2018/07/17(火) - 17:18
アルプス山脈に突入したツール・ド・フランス。マイヨジョーヌのグレッグ・ヴァンアーヴェルマートを含む逃げが序盤に形成され、その中から終盤の1級山岳で抜け出したジュリアン・アラフィリップがステージ初優勝を飾った。
休息日の長距離移動を経て、ツールはアルプス山脈に突入した。今大会最初の本格山岳ステージである第10ステージには5つのカテゴリー山岳が登場。前半に登場する超級山岳プラトー・デ・グリエール(全長6km/平均11.2%)は今大会唯一平均勾配が11%を超える激坂であり、中盤にかけてコンスタントに勾配が12%を超える。しかも頂上通過後には1,800mの未舗装区間(登り緩斜面)が登場するおまけ付き。未舗装路がツールに登場するのは1991年第11ステージ以来となる。
そこからさらに1級山岳ロム峠(全長8.8km/平均8.9%)と1級山岳コロンビエール峠(全長7.5km/平均8.5%)を立て続けにクリアし、約13kmの下り区間を経てル・グラン=ボルナンにフィニッシュ。山頂フィニッシュではないが、獲得標高差は3,800mに達し、急勾配の超級山岳と未舗装区間、終盤の2連続1級山岳の組み合わせがマイヨジョーヌ候補を絞り込んだ。
快晴に恵まれたスタート地点のアヌシーはスイス国境に近い山間の町。ヨーロッパ一の透明度を誇るアヌシー湖をぐるっと回ってから正式スタートが切られると、マイヨジョーヌを着るグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らが先頭で活発にアタックを開始した。
有言実行のアタックを仕掛けたヴァンアーヴェルマートの他、マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、総合3位フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)というトップ選手を含む強力な21名が集団から抜け出すことに成功する。
分裂と吸収を繰り返しながら前半の4級山岳ブルフィー(アラフィリップ先頭通過)と1級山岳クロワフリー峠(モラール先頭通過)をクリアした逃げグループは、チームスカイがコントロールするメイン集団から約5分のリードで超級山岳プラトー・デ・グリエールに突入した。スプリントポイントで20ポイントを量産したサガンはメイン集団に戻っている。
ルディ・モラールとダヴィ・ゴデュ(フランス)というグルパマFDJの2人を振り切り、ダンシングで激坂をクリアしたアラフィリップが超級山岳プラトー・デ・グリエールの頂上を先頭で通過。下りとその後の平坦区間で先頭グループは18名となる。ヴァンアーヴェルマートが積極的に牽引する逃げグループは、メイン集団から7分リードで終盤の2連続1級山岳の登坂を開始した。
前半にかけて勾配がコンスタントに10%を超える1級山岳ロム峠で、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)がペースを作る逃げグループからレイン・タラマエ(エストニア、ディレクトエネルジー)がアタック。メイン集団からカウンターアタックを仕掛けたワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)は吸収されている。
1級山岳ロム峠の頂上まで4kmを残してタラマエに合流したのはアラフィリップ。順調に山岳ポイントを獲得していたアラフィリップはそのままタラマエを振り切って1級山岳ロム峠を先頭通過する。テクニカルな下りでリードを広げたアラフィリップがそのまま1級山岳コロンビエール峠の登坂を開始した。
後方ではイサギレやヴァンアーヴェルマートらが追走したものの、フランスの大声援に後押しされたアラフィリップのペースはますます上がる。最終的にアラフィリップは2番手イサギレに1分30秒、ヴァンアーヴェルマートらに2分のタイム差をつけて1級山岳コロンビエール峠をクリア。この日だけで合計41ポイントを獲得したアラフィリップがマイヨアポワを獲得するとともに、ステージ優勝に向けてル・グラン=ボルナンへの下り区間に突入した。
ゆるく向かい風が吹くスイッチバックが連続する下りを難なくこなし、後続を振り切ったアラフィリップが独走のままフィニッシュ。ステージ2位にイサギレ、ステージ3位にタラマエが入り、メイン集団から1分37秒差をつけてステージ4位に入ったヴァンアーヴェルマートがマイヨジョーヌを守った。
1級山岳コロンビエール峠でチームスカイのヨナタン・カストロビエホ(スペイン)、ワウト・プールス(オランダ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)らがペースを刻んだメイン集団から飛び出す選手は現れなかったが(頂上手前でマーティンが飛び出したのみ)、昨年総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)らが相次いで脱落した。
脱落選手は頂上通過後の下りで挽回を狙ったが、チームスカイを先頭に最高スピード100km/h弱&平均スピード67km/hで麓まで下りきったメイン集団には追いつけない。ユンゲルスとモレマ、ザカリン、マイカは総合ライバルたちから51秒、ウランは2分36秒ものタイムを失っている。
自身ステージ初優勝、そして今大会フランスに初勝利をもたらしたアラフィリップ。山岳ステージ初日の逃げ切りで、山岳賞ランキング首位に立ったアラフィリップは「ツールのステージ優勝は特別で、いろんな感情が湧いてくる。予想外の独走で勝つなんて言葉が出てこない。逃げながら家族のことを考えていた。ミュール・ド・ブルターニュでの走りが不甲斐なかっただけに、この勝利は完璧だ」と喜ぶ。クイックステップフロアーズは今大会ステージ3勝目で、今シーズン50勝目。ユンゲルスは総合4位から総合5位までダウンしたものの、今大会の主役チームとして活躍を続けている。
苦戦すると思われた山岳ステージ初日に自ら逃げたヴァンアーヴェルマートは「11日間もマイヨジョーヌを着て走るのは誇らしい。だからできる限り長く着続けたい」とコメント。ヴァンアーヴェルマートは総合2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)に2分22秒、総合3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)に3分10秒のリードを得ているが、「明日のスーパーハードなステージは自分のリミットを超えている。明日がマイヨジョーヌを着る最後のステージにあると思う」と語っている。
