2018/08/30(木) - 09:04
終盤に2級山岳が設定されたブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージは19名が逃げ切る展開に。三つ巴スプリントを制したEFドラパックのサイモン・クラークがステージ優勝に輝き、メイン集団に5分近い差をつけたグルパマFDJのルディ・モラールがマイヨロホ獲得を果たした。
連日獲得標高差が3,000mを超えるブエルタ・ア・エスパーニャ。第5ステージも例外ではなく、内陸のグラナダから地中海に面したロケタス・デ・マルに向かう188.7kmの行程は山あり谷あり。登場するカテゴリー山岳は2つだけだが、標高500〜1,000mのカテゴリーの付いていない峠が連続し、残り27km地点には2級山岳マルチャル峠(全長10.8km/平均4.1%)が待っている。
最後の2級山岳さえクリアできればスプリンターにもチャンスがあると思われたが、逃げ切りを狙うアタッカーたちが序盤から激しく動いたためタフな展開に。すでに総合で遅れているヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)までアタック合戦に加わり、最初の1時間を平均スピード47.8km/hで駆け抜けた。
スタートから1時間半に及んだアタック合戦は、70km地点で25名が飛び出したところでようやく収束する。逃げグループに選手を乗せたのは、チームスカイとクイックステップフロアーズを除く20チーム。集団スプリントのカギを握るクイックステップフロアーズは追撃せず、タイム差は順調な広がり続けた。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのはルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)で、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)から3分46秒遅れの総合28位。他にも3分54秒遅れの総合29位につけるハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)も逃げに乗る。レース中盤にタイム差を5分まで広げることに成功した逃げグループだったが、人数の多さから先頭では断続的にアタックがかかった。
フィニッシュまで80km地点を切ると、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)とステファヌ・ロゼット(フランス、コフィディス)の2人がアタックして先行する。追走グループに1分差、メイン集団に6分差をつけて逃げた2人だったが、やがてロゼットが遅れてデマルキ単独となる。ここにタイム差を詰めたサイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)とバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が追いつき、残り50km地点で先頭では強力なトリオが形成された。
最大の難所である2級山岳マルチャル峠でモレマがメカトラでストップしたものの問題なく先頭に復帰。そのモレマを先頭に2級山岳の頂上を越えていく。後方ではルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)、フローリス・デティエ(ベルギー、ロットNLユンボ)の3名が追走グループを形成し、チームスカイ率いるメイン集団は6分遅れの位置をキープした。
ブエルタのステージ優勝経験者3名(デマルキ、クラーク、モレマ)が再びのステージ優勝に向けてローテーション。マイヨロホ獲得を狙うモラールが懸命に追走グループ(ヴィレッラ、モラール、デティエ)を率いたもののタイム差は思うように縮まらない。やがて先頭3名はアタックとスローダウンを繰り返す牽制状態に陥ったが、追走グループが追いつくことはなかった。
残り1kmアーチで先頭3名と追走3名のタイム差は15秒。アタックは決まらずに三つ巴のスプリント勝負に持ち込まれ、タイミングよく加速したクラークがモレマとデマルキを振り切った。体重63kgのクラークは残り200mを18秒間平均出力815W(最大出力1,097W)で踏んでおり、スプリントのトップスピードは65.2km/hだった。なお、クラークのステージ全体の平均出力は258W。2級山岳マルチャル峠を平均出力321Wで駆け上がっている。
メイン集団は4分55秒遅れでフィニッシュしたため、マイヨロホは8秒遅れのステージ6位に入ったモラールの手に渡っている。
2012年のブエルタ第4ステージで勝利し、山岳賞を獲得している(同年ジャパンカップ2位)32歳のクラークがステージ優勝。「最後にステージ優勝してからずいぶんと長い時間がかかってしまった。今日は調子が良かったものの、逃げグループの人数が多くて協力体制を築けず。勝ち逃げが生まれるのは下り区間だと思っていた。15歳から打ち込んでいたトラックレースの経験が最後は生きたよ。デマルキが速いことは知っていたし、モレマがアタックした時は脚が攣っていた。そんな状況で勝つには、氷のように冷静になる必要があった」と久々の勝利を飾ったクラークは語る。
UCIワールドチームの中でシーズン最少勝利数のEFエデュケーションファースト・ドラパックにとってこれが今シーズン5勝目。カチューシャ・アルペシンと同勝利数で並んだ。
そしてマイヨロホはクウィアトコウスキーからモラールの手に。2012年にコフィディスでプロ入りし、2017年からエフデジで走る28歳のモラール。2017年ラ・フレーシュ・ワロンヌで8位に入り、2018年パリ〜ニースの山岳ステージで優勝している軽量クライマーが自身8回目のグランツールで初めてリーダージャージに袖を通した。
2016年ブエルタ総合30位、2017年ジロ総合44位、2017年ツール総合36位という成績を残しているモラールは「ステージ優勝が目標だったけど、レッドジャージを獲得することができてとにかく嬉しい。メイン集団とのタイム差が縮まらなかったので、後半は総合リーダーになることだけを考えていた。グランツールのリーダージャージは大きな意味を持つ。とてもユニークで、特別な経験だ」とコメント。総合2位クウィアトコウスキーとのタイム差は41秒。モラールは「明日から3日間は比較的イージーなので、日曜日まで首位を守れると思う」と語っている。
