1 リーダージャージの石井祥平(アーティファクトレーシングチーム)が優勝 photo:Satoru Kato

E2優勝 牧野郁人(Peach MAX)E2優勝 牧野郁人(Peach MAX) photo:Satoru KatoE3 表彰式E3 表彰式 photo:Satoru Kato


text&photo:Satoru Kato

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