休息日の長距離移動を経て、ツールはアルプス山脈に突入した。今大会最初の本格山岳ステージである第10ステージには5つのカテゴリー山岳が登場。前半に登場する超級山岳プラトー・デ・グリエール(全長6km/平均11.2%)は今大会唯一平均勾配が11%を超える激坂であり、中盤にかけてコンスタントに勾配が12%を超える。しかも頂上通過後には1,800mの未舗装区間(登り緩斜面)が登場するおまけ付き。未舗装路がツールに登場するのは1991年第11ステージ以来となる。
そこからさらに1級山岳ロム峠(全長8.8km/平均8.9%)と1級山岳コロンビエール峠(全長7.5km/平均8.5%)を立て続けにクリアし、約13kmの下り区間を経てル・グラン=ボルナンにフィニッシュ。山頂フィニッシュではないが、獲得標高差は3,800mに達し、急勾配の超級山岳と未舗装区間、終盤の2連続1級山岳の組み合わせがマイヨジョーヌ候補を絞り込んだ。
快晴に恵まれたスタート地点のアヌシーはスイス国境に近い山間の町。ヨーロッパ一の透明度を誇るアヌシー湖をぐるっと回ってから正式スタートが切られると、マイヨジョーヌを着るグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らが先頭で活発にアタックを開始した。
有言実行のアタックを仕掛けたヴァンアーヴェルマートの他、マイヨヴェールを着るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、総合3位フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)というトップ選手を含む強力な21名が集団から抜け出すことに成功する。
分裂と吸収を繰り返しながら前半の4級山岳ブルフィー(アラフィリップ先頭通過)と1級山岳クロワフリー峠(モラール先頭通過)をクリアした逃げグループは、チームスカイがコントロールするメイン集団から約5分のリードで超級山岳プラトー・デ・グリエールに突入した。スプリントポイントで20ポイントを量産したサガンはメイン集団に戻っている。
ルディ・モラールとダヴィ・ゴデュ(フランス)というグルパマFDJの2人を振り切り、ダンシングで激坂をクリアしたアラフィリップが超級山岳プラトー・デ・グリエールの頂上を先頭で通過。下りとその後の平坦区間で先頭グループは18名となる。ヴァンアーヴェルマートが積極的に牽引する逃げグループは、メイン集団から7分リードで終盤の2連続1級山岳の登坂を開始した。
前半にかけて勾配がコンスタントに10%を超える1級山岳ロム峠で、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)がペースを作る逃げグループからレイン・タラマエ(エストニア、ディレクトエネルジー)がアタック。メイン集団からカウンターアタックを仕掛けたワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)は吸収されている。
1級山岳ロム峠の頂上まで4kmを残してタラマエに合流したのはアラフィリップ。順調に山岳ポイントを獲得していたアラフィリップはそのままタラマエを振り切って1級山岳ロム峠を先頭通過する。テクニカルな下りでリードを広げたアラフィリップがそのまま1級山岳コロンビエール峠の登坂を開始した。
後方ではイサギレやヴァンアーヴェルマートらが追走したものの、フランスの大声援に後押しされたアラフィリップのペースはますます上がる。最終的にアラフィリップは2番手イサギレに1分30秒、ヴァンアーヴェルマートらに2分のタイム差をつけて1級山岳コロンビエール峠をクリア。この日だけで合計41ポイントを獲得したアラフィリップがマイヨアポワを獲得するとともに、ステージ優勝に向けてル・グラン=ボルナンへの下り区間に突入した。
ゆるく向かい風が吹くスイッチバックが連続する下りを難なくこなし、後続を振り切ったアラフィリップが独走のままフィニッシュ。ステージ2位にイサギレ、ステージ3位にタラマエが入り、メイン集団から1分37秒差をつけてステージ4位に入ったヴァンアーヴェルマートがマイヨジョーヌを守った。
1級山岳コロンビエール峠でチームスカイのヨナタン・カストロビエホ(スペイン)、ワウト・プールス(オランダ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド)らがペースを刻んだメイン集団から飛び出す選手は現れなかったが(頂上手前でマーティンが飛び出したのみ)、昨年総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)らが相次いで脱落した。
脱落選手は頂上通過後の下りで挽回を狙ったが、チームスカイを先頭に最高スピード100km/h弱&平均スピード67km/hで麓まで下りきったメイン集団には追いつけない。ユンゲルスとモレマ、ザカリン、マイカは総合ライバルたちから51秒、ウランは2分36秒ものタイムを失っている。
自身ステージ初優勝、そして今大会フランスに初勝利をもたらしたアラフィリップ。山岳ステージ初日の逃げ切りで、山岳賞ランキング首位に立ったアラフィリップは「ツールのステージ優勝は特別で、いろんな感情が湧いてくる。予想外の独走で勝つなんて言葉が出てこない。逃げながら家族のことを考えていた。ミュール・ド・ブルターニュでの走りが不甲斐なかっただけに、この勝利は完璧だ」と喜ぶ。クイックステップフロアーズは今大会ステージ3勝目で、今シーズン50勝目。ユンゲルスは総合4位から総合5位までダウンしたものの、今大会の主役チームとして活躍を続けている。
苦戦すると思われた山岳ステージ初日に自ら逃げたヴァンアーヴェルマートは「11日間もマイヨジョーヌを着て走るのは誇らしい。だからできる限り長く着続けたい」とコメント。ヴァンアーヴェルマートは総合2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)に2分22秒、総合3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)に3分10秒のリードを得ているが、「明日のスーパーハードなステージは自分のリミットを超えている。明日がマイヨジョーヌを着る最後のステージにあると思う」と語っている。
ツール・ド・フランス2018第10ステージ結果
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 4:25:27 |
2位 | ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) | 0:01:34 |
3位 | レイン・タラマエ(エストニア、ディレクトエネルジー) | 0:01:40 |
4位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 0:01:44 |
5位 | セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ) | |
6位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) | 0:02:24 |
7位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:03:23 |
8位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | |
9位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
10位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | |
11位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
12位 | ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) | |
13位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
14位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | |
15位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
16位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | |
17位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
18位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | |
19位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
20位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | |
26位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | 0:04:14 |
30位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | |
31位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | |
32位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
34位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:05:59 |
DNS | アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
DNS | イェンス・クークレール(ベルギー、ロット・スーダル) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 40:34:28 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:02:22 |
3位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:03:10 |
4位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:03:12 |
5位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | 0:03:20 |
6位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:03:21 |
7位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | |
8位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | |
9位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:03:27 |
10位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 0:03:36 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 319pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 218pts |
3位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) | 132pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 41pts |
2位 | レイン・タラマエ(エストニア、ディレクトエネルジー) | 28pts |
3位 | セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ) | 24pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 40:45:27 |
2位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:01:54 |
3位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | 0:04:02 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 122:34:07 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:00:18 |
3位 | ロットNLユンボ | 0:03:10 |
text&photo:Kei Tsuji in Le Grand Bornand, France
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