連日獲得標高差が3,000mを超えるブエルタ・ア・エスパーニャ。第5ステージも例外ではなく、内陸のグラナダから地中海に面したロケタス・デ・マルに向かう188.7kmの行程は山あり谷あり。登場するカテゴリー山岳は2つだけだが、標高500〜1,000mのカテゴリーの付いていない峠が連続し、残り27km地点には2級山岳マルチャル峠(全長10.8km/平均4.1%)が待っている。
最後の2級山岳さえクリアできればスプリンターにもチャンスがあると思われたが、逃げ切りを狙うアタッカーたちが序盤から激しく動いたためタフな展開に。すでに総合で遅れているヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ)までアタック合戦に加わり、最初の1時間を平均スピード47.8km/hで駆け抜けた。
スタートから1時間半に及んだアタック合戦は、70km地点で25名が飛び出したところでようやく収束する。逃げグループに選手を乗せたのは、チームスカイとクイックステップフロアーズを除く20チーム。集団スプリントのカギを握るクイックステップフロアーズは追撃せず、タイム差は順調な広がり続けた。
逃げグループの中で総合成績が最も良いのはルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)で、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)から3分46秒遅れの総合28位。他にも3分54秒遅れの総合29位につけるハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ)も逃げに乗る。レース中盤にタイム差を5分まで広げることに成功した逃げグループだったが、人数の多さから先頭では断続的にアタックがかかった。
フィニッシュまで80km地点を切ると、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)とステファヌ・ロゼット(フランス、コフィディス)の2人がアタックして先行する。追走グループに1分差、メイン集団に6分差をつけて逃げた2人だったが、やがてロゼットが遅れてデマルキ単独となる。ここにタイム差を詰めたサイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)とバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が追いつき、残り50km地点で先頭では強力なトリオが形成された。
最大の難所である2級山岳マルチャル峠でモレマがメカトラでストップしたものの問題なく先頭に復帰。そのモレマを先頭に2級山岳の頂上を越えていく。後方ではルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ)、ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ)、フローリス・デティエ(ベルギー、ロットNLユンボ)の3名が追走グループを形成し、チームスカイ率いるメイン集団は6分遅れの位置をキープした。
ブエルタのステージ優勝経験者3名(デマルキ、クラーク、モレマ)が再びのステージ優勝に向けてローテーション。マイヨロホ獲得を狙うモラールが懸命に追走グループ(ヴィレッラ、モラール、デティエ)を率いたもののタイム差は思うように縮まらない。やがて先頭3名はアタックとスローダウンを繰り返す牽制状態に陥ったが、追走グループが追いつくことはなかった。
残り1kmアーチで先頭3名と追走3名のタイム差は15秒。アタックは決まらずに三つ巴のスプリント勝負に持ち込まれ、タイミングよく加速したクラークがモレマとデマルキを振り切った。体重63kgのクラークは残り200mを18秒間平均出力815W(最大出力1,097W)で踏んでおり、スプリントのトップスピードは65.2km/hだった。なお、クラークのステージ全体の平均出力は258W。2級山岳マルチャル峠を平均出力321Wで駆け上がっている。
メイン集団は4分55秒遅れでフィニッシュしたため、マイヨロホは8秒遅れのステージ6位に入ったモラールの手に渡っている。
2012年のブエルタ第4ステージで勝利し、山岳賞を獲得している(同年ジャパンカップ2位)32歳のクラークがステージ優勝。「最後にステージ優勝してからずいぶんと長い時間がかかってしまった。今日は調子が良かったものの、逃げグループの人数が多くて協力体制を築けず。勝ち逃げが生まれるのは下り区間だと思っていた。15歳から打ち込んでいたトラックレースの経験が最後は生きたよ。デマルキが速いことは知っていたし、モレマがアタックした時は脚が攣っていた。そんな状況で勝つには、氷のように冷静になる必要があった」と久々の勝利を飾ったクラークは語る。
UCIワールドチームの中でシーズン最少勝利数のEFエデュケーションファースト・ドラパックにとってこれが今シーズン5勝目。カチューシャ・アルペシンと同勝利数で並んだ。
そしてマイヨロホはクウィアトコウスキーからモラールの手に。2012年にコフィディスでプロ入りし、2017年からエフデジで走る28歳のモラール。2017年ラ・フレーシュ・ワロンヌで8位に入り、2018年パリ〜ニースの山岳ステージで優勝している軽量クライマーが自身8回目のグランツールで初めてリーダージャージに袖を通した。
2016年ブエルタ総合30位、2017年ジロ総合44位、2017年ツール総合36位という成績を残しているモラールは「ステージ優勝が目標だったけど、レッドジャージを獲得することができてとにかく嬉しい。メイン集団とのタイム差が縮まらなかったので、後半は総合リーダーになることだけを考えていた。グランツールのリーダージャージは大きな意味を持つ。とてもユニークで、特別な経験だ」とコメント。総合2位クウィアトコウスキーとのタイム差は41秒。モラールは「明日から3日間は比較的イージーなので、日曜日まで首位を守れると思う」と語っている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第5ステージ
