真っ平らな10.9kmコースで行なわれたブエルタ・ア・アンダルシア第4ステージ個人タイムトライアル。トラック競技で数々の栄冠を手にしているアレックス・ラスムッセン(デンマーク、サクソバンク)がブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)を5秒上回るトップタイムで優勝した。

総合リーダージャージに袖を通したマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)総合リーダージャージに袖を通したマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos最終日前日の第4ステージは、海沿いのマラガを舞台にした個人タイムトライアル。距離は10.9kmと短く、コースは直線基調で真っ平ら。総合リードを守りたいクライマーのセルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)にとって最大の試練だ。

下馬評通りTTスペシャリストのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)やトニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が好タイムをマーク。しかし平均スピード50.3km/hで10.9kmコースを駆け抜け、唯一13分の壁を破ったラスムッセンが勝利した。ラスムッセンはウィギンズを5秒差で下した。

ラスムッセンと聞いて先ず思い浮かぶのは、かつてのツール・ド・フランス山岳王ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、ミケ)だ。しかし「ラスムッセン」はデンマークでは一般的なファミリーネームであり、アレックスとミカエルの間に血縁関係は無い。

トップタイムを叩き出したアレックス・ラスムッセン(デンマーク、サクソバンク)トップタイムを叩き出したアレックス・ラスムッセン(デンマーク、サクソバンク) photo:Cor Vos5秒遅れ・ステージ2位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)5秒遅れ・ステージ2位のブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos7秒遅れ・ステージ3位のトニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)7秒遅れ・ステージ3位のトニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos

ミカエルとは対照的に、アレックスはこれまでトラック競技を中心に活躍。2005年のトラック世界選手権スクラッチで優勝。2008年北京五輪団体追い抜き銀メダル獲得。2009年にはトラック世界選手権団体追い抜きとマディソンで世界王者に輝いている。6日間レースでも優勝の常連だ。

近年はロードレースにも力を入れており、今年でサクソバンク2年目。タイムトライアルだけではなくスプリント力も抜群で、そのスピードは今後ますますロードレースで活かされることだろう。ロードキャリアの中で最高の勝利を飾ったラスムッセンは「ワールドクラスの選手たちが出場するレースで表彰台に上るなんて、目眩がするぐらい素晴らしい経験だ。この勝利は驚き。まさかトップライダーたちに勝てるとは思っていなかった。今の目標は、この調子を維持して、ピークを1ヶ月か1ヶ月半後に持って行くこと。トラックのワールドカップやロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベを前に、明るい兆しだ」とコメントしている。

また、ステージ5位に入ったチームメイトのイェンス・フォイクト(ドイツ)は、総合4位にジャンプアップ。総合3位とのタイム差は僅かに1秒であり、サクソバンクとしては何としてもフォイクトを総合表彰台に上らせたいところ。サクソバンクはチーム総合成績でトップに立っている。

12秒遅れ・ステージ4位のマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)12秒遅れ・ステージ4位のマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vosリーダージャージを着るセルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)は1分03秒遅れのステージ31位リーダージャージを着るセルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)は1分03秒遅れのステージ31位 photo:Cor Vos1分12秒遅れ・ステージ38位のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア)1分12秒遅れ・ステージ38位のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos

この日、ステージ上位10名の中にチームHTC・コロンビアの選手が4名入った。マルティンに次いでステージ4位に入ったロジャースが、ステージ31位に沈んだパルディージャに代わって総合首位に。

ロジャースは「ステージレースで総合リーダーになるなんて、2005年のツール・ド・スイスぶりだ。明日の最終ステージは山岳がいくつも設定されたコース。ライバルたちのアタックが予想されるけど、チーム一丸となって総合リードを守り抜きたい」。2003年から3年連続で世界タイムトライアルチャンピオンに輝いたロジャースが、総合優勝に王手をかけた。

選手コメントはサクソバンク公式サイト、ならびにチームHTC・コロンビア公式サイトより。

ブエルタ・ア・アンダルシア2010第4ステージ結果
1位 アレックス・ラスムッセン(デンマーク、サクソバンク)         12'59"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)            +05"
3位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)           +07"
4位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)     +12"
5位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)              +23"
6位 ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド、チームHTC・コロンビア)   +25"
7位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)       +28"
8位 ポール・マルテンス(ドイツ、ラボバンク)
9位 グレゴリー・ヘンダーソン(ニュージーランド、チームスカイ)       +30"
10位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームHTC・コロンビア)       +34"

個人総合成績
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)   13h52'09"
2位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    +19"
3位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、カルミオーロ・NGC)        +30"
4位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)              +31"
5位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)                  +35"
6位 マキシム・モンフォール(ベルギー、チームHTC・コロンビア)       +38"
7位 グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)        +44"
8位 マヌエル・バスケス(スペイン、アンダルシア・カハスール)         +46"
9位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、チームミルラム)
10位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)         +50"

ポイント賞
オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)

山岳賞
ブリース・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ)

チーム総合成績
サクソバンク

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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