1位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 4:36:07 |
2位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | |
3位 | アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング) | |
4位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、アスタナ) | 0:00:08 |
5位 | フローリス・デティエ(ベルギー、ロットNLユンボ) | |
6位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | |
7位 | マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・スーダル) | 0:01:58 |
8位 | ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルーラル) | 0:02:00 |
9位 | フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
10位 | メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) | |
11位 | アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) | |
12位 | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
13位 | パヴェル・コチェトコフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | |
14位 | ハーマン・ペーンシュタイナー(オーストリア、バーレーン・メリダ) | |
15位 | ミケル・イトゥリア(スペイン、エウスカディ・ムリアス) | |
16位 | ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) | 0:03:52 |
17位 | セップ・クス(アメリカ、ロットNLユンボ) | |
18位 | ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ) | |
19位 | ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
20位 | サルヴァトーレ・プッチョ(イタリア、チームスカイ) | 0:04:55 |
23位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | |
敢闘賞 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) |
個人総合成績
1位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | 18:27:40 |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:00:41 |
3位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:48 |
4位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:51 |
5位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:53 |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:01:06 |
7位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:01:11 |
8位 | トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール) | 0;01:14 |
9位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
10位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:18 |
ポイント賞
1位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 46pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 33pts |
3位 | サイモン・クラーク(オーストラリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 30pts |
山岳賞
1位 | ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) | 36pts |
2位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 20pts |
3位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 12pts |
複合賞
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 16pts |
2位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 17pts |
3位 | ベンジャミン・キング(アメリカ、ディメンションデータ) | 27pts |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 55:21:33 |
2位 | ロットNLユンボ | 0:03:04 |
3位 | モビスター | 0:03:23 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos, Unipublic
photo:CorVos, Unipublic
Amazon.co.jp